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トラブルから学ぶ配管技術
トラブル事例とミスを犯さない現場技術

定価(税込)  2,916円

著者
サイズ A5判
ページ数 272頁
ISBNコード 978-4-526-07385-4
コード C3043
発行月 2015年03月
ジャンル 化学

内容

配管トラブル(事故)を抑止するポイントは、未然防止と再発防止の2つ。本書は、多くのトラブル事例をあげながら、この2つの視点からトラブル抑止の実践的方法を提案、解説する。トラブル事例を通して、配管技術を学べる。

西野悠司  著者プロフィール

(にしの ゆうじ)


1963年 早稲田大学第1理工学部機械工学科卒業

1963年より2002年まで、現在の株式会社 東芝 京浜事業所、続いて、株式会社 東芝プラントシステムにおいて、発電プラントの配管設計に従事。その後、3年間、化学プラントの配管設計にも従事。
一般社団法人 配管技術研究協会主催の研修セミナー講師。
同協会誌元編集委員長ならびに雑誌「配管技術」に執筆多数。

現在、一般社団法人 配管技術研究協会参与。

   日本機械学会 火力発電用設備規格構造分科会副主査。

   西野配管装置技術研究所代表。



●主な著書

「絵とき 配管技術 基礎のきそ」日刊工業新聞社

「トコトンやさしい配管の本」日刊工業新聞社

「絵とき 配管技術用語事典」(共著)日刊工業新聞社

目次

はじめに

第1章 トラブルは隙を窺っている

1-1 事故、トラブル、不具合、そして失敗

1-2 真の原因究明が不可欠

1-3 新しい技術には隙がある


第2章 トラブルを未然に防ぐ

2-1 直感を働かせる

2-2 バランス感覚が大事
2-3 イメージ力を高める

2-4 仮想演習をする

2-5 想像力と恐怖心

2-6 掠め去るものの前髪を掴め

2-7 メリットの裏にデメリット
2-8 図面を読む
2-9 技術変更点を洗い出す

2-10 デザインレビューの実施

2-11 配管を横から見る

2-12 ラインチェックの実施

2-13 コンピュータO/Pのレビュー

2-14 トラブル未然防止のための各種手法


第3章 同じトラブルは二度起こさない

3-1 トラブルが起きてしまったら
3-2 過去を記憶しないものは
3-3 トラブルが起きたらすぐ記録

3-4 類似トラブルの共通点抽出

3-5 トラブルに敏感な職場風土

3-6 真の原因を究める

3-7 トラブルの効用

第4章 トラブルから学ぶ配管技術

4-1 配管で生じるトラブルの原因
4-2 配管トラブルの代表事例


第5章 トラブル事例 / 配管エンジニアリング編

5-1 圧力損失

1 圧力損失の関連で起きるトラブル

2 圧力損失が大きすぎる、小さすぎる

3 ポンプ有効NPSH不足によるキャビテーション

4 並列運転機器の流量アンバランス

5 入口管の圧力損失による安全弁の不安定作動

6 ヘッダの背圧が大きすぎる

5-2 荷重・圧力・差圧

1 ベントラインの閉塞

2 絞り弁前後の差圧が大きすぎる

3 2次側が1次側圧力になる

4 強度のみ考えて、たわみを考慮しない設計

5 伸縮管継手に生じる推力
6 バルブの異常昇圧

7 管路の液封
5-3 流れの偏流と乱れ

1 流れの偏流による不具合

2 合流部の配管形状により振動発生

5-4 重力流れ・飽和水の流れ

1 気泡発生による流れの閉塞
2 重力流れにおけるベント不良
3 重力流れにおける水平管の位置

4 負圧のドレンラインにおけるUシールの破封

5 サイホントラップの自己サイホン

5-5 振動

1 振動とはどんなトラブルか

2 フレキシビリティのありすぎる配管

3 圧力脈動による配管振動

4 気液二相流による配管振動

5 配管の機械的共振
6 励振源なしに共振する自励振動

7 弁の自励振動と配管の気柱共振

8 カルマン渦によって起こる脈動

9 振動によるナットのゆるみと脱落

10 ポンプのサージングと配管系

5-6 ウォータハンマ(水撃)

1 ウォータハンマはどんな原因で起こるか

2 バルブ急閉によるウォータハンマ

3 ポンプ起動によるウォータハンマ

4 ポンプ停止によるウォータハンマ

5 蒸気凝縮によるウォータハンマ

6 蒸気流駆動ハンマ
5-7 熱膨張と相対変位

1 運転モードが複数ある系のフレキシビリティ評価

2 要注意、小径枝管の熱膨張

3 フレキシブルメタルホースの経年後の干渉

4 ボウイングという配管の変形
5 熱膨張差で起きるフランジ締結部の漏洩

5-8 劣化・疲労
急冷で起きる熱衝撃

1 すみ肉溶接部の高サイクル疲労

2 クリープ損傷による割れの発生
5-9 腐食・浸食

1 腐食にはどんなトラブルがあるか

2 絞りの下流で起きるエロージョン

3 ポンプキャビテーションによるエロージョン
4 流れ加速腐食(FAC)と減肉管理

5 同じ金属内の電位差で起こる孔食と隙間腐食

6 減肉が非常に速く進む異種金属接触腐食

7 電気防食によるチタンの水素脆化

8 高温高圧の水素雰囲気中における割れ

9 溶接残留応力が影響する応力腐食割れ(SCC)

10 溶接二番に発生する粒界腐食

11 埋設管で起きるマクロセル腐食

12 保温材の下で起きる配管外部腐食(CUI)


第6章 トラブル事例 / 配管接続・配管配置編

6-1 配管接続

1 相フランジとのボルト穴が不一致

2 取合い部における突合せ溶接開先の不一致

3 配管を誤った機器ノズルに接続

6-2 配管配置

1 他の配管と干渉して勾配配管が通せない

2 床スリーブのために配管の現場溶接ができない

3 防災上安全でない配管


第7章 トラブル事例 / 調達・製造・据付編

7-1 調達・製造・据付

1 「ブラックボックス」と「暗黙の了解」という落とし穴

2 年度ごとに改訂される基準類

3 溶接すれば部材は変形する

4 溶接施工法確認試験記録がないと溶接できない

5 フランジはもっとも漏れやすい箇所

6 アスベストフリーのジョイントシートは熱で硬化する


第8章 トラブル事例 / 配管コンポーネント編

8-1 バルブ
仕切弁で起こるトラブル

1 スイング逆止弁で起こるトラブル

2 バルブにもっとも多いシートリーク
3 弁体回転による弁体脱落
4 流れ方向のあるバルブ
5 仕切弁、ボール弁の中間開度での使用
6 絞り弁のオーバーサイジング
7 逆止弁のチャタリング、フラッタリング
8 ラバーライナ付フランジレス形バタフライ弁とガスケット
9 倒立姿勢のバルブ
8-2 配管スペシャルティ

1 ストレーナ金網の振動による疲労破壊
2 伸縮管継手ベローズの振動
3 内圧による伸縮管継手ベローズの座屈
4 芯のずれた二組の伸縮管継手(Flixboroughの事故)
5 スチームトラップのベーパーロック
6 スチームトラップの不適切なタイプ選定
7 破裂板は設置場所の運転温度が大事
8 流量計前後の直管長さが不足
9 圧力計導管を取り出す方向
10 P&IDと異なる温度計位置

8-3 ハンガ・サポート

1 ハンガ形式選定とポンプ、機器への転移荷重
2 サポート固定金具の外し忘れ
3 レストレントに要求される最小必要強度
4 ハンガロッドねじ部に曲げモーメント


参考文献

はじめに




筆者にとって、「トラブルから学ぶ配管技術」と題する本書は、日刊工業新聞社から出版する4冊目の本となります。

本書で扱う「トラブル」は技術分野におけるトラブルで、いわゆる「事故」、「トラブル」、「不具合」、「故障」などと呼ばれているものを包含し、「失敗」という1つの言葉で集約することもできます。

現在、世にある配管技術や配管に関する規格はどのようにして形づくられてきたのでしょうか。その多くは、過去の数えきれないほどの先人の失敗を、反省し、原因を追究し、同じ失敗を繰り返さないための方策を打ち出し、それらが練られ、積み上げられて、現在の配管技術や配管規格に結実したものといえるでしょう。

本書の特徴は、その3/4を占める第4章以降において、失敗事例をまずあげ、これを切口にして配管技術を学んでいこうというところにあります。

トラブルは常日頃から虎視眈眈とわれわれの隙をうかがっています。ここにあげた事例は明日、遭遇するかもしれないトラブルです。トラブル事例から入っていくと、なぜ、このような技術が、あるいは規格が配管の世界に必要になったのかが、自ずと理解できるのではないかと考えます。

さて、本書の内容は大きく分けて、第1章から第3章のトラブルの未然防止と再発防止について述べた部分と、第4章から第8章のトラブル事例とそれに関係する配管技術を述べた部分から構成されています。

トラブルが起きると、トラブルによる直接的な物的、人的損失、さらに復旧のための、費用、労力、時間、更には、顧客、あるいは社会の信用が大きく損なわれます。したがって、企業はトラブルの防止、抑制に全力を尽くします。

トラブルを起こさないもっとも確実にして、簡単な方法は進歩することをやめ、トラブルのない実績ある技術を使い続けることです。

しかし、技術は常に進歩することを求められています。そして、初めて挑戦する技術には、トラブルに結びつく「無理」や「矛盾」がどこかに隠されている可能性があります。それらを、事前にどのようにして発見し、処置するかが、第1章、第2章のテーマです。

しかし、細心の注意を払っていても、不幸にしてトラブルは起こるかもしれません。トラブルが起きてしまったら、その原因を徹底的に究明して、同じトラブルを繰り返さないシステムを作ることが大事です。そうすれば、トラブルは教訓として生かされ、失敗が技術を進歩させます。無駄な失敗はいけません。失敗を進歩に結びつけるにはどうすればよいか、それが第3章のテーマです。

第4章以降はトラブル事例です。第4章でトラブル事例全体を概観し、トラブルの個々の事例を4つのグループに分け、第5章から第8章の4つの章に割り付けました。そして、トラブル事例を通して、配管技術を学べるように特に配慮しました。

なお、明らかに誤った採用や使い方などによって生じるトラブルは、取り上げれば際限がなくなり、かつ取り上げる意味があまりないので、取り上げませんでした。

本書により、諸兄の「配管」や「配管技術」に関する理解がますます広がりかつ深まることを願ってやみません。

最後に、本書の執筆の機会を与えていただいた日刊工業新聞社の奥村功出版局長、また、企画段階からアドバイス、ご支援いただいたエム編集事務所の飯嶋光雄氏に心からお礼申し上げます。そして、本書執筆にご協力いただいた多くの方々に感謝申し上げます。



2015年3月
西野悠司

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