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おもしろサイエンス
粉体の科学

定価(税込)  1,728円

著者
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サイズ A5判
ページ数 144頁
ISBNコード 978-4-526-07328-1
コード C3034
発行月 2014年11月
ジャンル ビジネス 化学

内容

粉体は、基盤産業から先端産業まで幅広い産業分野において用いられており、研究者、技術者以外でも粉体に興味をもつ人が多くなっている。本書は、粉体のつくり方とつかい方の本質を一般の人たちにも理解してもらえるように平易に解説する。

内藤牧男  著者プロフィール

(ないとう まきお)
大阪大学接合科学研究所教授。1982年3月、名古屋大学大学院修士課程修了。工学博士(1987年、名古屋大学)。2002年6月より現職。2002年、Richard M. Fulrath賞(アメリカセラミックス学会)、2010年よりアメリカセラミックス学会フェロー。2011年よりWorld Academy of Ceramicsアカデミー会員。上海交通大学客員教授、上海珪酸塩研究所客員教授など。研究分野は微粒子の複合化などによる構造制御。微粒子、粉体を利用した材料の微細構造制御と機能化など。主な著書には、「Nanoparticle Technology Handbook」(Editor, Elsevier)、「初歩から学ぶ粉体技術」(森北出版)、「究極の粉をつくる」(日刊工業新聞社)などがある。

野田直希  著者プロフィール

(のだ なおき)
一般財団法人電力中央研究所主任研究員。1998年3月名古屋大学大学院修士課程修了。博士(工学)(2012年、名古屋大学)。1998年4月、財団法人電力中央研究所入所、現在に至る。これまで微粉炭火力発電所の環境対策技術を中心に、集塵技術や排ガス計測技術の研究などに従事。

牧野尚夫  著者プロフィール

(まきの ひさお)

一般財団法人電力中央研究所首席研究員。1979年3月、京都大学大学院工学研究科化学工学専攻・修士課程修了。工学博士(1995年、京都大学)。1979年4月、財団法人電力中央研究所入所、現在に至る。現在、九州大学客員教授、群馬大学客員教授、粉体工学会・会長、(一社)日本エネルギー学会・副会長。これまで、火力発電所、特に微粉炭火力発電所関連技術を中心に、微粉炭の燃焼技術、集塵技術、石炭高品位化技術および粉体計測技術などに従事。主な著書に、「はじめての集じん技術」「粉体技術が挑む 究極のエネルギーと環境調和」(いずれも日刊工業新聞社)などがある。

粉体工学会ホームページ〔http://www.sptj.jp〕

目次

はじめに

第1章 
粉体とは

1   粉とともに進化した人類

2  産業発展を支える無数の粉たち

3  粉体の名付け親は?

4  無数の粒子から構成される粉体

5  膨大な表面から構成される粉体

6  粉体と粒体の違いは?

7  粉体を構成する粒子の大きさの決め方

8  粉体は魔物か?

9  ナノ粒子、PM2・5も粉体の仲間
10  自在に姿を変えて世の中に役立つ粉体


第2章
粉体の作り方いろいろ

11  気体を粉体に化けさせる

12  液体を粉体に化けさせる

13  固体を壊して作る粉体
14  欲しい粉体を取り出す

15  粉体を集めて大きな粒子を作る



第3章
粉体の使い方いろいろ

16  気体の中で粉体を集める
17  液体の中で粉体を集める
18  粉体を混ぜる
19  気体の中で大きさごとに粉体を分ける

20  液体の中で大きさごとに粉体を分ける

21  粉体から「形」を作る
22  粉体を浮かせる

23  粉体の塊をバラバラにする

24  気体で粉体を運ぶ

25  液体で粉体を運ぶ

26  粉体を乾かす
27  粉体を燃やす
28  粉体を貯める

29  粒子の構造を自在に制御する

第4章
粉体はこんなところで使われる

30  うどん打ちの達人は粉体マイスター

31  美味しいデザートとコーヒーにも粉体

32  お肌を美しくするための粉体
33  粉体で健康を保つ

34  エネルギーをクリーンに供給する粉体

35  文化財や伝統を支える粉体

36  試験勉強を簡単にした粉体


第5章
粉体にまつわる不思議なお話

37  同じ名前でも性質は異なる粉体の不思議

38  火山爆発がもたらす意外な被害

39  黄砂に潜む危険

40  古代粉体工学の成立

41  粉体の流れが作り出す不思議な現象

42  粉体が作る芸術 1
43  自然から学ぶ粉体技術

44  粉体ハンドリングを阻むサブミクロンの谷間

45  砂漠のラクダは珪肺にならない?

46  莫大なエネルギーを必要とする粉体技術


第6章
粉体がひらく明るい未来

47  ものづくりの常識を変える3Dプリンターのカギを握る粉体

48  ビー玉が貴重品に変わる

49  ノーベル賞に貢献した粉体たち

50  清浄空間を制御する粉体技術

51  エネルギーの未来をひらく粉体

52  健康・長寿に貢献する粉体

53  まだまだ発展する粉体によるものづくり




おわりに

Column



混沌会

お母さんの自転車

南極の不思議

鶏鳴狗盗
お菓子の黄金比

5・5人

長寿企業

接着と分離




索 引

はじめに

 「粉体」は大変身近な存在です。小さい頃遊んだ砂場、家で飲むコーヒー、台所で使った小麦粉、おしゃれに使う化粧品など、私たちは日々粉体に囲まれて生活しています。さらに粉体は大変重要な存在です。粉体は、ほぼあらゆる工業製品に使用され、私たちの生活に不可欠な水、空気、エネルギーなどのインフラを支えています。しかし、粉体を取り扱うことは大変難しいこともよく知られています。粉体を細かくしていくとお互いにくっついてしまう、粒子を液体中にうまく混ぜることができないなどの経験をされた方は多いと思います。特に粉体を構成している個々の粒子は肉眼では識別できない程度に小さいので、その取扱いが困難なことは当然かと思います。

 そのため産業界では、「粉体は魔物」、「粉体はノウハウの塊」などといわれてきたのも事実です。書店に行くと、粉体を取り扱った本は数多く出版されています。「粉体入門」といった基礎的なものから、「粉体のトラブル対策」のような実用的なものに至るまで、さまざまな本があります。そしてこのことが、粉体が一筋縄ではいかない存在であることを端的に物語っています。これらの出版物は読者に多くの情報を与えます。特に最近ではインターネット検索によって目的とする大量の情報が短時間で得られます。しかし、このようにして得られた膨大な情報を自らが抱えている問題の解決、あるいは研究開発などに役立てることが難しいと感じた読者は多いのではないでしょうか? 

 その主な理由は、これらの情報を使いこなすために必要な粉体に対する本質的な理解が十分でないためであると思います。「粉体とは何か?」、「粉体の特徴は何か?」などを正しく知れば、これらを基礎として膨大な情報を頭の中で再整理することによって自らの使える知識に容易に変換することができます。しかし、これらの基礎を短い時間で理解することは並大抵ではありません。特に文系が専門の方や粉体を取り扱った経験のない方には、なかなか理解しにくいことと思います。

 そこで本書では、できるだけ楽しく、かつ容易に、粉体とその特徴、取扱い方を理解してもらうことを目的としました。まず、第1章の「粉体とは」で粉体の本質を理解し、それを基に、第2章、第3章、第4章で粉体の取り扱い方を学んでもらおうと思います。そして第5章では「コーヒーブレイク」として粉体のもつ多様な性質を楽しんでもらい、最後の第6章で粉体のもつ豊かな未来を感じていただければと考えています。
 
本書が、粉体を初めて学ぶ方だけでなく、粉体の取り扱いに困っておられる方など、粉体に関わるさまざまな読者の「粉体を使いこなすためのヒント」になればと願っています。
 
最後に本書の出版に対して協力いただいた、小澤隆弘、近藤光、谷野忠嗣、野間淳一、横山豊和の各氏(五十音順)に、また、日刊工業新聞社の辻總一郎氏に謝意を表します。



2014年11月             

著者を代表して 内藤 牧男

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