買い物かごへ

今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい切削工具の本

定価(税込)  1,620円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07422-6
コード C3034
発行月 2015年05月
ジャンル ビジネス 機械

内容

機械加工現場で使われている切削工具を、どのような機能(働き)を持ち、各種加工にどのように貢献しているかという観点から解説。単なる工具の紹介にとどまらず、工具の特徴、使用する際のノウハウや勘どころなどについても言及。手仕上げ加工や特殊加工の工具も取り上げている。

澤 武一  著者プロフィール

(さわ たけかず)
芝浦工業大学
デザイン工学部 デザイン工学科 准教授
博士(工学)、ものづくりマイスター、
1級技能士(機械加工職種、機械保全職種)

1977年3月 滋賀県生まれ
2004年2月 国家検定1級技能士取得(機械加工職種、機械保全職種)
2005年3月 熊本大学大学院修了 博士(工学)
2005年4月 職業能力開発総合大学校精密機械システム工学科助手
2005年6月 富士フイルムグループフジノン佐野株式会社(現:富士フイルムオプティクス株式会社)にて実務研修
2010年4月 東京電機大学工学部機械工学科准教授
2013年4月 芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科准教授
2014年7月 厚生労働省ものづくりマイスター認定

専門分野:砥粒加工、金型加工、切削加工、技能伝承

主な著書
・目で見てわかる「使いこなす測定工具」―正しい使い方と点検・校正作業―
・目で見てわかるミニ旋盤の使い方
・目で見てわかるエンドミルの選び方・使い方
・目で見てわかる研削盤作業
・目で見てわかるフライス盤作業
・目で見てわかる旋盤作業
・目で見てわかる機械現場のべからず集―研削盤作業編―
・目で見てわかる機械現場のべからず集―フライス盤作業編―
・目で見てわかる機械現場のべからず集―旋盤作業編―
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしいマシニングセンタの本」
・今日からモノ知りシリーズ「トコトンやさしい旋盤の本」
・絵とき「旋盤加工」基礎のきそ
・絵とき「フライス加工」基礎のきそ
・絵とき 続「旋盤加工」基礎のきそ
・基礎をしっかりマスター「ココからはじめる旋盤加工」
・目で見て合格 技能検定実技試験「普通旋盤作業2級」手順と解説
・目で見て合格 技能検定実技試験「普通旋盤作業3級」手順と解説
……いずれも日刊工業新聞社発行

目次

第1章 切削工具は身近にある!?
1 切削工具とは? 「人間の進化はものづくりの進化」
2 切削工具と工作機械 「金属加工には工作機械が必要不可欠」
3 「切削」に隠された本当の意味を知る 「「切る!」と「削る!」は違う」
4 切断とせん断の違い 「切削工具を上手に使う極意」
5 切削工具の切れ味 「切りくずが熱いというのは常識ではない」
6 切削工具の刃先丸み 「切れ味と欠けは紙一重」
7 切削工具を研ぐ 「一流の削り屋は料理人を見習うべし!」
8 スローアウェイとインサートは同じ? 「『MOTTAINAI』は世界共通語」
9 切れ味と切削速度の関係 「刃物は速く動かすほど切れ味が向上する」
10 切削工具の材質 「硬さと粘り強さは相反する関係」
11 切削工具とものづくりの競争力 「手研ぎ切削工具が競争力の源」

第2章 切削工具は材料界のスーパースター
12 切削工具は材料界のエリート集団 「切削工具材料に求められる条件」
13 ダイヤモンドとダイヤモンド焼結体 「ダイヤモンド粉末を固めたダイヤモンド焼結体」
14 人工バインダレス多結晶ダイヤモンド 「いま注目すべき切削工具材質」
15 熱に強く、化学的にも安定しているCBN 「立方晶窒化ホウ素は粉末を固めた焼結体」
16 高温でも硬さが低下しにくいセラミックス 「「白セラ」と「黒セラ」がある」
17 超硬合金はアーモンドチョコレートと同じ構造 「「ちょ~硬い合金」」
18 超硬合金の種類と正しい使い方 「超硬合金は工作物材質によって6種類を使い分ける」
19 極小だが硬くて粘り強いすごい奴 「超微粒子超硬合金の3つの利点」
20 サーメットは鉄鋼材料の仕上げ加工に最適 「サーメットは鉄との親和性が低い」
21 サーメットの正しい使用方法 「サーメットはまず無垢から使用する」
22 粉末ハイスは金属界の最強金属 「溶解ハイス、コバルトハイス、粉末ハイス」
23 高速度工具鋼の使用上の注意点 「高速度工具鋼は600℃以上では使えない」
24 やすりやかみそりの刃に使われる炭素工具鋼 「炭素工具鋼と機械構造用炭素鋼は親戚」
25 炭素工具鋼に合金元素を混ぜた合金工具鋼 「鋼は百工の基本をなす」
26 コーティングは母材の性能を補い強化する 「母材の表面を薄膜で覆った切削工具」

第3章 旋盤で使われる切削工具
27 バイトは旋盤で使用する切削工具 「バイトの語源は木材加工で使用されるノミ」
28 チップ主要部の名称 「すくい角、コーナ半径、切れ刃が切れ味に影響する」
29 いろいろなバイトの形状 「機械加工で得られる形状は刃部の形状を転写させたもの」
30 ホーニングとランド 「切れ刃の切れ味と強度に密接に関係」
31 コーナ半径の正しい理解 「コーナ半径によって仕上げ面粗さが変わる」
32 バイトの構造(刃部とボデーの結合方法) 「現在はクランプバイトが主流」
33 バイトとチップの勝手とは 「チップは切れ刃の向きで勝手が決まる」
34 切りくずを分断するチップブレーカ 「キーワードは切りくずコントロール」
35 チップに施されたさまざまな工夫 「チップ形状は科学技術の結晶」
36 いろいろなスローアウェイチップの形状 「チップ形状の特性を理解することが大切」
37 溶着物が疑似的な刃先として作用する構成刃先 「構成刃先は利点もあるが、欠点の方が多い」
38 摩耗と損傷から切削状態の良否を判断する 「摩耗と損傷の違い」
39 切削工具の性能を使いこなす 「切りくずを同じ場所に飛ばす」
40 規則正しい微小な凹凸を付けるローレット 「ローレットには転造式と切削式がある」

第4章 フライス盤で使われる切削工具
41 フライス工具とバイトに求められる性能の違い 「衝撃に耐え得る強靭性が求められる」
42 広い平面を削りたい時には正面フライス 「ムリ、ムダ、ムラを考えることは重要」
43 正面フライスを使う時の注意点 「摩擦(上滑り)は切削工具の天敵!!」
44 1本で多様な形状を加工できるエンドミル 「荒加工は刃数少、仕上げ加工は刃数多を選択」
45 エンドミルは特性を見きわめて適切に選択する 「特殊なエンドミル」
46 エンドミル使用時の注意点 「エンドミル加工はカッタパスが命!!」
47 ドリルは穴をあけるための切削工具 「ドリルと富士山の意外な関係」
48 ドリルの精度と穴あけ加工の品質不良 「リップハイトは穴精度に大きく影響する」
49 ドリルの分類 「ドリルの選択はL/Dが1つの目安」
50 特殊なドリルとトラブルシューティング 「ドリル加工には内部給油は必須な技術」
51 センタ穴ドリルは浅穴用だけど奥深い 「センタ穴ドリルの種類と特徴」
52 「めねじ」を加工するタップ 「タップは硬さよりも粘り強さが重視される」
53 ハンドタップの誤解 「ハンドタップは使用する順番が決まっている」
54 いろいろなタップ 「食付き部の長さを使い分けることが大切」
55 リーマと中ぐりは穴の品質を高めるために行う加工 「穴の内径で使い分ける」
56 いろいろな溝を加工するフライス工具 「切りくずの排除がポイント」
57 サイドカッタとメタルソー 「切りくずとチップポケットの関係が重要」

第5章 手仕上げ作業で使用する切削工具
58 鉄工やすりと組やすり 「鉄工やすりでは高速度工具鋼や超硬合金を削れない」
59 やすりからものづくりの神髄を学ぶ 「やすりの正しい使い方」
60 きさげ加工はスーパーハイテクノロジー 「スクレーパはへら状の刃に柄を付けた工具の総称」
61 ハンマーで叩いて使う「たがね」 「金属を切断する作業を「はつり」という」
62 研磨材、紙やすり、研削といし、油といし 「磨きはものづくり技術の原点」
63 丸棒に「ねじ形状」を加工するねじ切りダイス 「ねじ切りダイスには表裏がある」
64 手作業で金属を切断する「弓のこ」 「弓のこは点接触になるように使う」

第6章 金属加工で使用する特殊な切削工具
65 ラックカッタ、ピニオンカッタ、ホブ、スカイビング 「歯車工具の進化はおもしろい!」
66 ブローチは一発加工で高能率 「ブローチ加工は総形加工の一種」
67 シリンダの内面加工に欠かせないホーニングヘッド 「水筒の中をスポンジで洗うのと同じ」
68 高精度に平面を加工する平削りバイト 「平削りには腰折れバイトが多用される」

【コラム】
●機能と品質と価値の関係
●地球と生命を支える鉄
●事例から学ぶ人材育成の大切さ
●シロクマと企業の意外な関係
●油砥石と水砥石
●日本は高齢先進国

参考文献
索引

はじめに

 「無人島に1つだけ持っていくなら何を持っていきますか?」という質問をされたことがある人は多いのではないでしょうか。皆さんなら何を持っていきますか?インターネットで調べると、1位はナイフだとわかりました。刃物があればとりあえず何とかなるという考え方は世界共通の認識のようです。つまり、刃物は生活に欠かせないもっとも重要なアイテムということになります。
 そこで、刃物について調べてみると、おもしろいことがわかりました。木材加工で使用するノコギリも刃物の一種ですが、日本のノコギリは持ち手の方向に刃が付いているので、引く時に力を加えると木材が切断できます。カンナも同じで引く時に力を加えると表面を削ることができます。しかし、欧米のノコギリは持ち手と逆方向に刃が付いているので、押す時に力を加えると木材が切断でき、カンナも押す時に力を加えると表面を削ることができます。よく考えてみると、日本の侍は「引いて使う刀」を使い、欧米の騎士や剣闘士は「突いて刺す剣(フェンシング)」を使っていました。日本では「刃物は引いて使うもの」というのが常識だと考えていましたが、欧米では「刃物は押して使うもの」というのが当たり前のようです。
 同じような例に、刃物を研ぐ砥石があります。日本では包丁を研ぐとき潤滑を目的として水を使いますが、アメリカでは油を使います。古来、日本では水が豊富だった一方で、アメリカ内部では水が貴重だったため油が使われたようです。また信号機にも違いがありました。日本の信号機は右側が赤で、欧米の信号機は左側が赤です。日本の道路は左側通行で、欧米の道路は右側通行ということに起因しているようです。ここで挙げた以外にもいろいろなものに違いがあると思います。常識や当たり前だと思っていることは、文化や風土が異なれば変わります。常識や当たり前をそのまま受け入れてしまうと新しい発想が生まれません。何事も見方を変える努力が大切だと気づかされました。
 さて、金属加工で使用する刃物を「切削工具」といいます。金属に多くの種類があるように、金属を加工する切削工具も多種多様です。そのため切削工具を本質から理解し、切削工具が本来もつべき性能を100%発揮させて使用している人は少ないと思います。本著では切削工具とは何か、切削工具の種類、切削工具を上手に使うポイントなど常識的な観点にとらわれず、多角的視点から解説しました。本著を読んでいただければ切削工具のすべてを知ることができ、一般の方にも満足頂ける内容になっていると思います。また金属加工を行う専門の方には切削工具を見つめ直す絶好の機会になると考えます。本著が皆さんの知性の一助になり、楽しい人生を送るための付加価値の高い内容であったなら著者として大変幸せです。
 最後になりましたが、本著を執筆する機会を与えていただきました日刊工業新聞社出版局長の奥村功様、執筆、編集、校正に際し、ご懇篤なご指導、ご鞭撻を賜りましたエム編集事務所の飯嶋光雄様、DTPを努めていただきました志岐デザイン事務所の矢野貴文様に厚く御礼申し上げます。
                         
2015年5月
澤 武一

買い物かごへ