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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい人体のしくみの本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07409-7
コード C3034
発行月 2015年06月
ジャンル ビジネス 化学

内容

人の体は複雑で、すべてを理解するのは難しい。医療系に進む学生の中には高校で生物を選択しなかった人も多く、いきなり専門書を読むには基礎知識が不足している。本書では、人体の機能やしくみについて、高校で学ぶ生物の知識がない人にもわかるように、トコトンやさしく解説する。文章ではなるべく専門用語を使わないようにしている。

倉橋 隆  著者プロフィール

(くらはし たかし)
1990年 筑波大学大学院 修了(理学博士)
1990年 生理学研究所 助手
1992年 ジョンズ・ホプキンス大学医学部
リサーチフェロー(上原財団)
1992年〜93年 モネル化学感覚研究所・
所長招聘リサーチフェロー
1996年 大阪大学大学院 助教授
1999年〜現在 大阪大学大学院 教授
2010年〜現在 三重大学大学院 客員教授、
リサーチアソシエイト

【受賞歴】
モエヘネシールイヴィトン(仏) ダビンチ賞
米化学感覚学会(AChemS) Takasago賞

【主な著書】
「嗅覚生理学」フレグランスジャーナル社、2004年
「トコトンやさしいにおいとかおりの本」(共著)日刊工業新聞社、2011年
「神経細胞の科学」(共著)日刊工業新聞社、2013年

目次

はじめに

第1章 
生命とは
—ヒトの体は分子、細胞、組織でできている
1 ヒトの体を構成するもの[いろいろな臓器、器官、細胞、分子]
2 細胞は生物の最小単位[細胞の基本構造]
3 ヒトの体は主に炭素、酸素、水素で構成されている[分子から見た人体]
4 体の中で重要な役割をするタンパク質[タンパク質とアミノ酸]
5 ヒトの体で重要な働きをするイオン[体内のイオンと生体電気]
6 身体のしくみの数字のヒミツ[生体現象の対数と指数]
7 細胞が存在するために必要な電解質[体液のイオン組成]
8 細胞の生死は浸透圧にかかっている[細胞や組織への水の出入り]
9 細胞内外の物質の違いをつくるタンパク質[さまざまな物質の能動輸送]
10 体の中の分子の数や量を理解するときに利用されるモル[物質の濃度]
11 私たちの体の中の細胞は電気を帯びている[活動電位は体内の電気現象]
12 細胞が働くから生物でいられる[細胞の内外における物質移動]
13 細胞が物質を受け取り反応する[受容体に結合するリガンド]
14 なぜ親子は遺伝子によって似るのか[DNAは個人個人の設計図]
15 なぜ酸素を吸って二酸化炭素を吐くのか[エネルギーの作り方]
16 細胞の中で糖からエネルギーを取り出すしくみ[ミトコンドリアの働き]
17 体の中の潤滑油[ビタミンや補酵素]
18 女性と男性の違い[DNAと生殖細胞]
19 男女の体の違いを作る[性ホルモンの生成と機能]

第2章 
神経情報と液性情報
—体の中の協調性をとる
20 体全体をまとめ、各臓器で連絡を取り合う[神経系と内分泌系]
21 直接の配線によって体を制御する神経系[入力突起と出力突起]
22 脳と脊髄は感覚や指令の中心[脳と脊髄を合わせた中枢神経系]
23 背骨から尾てい骨まで伸びている中枢神経[脊髄の構造]
24 哺乳類で発達している大脳皮質[運動や思考の機能を司る]
25 脳や脊髄から伸びる末梢神経系[感覚神経、運動神経、自律神経]
26 感覚は外界の状況を知る機構[情報を収集する感覚]
27 見えるしくみ[視細胞が光センサーの役目]
28 ヒトは見た情報をどうやって処理するのか[視覚の情報処理と経路]
29 耳の機能と役割[有毛細胞が音の振動を伝える]
30 回転運動や重力、加速度を検知する[耳が受け持つ平衡感覚]
31 匂いを感じるしくみ[嗅上皮で匂いの分子をキャッチ]
32 5つの味で危険かどうかを判断する[苦み、酸味、甘味、塩味、旨味を感じる]
33 私たちの状況を常に監視している受容器[体性感覚]
34 物質で体全体をまとめ、各部位で連絡を取り合う[液性情報伝達とホルモン]
35 体をまとめる司令塔[内分泌腺やホルモンの種類]
36 細胞が水溶性の物質を受け取り反応する[ペプチドホルモンとアミン]
37 細胞内に入り込み作用するステロイドホルモン[新たなタンパク質を合成させるしくみ]

第3章 
酸素や栄養素の循環
―生体の防御
38 酸素を取り込んで二酸化炭素を排出する[肺の構造と働き]
39 呼吸のしくみ[助間筋と横隔膜]
40 血液の働き[血球の種類]
41 血液と独立した循環系[主に老廃物を運ぶリンパ系]
42 肺で酸素を受け取って、各組織へ運ぶしくみ[赤血球の役割と機構]
43 体内に入ってきた異物を攻撃する免疫[非特異的免疫と特異的免疫]
44 体の中への特定の侵入者を攻撃する[特異的免疫]
45 ケガの後に出血が止まるしくみ[血小板の役割]
46 血液が全身を巡るしくみ[心臓のポンプ機能]
47 最高血圧と最低血圧の測定[収縮期血圧と拡張期血圧]
48 高血圧や低血圧に対処するための血圧の調節[高血圧と低血圧]
49 心臓が動くしくみ[心筋の収縮機構と心臓全体の調和]
50 心臓の鼓動が速くなっても血液を送り出せるわけ[活動電位の発生タイミング]
51 心臓が押し出す血液の量[心拍出量と前負荷、後負荷との関係]
52 体の外から心臓の動きを見る[心電図]

第4章 
栄養分を吸収してエネルギーに利用
—消化と活動のメカニズム
53 食べ物が分解され吸収されるしくみ[消化酵素の働きで栄養分を吸収]
54 酵素の働きは化学反応の促進[タンパク質、アミノ酸の分解]
55 栄養素を吸収する分子機構[糖、アミノ酸、脂肪の吸収]
56 血液を濾過して、不要物を尿にする腎臓[血液をきれいにするしくみ]
57 腎臓の構造と機能[機能単位はネフロン]
58 腎臓の機能を計る[糸球体の濾過量の求め方]
59 筋肉を機能や見た目や性質で分類する[横紋筋と平滑筋、速筋と遅筋]
60 筋肉は筋線維が束になった構造をしている[筋線維の中の筋原線維]
61 筋肉収縮のメカニズム[骨格筋と心筋の共通点と相違点]
62 2つのタンパク質のフィラメントが滑り込む[筋肉の収縮のしくみ]
63 2つのフィラメントが滑る分子構造[ミオシン頭部の動き]
64 骨のしくみと役割[血液を作り、栄養を貯蔵する]
65 体に必要なものを供給する骨の役割[Ca2+とビタミンD3]
66 運動の力学と生理学[「力」の定義と「エネルギー」を考える]
67 物体を「力」を使って移動させたとき「仕事」となる[仕事と仕事率の定義]
68 微分と積分のおさらい[微分積分を速度で考える]
69 筋肉の真の力と実際に作業をする力[関節はてこの原理で働く]
70 運動の際に利用するエネルギー[無酸素運動と有酸素運動]

【コラム】
●ヒトとミトコンドリアは異なる進化をたどった別の生き物
●液性情報伝達による“ありがとう”のお返事~正と負のフィードバック
●ウイルスと細菌(バクテリア)の違い
●細菌との共生

参考文献

索引

はじめに

 「人体のしくみ」というと医学の専門家たちの特別な学問と考えがちです。しかし「人体」とはあなたにとって一番身近なあなた自身の体のこと。人体のしくみを知ることは、私たちが健やかな生活を送ることにつながるのです。だからといって一般の人がいきなり医学書を手にしても、難解な専門用語に戸惑うことでしょう。そこで本書では高校生レベルの生物や物理・化学の知識があれば理解できる用語と文章を使うことを心がけました。

 右ページに解説文、左ページにイラストや用語解説という構成になっています。解説文では専門用語をわかりやすい言葉に言い換えているので、すらすら読みながらテーマの全体像がつかめるはずです。重要な用語については正式名称を使いましたが、最小限に抑えています。またスペースの許す限り、重複してでもわかりやすい説明をしています。容量などについては「自動車のガソリンタンク何杯分」「ペットボトル何本分」と置き換えて説明することで「意外に少ない」「とんでもなく多い」というイメージでとらえられるように工夫しました。

 しかし、これでは専門用語が言い表す範囲をカバーできずに、誤解が生じることがあります。理解している人にとっては物足りなさを感じることにもなりかねません。そこで左ページのイラストと解説文で理解を深められるようにしました。

 一般の読者だけでなく、これから医療分野を専門的に勉強し始める学生が専門書を理解するための参考書としても使えます。言葉や概念を覚えるには反復学習が大切です。単純暗記ではなく、メカニズムや全体の流れを理解して用語や機構が頭に入れば、解剖生理学は楽しくなることでしょう。ただしやはり一般用語で専門用語のすべてを説明するには限界があります。さらに理解を深めるために、必要に応じて専門書で確認することをおすすめします。

 本書の執筆に当たり、原稿へのコメントをいただいた竹内裕子大阪大学准教授、イラストの準備をしていただいた倉橋亜佳里さん、倉橋香緒莉さん、日刊工業新聞社の木村文香様、奥村功様に感謝いたします。

2015年6月                      


倉橋 隆

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