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有機EL照明

定価(税込)  2,376円

編著
サイズ A5判
ページ数 208頁
ISBNコード 978-4-526-07332-8
コード C3054
発行月 2015年01月
ジャンル 電気・電子

内容

有機ELを応用した照明は、面発光である、薄くて軽く形状に制約がないなど、LED照明にはない長所をもつ。有機ELの基礎、有機EL材料、有機EL発光パネルの製法、有機EL照明器具など、有機EL照明の技術要素をLED照明と比較しながら解説する。

城戸淳二  著者プロフィール

(きどじゅんじ)
山形大学
大学院理工学研究科卓越研究教授
有機エレクトロニクス研究センター副センター長
有機エレクトロニクスイノベーションセンター副センター長


執筆者

第1章照明用白色有機ELパネル
1.1高効率白色有機ELパネル
菰田卓哉、井出伸弘〔パナソニック㈱〕
1.2フレキシブル有機ELパネル
硯里善幸〔山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター准教授〕

第2章有機EL材料
2.1蒸着型有機EL材料
笹部久宏〔山形大学有機エレクトロニクス研究センター助教〕
2.2塗布型有機EL材料
夫勇進〔山形大学有機エレクトロニクス研究センター准教授〕

第3章製造法
3.1真空蒸着式製造法
仲田仁〔山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター産学連携教授〕
松本栄一〔キヤノントッキ㈱〕
3.2塗布式製造法
硯里善幸〔山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター准教授〕
畠山辰男〔東レエンジニアリング㈱〕
3.3検査工程
硯里善幸〔山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター准教授〕

第4章有機EL照明器具
4.1有機EL照明器具の特性
川島康貴〔NECライティング㈱〕
4.2有機EL照明器具の駆動方法
佐合益幸〔山形大学有機エレクトロニクスイノベーションセンター技術専門職〕

目次

はじめに

第1章 照明用白色有機ELパネル
1.1 高効率白色有機ELパネル
1.1.1 次世代照明としての有機EL
1.1.2 照明光源に求められる特性
1.1.3 高演色性白色発光
1.1.4 高輝度・長寿命構造
1.1.5 照明用有機EL素子の基本構造
1.1.6 有機ELの特性の支配要因
1.1.7 有機ELからの光取り出し
1.1.8 発光体の高効率化
1.1.9 光吸収ロスの低減による取り出し効率の向上
1.1.10 エバネッセントモードの削減と光学マッチングによる高効率化
1.1.11 光取り出し特性の検証
1.1.12 超高効率白色有機ELパネル
1.2 フレキシブル有機ELパネル
1.2.1 有機ELの新しい展開「フレキシブル」
1.2.2 フレキシブル有機パネルの課題
1.2.3 可撓性基板
1.2.4 フレキシブル封止構造
1.2.5 フレキシブル有機ELの応用例

第2章 有機EL材料
2.1 蒸着型有機EL材料
2.1.1 有機ELに用いられる有機物の特徴
2.1.2 低分子蒸着型有機EL素子の誕生
2.1.3 真空蒸着法と低分子材料の分子量
2.1.4 有機ELの発光の仕組み
2.1.5 蛍光発光とリン光発光
2.1.6 ゲスト材料とホスト材料
2.1.7 リン光ホスト材料の励起三重項エネルギー
2.1.8 機能分離積層型素子構造
2.1.9 高効率リン光青色素子と白色有機EL素子
2.1.10 低電圧リン光有機EL素子
2.1.11 熱活性化遅延蛍光発光
2.2 塗布型有機EL材料
2.2.1 塗布型有機EL素子の長所
2.2.2 塗布型有機EL材料に求められる特性
2.2.3 塗布型高分子有機EL材料
2.2.4 塗布型低分子有機EL材料
2.2.5 発光層以外の塗布型有機EL材料
2.2.6 乾燥温度と乾燥時間
2.2.7 塗布プロセスによるマルチフォトンエミッション型有機EL素子の作製

第3章 製造法
3.1 真空蒸着式製造法
3.1.1 真空成膜技術の概要
3.1.2 真空蒸着装置
3.1.3 真空蒸着プロセス
3.1.4 ゲスト-ホスト法
3.1.5 有機EL製造の技術要素
3.1.6 有機EL用真空成膜装置
3.2 塗布式製造法
3.2.1 塗布式製造法はなぜ有機EL照明に求められているか
3.2.2 塗布型ロールtoロール
3.2.3 アプリケート法を用いた有機ELパネル
3.2.4 スリットノズル塗布方式
3.2.5 インクジェット塗布方式
3.2.6 ストライプ塗布方式
3.2.7 エレクトロスプレー塗布方式
3.3 検査工程
3.3.1 有機EL照明の不具合と検査方法
3.3.2 有機EL照明の検査装置

第4章 有機EL照明器具
4.1 有機EL照明器具の特性
4.1.1 有機EL照明器具開発の背景
4.1.2 有機EL照明の優位性とLED照明との使い分け
4.1.3 有機EL照明器具開発のポイント
4.1.4 主照明用途向け有機EL照明器具
4.1.5 デスクスタンド向け有機EL照明器具
4.1.6 インテリア・デザイン向け有機EL照明器具
4.1.7 住宅建材組み込み照明
4.2 有機EL照明器具の駆動方法
4.2.1 電子デバイスとしての有機EL
4.2.2 定電流駆動
4.2.3 駆動回路の要件
4.2.4 回路方式
4.2.5 回路トポロジ
4.2.6 保護回路
4.2.7 調光制御
4.2.8 外部制御
4.2.9 実際の適用例

おわりに
索引


はじめに

2014年11月、日本人研究者3名のノーベル物理学賞受賞に日本は沸いた。20世紀中には無理と言われていた青色発光ダイオード(LED)の大発明である。今では、照明といえば LED照明と言われるほど普及し始めた感がある白色LED照明であるが、演色性の低さやぎらつき、局所的な発熱、そして高い価格など、まだまだ課題は多い。
 一方、有機LEDとも呼ばれる有機ELは、すでにディスプレイの分野で普及し始め、スマートフォンやタブレットに広く使用され、大型テレビも実用化レベルに入った。液晶に比べてコントラスト比が高い上、高速応答性でもあるので、高画質であり、さらにバックライトが不要で極めて薄く、丸められるなどの特徴を有しており、液晶に変わる次世代ディスプレイとして市場を拡大している。
 また、照明としての有機ELは、白色有機ELが1993年に山形大学で開発されて以来、この20年で高効率化、高輝度化、長寿命化が達成され、2011年から照明用の高輝度白色有機ELパネルが米沢市に設立されたルミオテック㈱により製品化された。今では国内外のパネルメーカー数社が生産を開始し、さらなる高性能化や低コスト化にしのぎを削っている。
 製造方法において、LEDでは特殊な真空装置で無機半導体の結晶を成長させるのに対し、有機 ELでは非晶質の薄膜を形成するだけであり、その製造方法はいたって単純である。たとえば、真空中で有機半導体材料を加熱して蒸発あるいは昇華させて基板上に堆積させる。あるいは、有機材料を溶剤に溶かして溶液状にして塗布により薄膜を形成する。
 また、発光デバイスとしての形状も、基本的には無機LEDが点光源であり、指向性の強い発光であるのに対し、有機ELは面状光源であり、その上、薄くて曲げられるという利点を有している。もちろん、LEDも光拡散板や導光板の使用により面状光源にはできるが、光のロスが生じてしまう。したがって、光源としてみた場合、無機 LEDはスポットライトや間接照明に向いており、有機 ELは面状の拡散光源に向いている。
 本書では、有機 EL照明の材料からデバイス構造、製造法、そして照明器具としての特徴など、関連技術のすべてを網羅した。有機 EL照明に対する理解そして普及に役立てば幸いである。

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