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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいプラスチック材料の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07395-3
コード C3034
発行月 2015年03月
ジャンル ビジネス 化学

内容

わたしたちの生活に欠かせないプラスチックには、さまざまな種類がある。本書はそのプラスチック材料について用途や特性などをわかりやすく解説したプラスチック材料の入門書。プラスチックを理解する恰好の足掛かりとなる内容となっている。

髙野菊雄  著者プロフィール

(たかの きくお)


技術士(化学部門)、中小企業診断士

1949年、大日本セルロイド㈱〔㈱ダイセル〕入社

網干工場、中央研究所、プラスチックサービスセンターなどに勤務

1970年、ポリプラスチックス㈱に移籍。取締役テクニカルサービスセンター所長を経て、90年に退社

1991年、髙野技術士事務所を設立し、現在に至る



主な著書

プラスチック成形技術の要点—「不良ゼロ」のものづくり技術の構築 丸善出版(2011)

トラブルを防ぐプラスチック材料の選び方・使い方 丸善出版(2011)

金型技術者・成形技術者のためのプラスチック材料入門 日刊工業新聞社(2010)

実践的射出成形技術の基本と応用—成形不良ゼロ達成への最短距離 三光出版(2005)

現場の即戦力これでわかるプラスチック成形技術 技術評論社(2011)

わかりやすい実践射出成形(現場のプラスチック成形加工シリーズ)工業調査会(1995)

ポリアセタール樹脂ハンドブック 日刊工業新聞社(1992)

図解プラスチック用語辞典第2版 共著(日刊工業新聞社1994) ほか

目次

第1章 プラスチック材料の基礎


1 プラスチック材料とは 「プラスチックと樹脂の定義」
2 材料変遷の歴史 「天然素材から合成樹脂への進化」
3 合成樹脂の種類と分類 「似たもの同士での群分け」
4 結晶性合成樹脂と非結晶性合成樹脂 「性質に影響を与える結晶構造」
5 合成樹脂の見分け方 「法規による表示と分析鑑定技術」
6 合成樹脂の基本的性質を決める化学構造 「モノマーの化学構造と合成樹脂の性質」
7 合成樹脂の性質を決める高分子構造 「性質に関与する高分子鎖のつながり方」
8 合成樹脂の性質向上のための添加剤 「性質向上を助けるさまざまな改質剤」
9 繊維強化材による複合化 「繊維状強化材による改質の表と裏」
10 ポリマーアロイ化による改質 「アロイ化に寄与する相溶化技術」

第2章 加熱と冷却で流動・固化を繰りかえす熱可塑性プラスチック
11 ポリエチレン(PE) 「生産量の最も多い樹脂」
12 ポリプロピレン(PP) 「自動車部品に不可欠な存在」
13 ポリスチレン(PS) 「容器包装材としての需要が多い樹脂」
14 ABS樹脂 「高性能グレードによる需要拡大」
15 塩化ビニル樹脂(PVC) 「耐候性と電気絶縁性が主役の用途拡大」
16 ポリメタクリル酸メチル(PMMA) 「耐候性と透明性が需要を支える主役」
17 ポリエチレンテレフタレート(PET) 「非繊維での主用途はボトルとフィルム」
18 ポリアミド(PA) 「高性能グレードの多様化が進む」
19 ポリカーボネート(PC) 「耐候性と透明性およびアロイ化による需要拡大」
20 ポリアセタール(POM) 「金属代替可能なエンプラの第1号」
21 ポリブチレンテレフタレート(PBT) 「自動車電装化に寄与するエンプラ」
22 変性ポリフェニレンエーテル 「アロイグレードで活路を開く」
23 ポリフェニレンスルフィド(PPS) 「架橋グレードと直鎖グレード」
24 液晶ポリマー(LCP) 「コネクタの多様化を支えるエンプラ」
25 ポリアリレート(PAR) 「アロイによるグレードの多様化」
26 ポリサルホン(PSU) 「医療や食品産業に有用な樹脂」
27 ポリエーテルサルホン(PES) 「PSUより耐熱性のよい樹脂」
28 ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) 「性質の信頼性が高いプラスチック」
29 熱可塑性ポリイミド 「共重合による成形性改良グレード」

第3章  一度硬化すると二度と溶融しない熱硬化性プラスチック
30 フェノール樹脂(PF) 「化学的につくられた第1号の合成樹脂」
31 アミノ樹脂 「接着剤用途の多い樹脂」
32 不飽和ポリエステル(UP) 「FRPに不可欠な樹脂」
33 ジアリルフタレート樹脂(PDAP) 「耐熱性と電気絶縁性のよい電気絶縁材料」
34 エポキシ樹脂(EP) 「半導体封止と接着剤に有用な樹脂」
35 シリコーン樹脂(SI) 「ゴム ・ オイル・樹脂と多彩な用途のある樹脂」
36 ポリウレタン(PU) 「発泡体・エラストマー・塗料と多彩な用途のある樹脂」

第4章 汎用プラ・エンプラには入らない有用なプラスチック
37 フッ素樹脂 「 共重合による熱溶融成形可能なグレードの多様化」
38 熱可塑性エラストマー 「ゴムのような性質を持つ熱溶融成形が可能な樹脂」
39 生分解性プラスチック 「微生物が関与して分解するバイオプラスチック」
40 ポリメチルペンテン(PMP) 「結晶性で透明な樹脂」
41 繊維素系プラスチック 「セルロースを原料とする植物由来のプラスチック」

第5章 プラスチックの成形加工法
42 射出成形 「最も重要な熱溶融による成形法」
43 押出成形 「ダイ形状によりさまざまな長尺成形品を成形加工」
44 ブロー成形 「ボトル形状を成形する主役」
45 真空成形および圧空成形 「生活を豊かにするシートの熱加工成形」
46 プラスチックの2次加工(組立) 「各種の熱溶融接合や接着剤接合と多彩」
47 プラスチックの2次加工(表面加飾) 「印刷や光輝処理による付加価値増大」

第6章 生活を豊かにするプラスチック
48 自動車外装品 「軽量化に寄与するプラスチック」
49 自動車エンジンルーム 「軽量化と耐熱性 ・ 耐薬品性も重視のプラスチック」
50 自動車運転席 「VOCが考慮される樹脂 ・ グレード」
51 大形家電 「軽量化に不可欠なプラスチック」
52 小形家電 「家事の効率化を支えるプラスチック」
53 事務機器 「プラスチックによる多機能化と軽量化の進歩」
54 情報 ・ 通信機器 「記録媒体の変遷と多機能化 ・ 小形化」
55 光学機器 ・ レンズ 「小形軽量化と高性能化に寄与するプラスチック」
56 住宅 ・ 建築 「住宅に不可欠のPVCをはじめとするプラスチック」
57 容器 ・ 包装 「バリア性が考慮される包装材の選択」
58 スポーツ ・ レジャー 「カーボン繊維強化材および耐衝撃材の有用性」
59 文房具 ・ 玩具 「セルロイドの今昔を象徴する用途分野」
60 医療 「ディスポーザブル化を支えるプラスチック」
61 航空機 「カーボン繊維強化材が軽量化と信頼性を支える」
62 舟艇 ・ 船舶 「ガラス繊維強化FRPの有用性」

第7章 プラスチックの環境・安全問題
63 環境問題 「地球規模で対策すべき問題」
64 大気汚染と水質汚濁その1 「大気汚染対策の軌跡と国境を越えての共有化」
65 大気汚染と水質汚濁その2 「水質汚濁は工場排水と家庭排水が原因」
66 安全性の問題 「モノマーおよび樹脂添加剤の法規制」
67 リサイクル 「廃棄物減量化と資源重視のリサイクルの推進」

【コラム】
●樹脂の素性をどこまで理解すればよいのか
●耐久消費財用のプラスチック
●熱硬化性樹脂生産量の伸び悩み
●正確な知識の習得
●高付加価値とコストダウンのための複合成形
●日常生活の中のプラスチック
●地球規模での対策が必要な環境・安全性問題

参考文献
索引

はじめに

 プラスチックと樹脂が同じ意味の言葉として使われることがありますが、JISの定義によると、プラスチックは高分子物質で成形加工された成形品のことであり、樹脂はその原料です。

 プラスチックの起源は、綿花からとれるリンターや木材からつくられるパルプなどの天然の繊維素と硝酸によってつくられる硝酸繊維素(ニトロセルロース)と可塑剤としての樟脳とを捏和・圧延してつくられるセルロイドであり、人工的合成樹脂としては、フェノールから松脂に似た外観をしているフェノール樹脂がつくられたのが始まりです。2007年はフェノール樹脂が発明されてから100年という記念すべき年であり、汎用プラスチックのメタクリル樹脂・ポリスチレン・塩化ビニル樹脂が日本で工業化されてから70数年、汎用エンジニアリングプラスチックのポリアセタールコポリマーが国産化されてから40数年が経過していますが、師と仰ぐ金属材料と比較するとその歴史は極めて短いものです。化学の進歩やマーケットニーズに対応するための努力によって、多様な特性を有するさまざまな樹脂が開発され、従来の金属や木材でつくられていた部品や製品がプラスチック化されて日常生活がより豊かになり、もはやプラスチックなしでは日用雑貨品から工業用部品に至るまでつくれないような必要不可欠の材料として進化を遂げてきました。しかしその反面、廃棄物の増大・廃棄物処理の問題・公害の発生などにも大きく関わっていることを理解し、後世にこれらの負の遺産を残さない技術開発や関わり方に努めなければなりません。

 成形品の品質は、①要求性能を満足する樹脂・グレードの選定、②材料力学的および成形加工を考慮した成形品形状設計、③金型設計、④射出成形・押出成形のような一次成形技術、⑤二次加工技術、⑥評価技術の総合力によって決まるものですから、安定した高品質・高信頼性のモノづくりのためには、企画段階からこれらが駆使される総合力の発揮が必須となります。

 要求性能を満足する100点満点の樹脂・グレードはないと考えなければなりません。長所の裏には短所があるのが通例です。例えば、プラスチックは電気絶縁性に優れていますが、この反面静電気が発生しやすく、静電気に基づく不都合が発生することがあります。このような場合には導電性のグレードを選定しなければならないことになりますし、熱絶縁性のよいプラスチックは調理器具のハンドルなどに有用な材料ですが熱伝導率が小さいことによって、小さい電気機器では内部発熱による内部温度の上昇が問題になり、熱伝導のよいグレードの選定や通風のよい形状設計が必要となることがあります。樹脂・グレードの長所・短所を理解し、短所を回避して製品寿命が満足できるかどうかの判断によって、数多くある樹脂・グレードの中から最適と考えられる材料の選定をしなければならないことになります。特に製品寿命の長いものでは長期耐久性の予測技術が重要になりますので、それらに関わるデータによる推測やこれまでの実績が重視されなければなりません。例えば、自動車の設計寿命は10年ですし、ポリエチレン製の上水道パイプやISOで設計応力の規定があるポリエチレン製ガスパイプでは50年ですが、自動車部品は車検や定期点検による安全確認やメンテナンスおよび部品交換による対応が可能です。地下埋設されるインフラとか橋梁・道路などのメンテナンスや更新は、欧州などの石造りの建造物は例外としても、いかなる素材でも無視できない重要な問題であって対策を忘れてはなりません。

 

2015年1月 

著者

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