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きちんと知りたい
粒子表面と分散技術

定価(税込)  2,808円

著者
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サイズ A5判
ページ数 272頁
ISBNコード 978-4-526-07321-2
コード C3043
発行月 2014年11月
ジャンル 化学

内容

ペースト、塗料などは粒子の分散状態に大きな影響を受け、その制御や安定化は重要な課題の1つである。さらに粒子分散の制御や安定化には、粒子の表面性質をよく理解する必要もある。本書では、分散とはそもそもどのような作業なのか、という基本から、粒子、分散剤、溶剤の組み合わせ方、分散配合設計などで実務者が必要となる知識、情報、考え方について粒子表面技術とともに解説する。

小林敏勝  著者プロフィール

(こばやし としかつ)


1980年    京都大学大学院工学研究科工業化学専攻修士課程 修了

同 年    日本ペイント株式会社 入社

1993年    京都大学博士(工学)「塗料における顔料分散の研究」

2000年    岡山大学大学院自然科学研究科 非常勤講師(2000 年度のみ)

2002年~   社団法人色材協会理事

2002~2005年 色材協会誌編集委員長

2010年    社団法人色材協会 副会長 関西支部長

2010年~   東京理科大学理工学部 客員教授

2010年    日本ペイント株式会社 退職

2011年    小林分散技研 代表
工学博士


1989年    色材協会賞 論文賞、1997年 日本レオロジー学会賞 技術賞、1998年 色材協会賞 論文賞、2009年 大阪工研協会 工業技術賞

福井 寛  著者プロフィール

(ふくい ひろし)


1974年    広島大学大学院工学研究科修士課程修了

1974年    (株)資生堂入社
工場、製品化研究、基礎研究(粉体表面処理)などの研究に従事。香料開発室長、メーキャップ研究開発センター長、素材・薬剤研究開発センター長、特許部長、フロンティアサイエンス事業部長、資生堂医理化テクノロジー株式会社社長などを歴任。

2010年    福井技術士事務所 設立

現在    福井技術士事務所 代表

日本化学会フェロー
工学博士(名古屋大学)、技術士(化学)、APEC Engineer、International Professional Engineer

東北大学未来科学技術共同研究センター 客員教授

非常勤講師:早稲田大学、山梨大学、近畿大学、千葉工業大学、日本女子大学

学術振興会第151委員会 企画委員、日本技術士会 化学部会幹事

(社)技術知財経営支援センター 理事


1985年度色材協会論文賞、1991年度色材協会技術賞、1992年度日本化学会化学技術賞、1995年度日本化粧品技術者会優秀論文賞、2000年度日本化粧品技術者会優秀論文賞、2012 JSCM Most Accessed Review Award


主な著書

「おもしろサイエンス美肌の科学」日刊工業新聞社、「トコトンやさしいにおいとかおりの本」日刊工業新聞社(共著)、「トコトンやさしい界面活性剤の本」日刊工業新聞社(共著)、「トコトンやさしい化粧品の本」日刊工業新聞社 など

目次



第1章 分散の基礎
1.1 粒子分散とは
1.2 ブレーキング・ダウン法とビルディング・アップ法
1.2.1 ブレーキング・ダウン法

1.2.2 ビルディング・アップ法
1.3 一次粒子と二次粒子
1.4 分散の単位過程
1.4.1 濡れ
1.4.2 機械的解砕
1.4.3 分散安定化
1.5 分散安定化機構

1.5.1 静電斥力による分散安定化

1.5.2 高分子吸着による分散安定化
1.6 成分間親和性の考え方


第2章 粒子の特徴を知る

2.1 粒子の作り方

2.1.1 ブレーキング・ダウン法

2.1.2 ビルディング・アップ法

2.2 粒子的性質
2.2.1 粒子の大きさ
2.2.2 粒子の形状

2.2.3 粒子の光学特性

2.2.4 粒子の密度
2.2.5 粒子の力学的特性

2.3 粒子の表面の性質

2.3.1 幾何学的構造

2.3.2 吸着

2.3.3 表面積と細孔分布

2.3.4 表面官能基

2.3.5 等電点

2.3.6 電荷

2.3.7 濡れ

2.3.8 粒子と液体の混合比

2.4 触媒活性
2.4.1 触媒

2.4.2 触媒反応の測定と解析

2.4.3 触媒活性の発現機構
2.4.4 固体酸・塩基

2.4.5 酸化・還元
2.4.6 光触媒

第3章 実務に役立つ分散技術

3.1 粒子の分散状態と分散液の性質

3.1.1 流動性

3.1.2 沈降

3.1.3 乾燥被膜の性質

3.1.4 複数種類の粒子が共存する際に起こる現象

3.2 粒子分散評価法

3.2.1 分散度の評価

3.2.2 フロキュレートの評価

3.3 有機溶剤系における粒子分散

3.3.1 非水電位差滴定法による高分子と粒子の酸塩基的性質の評価

3.3.2 酸塩基相互作用の考え方に基づく粒子分散性に優れたバインダー樹脂の設計例

3.3.3 阻害効果

3.3.4 色素誘導体
3.4 水性系における粒子分散

3.4.1 水の特異性

3.4.2 粒子の水に対する濡れ

3.4.3 実用的な水性粒子分散系での分散安定化機構

3.4.4 粒子表面の最適親水ー疎水性度

3.4.5 共存有機溶剤の影響

3.5 分散剤
3.5.1 界面活性剤

3.5.2 高分子分散剤

3.6 分散配合の決め方

3.7 分散機と分散プロセス

3.7.1 分散に用いられる一般的な分散機

3.7.2 分散プロセス

3.7.3 ナノサイズ分散機とその特徴

3.7.4 過分散
3.7.5 さらなる高分散度を目指して


第4章 効果的な分散のための表面処理技術

4.1 固相による方法

4.1.1 メカノケミカル反応

4.1.2 ナノ・ミクロン粒子複合化

4.2 液相での反応
4.2.1 粒子への金属の被覆

4.2.2 粒子への金属酸化物の被覆

4.2.3 粒子への有機物の被覆

4.3 気相による方法

4.3.1 プラズマ処理
4.3.2 PVD法による微粒子の表面改質

4.3.3 CVD法


第5章 粒子表面と粒子分散に必要な基礎知識

5.1 表面のキャラクタリゼーション
5.1.1 ろ液の分析

5.1.2 粒子の分析

5.1.3 元素分析

5.1.4 クロマトグラフィー

5.1.5 構造分析

5.1.6 表面分析

5.1.7 形態分析

5.1.8 熱分析

5.1.9 化学特性

5.2 溶解性パラメーター

5.2.1 溶解性パラメーターの基本理論

5.2.2 溶解性パラメーターの成分分け(三次元溶解性パラメーター)

5.2.3 高分子と粒子のSP値の決定
5.2.4 粒子分散におけるSPの利用

5.2.5 溶解性パラメーターと表面張力


付録 表面処理前後の表面を調べる

6.1 シリコーンナノコーティング

6.1.1 コーティング方法

6.1.2 PMS-粒子表面のポリマーの構造

6.1.3 タイプⅠのPMS-粒子のキャラクタリゼーション

6.1.4 タイプⅡのキャラクタリゼーション

6.1.5 粒子表面でナノ膜が形成される理由

6.1.6 ナノコーティングされた粒子の性質

6.2 機能性ナノコーティング
6.2.1 ペンダント基の付加
6.2.2 ペンダント基付加粒子の分散性


索引

著者紹介

はじめに

 粒子材料は通常、スラリー、ペーストと呼ばれる懸濁液の状態や、インキ、塗料のような高分子バインダー溶液中に分散された複合体の状態を経て、最終的には種々の方法で基材に塗布・乾燥(場合により焼成)されて被膜やパターンを形成し、所望の機能を発現する。これら懸濁液や複合体の性質、最終的な被膜やパターンの性能は、粒子の分散状態により多大な影響を受け、その制御や安定化は重要な課題の1つである。

 近年では、より高度な機能や軽量化・微細化が要望され、使用される粒子材料の微粒化が必要とされるが、微粒化すればするほど粒子の表面積が増大し、分散制御の困難度も増加する。

 粒子分散の制御や安定化には、まず、粒子の表面性質をよく理解する必要がある。粒子の性質といっても、粒子の大きさや形状などの幾何学的因子や、表面張力、極性、酸塩基性などの物理化学的因子、場合により反応性や触媒活性などの化学的因子などがあり、必要に応じて適宜、その評価と計測が必要となる。

 また、目的とした粒子の分散状態が得られているか否かを適切に評価できることも重要である。

 次に、粒子表面の性質と適合した分散剤やバインダー、溶剤を組み合わせ、いわゆる分散配合を設計するのであるが、組み合わせ方には基本的な考え方がある。溶剤が有機溶剤か水系(若干の高極性有機溶媒を含有する場合も含め)かで、分散安定化のメカニズムや溶媒の表面張力が異なるので、考え方は同様ではない。

 粒子と溶剤だけ、もしくはバインダーを用いる系では粒子とバインダー、溶剤だけで、組み合わせの工夫により目的とする分散状態と安定性が得られれば理想的であるが、多くの場合そうはいかない。このため、分散剤を用いたり、粒子の表面をさまざまな手法で処理したりする必要がある。自らの手で処理するだけでなく、粒子の供給元であらかじめ表面処理しておくことも考えられる。

 分散配合設計の次は、いかにして目的とした分散状態へ、時間と消費エネルギー、コストを少なくして到達するかという、分散機、分散プロセス設計が課題となる。

 実用的な粒子分散系を作るためには、上記のような各ステージに対するアプローチが必要であるが、本書では実務者がそれぞれのステージでアプローチするために必要となる知識や情報、考え方を提供することを第一の目的とした。さらに、各ステージではいわゆる「経験と感」によるアプローチが見られるが、系統的な理論体系に基づいて考えると、合理的に解答にたどり着ける場合も少なくない。この意味で、基本理論や系統的な基礎知識を平易に提供することも目的とした。

 各章の章立ては、上記の目的に沿って構成されている。

 第1章では、粒子を分散するというのは、そもそもどういう作業であるかということについて説明する。

 第2章では、粒子分散のために知っておかなければならない粒子の性質および表面の性質とその評価法について説明する。

 第3章では、粒子分散系で一般的に見られ、問題となることも多い性質とその評価法について説明したのち、工業的に利用される実際的な粒子分散系の設計と製造を前提として、粒子と分散剤、溶剤の組み合わせ方ついて具体的に解説する。また、分散剤の製造方法や使い方、各種分散機の特徴、分散プロセスについても解説する。

 第4章では、粒子の固相、液相、気相における表面処理について説明する。

 第5章では、粒子分散系の設計と評価で知っておいたほうが良い粒子表面と粒子の分散技術に必要な基礎技術として表面分析および溶解性パラメーターと表面張力(表面自由エネルギー)について平易に解説する。

 また付録では、「機能性ナノコーティング」の表面処理前後のキャラクタリゼーションとその分散評価を紹介する。
  
2014年11月

小林 敏勝、福井 寛

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