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CFRP(炭素繊維強化プラスチック)の切削加工

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07346-5
コード C3053
発行月 2014年12月
ジャンル 機械

内容

CFRPは成形後の部材を接合するために切削加工による穴あけが不可欠であるが、多くの機械加工メーカーにとってCFRPは未体験の被削材である。本書は、CFRPの切削加工の研究に10年以上取り組んできた著者によるCFRPの切削加工の初の技術書。

柳下福蔵  著者プロフィール

(やぎした ふくぞう)
神奈川県出身。
静岡大学工学部精密工学科卒業(1969年)、同大学院修士課程修了(1971年)。
沼津工業高等専門学校助教授(1976年)。
大阪大学工学博士(1982年)。
沼津工業高等専門学校教授(1984年)。
沼津工業高等専門学校地域共同テクノセンター長(2003年)。
沼津工業高等専門学校副校長(教務主事)(2006年)。
現在、独立行政法人国立高等専門学校機構沼津工業高等専門学校長。
国際生産加工研究協会(SME)会員。
主な著書:
「機械設計法」、塚田忠夫・吉村靖夫・黒崎茂・柳下福蔵共著、森北出版(1999年)

目次

はじめに
推薦の言葉

第1章 CFRPの材料特性
1.1 航空機、自動車分野で使用が広がるCFRP
1.2 熱硬化性CFRP
1.3 熱可塑性CFRP
1.4 CFRP積層断面体の顕微鏡観察結果
1.5 CFRPの材料特性の要約

第2章 CFRPのための切削工具と切削方法
2.1 CFRPの被削性の特徴
2.2 CFRP用切削工具の材質と種類
2.3 ドリルによる超音波ねじり振動援用穴あけ加工
2.4 エンドミルによるスパイラル穴あけ加工
2.5 工具選定および切削方法の指針

第3章 CFRP単体の穴あけ加工
3.1 φ1mmの穴あけ加工
3.2 超音波ねじり振動を付加したφ1mmの穴あけ加工
3.3 超音波ねじり振動を付加したφ3mmの穴あけ加工
3.4 φ6mmの穴あけ加工におけるドリル加工とエンドミルによるスパイラル加工の比較
3.5 超音波ねじり振動援用加工およびスパイラル加工の効果

第4章 CFRP/Ti合金重ね板の穴あけ加工
4.1 CFRP/Ti合金重ね板のスパイラル穴あけ加工
4.2 CFRP/Ti合金重ね板のドリル加工とスパイラル穴あけ加工の比較
4.3 スパイラル穴あけ加工後のリーマ仕上げとミーリング仕上げの比較
4.4 スパイラル穴あけ加工の実用化の指針

第5章 CFRP/Ti合金重ね板用スパイラル穴あけ加工装置の開発
5.1 二重偏心回転駆動機構
5.2 エアモータ駆動スパイラル穴あけ加工装置
5.3 モータビルトイン型スパイラル穴あけ加工装置
5.4 スパイラル穴あけ加工に適したエンドミルの開発
5.5 スパイラル穴あけ加工装置の実用化に向けての指針

第6章 ハニカム材の穴あけ加工
6.1 アラミドハニカム材のスパイラル穴あけ加工とドリル加工の比較
6.2 AFRP-ハニカム-AFRPの加工評価
6.3 CFRP-ハニカム-CFRPの加工評価
6.4 アラミドハニカム材の穴あけ加工結果の考察

参考文献および著者の研究論文・特許
おわり
索 引

はじめに

 軽くて強いという優れた性質をもつCFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、航空機や自動車の構造材料としての用途拡大が期待されている。CFRPは一体成形が可能で複雑な曲面を自由に成形できるのも長所であるが、成形後の部材を接合するためにはリベットを通す穴あけのために切削加工が不可欠である。しかし、CFRPは金属材料とは大きく性質が異なり、多くの機械加工メーカーにとって未体験の被削材である。本書は、著者が10年以上にわたってCFRPの切削加工に取り組んできた研究成果を元に、CFRPの切削加工で発生する問題を解決するために役立つ実用的な知識と方法を解説している。
 著者がCFRPの切削加工に取り組んだのは、2000年頃、沼津工業高等専門学校での教え子だった西島武君(当時、東邦テナックス勤務)からCFRPのテストピースをプレゼントされたことがきっかけであった。
 2005年5月、米国コロンビア大学で開催された第33回北米生産加工研究会議(NAMRC33)で金属のバリレス穴あけ加工に関する研究成果を講演発表する機会に恵まれ、質疑応答の際にCFRPの穴あけ加工も試験していることに言及すると、最前列におられたボーイング社のTechnology Research AnalystのJohn Hanks氏から「ところで、穴の内面を観察されましたか?」とのコメントを頂戴した。帰国後、直ちにCFRP試験片をアブレイシブウオータージェットで切断して、穴の内面を顕微鏡でくまなく観察した。その結果、特定箇所に異常な窪み(クレータ)が存在することを発見して驚き、「どのようなメカニズムでこの窪みが発生するのか?」という疑問にとりつかれた。これを機にCFRPの穴あけ加工の研究に本格的に取り組むこととなった。
 同年、大阪大学名誉教授・神戸大学名誉教授の岩田一明先生から、ヨーロッパの文献“K.Weinert and C.Kempmann:Comparing Drilling and Circular Milling for the Drill Hole Manufacture of Fiber Reinforced Composites, Production Engineering Vol.XII/2(2005)”を紹介いただき、我が研究室においても牧野フライス製マシニングセンタを使用してCFRPのエンドミルによるスパイラル穴あけ加工とドリル加工の比較試験を開始した。
 2007年には、CFRPの穴内面に発生する異常な窪み(クレータ)の発生機構を裏付ける貴重な実験データを検出でき、併せて直径4mm以上の穴あけ加工にはエンドミルによるスパイラル加工の方がドリル加工より全ての点で優れているとの確信をもつに至った。この頃、航空機の機体組立現場で技術的に最も改善が求められているのは、CFRPとTi合金の重ね板の穴あけ加工であるとの情報を入手し、早速、重ね板の穴あけ加工試験に着手したところ、スパイラル穴あけ加工の優位性を確信する結果となった。
 2009年以後は、スパイラル穴あけ加工が航空機の機体組立現場で実現できるようにすることを目標として、「二重偏心回転駆動機構」を新たに考案した。幸運なことに、静岡TLOと連係して申請したNEDOマッチングハンドに採択され、信濃製作所に二重偏心回転駆動機構の原理に基づくエアモータ駆動のスパイラル穴あけ加工装置を設計製造していただくことができた。この試作一号機でCFRPとTi合金の重ね板に無事穴あけ加工が実現できた時の感動は、立ち会っていた関係者から「ヤッタ、万歳!」の歓声が発せられるほどであった。
 以前より、元・日刊工業新聞社の武藤朔恵氏にCFRPの切削加工の書籍の執筆を薦められていたが、同社書籍編集部の森山郁也氏の依頼により執筆を決意することになった。森山氏をはじめ関係各位に感謝の意を表します。

2014年12月  柳下 福蔵

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