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シリーズ電力大再編
電力小売全面自由化で動き出すバイオエネルギー

定価(税込)  2,160円

編著
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07337-3
コード C3034
発行月 2014年12月
ジャンル 環境 ビジネス

内容

固定価格買取制度(FIT)による再生可能エネルギーの導入が曲がり角に来ている今、注目度が高まっているバイオエネルギー。本書は、その重要性、普及ポイント、先進的な事業の推進策などをわかりやすく解説。さらに、地球温暖化防止対策としても有力視されるバイオ技術を提案する。

井熊 均  著者プロフィール

(いくま ひとし)

株式会社日本総合研究所

常務執行役員 創発戦略センター所長

1958年生まれ。81年、早稲田大学理工学部機械工学科卒業、83年、同大学院理工学研究科修了。83年、三菱重工業株式会社に入社。90年、株式会社日本総合研究所に入社。95年、株式会社アイエスブイ・ジャパン取締役。2003年、株式会社イーキュービック取締役。
2003年、早稲田大学大学院公共経営研究科非常勤講師。2006年、株式会社日本総合研究所執行役員。2014年、常務執行役員。

環境・エネルギー分野でのベンチャービジネス、公共分野におけるPFIなどの事業、中国・東南アジアにおけるスマートシティ事業の立ち上げなどにかかわり、新たな事業スキームを提案。公共団体、民間企業に対するアドバイスを実施。公共政策、環境、エネルギー、農業などの分野で50冊を超える書籍を刊行するとともに政策提言を行う。



木通 秀樹(きどおし ひでき)

株式会社日本総合研究所

創発戦略センター スペシャリスト

1964年生まれ。97年、慶應義塾大学理工学研究科後期博士課程修了(工学博士)。民間企業を経て、2000年、日本総合研究所に入社。専門は、資源循環、エネルギーシステム、廃棄物などのPPP事業、再生可能エネルギー、環境都市開発、分散エネルギー。著書に「グリーンニューディールで始まるインフラ大転換」(共著、日刊工業新聞社)、「図解よくわかるバイオエネルギー」(共著、日刊工業新聞社)、「図解よくわかるリサイクルエネルギー」(共著、日刊工業新聞社)、「シリーズ電力大再編 電力小売全面自由化で動き出す分散型エネルギー」(共著、日刊工業新聞社)など。



瀧口信一郎(たきぐち しんいちろう)

株式会社日本総合研究所

創発戦略センター シニアマネジャー

1969年生まれ。京都大学理学部を経て、93年、同大大学院人間環境学研究科修了。テキサス大学MBA。外資系コンサルティング会社、不動産投資ファンド、エネルギーアドバイザリー会社などを経て、2009年、日本総合研究所に入社。専門は、エネルギー政策、エネルギー事業戦略、インフラファンド。著書に「電力不足時代の企業のエネルギー戦略」(共著、中央経済社)、「2020年、電力大再編」(共著、日刊工業新聞社)、「シリーズ電力大再編 電力小売全面自由化で動き出す分散型エネルギー」(共著、日刊工業新聞社)など。



梅津 友朗(うめづ ともあき)

株式会社日本総合研究所
総合研
究部門 都市・地域経営戦略グループ コンサルタント

1979年生まれ。2002年、京都大学工学部(環境工学専攻)卒業、2004年、同大大学院工学研究科修了。株式会社クボタを経て、2011年、日本総合研究所に入社。専門は、エネルギー事業戦略、スマートシティ、水ビジネス。著書に「シリーズ電力大再編 電力小売全面自由化で動き出す分散型エネルギー」(共著、日刊工業新聞社)など。



田中 千絵(たなか ちえ)

株式会社日本総合研究所

総合研究部門 都市・地域経営戦略グループ コンサルタント

1985年生まれ。2008年、東北大学法学部卒業。2010年、同大大学院法学研究科公共法政策専攻修了。同年、日本総合研究所に入社。専門は、PFI/PPP(特に廃棄物分野)、エネルギー事業戦略。

目次

はじめに 


第1章 なぜ、バイオエネルギーか

1.1 固定価格買取制度の功罪 
1.2 エネルギーシステムをつなぐバイオエネルギー 

1.3 バイオエネルギーはどこにあるか 

第2章 バイオエネルギー普及のポイント

2.1 なぜ、バイオエネルギーは上手くいかないか 

2.2 バイオエネルギー普及のポイント 

①燃料化/②既存インフラの活用/
③パッケージ化/④熱利用


第3章 先進的バイオエネルギー事業

3.1 高効率廃棄物発電  

3.2 ガス燃料化システム 

3.3 森林バイオマス事業 

3.4 革新の藻バイオマス 


第4章 IPCC評価報告書が示す危険な未来

4.1 IPCC第4次評価報告書の的中 

4.2 破たんした国際合意 


第5章 新たな二酸化炭素固定化技術BCCS

5.1 排出削減頼りの限界 

5.2 二酸化炭素固定化プロジェクト 


第6章 次世代バイオエネルギーのための8つの戦略

6.1 日本らしさをバイオエネルギー・パッケージに 

6.2 分散型バイオエネルギーシステムの普及 

6.3 公的バイオエネルギー事業の拡大 

6.4 固定価格買取制度の再構築 

6.5 先進バイオ技術への研究開発投資
6.6 国内外一体の戦略を展開 

6.7 国別コミットの温暖化対策からの脱却 

6.8 国際協調の主導 




コラム

器用貧乏が続いたバイオエネルギー

日本らしさを取り戻すバイオエネルギー
バイオエネルギー利用のシナリオライティング

迫られる国際的なコンセンサス

低炭素化対策の総動員を

はじめに


 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電の事故の後、国民の期待を受けてスタートした日本の固定価格買取制度(FIT)は、開始からわずか2年で大きな壁に直面している。海外に比べはるかに割高な買取価格を設定したため、メガソーラーバブルを招き、電力会社は系統への接続を中止した。今後は、割高な買取価格による国民負担が大きな問題となろう。

 日本版FITでは、震災後の混乱もあってか、効率的かつ効果的な再生可能エネルギー(再エネ)導入の仕組みが考えられなかった。再エネ導入の手順を踏まなかったことも問題だった。再エネの先進国ドイツでは、オイルショック以来整備してきた地域ごとの熱供給のインフラがバイオエネルギーの受け皿となった。熱を含めたエネルギー供給量で見ると、太陽光発電の貢献度はバイオエネルギーに遠く及ばない。われわれは、ドイツのような地域に根差したバイオエネルギーの普及こそ、日本版FITの再生の鍵になると考える。

 この他にもバイオエネルギーを注視する理由は2つある。

 1つは、地球温暖化問題への対応である。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表した第5次評価報告書は、前回報告書以上に温暖化の危機を強く訴える内容となっている。われわれはバイオエネルギーを核とした地域の循環型エネルギーシステムと、革新的な藻バイオマスが地球温暖化緩和のための重要な技術になると考える。

 もう1つは、地域の活性化である。日本では地方創生が重要な政策テーマとなっているが、これといった策がないのが現状である。われわれは地域の主体的なエネルギーシステムをつくることが地域に資金循環と雇用を生むと考える。そこで不可欠になるのが、バイオエネルギーによる電熱供給システムである。

 このようにバイオエネルギーは、FIT再生、地球温暖化に対する有効な対策の提示、地方創生という重要な政策に資する技術なのである。



 本書は以上のような認識に基づく6章構成となっている。

 まず、第1章では、バイオエネルギー導入の意義を中心に述べ、第2章では、これまでの取り組みの反省を踏まえた後、バイオエネルギー普及のためのポイントを整理した。そのうえで第3章では、バイオエネルギーの普及に関する先進的な事業の事例を紹介している。ここまでエネルギーとしての意義を述べた後、第4章からは地球温暖化対策としてのバイオエネルギーの可能性を述べている。第4章で地球温暖化対策に関わる国際的な議論が限界を呈していることを指摘した後、第5章ではBCCS(Bio Carbon Capture and Storage)という新たな事業の可能性を検討している。最終の第6章では、次世代のバイオエネルギー事業を進めていくうえでの戦略を提言した。

 本書が、再エネの導入、地球温暖化対策、地方創生の観点から、バイオエネルギー事業の立ち上げにわずかでも貢献できれば筆者どもとして大きな喜びである。



 本書の企画に当たっては、日刊工業新聞社の奥村功様にお世話になった。この場を借りて心より御礼申し上げたい。

 本書の執筆に当たっては、株式会社日本総合研究所の木通秀樹さん、瀧口信一郎さん、梅津友朗さん、田中千絵さんにご協力いただいた。彼らの専門的な調査と検討が本書の内容を充実させた。多忙のなか、執筆に参加いただいたことに御礼申し上げる。

 最後に、筆者の日頃の活動に対してご支援いただいている株式会社日本総合研究所に心より御礼申し上げる。



2014年初冬


井熊 均

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