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よくわかる
プリント基板の「コストと見積り」

定価(税込)  2,376円

著者
監修
サイズ A5判
ページ数 248頁
ISBNコード 978-4-526-07418-9
コード C3054
発行月 2015年05月
ジャンル 電気・電子

内容

プリント配線板の基板のコストに関して、その仕組みと概要をわかりやすく解説した本。「プリント配線板のビジネスを左右する一番の要素がコスト!」本書は、そのコストに関係した基礎知識、コスト構成、コストテーブル、基材とコストの関係、外形寸法(板取り)に関する影響など、コストを考慮するうえで、必要な知識を網羅したもの。プリント配線板関係技術者だけではなく、業界の営業マン、調達購買関係者、経営者に至るまで、必読の書。

斉藤和正  著者プロフィール





(さいとう かずまさ)
 1980年、国立東京工業高等専門学校、工業化学科を卒業後日立電子(株)(現、(株)日立国際電気)に入社。民生用電子機器の量産品から産業用電子機器の一品ものまで、プリント基板はほぼ全種類・工法を取り扱った。それに付随し、プリント基板の評価、基板メーカの認定、設計基準・購入仕様書の作成を促進し設計部門へ展開。1990年前半、海外基板メーカ・基材メーカを開拓し中量生産品に適用。海外調達活動は独立後現在も継続。
 また、短納期・少量多品種品向けに内作基板工場を構築。さらに、実装技術も守備範囲となり設計から製造までワンストップ活動を推進。
2002年に後進に託して独立し(有)実装彩科を設立、技術コンサルを開始。現在までに副資材、装置メーカ、基材メーカ、プリント基板メーカ、電子機器メーカ、商社などプリント基板にかかわる広範囲な業種を支援し現在に至る。
 (一社)エレクトロニクス実装学会では多数の研究会委員として活動。また、(一社)日本電子回路工業会(JPCA)でも複数のプロジェクト委員を担当。その中の「PWBコンサルタント」では有資格者であると共に後継者の育成に協力。著書、共著は多数執筆。国内外でのセミナ講師も多く担当。
 2015年7月よりweb上で「実装フォーラム」を立ち上げ、プリント基板にこだわりを持って接したい人を結集し、過去からのものづくりを継承していこうと考えている。
http://jissoforum.com/

髙木 清  著者プロフィール

(たかぎ きよし)
1955年、横浜国立大学応用化学科を卒業後富士通(株)に入社。電子材料の開発、多層プリント配線板技術の研究開発に従事。
1989年古河電気工業(株)、(株)ADEKAの顧問を経て1994年高木技術士事務所を開設、プリント配線板関連技術についてのコンサルタントとして現在に至る。1971年、技術士(電気電子部門)登録。
JIS原案作成委員、(社)プリント回路学会(現、(一社)エレクトロニクス実装学会)理事、を歴任、2011年、(社)エレクトロニクス実装学会、学会賞を受賞。
現在、エレクトロニクス実装学会次世代配線板研究会主査、他。よこはま高度実装コンソーシアム理事、NPO法人サーキットネットワーク監事
著書:「多層プリント配線板製造技術」1993年、「ビルトアップ多層プリント配線板技術」2000年、「よくわかるプリント配線板のできるまで」(3版)2011年共著として、「プリント板と実装技術・キーテーマ&キーワードのすべて」2005年、「入門プリント基板の回路設計ノート」2009年、「プリント回路技術用語辞典」(3版)2010年

目次

まえがき

第1章 プリント基板の市場価格
1.1 安い基板がある理由
1.2 プリント基板の世間相場

第2章 プリント基板の呼び方(用語の定義)

第3章 プリント基板が使われている電子機器
3.1 プリント基板の分類
3.2 生産物量と品種数
3.3 製品寿命とトータル生産台数
3.4 プリント基板の壊れる原因―1(材料系に起因する破壊)
3.5 プリント基板の壊れる原因―2(人・製造プロセス系に起因する破壊)
3.6 プリント基板の寿命、適用製品分野によるカテゴリ分類

第4章 今日主流なプリント基板の製造工法(カテゴリCからG)
4.1 プリント基板の歴史(黎明期)
4.2 プリント基板の製造工法
4.3 サブトラクティブ法の外層パターン形成法
4.4 サブトラクティブ法の歴史
4.4.1 パターン形成手段
4.4.2 エッチング時のスルーホールめっき保護手段
4.4.3 パターン部形成のエッチングレジスト
4.5 サブトラクティブ法のまとめ
4.6 生産規模の違いのイメージ

第5章 プリント基板メーカの外注対応と環境
5.1 外注工程
5.2 作業者のスキル
5.3 製造装置と職場環境

第6章 見積りとプリント基板の発注ルート
6.1 プリント基板の設計から部品実装までの流れ
6.2 誰がどこへプリント基板を発注するのか?
6.2.1 ケースA[試作、少量品]
6.2.2 ケースB[少量~中規模生産]
6.2.3 ケースC-1[中規模生産]
6.2.4 ケースC-2[中~大規模生産]
6.2.5 ケースD[大規模生産]

第7章 見積書の記載事例と読み方
7.1 見積書記載項目の着眼点
7.2 見積書の記載事例
7.2.1 ケースA[試作、少量品]
7.2.2 ケースB[少量~中規模生産]
7.2.3 ケースC-1[中規模生産]
7.2.4 ケースC-2[中~大規模生産]
7.2.5 ケースD[大規模生産]
7.3 価格の妥当性を確認するための着眼点

第8章 見積書からは読み取れない項目、確認が必要な内容
8.1 プリント基板メーカのサービス体制、管理運営環境
8.1.1 営業マンのスキル 57
8.1.2 受注の入り口でのプリント基板メーカのサービス
8.1.3 技術部門、品質保証部門の人員数
8.2 基板の品質保証体制
8.2.1 トレーサビリティ(品質追従性)
8.2.2 出荷品質データ
8.2.3 外観品質
8.2.4 長期信頼性
8.2.5 不良品交換対応
8.2.6 基板メーカへの立ち入り検査
8.3 梱包・荷姿

第9章基板単価とイニシャルコスト
9.1 プリント基板の単価
9.1.1 平米単価
9.1.2 シート単価
9.1.3 ピース単価
9.2 イニシャルコスト
9.2. 1CAM編集費用
9.2.2 マスクフィルム作画費用
9.2.3 フィルム代
9.2.4 製版代
9.2.5 自動外観検査費用
9.2.6 電気検査治具
9.2.7 フライングプローブチェッカプログラム編集費
9.2.8 金型代

第10章 見積りに必要な要求基板仕様
10.1 基本仕様
10.1.1 発注物量(枚数)
10.1.2 外形寸法
10.1.3 板厚
10.1.4 基材グレード
10.1.5 層数及び層構成
10.1.6 銅箔厚
10.1.7 最小穴径(d)、最小ランド径(D)
10.1.8 最小導体幅(W)、最小導体間隙(S)
10.1.9 ソルダレジスト(SR)
10.1.10 シルク文字
10.1.11 外形加工
10.1.12 表面処理
10.2 オプション仕様
10.2.1 表面処理
10.2.2 ソルダレジスト(SR)
10.2.3 シルク文字
10.2.4 断線・ショート検査
10.2.5 断線補修
10.2.6 バッドマーク対応
10.2.7 特殊な穴の構造
10.2.8 特性インピーダンスコントロール
10.2.9 端面スルーホール 1
10.2.10 長穴
10.2.11 Vカット/ジャンピングVカット
10.2.12 ULマーク
10.3 個別購入仕様書

第11章 プリント基板のコストテーブル
11.1 量産基板・超量産基板のコストテーブル
11.2 少量・多品種基板のコストテーブル

第12章 プリント基板のコスト分解
12.1 コストの構成グラフ
12.2 コストを構成する各要素の説明
12.2.1 加工費
12.2.2 原材料費(主材料費)
12.2.3 販売費及び一般管理費
12.2.4 営業利益
12.2.5 輸入基板の取り扱い経費
12.2.6 試作・特急品コスト

第13章 プリント基板の単価設定の仕組み(単価計算式)
13.1 単価設定の仕組み作りの大原則
13.2 目標原価(売上)と実際原価との比較
13.3 単価設定表の仕組み作りの流れ
13.4 単価設定表の完成
13.5 営業部門の裁量とセットメーカ側の注意

第14章 プリント基板メーカ選定技術マップ
14.1 プリント基板メーカ選定技術マップの必要性
14.2 プリント基板メーカ選定技術マップの考え方と事例
14.3 機器メーカでのプリント基板メーカ選定技術マップ(事例)の使い方

第15章 国別プリント基板のコスト比較
15.1 プリント基板が製造されている国と地域
15.2 プリント基板があまり製造されていない国と地域がある理由
15.3 国別労働賃金
15.4 国別プリント基板の価格シミュレーション

第16章 外形寸法(板取り)に関するコストへの影響
16.1 ワークサイズとは
16.2 板取りの考え方
16.3 メカニカルスタンダード(通称、メカスタ)
16.4 平米単価、ワークサイズ及び製品単価の計算方法
16.5 標準基板寸法設計マニュアル

第17章 基材コストと性能特性
17.1 基材コストの概説及び価格比較
17.2 基材の構造
17.3 ガラス布エポキシ基材の種類が多くある理由
17.3.1 スルーホールの接続信頼性
17.3.2 絶縁信頼性
17.3.3 電気特性
17.3.4 部品実装特性
17.4 プリプレグのコスト構成要素と課題
17.4.1 銅張積層板(CCL)メーカの内部事情
17.4.2 ガラスクロスの型番
17.4.3 ガラスクロスに起因する品質不具合
17.5 樹脂(ワニス)
17.6 銅箔
17.7 基材の選び方

第18章 コストに影響する基板の設計条件
18.1 基板仕様の決定手順
18.1.1 外形寸法
18.1.2 機能特性
18.2 使用環境と設計寿命
18.3 実装方法あるいは実装構造からの制約

第19章 基板設計基準についてのコスト低減ノウハウ
19.1 外形加工
19.2 機械部品取り付け穴とスルーホールとの寸法精度
19.3 基材の繊維方向
19.4 層構成
19.5 最小導体幅、最小導体間隙
19.6 大電流、放熱基板(銅箔の厚さ)
19.7 最少穴径(アニュアリング)
19.8 ソルダレジストの逆ランド(開口部と接続ランドとの間隔)
19.9 表面処理金めっきはんだレベラOSP関連

第20章 基板製造プロセスでのコスト解説
20.1 テンティング法とはんだ剥離法
20.2 多層積層工程の量産規模
20.3 パネルめっき工程のめっき設備
20.4 ソルダレジスト工程とSR乾燥ライン
20.5 製造ラインの限定とコスト

第21章 環境対応と基板コスト
21.1 環境関連情報
21.1.1 EuP指令
21.1.2 RoHS指令
21.1.3 WEEE指令
21.1.4 REACH規制
21.2 リサイクル関連

第22章 購入仕様書と基板コスト
22.1 適用規格類
22.2 外観品質と長期信頼性

あとがき
索引

はじめに

 「何らかの電子機器の装置を作っている会社の原価検討会議。そして、プロジェクタに映し出されている製品の原価構成を表示している棒グラフ。」
 この本を手に取っていただいた皆様の多くが遭遇している場面だと思います。その原価構成を表示しているグラフの中で最も目立つのが半導体素子に次いでプリント基板です。
 毎期、製品の原価低減の推進を検討する中で、雑巾を絞るようにあと一滴のしずくも出ないまで原価低減の努力をしているにも拘わらず、依然として原価構成グラフのなかで多くの面積を占めているのがプリント基板です。製品原価をコントロールしている設計部門、プリント基板自体を発注する調達部門の皆様にとって憂慮すべき課題です。
 いったい、プリント基板の価格はどのようにして決められているのでしょうか?

 この本はこのような疑問にお答えするために、プリント基板を発注する電子機器メーカの設計、生産技術、品質保証、および調達部門の方を対象としています。すでに、プリント基板の作り方は他の書籍やセミナなどで学び、実務経験をされた方にとっての多くの疑問をお持ちの方にお答えできるものと思います。
 プリント基板が本格的に実用化されて半世紀以上たち、その間にプリント基板の構造、工法、副資材、生産設備等についての解説は数多くの専門書、雑誌、学会やセミナで紹介されています。しかし、「コスト」を切り口にした解説書は見当たりませんが、プリント基板産業に関係する多くの方にとって関心のある分野であると思います。したがって、本書は電子機器セットメーカの方のみならず、関連する業種の方にも参考になると考えます。

 著者がこの本をまとめた動機は、プリント基板に携わって35年、後半の12年間に多くの企業のコンサルティング、ビジネスプロデュースを行なった経験から、「コスト」は常に最優先課題で、デリケートな内容を持つもので、皆様が深く知りたいと思われていることと考えたからです。コスト低減を徹底的に追求するには、プリント基板の設計を完了してから基板メーカに見積り依頼するのはすでに手遅れであり、design-inの段階から本書で解説する内容を理解していただくのが効果的と考えます。加えて、コストを考える際、要求する性能・信頼性、ビジネス環境を満足するプリント基板を調達するにはどうすれば良いかを考えた上で本書を作成しました。

 本書ではプリント基板のコストがいかに決定されるかその根拠を示しました。第12章、第13章ではコストを分解した解説を行っています。この内容は電子機器メーカの方にとって有効である一方、プリント基板メーカにその情報の提出を強制されると困窮する事態になります。この点、プリント基板の発注者の方は、本書の内容をあくまでもエンジニアリング的な視点で活用して頂きたいと希望します。
 さて、プリント基板のコスト構造を考える上で、基材費(銅張積層板)が約20~30%程度を占めるため量産機種になるほど基材の選び方が重要です。第17章で基材のサプライチェーンの事情を説明しておりますが、特に海外製の基材を採用する場合は品質のばらつきに注意することが重要であることを示しました。
 同一メーカの同一品番でも原材料を他社より購買しているためにプリント基板の形になった段階で品質が大きくばらつくことがあります。したがって、一度だけの認定試験に合格してもそれだけで電子機器の要求信頼性を満足すると思うことは危険なことについても示しました。

 本書を執筆した動機のもう一つは、コストを考えるためには品質・信頼性についての実体験・経験が必要です。この点は著者の35年間の経験に基づく実感です。著者は電子機器に使用される市場規模が最も大きい片面板、両面板と4~8層までの多層基板工場の指導を数多く行ないましたのでこの経験を伝えることで、この分野の皆様のお役に立てると考えました。そのためビルドアップ基板については触れないことにしました。
 35年前、著者は電子機器メーカに入社し、高信頼性を要求される機器についての「知」を継承しました。当初、プリント基板は社外調達でしたが、途中から内作工場を構築してプリント基板の製造と品質保証に従事しました。同時に1986年から海外調達についても推進しました。その後コンサルタントとして、現在までに国内外の小規模な基板メーカから海外のギガサイズの基板メーカまで、万遍なく200社以上を訪問した経験から、本書の内容を皆様にお伝えしても良いと考えました。

 しかし、プリント基板産業は広く・深く、著者の経験でも至らないところも多々あると思いますので、読者の皆様方のご意見を賜れば幸いです。あとがきに皆様からのご意見や相談をお受けするURLを載せさせていただきました。今後、定期的に情報発信を考えておりますので、ご興味がある方はこのURLにご登録をお願い致したいと考えております。

2015年6月 
斉藤 和正

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