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実際の設計選書
実際の設計 改訂新版
機械設計の考え方と方法

定価(税込)  3,888円

編著
著者
サイズ A5判
ページ数 416頁
ISBNコード 978-4-526-07340-3
コード C3053
発行月 2014年12月
ジャンル 機械

内容

ロングセラー本「実際の設計 機械設計の考え方と方法」の改訂新版。機械設計の技術について、実際の製造業で行われている設計プロセスで説明し、必要になる知識やノウハウを解説した「モノづくりの教科書」。改訂新版では、①メカだけで済んでいた時代からエレキ、ソフトを含むシステム設計の重要性が増した、②今までにない新規性が求められているため概念(構想)設計の重要性が増した、③デジタルマニュファクチャリングが一般的になった、などの時代の変化に対応した。

畑村洋太郎  著者プロフィール

(はたむら ようたろう)
1964年東京大学工学部機械工学科卒,1966年修士課程修了

(株)日立製作所勤務,東京大学工学部産業機械工学科教授の後,工学院大学教授,東京大学名誉教授,工学博士,(株)畑村創造工学研究所代表.福島原発政府事故調元委員長,現在,消費者庁 消費者安全調査委員会委員長.
設計・生産学,生産加工学,失敗学,危険学,創造学の研究に従事.

実際の設計研究会  著者プロフィール

原秀夫 
1970年学部卒

(株)小松製作所にて,建設機械・防衛装備品の研究開発を実施.
現在,(財)工業所有権協力センターにて特許調査に従事.



関田真澄 
1970年学部卒,1972年修士課程修了

三菱重工業(株)勤務,公益社団法人日本冷凍空調学会勤務の後,現在日本検査(株)勤務.技術士.

冷凍用圧縮機の研究,開発,設計に従事.学会事務局長として,学会運営に携わる.現在,機器検査のコーディネータとして勤務中.



米山猛 
1979年学部卒,1981年修士課程修了,1984年博士課程修了

金沢大学理工研究域機械工学系教授 工学博士.

塑性加工,金属光造形金型,CFRP成形,スポーツ工学,医療機器開発の研究に従事.



山本佳男 
1981年学部卒,1983年修士課程修了

古河電気工業(株)勤務後,1994年ペンシルヴァニア大学よりPh.D.取得,茨城大学講師の後,現在東海大学工学部教授,移動ロボットや飛行体の自律制御,複数ロボットの協調制御,環境発電の研究に従事.



稲城正高 
1983年学部卒

コニカミノルタ(株)生産技術開発センター勤務.精密加工,金型,
CAD/CAM/CAE,工場系ITなどの生産技術開発に従事.



松岡茂樹 
1984年学部卒,1986年修士課程修了

東急車輛製造(株)勤務を経て,現在(株)総合車両製作所勤務,技術士(機械部門).鉄道車両と部品の研究・開発・設計,研究開発・知財管理,国際標準化,製品保存,商品企画,経営企画に従事.



松本潔 
1985年学部卒,1987年修士課程修了

(株)日立製作所勤務,東京大学情報理工学系研究科助教授の後,
現在東京大学IRT研究機構特任教授,博士(工学).

マイクロシステム,センサ,ロボットシステムの研究に従事.



一木克則 
1992年学部卒,1994年修士課程修了

(株)荏原総合研究所にてナノ・マイクロ加工装置の研究開発を実施,
現在,(株)荏原製作所にてカスタムポンプの生産技術,鋳鍛造品,製缶品の調達に従事.



土屋健介 
1997年学部卒,1999年修士課程修了

現在,東京大学生産技術研究所准教授,博士(工学).

2014年,スタンフォード大学客員准教授.

微細加工・組立,精密加工,品質工学の研究に従事.



高橋宏知 
1998年学部卒,2000年修士課程修了,2003年博士課程修了

東京大学先端科学技術研究センター講師,博士(工学).

脳科学,神経工学,福祉工学など,医学と工学の境界領域の研究に従事.



畑中元秀 
1999年学部卒,2001年スタンフォード大学修士課程修了,

2005年スタンフォード大学博士課程修了.PhD.

創業にも関わった製品開発会社で製品や展示作品の企画・開発・設計・デザインおよび会社経営に従事した後,金属加工会社で製品の設計開発に携わる.現在は情報機器などを扱う会社で設計開発に従事.



藤岡聡太 
2000年学部卒,2002年修士課程修了

2002~2010年(株)インクスにて金型設計から製造までの暗黙的な属人.
ノウハウ体系化とIT技術を活用したモノづくりの仕組み構築に従事.

2010年~(株)メディオクリタスにて製造業の改革コンサルティングに従事.



辻直志 
2002年学部卒 2007年カーネギーメロン大学修士課程修了

(株)東芝勤務.ネットワーク,セキュリティ,遠隔管理技術を活用した,
ノートPCのBIOSおよび組込機器向けソフトウェアの設計・開発に従事.



長藤圭介 
2004年学部卒,2006年修士課程修了

2009年博士後期課程修了,博士(工学).

助教を経て2012年より講師.

2012~2013年カールスルーエ工科大学客員研究員.

研究分野はナノマイクロ加工,光学素子,燃料電池.



秋葉晃介 
2007年学部卒,2009年修士課程修了

ソニー(株)勤務.小型光学樹脂部品開発,超安価や超大型のLCD?TVの開発・設計に従事.



田中文 
2009年学部卒,2011年修士課程修了

三菱電機(株)に勤務.人工衛星の設計開発に従事.



若林秀 
2011年学部卒,2013年修士課程修了

(株)総合車両製作所に勤務.鉄道車両の開発・設計に従事.



池島翔太 
2011年学部卒,2013年修士課程修了

富士フイルム株式会社に勤務.生産技術開発・生産設備設計に従事.



伊藤泰則 
1986年学部卒(早稲田大学理工学部機械工学科)

1988年修士卒(早稲田大学理工学研究科機械工学専攻)

旭硝子(株),ガラス生産設備の開発・設計,及び事業化に従事.



藤田和彦 
1988年学部卒(京都大学工学部資源工学科)

富士通(株)入社.トランザクション処理,データベースシステム等のミドルウェア,クラウドコンピューティング,ビッグデータ処理等の基盤ソフトウェアの企画・開発に従事.2005年より実際の設計研究会会員.



安河内正也 
1988年学部卒(九州大学 理学部 物理学科)

(株)日立製作所入社,現在,(株)日立ハイテクノロジーズに勤務.磁気共鳴診断装置,半導体計測装置などの設計に従事.技術士(電気電子部門).



畑村太郎 
2012年学部卒(早稲田大学文化構想学部)

(株)畑村創造工学研究所勤務の後,富士通(株)勤務.
新規事業企画に従事.

目次

はじめに


第1章 「設計の意義」~設計とはどんなものか~
1.1 設計の定義 ~ 設計とは何をすることか?

1.2 設計の意義 ~ 使う人や社会のことを考えて設計しよう

1.3 設計の過程 ~ 設計者が考える範囲と深さ

1.4 設計に対する心構え ~ 一人前の設計者になるために

1.5 設計における基本的視点 ~ メカ・エレキ・ソフトを俯瞰する

1.6 機械と設計の発展 ~ 歴史を知って設計の本質を知ろう

1.7 本書の各章の構成


第2章 「設計のプロセス」~何をどんな手順で決めるか~

2.1 全体プロセスと決定する事柄

2.2 企画
2.3 構想設計

2.4 開発計画
2.5 詳細設計

2.6 製作

2.7 検査・試験

2.8 設計の後工程


第3章 「設計の構想をつくる」~考えをどう作るか~

3.1 構想設計を行う時の心構え

3.2 創造的な設計をするための思考方法(思考展開のすすめ)
3.3 構想設計の全体像を描く
3.4 顧客提供価値の考え方

3.5 ユースケース・主要な要求機能の考え方
3.6 機構・構造の全体像を描く


第4章 「機能と機構の実現」~考えをどう具体化するか~

4.1 機械における機能とシステム

4.2 メカニクスの基本機能と知っておきたい機械要素

4.3 機能を実現するエレクトロニクス

4.4 機能を実現するソフトウェア

4.5 機能から機構への展開(メカ・エレキ・ソフトの使い分け方)

4.6 メカトロニクスの将来


第5章 「設計に必要な力の知識」       

~現象を支配する要素の関係をつかむ~

5.1 機械にはたらく力

5.2 機械の安定

5.3 駆動力と伝達

5.4 機械の中を通る力
5.5 動的な力

5.6 応力と許容応力

5.7 熱・流体力

5.8 熱伝導および拡散

5.9 ミクロな運動と力学

5.10 力学と電気とのアナロジー


第6章 「寸法」~形と大きさを決める~

6.1 寸法を決めていく流れ
6.2 寸法と公差
6.3 はめあい
6.4 角と隅

6.5 表面粗さ

6.6 寸法で考える


第7章 「材料」~どんな材料を選ぶか~

7.1 部品の要求機能と採用材料の実例

7.2 設計から求められる材料の機能

7.3 各種材料

7.4 設計要求の実現手段

7.5 材料のマクロからミクロの視点と失敗例

7.6 実際の材料選定


第8章 「設計に不可欠な部品の知識」

~必ず使う基本要素~  

8.1 機械に必要となる基本部品(ねじ,ばね,軸受,歯車,Oリング)

8.2 ねじ(ボルト)

8.3 ば ね
8.4 軸 受

8.5 歯 車

8.6 Oリング


第9章 「機械の製作」
~どうやって作るか~

9.1 製作の流れ

9.2 製作法を考えながら設計する

9.3 機械設計で用いる形状創成方法

9.4 代表的な除去加工法と原理

9.5 接合(溶接,接着)

9.6 熱処理・表面処理

9.7 組立

9.8 検査・試験


第10章 「設計の手段」
~どんな手段で設計するか~

10.1 CADを活用した設計情報の作成・伝達

10.2 3次元CADを用いた設計の進め方

10.3 2次元図面の描き方

10.4 CAE


第11章 「設計の具体例」
~たとえばこうなる~

11.1 ガラスのブラシ研磨機

11.2 スターリングエンジン


第12章 「技術の将来と設計」

~技術と設計者はどうなるか~

12.1 技術と社会

12.2 技術の将来と設計

12.3 これからの設計者の生き方


おわりに

索 引



よもやま話

お前は人類の敵だ!(下手な設計に対する叱責と励ましの言葉)

自分では気づかないうちに気に囲まれている

論語もそう教えてくれる

思い付きノート

期間は2倍,費用は3倍

法と規格は天から降ってくる?

どの会社に就職したらいいでしょう?(その1)

どの会社に就職したらいいでしょう?(その2)

どの会社に就職したらいいでしょう?(その3)
旧版著者からの熱い思い

ものがわかるということ

私生活における思考展開図の活用法

学生の着想
見たいものしか見えない

分解から学ぶ(その1)

分解から学ぶ(その2)

3Dプリンタ
システムの構造性と視点の移動

編集作業もグローバル

はじめに

 技術を取り巻く世界がどんどん変わっている.機械設計を取り巻く世界も同じだ.設計のやり方や道具もどんどん変わっており,さらには設計者が頭の中で考えなければならない事柄と持つべきイメージも,社会や産業が発展するにつれて変わってきている.昔は多くの場合,お手本となるものがあり,それをもとにして自分が作りたいものを考えて設計していた.しかし,技術が発達するにつれて設計者に求められることはこのような「前例踏襲型」から,「機能実現型」,さらに「価値発掘型」に変わってきている.設計者には,社会が求める要求や,社会が未だ気づいていない価値を発掘し,それらを実現するための機能を分析し,機構や構造に具体化した製品を示すという創造的な活動が求められているのである.そこには,時代が変わっても変わらないもの,つまり,「自分で考える力」が必要である.本書では,このような,創造的な思考プロセスを目に見える形にして設計を適切に行える考え方として,本研究会で考案した「思考展開法」を紹介し,その実践的な使い方について解説する.

 現在,情報技術とその活用手法の発展に伴い,「設計知識のコモディティ化(誰でも同じような知識がすぐ手に入る)」が進んでいる.インターネットで最新の情報が手に入るだけでなく,過去に設計・生産されたものの図面は大容量のデータサーバに保存され,いつでも閲覧可能になってきている.また,従来は個々の設計者しか存在を知らなかったような技術文書も高機能化された検索エンジンによって簡単に引っ張り出せるようになってきた.昔から設計者固有の知識と考えられていたものは,だれでも・どこでも・いつでも手に入るものになりつつある.したがって十分な知識や経験のない初級設計者であっても,あたかも十分な知識や経験の下で行ったかのように見える結果を提示することができる.組織もその上に成り立つようになる.しかし,「自分で考える力」が身についていないと,過去の延長線上の設計しかできず新しい価値を生み出すことができない.それだけでなく,これまでの知識や経験から漏れたことや,想定外の状況が生じると,その設計結果で作られたものが大失敗や大事故を引き起こす可能性すらあるのである.

 このような状況で設計者に求められるのは何だろうか? 本書に示した考え方や方法がその答えである.既知の課題を既存の設計知識で解決する方法だけでなく,社会の未知の要求を発掘し,求められる機能を定義する.さらにそれらの機能を実現するための機械(メカニクス,エレクトロニクス,ソフトウェア)を具体的に考える.この考えを進める方法が,筆者らが示す「思考展開法」であり,体系的に表記したものが「思考展開図」である.本書では,これまで本研究会で蓄積してきたメカニクスの知見を体系的に示すことに加えて,今日までに飛躍的に進歩したエレクトロニクスとソフトウェアについても基本的かつ本質的な考え方を示している.


 こうしてできた本書の特徴を挙げよう.本書には次の特徴がある.
 
 ○実際に広い意味で設計に携わっている者が日頃考えていることをもとにして作った本であること.
 
 ○本書は全体を通して筆者らが開発した「思考展開法」に依っていること.
 
 ○メカ・エレキ・ソフトの技術要素を融合させた設計のやり方に対応していること.
 
 ○実際に設計して得られた暗黙知がはっきりとしたことば(形式知)として書かれていること.


 「実際の設計~機械設計の考え方と方法~」(前著)が出版された1988年から26年が経過した.その間,多くの人々がこの本を参考にしながら,機械設計を学んできた.本書では,時代を超えても変わらない本質的な考え方は前著を踏襲した上で,冒頭から述べてきたような機械設計を取り巻く状況の大きな変化に対応して新たに作り直した.
 
 ●設計作業の環境変化への対応としては,手描きの2次元図面の描き方からCAD/CAM/CAEといった設計システムの活用方法に内容を更新した.
 
 ●技術を取り巻く環境変化への対応としては,鉄鋼や自動車など鉄製の重い機械を中心とした記述から,情報機器などの軽くて小さい製品で必要となるエレクトロニクスやソフトウェアの基礎についても盛り込んだ.
 
 ●事業環境の変化に対しては,ただ製品を売り切る事業モデルから,運用・保守サービス等を含めたソリューションの一環として製品を売る事業モデルの重要性を説いた上で,社会が求めているものを敏感に感じ取り,自ら考え,調べ,試して作り出すという設計者の心構えから具体的な考え方までを追加した.前述の「思考展開法」も,このような事業環境の変化に対応した思考法である.


 本書は前著で学び,実際に産業界で活躍し,従来の機械設計よりさらに広い意味の設計に従事してきた「実際の設計研究会」のメンバで作ったものである.主なメンバは,前著と同じく東京大学工学部機械系学科の研究室の卒業生たちである.ここで特筆すべき前著との違いがある.それは,同門の卒業生(機械系)以外の仲間が増えたことである.26年間の「実際の設計研究会」を中心として派生した種々の活動を通じて出会い,志を同じくしたメンバが自然に合流し,今や主力メンバの一角を成すまでになっている.エレクトロニクスやソフトウェアの第一線で仕事をしている仲間が増えたことにより,設計の基本的な考え方は機械に限ることなく,広く他の工学分野,システムやソフトウェアなどの設計にもそのまま敷衍することを本書に記すことができるようになったのである.


 本書の目指すものは次のようなものである.

 まず,“設計とは,規格や基準といった決まりや,過去に実績のある設計を踏襲し改善することが基本になる”という考えではなく,“設計とは,自分の頭で必要な働き(機能)を考え,それを実現する方法(機構・構造)を選択・決定することだ”という考えを元にしている.

 次に,どのような機能が求められるのか,それを実現する実物はどのようになるのかを考える「機能から機構・構造へと展開する」という思考展開の考え方を基本にして,頭の中の考えの順番を明らかにしようとしている.

 さらに,その求められる機能を考える際も,世の中が求める価値が何であるのかをまず考え,それを目的とみなして思考展開を行い,その実現する方法として求められる機能を捉えている.このように価値と機能のマッピングを行うことで,実現しようとしているものをより社会の求めるものへと近づけるようにしている.

 また本書では「目に見える現象を追って,マクロなメカニズムを考える」だけでなく,「目に見えない微小な現象または原子レベルでの現象を推測すること」,言い換えれば「マイクロメカニズムを考える」,という考え方を取り込んでいる.

 このような考え方ややり方は,社会や技術が大きく変わりゆく中で,機械設計や機械技術がただ単に生き延びていくことを目指すのではなく,将来の人間がより豊かに生きていくことを支えることを目指す,最も基本的な技術であり,それに携わる世界の技術者にきちんとした機械設計の考え方を伝達することを目指している.

 具体的な内容と章の構成は次の通りである.

 第1章~第4章で設計の考え方とその具体的なやり方までを取扱い,第5章~第9章で設計に不可欠な知識を,第10章ではCAD,CAM,CAEについての考え方を解説している.さらに,第11章では設計を行った具体例を述べ,第12章で技術と設計者の将来について述べている.

 (1) 設計とはどんなものか → 第1章 設計の意義

 (2) 何をどんな手順で決めるか → 第2章 設計のプロセス

 (3) 考えをどう作るか → 第3章 設計の構想をつくる

 (4) 考えをどう具体化するか → 第4章 機能・機構の実現

 (5) 設計に不可欠な力の知識 → 第5章 設計に必要な力の知識

 (6) 形と大きさを決める → 第6章 寸法

 (7) どんな材料を使うか → 第7章 材料

 (8) 必ず使う基本要素 → 第8章 設計に不可欠な部品の知識

 (9) どうやって作るか → 第9章 機械の製作

 (10) どんな手段で設計するか → 第10章 設計の手段
 
 (11) たとえばこうなる → 第11章 設計の具体例

 (12) 技術と設計者はどうなるか → 第12章 技術の将来と設計


 この本を作るにあたっては,次のような人達が読者になることを想定した.

 ●初めて設計の演習をやる大学や高等専門学校などの学生
  (例:大学工学部の2,3年生,高専の4,5年生)

 ●初めて実際の実験装置を設計する大学や大学院の学生
  (例:研究室の学部の4年生,修士の1,2年生)

 ●初めて設計の演習に出会った職業訓練校の学生
 
 ●会社に入り本格的な設計者になろうとしている人

 ●会社に入り設計者として育成されるためのコースに入り,自ら仮想的な設計訓練を受けようとしている人
 
 ●完全な設計教育を受ける機会がないまま,実際に設計をやっている人

 ●従来から長く設計に携わってきたが,もう一度設計そのものを見直し,自分の設計に対する考え方をより進歩させようとしている人
 
 ●新たにCADやCAMなどのシステムを構築する人

 ●直接的な設計は行わないが,商品企画や事業企画等を立案し,創造的な活動をすることが会社の将来を決定すると考え,それを実現しようと考えている人


 この本はただ単に設計を知り,理解することを求めているのではなく,実際に頭を使い,手足を動かして,実際にものを作るための設計ができるようになることを目指している.

 本書では,通常の本には全く書いてない長く設計に関わっている技術者の持つ“暗黙知”を例示している部分がある.これらは実際の設計者が長い経験によって作り上げたもので,それがないと具体的に設計を進めることができないという種類のものである.このような暗黙知は,活動する範囲や設計を適用する範囲によって異なるものであるが,本書には,旧版の機械設計の知識を強化したのはもちろんのこと,新たに加わったエレクトロニクスやソフトウェアを専門とするメンバーが持つ暗黙知についても記してある.

 また,設計した設計図面を後続設計者が見て設計内容を正しく理解するには図面の形になっていないものでも,なぜそれを選んだか,なぜそう決めたかを書いてあるもの(これを“裏図面”ということがある)が非常に重要である.本書を読むことによって,裏図面に必要になる事柄や記述の仕方などを考えるようになる.広いメニューを示し,その中から選択を求めるような設計の仕方では,実際の設計を完遂することはできない.大事なことは“中らずといえども遠からず”の精神で実物に正対し,決定をしていくことである.実物に正対し,設計し,設計に親しみを覚え,自分の頭の中にある像をより明晰なものにし,社会が求めるものを実現しようとして日々研鑽を積んでいくのが設計をする者に求められていることである.


 以上のような内容になっているので,この本の読み方には読者諸氏の目的によってさまざまなものが考えられる.

 ●設計を生まれて初めてやろうとする人は →1,2,3,4章の順に読む.
 
●いきなり設計をやり,図面を描きたい人は→6~11章を読む.

 ●設計を改めて考え直したいという人は  →1,2,3,4章の順に読む.

 ●設計システムなどを考えたい人は    →1~4章および10章を読む.

 ●設計を広い意味で考え,事業企画や組織の企画,それから商品の企画などを考えている人は  →1~4章および12章を読む.


 本書の執筆者は次の23人である.そのうち前著(『実際の設計』)に関わった者でこの新しい本書を作るのに関与したのは4名である.それ以外は前著を使いながら実際の設計を学び,さらに社会で広い意味の設計活動に関与し,新しい時代の技術の進歩に大きく影響され,それらを吸収した者たちである.


〈執筆者〉
畑村洋太郎 原秀夫 関田真澄 米山猛 山本佳男 稲城正高 松岡茂樹
松本潔 一木克則 土屋健介 高橋宏知 畑中元秀 藤岡聡太 辻直志
長藤圭介 秋葉晃介 田中文 若林秀 池島翔太 伊藤泰則 藤田和彦
安河内正也 畑村太郎


 このようにしてできあがった本書の内容を,実際に新しいものを設計しようとしている読者に少しでも実践してもらい身につけてもらえれば,執筆者一同の大きな喜びである.


2014年12月

執筆者一同

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