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実際の設計選書
設計者に必要なお金の基礎知識
付加価値創造の考え方と手段

定価(税込)  2,376円

著者
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サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07415-8
コード C3053
発行月 2015年05月
ジャンル 機械

内容

製造業においては、儲かる仕組みを“設計”できていなければ絶対に儲からないという傾向が強まっている。本書は、製品のライフサイクル全体を通じて最適化の唯一のよりどころである「お金」をテーマに、設計者が自社のモノづくりの改善をする際に必要な基礎知識を解説する。技術で勝って商売に負ける、を返上するための本。

畑村洋太郎  著者プロフィール

(はたむら ようたろう)
1964年東京大学工学部機械工学科卒業,1966年修士課程修了
(株)日立製作所勤務,東京大学工学部産業機械工学科教授の後,現在工学院
大学教授,東京大学名誉教授,工学博士,(株)畑村創造工学研究所代表.
設計・生産学,生産加工学,ナノ・マイクロ加工,医学支援工学,失敗学,
危険学,創造学の研究に従事

草間俊介  著者プロフィール

(くさま しゅんすけ)
1972年東京大学工学部機械工学科卒業 1972年阪和興業(株)入社
1991年独立 エス・アイ・イー(有)取締役就任,(株)ICD代表取締役就
2000年東洋大学大学院公法学研究科卒業
2001年草間俊介税理士事務所開業
現在に至る

谷本和久  著者プロフィール

(たにもと かずひさ)
1991年東京大学工学部産業機械工学科卒業,1993年修士課程終了
大手石油会社,外資系コンサルティング会社,(株)インクスを経て日本ア
イ・ビー・エム(株)に入社.通信業,自動車業,航空業,石油化学業,重工
業などのお客様に対して,事業戦略構築,業務改革,工程短縮,ERPシス
テム導入など幅広いコンサルティングを経験

猪狩栄次朗  著者プロフィール

(いがり えいじろう)
1998年東京大学経済学部卒業,2005年博士課程単位取得退学
東京大学ものづくり経営研究センター特任研究員,駿河台大学非常勤講師,
ベンチャー投資会社を経て,ADMIEXCOエンジン設計(株)に入社.

目次

はじめに

第1章 設計者を取り巻く環境と「お金」と価値について知っておくべき見方
1.1 本書の狙い―技術でも商売でも勝つために
1.2 価値からの視点―顧客にとっての価値とは
1.3 ものと「お金」の流れからの視点―企業の中の「お金」の流れ
1.4 財務諸表からの視点―銀行は何を見て「お金」を貸すのか
1.5 事業計画からの視点―投資家は何を見て投資判断するのか

第2章 価値からの視点―価値の実現がビジネスである
2.1 思考展開図による価値の構造化
2.2 付加価値の分解の例―電気冷蔵庫の場合
2.3 付加価値を上げる例―不便益の解消
2.4 顧客の判断基準―B to C製品で顧客は何を見ているか
2.4.1 顧客の困っていることへのアプローチ
2.4.2 新興国で顧客が求めていることへのアプローチ
2.5 顧客の判断基準―B to B製品で顧客は何を見ているか

第3章 ものと「お金」の流れからの視点
3.1 付加価値,原価とは何か
3.1.1 付加価値の定義とGDPの関係
3.1.2 原価と付加価値の関係
3.1.3 原価と変動費・固定費・限界利益の関係
3.1.4 スマイルカーブと付加価値―組立工程は本当に付加価値が低い工程なのか
3.1.5 日本の製造業の陥りやすい罠
3.2 個人事業主としてものを作って商売をするとき
3.2.1 部品加工の取引の場合を考える
3.2.2 原価企画を考える
3.3 会社の仕事として製品を企画し設計してものを作って商売するとき
3.3.1 携帯電話の金型の概要
3.3.2 携帯電話の金型の設計・製造会社の業務
3.3.3 金型の設計・製造会社の伝票の流れ
3.3.4 金型の設計・製造会社の原価の内訳
3.3.5 付加価値を上げる
3.3.6 設計における標準化の考え方
3.4 事業・会社を運営するとき
3.4.1 製品を取り巻く環境を理解する
3.4.2 付加価値の振り分けを考える
3.4.3 製品を売ってから起こることに備える

第4章 設計者に必要な財務諸表と経営の基礎知識
4.1 企業活動を「見える化」する財務諸表
4.1.1 企業の目標
4.1.2 付加価値とは何か
4.1.3 財務諸表とは何か
4.2 損益計算書の機能と構造
4.2.1 初めに売上ありき
4.2.2 売上総利益
4.2.3 営業利益
4.2.4 経常利益
4.2.5 税引前利益
4.2.6 当期純利益
4.3 貸借対照表の機能と構造
4.3.1 資産とは何か
4.3.2 負債とは何か
4.3.3 純資産とは何か
4.3.4 資金を理解する
4.3.5 資金を捉える
4.4 キャッシュフロー計算書の機能と構造
4.5 財務諸表と会計の基盤
4.5.1 企業会計原則
4.6 財務諸表の分析
4.6.1 財務諸表分析の目的
4.6.2 見える化の指標―1人当たりに換算する
4.6.3 会社を捉える
4.7 財務諸表から見る経営の姿
4.7.1 実際の企業経営に学ぶ
4.7.2 ROE経営
4.7.3 純資産および内部留保を理解する
4.7.4 キャッシュフロー経営
4.7.5 ダム式経営
4.8 経営に必要な知識
4.8.1 小切手と手形
4.8.2 銀行融資を受ける
4.8.3 与信について
4.9 まとめ

第5章 ベンチャー立ち上げからの視点
5.1 ベンチャービジネスの立ち上げ―バイオマスの事業化の例
5.1.1 バイオマスを取り巻く環境と事業化の背景
5.1.2 バイオマスの事業化の課題と解決策
5.1.3 バイオマスの事業化にまつわるお金
5.1.4 顧客から見たバイオマス
5.1.5 バイオマス発電事業の資金計画
5.2 ベンチャービジネスの経営―携帯電話金型製造の例
5.2.1 民事再生に至る経緯
5.2.2 プロセステクノロジー
5.2.3 K2工場におけるビジネスモデル
5.2.4 長野零工場におけるビジネスモデル
5.2.4 投資判断の難しさ

付録
おわりに
索引

よもやま話
素材型製造業と加工組立型製造業の違い
複利は怖い(その1) 70の法則
時代遅れの国際財務報告基準(IFRS)
複利は怖い(その2) ローンを組むと返済の初めは利息分ばかり
簿記と会計処理を学ぶ(その1) 簿記(Book Keeping)の基本
簿記と会計処理を学ぶ(その2) 仕訳をする
欧米主導のBIS規制
有価証券報告書を読もう
簿記と会計処理を学ぶ(その3) 実際の会計処理
「お金」とメートル
因数分解と標準化
人の行く裏に道あり花の山

蛇 足
機械の直接原価
売値は市場が決める
減価償却はわかりにくい
不動産の値段
心配な中国のバブル崩壊
自動車は動くのに固定資産?
手形が切れなければ何が起こるか?
キャッシュフローのプラスとマイナス
区切りは3桁か4桁か
ベトナムの約束手形事情
小切手・手形がなくなるのは2年後?
銀行の与信能力

はじめに

本書は設計者,もう少し広くいえば技術や生産に関わる人間が持っておくべき「お金」の基礎知識や考え方を取り扱ったものである.
 生産活動に携わると日々求められることばかりに関心が集中してしまい,自分の関わっている活動の全体像がどんなもので,自分はそれにどう関わっているのかというマクロとミクロの見方をしなくなってしまう.そしてこのマクロとミクロを形づくり,それらを有機的に動かす唯一の要素である「お金」について考えなくなってしまう.
 その結果,会社の設計部門で懸命に働き,高品質なものを世の中に提供しているつもりなのに,なぜかわからないが急に製品が売れなくなり,今までとは全く違った製品の設計が求められたり,極端な場合設計部門そのものが消滅し,自らの身の振り方を考えなければならない羽目に陥ったりする.そしてそのときになって自分が生産活動の全体像とその中での自分の活動の位置づけの把握ができていなかったことに気づいて地団駄を踏む.
 本書はそのようなことが起こらないように,あるいはまた,そのようなことが起こっても最善の対応ができるように,今設計部門で仕事を0していたり,これから設計部門で働こうと思っている人達に,生産活動の根幹をなす「お金」についての基礎知識を提供するものである.
 本書の4人の著者は著者の1人である畑村が共宰しているHY研究会に参加している者達で,生産と「お金」に関心を持ちながら実際にコンサルタント・税理士・大学講師として活動している.実際の設計研究会が新たに基礎知識シリーズとして機械設計に必要となる基礎知識の見直しをしたところ,生産に最も深く関わっている「お金」について持っていなければならない知識の本が欠落していることに気づき,実際の設計研究会からの依頼に応じて本書を上梓したものである.
 設計・生産・企画・研究・開発など技術に関わる仕事に携わる人達が,生産に不可欠な「お金」についての基礎知識を十分に獲得され縦横に活躍されることを期待する.
2015年5月
著者を代表して 畑村洋太郎

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