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おもしろサイエンス
地層の科学

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07397-7
コード C3034
発行月 2015年03月
ジャンル ビジネス 環境

内容

「地層」というと、その姿はイメージできるものの、その意味やそこから読み取れる真実、その重要性は理解できない。そこで本書では、地層を体系化し、その来歴、自然災害、活断層、石油などの資源の話、そしてそれを構成する石や砂などを科学の視点でおもしろく解説。

西川有司  著者プロフィール

(にしかわ ゆうじ)
 1975年早稲田大学大学院資源工学修士課程修了。三井金属鉱業(株)に入社。1996年より三井金属資源開発(株)。その後2008~2012年から日本メタル経済研究所主任研究員。資源探査・開発・評価などに従事。
 現在JP RESOURCES(株)社長および米国USRareEarths Inc.顧問やEBRD(欧州復興開発銀行)EGP顧問、国際資源大学校講師、英国マイニングジャーナル特派員。資源探査、開発、堆積構造、堆積学が専門。
 著書は、トコトンやさしいレアアースの本(2012)日刊工業新聞社、資源循環革命(2013)ビーケーシー、資源は誰のものか(2014)朝陽会、おもしろサイエンス地下資源の科学(2014)日刊工業新聞社ほか、地質、資源関係論文・記事多数国内、海外で出版

目次

第1章 地層ってなんだろう?
1 砂、泥、土が層になれば地層なのだ
2 地層をつくる泥、砂、土、石にはどんな違いがあるのだろう?
3 いったい地層ってなんだろう?―空間的、時間的に地層の意味は広い
4 風化・削剥ってなんだろう?―どこで地層になるのか
5 水の働きと地層ができる仕組みの関係は密接だ
6 風の働きでも地層はできる!?
7 地層が固くなるのはどうしてだろう?

第2章 地層の種類と、それができるまで
8 地層の種類を分ける。地層の単位とは?
9 堆積地層、火山地層、生物源地層の形成の方法は?
10  化石の形成と地層にはどんな関係があるのだろう?
11  〝続成作用〟とは何か、地層の固結に必要なこと
12  地層には様々な〝時の構造〟が残っている
13  世界最古、日本最古の地層はどんな地層
14  チャートから浮き出る放散虫化石

第3章 地層から何がわかるのか?
15  地層には様々なことが記録されている
16  地層には地球の歴史を知る手がかりがある
17  堆積した時の環境を知る―水流の痕跡も手掛かりに
18  地層の法則―地層累重の法則と不連続(不整合)とは
19  構造運動が地層に刻まれ、活断層も地層に表れる
20  火山活動や環境変化が地層に表れる
21  地質図はどのようにつくられるのか
22  地質図の見方―何が読み取れるのか、なぜ地質図が必要か
23  地質図は土木、災害防止、資源探査の水先案内人だ

第4章 生きている地層
24  常に地層はつくられている!?
25  常に地層は動いている
26  海底にも地層が累積する
27  プレートテクトニクスと地層の関係
28  大陸と大洋と地層の関係とは?
29  地震と地層との関係
30  構造運動、活断層と地形及び地層との関係
31  地層は削剥、運搬、堆積を繰り返す

第5章 自然災害と地層の関係とは?
32  地震と地すべりと地層は密接に関係している―地層災害の原因となる
33  津波と地層はどんな関係があるのか?
34  火山の噴火で地層ができる―地層災害を誘発する
35  温暖化の影響で地層も変わる?―海進、海退はどうして起こるのか
36  森林破壊と土壌と地層の関係
37  放射能防護への原子力廃棄物の地層処分
38  ダムが土砂の堆積の場になれば災害の原因になる

第6章 地層と地下資源
39  地層と資源利用は関係あるのか?
40  どんな地層が資源になるのか?
41  いろいろな化石燃料が眠っている地層とは?
42  生物がつくる地層資源
43  金属や宝石も堆積し、地層をつくる
44  地層と水脈と自然貯水池
45  塩湖と地層と電気自動車
46  岩塩と石油と地層は関係している!?

第7章 地層と私たちの生活
47  東京の地層から温泉がでる!?
48  扇状地や関東ローム層は生活の土台
49  自然災害の防止は可能なのか?
50  文明の発生と地層の驚くべき関係
51  地層が地形をつくり、観光資源にもなる
   
column
海底火山と地層
ジオパークは日本各地に広がっています
英国で生まれた地質図
モンゴル恐竜博物館―ゴビ砂漠は恐竜の楽園だった
活断層における工学と科学の融合
塩、貴重品の時代から大量生産の時代へ
世界遺産と地層

はじめに

 〝地層〟というと、どんなものをイメージするでしょうか? 一般的には砂利などの採石場にある、地面が垂直に削られた崖の表面に見える色や材質が違った幾層もの重なりでしょうか。ご存じようにこの地層は、海底や湖底などで石や砂や泥が幾百~数千万年をかけて積み重なり、つくられたものです。ではどうやってできたのでしょう。
 大地は地層と岩体から構成されています。あまりにも身近にあるため、私たちは大地のことをめったに考えませんが、どこにでもあり、いつでも見ることができます。まるで空気のような存在で、毎日の生活で気に留めることもありません。しかし、地層と岩体が山をつくり、地層が生活の場をつくっています。石とか砂、泥は地層の原料で、気温の変化や雨や風で岩が脆くなり、削られ、細かく砕かれ、水や風で運搬されて、海底などに貯まり地層をつくり、累積し、その厚さは1万メートル以上にも達するほどで、やがて造山運動で地表に地層が上昇して露出します。
 一方、大洋の海底でもプレートがマントルから湧きだし、火山が噴火し、地層をつくり、プレートに載り、海溝に向かって数千キロを移動しながら地層は積み重なります。さらに、海溝でプレートは沈み込み、その一部が剥され大陸の縁にくっつき、一部はマグマになります。すでに形成されていた地層は押し上げられ火山活動が起こり、山をつくり、それが再び風化、削剥され、運搬されて地層の原料になります。海溝に沈み込んでいったプレートの一部はマントルとなり再び地球内部を対流し、大洋底で湧きだします。このような繰り返しで、地層は形成、消滅し、再生します。「循環」です。この「地層循環」がプレートテクトニクスによってなされ、大陸も山も海底も常に変化しながら「地層循環」のなかで動いています。しかし、1億年に1回の循環(サイクル)というスピードなので、1年に1センチメートルというようなオーダーで、人類にはその動きは感じられません。
 しかし、このような循環のなかで地層は動き、また私たちの生活を支える石油や鉄資源をつくってきました。私たちが見ている地層は数千年、数万年、数百万年前……という様々な時代に形成されたもので、地層には地球の動きと歴史が刻まれています。地球史の中では瞬間ともいえる人類の営みも記録されています。しかし、まだまだ地球についてはわからないことだらけです。
 地層に関する本は、少なくありません。地層の基本に関する本や、層序学、堆積学や堆積構造学という専門的な内容の本も出版されています。しかし、地層を体系的に概括するような本はありません。本書は地層とは何か、どこにどのようにつくられるのか、地球の活動とどのように関係するのか、など基礎的な内容をはじめとし、マグマとの関係、火山噴火、地下資源、自然災害などとの関係と地層との結びつきを網羅し、大地の中の地層の位置付けやプレートテクトニクスにおける地層の動きに言及し、多面的、大局的な視点をもって〝生きている地層〟を描きました。
 46億年という気の遠くなるような地球の歴史の中で、地球の動きとともに地層がつくられ、消え、再生されるという循環のシステムを通して大地がうまれ、私たちの生活の土台となっています。
 本書を通して、身近に地層を感じ、関心をもっていただければ筆者の望外の喜びです。
 日刊工業新聞社藤井浩氏には執筆の機会と執筆編集のご指導をいただき、深く感謝を申し上げます。

2015年3月
西川有司

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