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塗料・塗装のトラブル対策
現場で起きた欠陥事例と対処法

定価(税込)  2,916円

著者
サイズ A5判
ページ数 256頁
ISBNコード 978-4-526-07386-1
コード C3043
発行月 2015年03月
ジャンル 化学

内容

トラブルに対処するために必要となる、塗料・塗装に関する基本知識をわかりやすく解説するとともに、著者の長年の経験をもとに、現場で実際に起きた種々のトラブル事例と、その解決方法を紹介する。技能伝承のために著者が集めてきた事例も数多く開陳。

坪田 実  著者プロフィール

(つぼた みのる)
1949年 富山県生まれ
1972年 職業訓練大学校卒業
1975年 職業訓練大学校助手
1985年 工学博士(東京大学)
1987年 職業訓練大学校助教授
現在、職業能力開発総合大学校専門基礎学科 嘱託教員
色材協会理事、(財)日本塗料検査協会理事、日本顔料技術協会理事
1982年度色材協会論文賞、2006年度日本塗装技術協会論文賞を受賞、
2005~2006年度技能五輪国内大会「車体塗装」競技主査。

主な著書
「目で見てわかる塗装作業-Visual Books-」(日刊工業新聞社、2011)
「基礎をしっかりマスター ココからはじめる塗装」(日刊工業新聞社、2010)
「現場の疑問を解決する 塗装の実務入門 Q&A」(日刊工業新聞社、2010)
「トコトンやさしい塗料の本」(共著、日刊工業新聞社、2008)
「塗料」(監修、共著、雇用問題研究会、2007)
「木工塗装法」(監修、共著、職業訓練教材研究会、2008)
「コーティング用添加剤開発の新展開」(監修、共著、シーエムシー、2009)
「塗料用語辞典」(編集、共著、技報堂出版、1993)ほか

目次

はじめに

第1章 塗料・塗装のキーポイント
1-1 塗料とはどんな材料か
1-2 塗料を見る目―その1
1.2.1 塗料の構成成分
1.2.2 塗料の形態
1.2.3 塗料から塗膜へ―チョコとクッキーの2種類のみ―
1-3 塗料を見る目―その2
1.3.1 物性要素から
1.3.2 塗料用樹脂から
1.3.3 外観・意匠性から
1-4 塗料工業を見る目
1.4.1 化学工業の中の塗料工業
1.4.2 塗料生産数量の推移からわかること
1.4.3 塗料工業の課題
1-5 塗装の効果
1.5.1 塗料の需要分野とその比率
1.5.2 塗膜の機能性
1.5.3 塗料・塗装分野から教育、産業界を見る目

第2章 塗料の効率的な組み合わせ方
2-1 東京タワーとスカイツリーの塗装系
2.1.1 建設時の塗装仕様
2.1.2 塗替え時の塗装仕様
2-2 下塗り、中塗り、上塗り塗膜の原料組成
2-3 塗装系の設計技術―基礎編
2.3.1 塗装系の原則
2.3.2 各種塗装系の層間付着性と層間はく離の原因
2.3.3 層間付着性に及ぼす下塗り塗料の配合設計
2-4 塗装系の設計技術―応用編
2.4.1 中間層形成モデルとその確認
2.4.2 塗膜物性に及ぼす中間層の作用
2.4.3 複層皮膜のメリット

第3章 「欠陥現象」を解析する目
3-1 表面張力を見る目
3.1.1 表面張力
3.1.2 ヘコミとはじきの話
3.1.3 対流とは
3.1.4 浮きとは
3-2 溶解性パラメーターを見る目
3.2.1 溶解性パラメーターとは
3.2.2 δの求め方
3.2.3 塗料の付着性と溶解性パラメーター
3-3 蒸発と乾燥を見る目
3.3.1 蒸発速度
3.3.2 混合溶剤の蒸発速度
3.3.3 塗料の乾燥
3-4 内部応力を見る目
3.4.1 内部応力の測定法
3.4.2 内部応力の支配要因
3-4 粘弾性現象を見る目
3.5.1 物体の変形の基本
3.5.2 塗装作業性
3.5.3 粘弾性体の挙動を知ろう

第4章 「欠陥現象」―発生原因とその対策―
4-1 塗料の欠陥の種類
4-2 塗装状態の欠陥―発生原因と対策
4.2.1 皮張り、増粘
4.2.2 ゲル化
4.2.3 分離、沈降、ケーキ化
4-3 塗装、乾燥時の欠陥―発生原因と対策
4.3.1 ぶつ
4.3.2 たれ、またはたるみ
4.3.3 はけ目、ロール目、ゆず肌、額縁
4.3.4 糸引き
4.3.5 へこみ、はじき
4.3.6 ピンホール、あわ
4.3.7 かぶり(白化、ブラッシング)
4.3.8 しわ
4.3.9 つやびけ
4.3.10 メタリックむら、色むら、色分かれ
4-4 塗膜形成後の欠陥―発生原因と対策
4.4.1 粘着(軟化)、もどり(Blocking、After tack)
4.4.2 ちぢみ(Wrinkling)
4.4.3 目やせ(Grain depression)
4.4.4 シミ(Stain)
4.4.5 白亜化(Chalking)
4.4.6 ふくれ(Blistering)
4.4.7 はがれ(Peeling)
4.4.8 割れ(Cracking)
4.4.9 変退色(Discoloration)
4.4.10 ブロンジング(Bronzing)

第5章 現場で起きた塗装トラブルと対処法
5-1 塗装作業が関与する欠陥現象
事例 1 目やせによる外観不良
事例 2 はじきによる外観不良
5-2 内部応力が関与する欠陥現象
事例 3 コンデンサの性能を支配する絶縁コートの内部応力
事例 4 水道鋼管用PE内面コートのはく離事件
5-3 塗膜の粘弾性が関与する現象
事例 5 洗車機での塗膜の傷付き事件

第6章 「欠陥現象」を逆利用するテクニック
6-1 ハンマートーン模様の出現テクニック
6-2 水玉模様の出現テクニック
6-3 クラック模様の出現テクニック

索引

はじめに

塗料・塗装業界は地味な分野ではありますが、なくてはならない存在であり、磨かれた塗装技能と技術で塗料を塗膜に仕上げています。塗装の二大目的である「被塗物の保護と美観」を永遠に遂行したいのですが、ものには寿命があります。塗料はまさに生き物であり、塗装されて、塗膜になって初めて市民権が与えられます。生き物ゆえ、実にいろいろな病気をします。そんな時には、塗料と塗装の技術屋は医者にならざるを得ません。いろいろな病気とは欠陥であり、欠陥を治すには原因を突き止めないといけません。
 本書では、「欠陥を見る目」をPower upするためにはどうしたらよいのだろうかを目的に執筆しました。
 私は、この道に入って40年を過ごしました。当初は、シンナーもガソリンも灯油も区別がつかず、石油ストーブにガソリンを入れようとしたことがありました。自宅にある石油と臭いが異なるので、先生に尋ねたところ、叱られもせず、「これはガソリンだから火を付けたらみんな死んじゃうよ、有機物は怖いものなんだよ」と、優しく諭されました。最近の18歳少年事件報道で、思い出したくない記憶がよみがえってきました。怖い実話です。心が揺らいでいる毎日ではありますが、読者の皆様には、欠陥ドクターになっていただきたい方、この分野のサポーターになっていただきたい方、あるいは塗料や塗装作業に従事し、この道を極めてほしい方など多岐に渡ります。
 私は実験や実習が大好きで、欠陥を見て、なぜということにこだわってきました。その議論につき合ってくれたのが同僚の武井昇氏、OBの長沼桂氏、さらには大先輩の木下啓吾氏と髙橋保氏でした。自分では思いつかない多くの知識を教えてもらいました。言葉では言い表すことができないくらい感銘を受けました。
 私は65歳になり、2015年の3月で当大学校を去ります。塗料と塗装でまだまだ楽しみたいと思っています。ちょうど、その時に日刊工業新聞社の奥村功出版局長から本書の執筆の話をいただき、大学校での私の卒業制作のつもりで本書に向かいました。
 本書の発行に際し適切なアドバイスをいただいたエム編集事務所の飯嶋光雄様はじめスタッフの皆様に感謝致します。また、終始私の体調を気遣ってくれた妻の直美に心からお礼を言いたい。ありがとうと。
 
2015年3月
坪田 実

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