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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい圧力容器の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07423-3
コード C3034
発行月 2015年05月
ジャンル ビジネス 機械

内容

圧力容器とは、大気圧と異なる一定の圧力で気体や液体を貯留するように設計された容器のこと。石油精製や化学プラントなどの装置の構成要素として、なくてはならない機器。圧力容器としての設計が不十分な容器を高圧で使用することは、極めて重大な危険を招くことになる。このため圧力容器の設計や保証に関しては、規格で厳重に管理されている。本書ではこの圧力容器の歴史、種類と用途、設計、製作、現地据付工事、運転、トラブル対策などについて、楽しくわかりやすく解説する。

大原良友  著者プロフィール

(おおはら よしとも)


技術士(総合技術監理部門、機械部門)

勤務先:千代田化工建設(株)技術本部 機械設計ユニット シニアコンサルタント

入社後圧力容器のエンジニアリングを専門とする部署の部長、本部長代行を経てから、主席技師長となり、定年後に現職

所属学会:日本技術士会、日本機械学会

社外の団体役員・委員活動:
公益社団法人・日本技術士会:男女共同参画推進委員会・委員、企業内技術士交流会・行事部会長、技術士第一次/第二次試験・主任試験監督、男女共同参画委員会・委員、など
一般社団法人・日本機械学会:産業・化学機械と安全部門 部門長、評議員など

一般社団法人・神奈川県高圧ガス保安協会:理事、エンジニアリング部会長

一般社団法人・日本高圧力技術協会:圧力設備規格審議委員会・副委員長

一般社団法人・日本溶接協会:圧力設備の供用適性評価方法(FFS)・規格委員会・委員

公益社団法人・石油学会:装置部会・委員、などを歴任
資格:技術士(総合技術監理部門、機械部門)、米国PM協会・PMP試験合格



著書:『技術士第二次試験「機械部門」対策と問題予想第3版』、『技術士第二次試験「機械部門」解答例と練習問題第2版』、『技術士第一次試験「機械部門」専門科目受験必修テキスト第2版』、『技術士第一次試験「機械部門」合格への厳選100問第2版』、『建設技術者・機械技術者<実務>必携便利帳』(共著)、『技術士第二次試験「機械部門」択一式問題150選第2版』
取得特許:特許第2885572号「圧力容器」など10数件

受賞:日本機械学会:産業・化学機械と安全部門 部門功績賞(2008年7月)など数件

目次

第1章 圧力容器とは何か
1 圧力容器とは 「内外からの圧力に耐える容器」
2 タンクと圧力容器の違い 「タンクは圧力に拘らず貯蔵するための容器」
3 ボイラーとは 「温水や蒸気を供給する装置」
4 産業革命から生まれたボイラー 「蒸気機関の発展とボイラーの役割」
5 なぜ内部に圧力が必要なの 「内部の圧力が高くなるほど仕事ができる」

第2章 いろいろな圧力容器
6 蒸気船と蒸気機関車 「蒸気機関のボイラー」
7 生活に身近な圧力容器 「家庭用などのボンベ」
8 槽 「化学プラントで活躍する圧力容器」
9 塔 「円筒たて型の圧力容器」
10 原油の常圧蒸留塔 「原油の蒸留操作を行う塔」
11 反応器 「分解や重合などの化学反応を行う容器」
12 多管式熱交換器 「温度の異なる流体の熱を交換する圧力容器」
13 発電所の圧力容器 「蒸気による発電の場合」

第3章 圧力容器を構成する部品と要素
14 圧力容器としての範囲 「容器本体に取り付けられるもの」
15 耐圧部品と非耐圧部品 「圧力が作用する箇所のすべての部品が耐圧部品」
16 外部品と内部品 「外から見ることができるのが外部品」
17 胴と鏡板 「圧力容器の本体が胴体、蓋の役割が鏡板」
18 ノズルとフランジ 「ガスや流体を出し入れする箇所の部品」
19 マンホールとハンドホール 「内部品の点検や交換を行うためのノズル」
20 ガスケット 「圧力容器側と配管側などの間で漏れを防ぐ部品」
21 塔の内部品 「棚段(トレイ)と充填物」
22 槽の内部品 「デミスター、コアレッサー、渦防止板、内部配管など」
23 反応器の内部品 「固定床式、流動床式それぞれの内部品」
24 容器の支持構造物の種類と構造 「圧力容器本体と設置される構造物をつなぐ」
25 メンテナンス用の付属品 「運転開始後の定期点検に必要な部品」
26 その他の主な付属部品 「据付用のリフティングラグや配管・断熱材のサポートなど」
27 主な部品の材料と材料選定 「流体の腐食と材料の耐圧性能」
28 ステンレス鋼の特徴 「腐食対策としてステンレス鋼を使う際の留意点」
29 内部の腐食対策 「容器本体の材料にステンレス鋼を使えない場合」

第4章 圧力容器の設計
30 ボイラーと圧力容器の設計規格の歴史 「安全を確保するための基準」
31 日本の圧力容器の設計規格 「米国ASME規格と日本JIS規格」
32 高圧ガス保安法が適用される圧力容器 「特定設備検査規則」
33 労働安全衛生法が適用される圧力容器 「危険な作業を必要とする機械として規定」
34 その他法的制限のある圧力容器 「電気事業法とガス事業法」
35 圧力容器の設計手順 「基本設計と詳細設計」
36 圧力容器の設計で必要なデータ 「基本設計の時点で確定すべき設計条件」
37 内圧による胴体の発生応力 「円筒と球殻それぞれの発生応力」
38 内圧による胴体の強度計算式 「規格に規定されている板厚の決め方」
39 外圧に対する胴体の設計方法 「円筒の限界座屈圧力」
40 フランジの計算 「ボルトとナットでガスケットを締め付ける」
41 マンホールやノズルの穴の補強計算 「穴の近傍が内部の圧力に耐えられるようにする設計」
42 耐震設計 「地震に耐える設計の基準とその手順」
43 耐風設計 「風による加重の決め方」

第5章 工場製作の手順と方法
44 材料調達と受け入れ 「材料の入荷までの流れと受け入れ検査」
45 胴板の成形加工 「切断、油圧プレス、ローラ成形」
46 鏡板の成形加工 「鏡板のプレス加工とスピニング加工」
47 溶接方法 「自動 ・ 半自動 ・ 手溶接」
48 溶接継手の種類と形状 「継手の位置による分類と継手の形式」
49 溶接部の品質保証 「作業員の能力の保証と品質を保証する試験」
50 溶接部の欠陥 「許容されない欠陥は完全に除去する」
51 溶接部の非破壊試験 「目視検査から超音波探傷まで」
52 部品の組立 「単管同士の周溶接と各部品の溶接」
53 寸法検査と公差 「各部位の公差範囲値」
54 熱処理 「溶接部軟化と残留応力低減」
55 耐圧 ・ 気密試験 「安全性のため耐圧性能を最終確認する」
56 出荷準備 「防錆処理などの保護仕上げと梱包」

第6章 現地工事と運転までにやること
57 製作工場から現地までの輸送 「大型の圧力容器は船で運ぶ」
58 本体の現地据付 「横置とたて型で工事は異なる」
59 付属品の取り付け工事 「付属品は現地で取り付ける」
60 内部品の取り付け工事 「塔の内部品は現地で組込む」
61 試運転前の確認 「試運転前の確認項目と方法」

第7章 運転、保全と主な損傷
62 圧力、流量、温度の制御 「流入と流出するプロセス流体の制御」
63 安全装置 「万 一 の場合に圧力を逃す」
64 圧力容器の保全 「定期点検時の検査項目」
65 腐食と摩耗による損傷 「化学物質による破壊」
66 脆性破壊 「変形しないで瞬時に割れる」
67 疲労破壊 「繰り返し荷重と疲労限」

【コラム】

●人体の臓器に譬えると
●圧力容器の胴が円筒になっているのはなぜか
●地球は丸いのはなぜか
●深海の潜水艇
●材料の破壊
●圧力容器を取り扱う資格はあるのか
●最近のプラント重大事故の事例

参考文献

はじめに

 近年、化学工場の夜景を観賞したり、写真を撮影するのが人気になっているようです。

 書店に行くと、化学工場の夜景の写真集があったり、地方都市でも工場群の夜景観光のツアーがあったりします。

 外から見ただけではどのような装置で、どんな製品を製造しているのか、まったくわかりません。

 見てわかるのは、背が高く上空に白い煙のようなもの(実際は水蒸気です)を吐き出しているのが煙突で、次に高く見えるのは、どうやら何かの機械のようなものではないか、ということでしょうか。

 この夜景でひときわ目立つ機械が、蒸留塔(メインタワー)のような背丈が高い圧力容器です。ただ、中に何が入っていて、何をどのように加工しているのかは、想像もできないでしょう。

 産業用としての工場が建設されたのは、みなさんがご存じの産業革命によるものです。

 産業革命の主役は、人や牛馬による力で作業していたことから、機械による動力を得たことです。

 その中心になったのが、動力を生み出すボイラーといえます。今日まで産業が発展してきた機械のおおもとである、ともいえます。ボイラーでは石炭を燃やして蒸気を発生し、その蒸気により動力を生み出しています。現代社会では、電気がないと一切の生活が成り立ちませんが、この電気を発生するためには、ボイラーが不可欠なものになっています。

 一方、圧力容器は、ボイラーの発明とともに発展してきました。最初の圧力容器は、ボイラー本体そのものでした。当初のボイラーの蒸気圧力は、大気圧を少し超えた程度でした。

 圧力容器は、技術の革新とともに様々な用途に用いられてきました。とりわけ、石油精製や各種の化学プラントなどの装置の構成要素として、なくてはならない機械になっています。家庭、社会、国家から世界中で、人類が活動し生活に必要なありとあらゆる物が、石油や天然ガスを基盤として作られています。それらの物を作るプラント(工場)に、圧力容器がなければ何も作ることができません。

 みなさんは、化学プラントに使われている「圧力容器」を近くで見たことはあまりないと思います。どんなものなのか、想像もできないでしょう。

 本書では、圧力容器とはどのようなものをいうのか(第1章)、実際に使われている圧力容器にはどのようなものがあるのか(第2章)、圧力容器にはどのような部品があるのか(第3章)、どうやって圧力容器を設計するのか(第4章)、どのように製作が行われるのか(第5章)、プラントの建設現場で運転までに何をするのか(第6章)、安全に運転するためにはどうするのか(第7章)、について説明します。

 この本により、圧力容器について少しでも興味を持っていただければ、技術者として40年以上圧力容器の分野で仕事をしてきた者として、これ以上うれしいことはありません。

 本書の執筆の機会を与えてくださった日刊工業新聞社の鈴木徹氏に心から感謝申し上げます。



2015年5月

大原良友

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