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おもしろサイエンス
音と振動の科学

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07353-3
コード C3034
発行月 2015年01月
ジャンル ビジネス 機械

内容

音や振動の原理はもとより、音と振動にまつわる身近な現象や話題のテーマを取り上げ、そのメカニズムなどを科学的、工学的に解説する。関心が高まっている自然災害との関わりや低周波音についても科学的な切り口で紹介する。

山田伸志  著者プロフィール

(やまだ しんじ)


山梨大学名誉教授 工学博士

NPO法人 住環境の騒音・振動・低周波を考える会 理事


1965年3月 東京大学工学部精密工学科卒業

1967年3月 東京大学工学系大学院修士課程修了

1967年4月 山梨大学工学部助手

1976年3月 同工学部助教授

1977年9月〜78年4月
 
フランス国立機械音響研究所にてアクティブ防音の研究に従事

1985年7月 山梨大学工学部教授

1996年4月〜1998年3月

  山梨大学学生部長(併任)

2007年3月 山梨大学定年退職

2007年4月 放送大学山梨学習センター所長 

2012年3月 放送大学定年退職

目次

はじめに


第1章 音の発生原理と音の楽しみ


1 ギターで音の出るしくみ

2 弦の振動とドレミファ音階

3 フルートとハーモニカの音の発生のしくみ




第2章 ヒトの脳と騒音苦情


4 脳には役割分担がある

5 生きる力をになう脳をつくる

6 価値のない音は騒音となる

7 止められない機械は苦情につながる
8 騒音苦情は人間への苦情
9 すぐ文句をいうフランス人・じっと我慢する日本人

10 高齢者が高音を聞きとりにくい理由




第3章 車から発生する振動・騒音のメカニズム


11 車の振動とサスペンションの役割り

12 車の振動を早く止めるしくみ

13 タイヤのバランスと振動

14 ブレーキの鳴きとワイパーのびびり振動

15 アクティブ防振とアクティブ防音装置




第4章 騒音で悩まない住宅とは


16 騒音で悩まないマンション購入方法

17 騒音を生み出すいろいろな要素
18 新築庭付き一戸建て住宅の騒音問題

19 騒音・振動問題の防止と解決法




第5章 自然災害と騒音・振動のかかわり


20 地震と建物被害

21 耐震建物と免震建物
22 地震の前に新幹線を止める

23 台風・竜巻・土砂崩れで発生する音

24 自分の命は自分で守る(科学でもわからないことが多い)




第6章 低周波音と私たちの生活


25 低周波音はどこで感じるか?

26 窓ガラスを振動させる超低周波音

27 高速道路橋から発生する低周波音

28 長距離伝搬する超低周波音

29 低周波音はヒトに聞こえる

30 低周波音がマウスに及ぼす影響
31 低周波音がヒトに及ぼす影響




Column

バトミントンのラケットの振動
2つの人格を使い分ける

摩擦は生活に必要
好色一代女の騒音対策

悲しみの数の最小化

低周波音で船酔い
参考文献

はじめに

本書は、2007年3月に日刊工業新聞社から出版された「トコトンやさしい振動・騒音の本」をベースに新しい情報を加えまとめたものです。トコトンシリーズでは、学問体系を意識し、「自励振動」の項目の中に車の振動・楽器の音の発生・摩擦による振動など、ものを超えて学問としてのまとめ方をしました。そのため、タイトルを見ると、車、音楽、摩擦が一緒のところにあり、違和感がありました。

 今回は、わかりやすいように、学問ではなく、もので分類しました。タイトルを見たときにわかりやすくなっていると思います。

 2011年3月11日の東日本大震災の後、地震・津波などに対する関心と、あらたな東海・東南海・南海地震への備えが必要となってきました。自分の命を守るためにどうすればよいかを、騒音・振動とのかかわりで記述しました。また、その枠を超えて、人間の行動が非常時には信頼できることを記しながら、命を守るための方法の記述を追加させていただきました。

 脳の研究が進んできました。騒音の問題は脳の反応との関係が深く、不快感は、大脳辺縁系の反応であることがわかってきました。大脳辺縁系の構造を考えると、人間は、聴覚・視覚・臭覚を含めたさまざまな情報を自分の生存に対して有利か不利かで判定していることがはっきりしてきました。すなわち、音だけでなく、それにまつわる人間関係、金銭的利害関係などの総合的な反応であることがわかります。

 脳の実験は条件を限定して行われるので、何も条件を課されない自由なヒトにおいても同様な反応が起こるかは慎重な検討が必要です。心理学はまったく自由な状態で人間を観察することから成り立ちます。脳の実験と心理学的な観察結果は必ず一致するはずです。心理学的な観察と一致しなければ、その実験結果は、疑問がもたれます。また、脳の実験結果を拡大解釈することも注意が必要です。高度な判断をする大脳の前頭前野と感情にかかわる大脳辺縁系はたくさんの神経結合をもっています。たくさんの情報を総合して複雑な判断を行っているのです。

 本書が、音や騒音についての理解と、人間理解に役立てば幸いです。

 最後になりましたが、執筆の機会を与えていただいた日刊工業新聞社の奥村功出版局長、および編集上の貴重なアドバイスを頂戴したエム編集事務所の飯嶋光雄氏に感謝申し上げます。

 

2015年1月                      

山田伸志

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