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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい鋳造の本

定価(税込)  1,512円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07370-0
コード C3034
発行月 2015年02月
ジャンル ビジネス 化学 金属

内容

古来より行われている金属加工法の一つで、現在でも幅広い分野で活躍している鋳造についてわかりやすく解説した鋳造の入門書。加工原理から加工法、型、加工材などを身近な例を用いてひも解いている。

目次

第1章 鋳造ってなに?
1 鋳造とは 「鋳造ってどんなもの」
2 鋳造の特徴 「溶融金属を用いた加工法」
3 鋳造の歴史 「鋳造は紀元前4000年から行われている」
4 鋳造の原理 「金属の矛はどのようにして作るのか」
5 鋳物の用途その1(自動車・二輪自動車向け) 「鋳物産業は自動車に大きく依存」
6 鋳物の用途その2(その他の輸送機器向け) 「鋳物の特徴を活かした部品に使用」
7 鋳物の用途その3(産業機械・一般機械向け) 「機械類部品は鋳物が活躍する分野」
8 鋳物の用途その4(電気・通信機械向け) 「強電、弱電分野ともに鋳物が活躍」
9 鋳物の用途その5(生活用品・その他向け) 「生活を彩る様々な鋳物が作られている」

第2章 鋳造にはどんな種類があるの?
10 砂型鋳造法 「砂型へ溶融金属を鋳込む」
11 重力金型鋳造法 「重力を利用して溶融金属を鋳込む」
12 低圧鋳造法 「溶融金属の表面に空気圧を加えて金型に鋳込む」
13 高圧鋳造法 「低速で充填し高圧力を負荷して凝固させる」
14 ダイカスト法 「高速・高圧で溶融金属を金型キャビティに鋳込む」
15 精密鋳造法 「模型にろうを用いるインベストメント鋳造法」
16 遠心鋳造法 「遠心力を利用して中空円筒鋳物を作る鋳造法」
17 連続鋳造法 「製品を溶湯から直接連続的に製造する鋳造法」
18 消失模型鋳造法 「模型と溶けた金属が置き換わる鋳造法」
19 Vプロセス 「日本で生まれた鋳型減圧鋳造法」

第3章 鋳物はどうやって設計するの?
20 鋳物の設計の流れ 「鋳物を作るための設計の工程」
21 構想設計 「鋳物の機能や設計仕様を明確にして全体像を企画・設計」
22 基本設計 「構想設計を具体的に展開して鋳物のかたちを決める」
23 詳細設計その1 「基本設計を基に具体的な形状を決めて図面に落とし込む」
24 詳細設計その2 「基本設計を基に具体的な肉厚・寸法を決めて図面に落とし込む」
25 詳細設計その3 「基本設計を基に各種基準、型分割面などを図面に落とし込む」
26 鋳造設計その1 「詳細設計を基に鋳物を作るための補正などを図面に落とし込む」
27 鋳造設計その2 「詳細設計を基に鋳物を作るための方案を図面に落とし込む」
28 鋳造設計その3 「詳細設計を基に鋳物を作るための方案の検討と鋳物の健全性を評価する」
29 試作と評価 「できあがった設計・方案を基に鋳物を試作して評価する」

第4章 鋳造に使う材料ってどんなものがあるの?
30 鋳鉄 「強度、防振性に優れた合金」
31 鋳鋼 「耐食性、耐熱性、耐摩耗性に優れた特殊合金」
32 銅合金 「電気・熱伝導、耐食性に優れた数少ない有色金属」
33 チタン合金 「軽量、高融点、高強度、耐食性に優れた合金」
34 アルミニウム合金 「電気・熱伝導、耐食性に優れた軽量な金属」
35 マグネシウム合金 「軽量で比強度が高い鋳物として使用」
36 亜鉛合金 「低融点で鋳造性がよく、切削性に優れる合金」

第5章 鋳造で使う型にはどんなものがあるの?
37 模型 「 砂型鋳造用模型の構造と材質」
38 砂型その1(生型) 「砂型鋳造用生型の材質」
39 砂型その2(自硬性鋳型) 「砂型鋳造用自硬性鋳型の材質」
40 砂型その3(シェル型) 「砂型鋳造用シェル型の材質」
41 重力金型鋳造用金型 「重力鋳造用金型の構造、材質」
42 低圧鋳造用金型 「低圧鋳造用金型の構造、材質」
43 ダイカストの金型 「ダイカスト用金型の構造、材質」

第6章 鋳物の不具合にはどんなものがあるの?
44 寸法不良 「所定の寸法にならない鋳物の不良」
45 ひけ巣 「凝固時の体積収縮で鋳物の中に空洞を作る」
46 ブローホール 「溶融金属中にガスが残り空洞を作る」
47 割れ 「鋳物の表面に発生する亀裂」
48 介在物 「鋳物に巻き込まれた母材とは異なる物質」
49 湯回り不良 「鋳型内を完全に充填できずにできる欠肉」
50 中子不良、鋳肌不良、組織不良 「砂などによる鋳物の不良」

第7章 鋳鉄の鋳物についてもっと詳しく知りたい
51 溶解 「熱によって原材料を溶解」
52 造型 「鋳物砂を突固めて型づくり」
53 鋳造 「溶けた金属を鋳型に流し込む」
54 後処理 「鋳物の最終仕上げ」

第8章 ダイカストについてもっと詳しく知りたい
55 ダイカストの定義と特徴その1 「ダイカストは大量生産に適したプロセスである」
56 ダイカストの定義と特徴その2 「ダイカストはニアネットシェイプ技術である」
57 ダイカストの用途 「ダイカストの用途の多くは自動車用である」
58 ダイカストの合金材料その1 「アルミニウム合金は軽量で機械的性質に優れる」
59 ダイカストの合金材料その2 「亜鉛合金はめっき、マグネシウム合金は軽量が売り」
60 合金の溶解 「リサイクル性が高く環境に優しいプロセスである」
61 ダイカストの鋳造方案 「ダイカストの鋳造方案には特有の設計が必要である」
62 ダイカストの設計 「ダイカストの設計の基本は均等肉厚である」
63 ダイカストマシンその1 「ダイカストマシンの大きさは型締力で表す」
64 ダイカストマシンその2 「コールドチャンバーとホットチャンバーがある」
65 ダイカストの金型 「金型はダイカストの品質を決める重要な要素である」
66 ダイカストの高品質化その1 「ダイカスト特有の欠陥が発生する」
67 ダイカストの高品質化その2 「T6処理、溶接が可能なダイカストがある」

【コラム】
●オシャカを作るはどこからきたのか
●12月1日は鉄の記念日
●模型を作るときに便利な道具
●東洋の鐘と西洋の鐘
●鉄ダイカストへの試み─創意と工夫
●不良対策には病理学的手段を駆使
●南部鉄瓶の表と裏
●ダイカストのはじまり

参考文献

はじめに

 鋳造法は、金属加工法の一種で、その歴史は古く紀元前4000年頃にメソポタミア地方で始まったとされています。金属を溶かして、砂や粘土、鉄などの金属で作った鋳型の中に鋳込んで冷やして固めるもので、様々な形を自由に作り出せる魔法のようなプロセスです。基本的に溶かせる材料であればなんでも鋳物にできます。最初は銅合金(青銅)から始まったとされています。その後、鉄の鋳造が行われ18世紀の産業革命で様々な機械に使用されるようになりました。19世紀になってアルミニウムやマグネシウムなどの軽合金が発明されると、自動車や飛行機などに軽合金鋳物が使用され、鋳物の新しい時代が開けてきました。今日では、人類にとってなくてはならないプロセスになりました。

 著者らはこの鋳造あるいは鋳物の研究・開発に30年以上携わってきました。今回、日刊工業新聞社から「今日からモノ知りシリーズ トコトンやさしい鋳造の本」の出版のお話をいただき、役不足とは思いましたが執筆を引き受けさせていただきました。著者の一人は軽合金鋳物・ダイカストを専門としており、もう一人は鋳鉄が専門なので、材料・工法によって分担して執筆いたしました。

 「トコトンやさしい」シリーズは、「今日からモノ知りシリーズ」を看板に、様々な分野を取り上げ、1項目につき1ページを解説に、もう1ページに図表やイラストを使ってわかりやすく解説した技術書です。一口に「鋳造」といってもその範囲はかなり広いもので、プロセスと材料の組み合わせは数多くあり、項目を絞るのに大変苦労いたしました。今回は、「鋳造ってなに?」から始まり、鋳造の種類、鋳物の設計・鋳造方案、鋳造材料、鋳造型、鋳物の不具合について総論的に執筆しました。さらに、鋳物の中で最も多く使用されている「鋳鉄」と「ダイカスト」について章を起こして詳細に解説いたしました。

 本書は、これから鋳造の仕事に携わろうとしている若手技術者、将来鋳造関係の仕事につきたいと思っている学生、鋳物を使用するユーザー、鋳物のことを知りたいと考えている人たちを対象にしています。

 字数、ページ数の制約の関係から十分説明できていないところもあるかと思いますが、できる限りわかりやすく執筆したつもりです。本書が読者の皆様のお役に立つならば幸いです。

 最後に、本書の執筆を企画、サポートしていただきました日刊工業新聞社様並びにご担当の野﨑伸一氏に感謝の意を表します。
 
 

2014年12月     

西 直美

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