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プレス加工の品質向上と品質管理
抜き、曲げ、絞りの品質を究める!

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 270頁
ISBNコード 978-4-526-07306-9
コード C3053
発行月 2014年10月
ジャンル 機械

内容

世界トップレベルに君臨する日本のプレス産業は、いま新興諸国から激しい追い上げを受けている。この優位性を保つためには、さらなる品質向上と品質管理が必要だ。本書は、そのために取り組むべきことなどをわかりやすく解説したもの。新たな飛躍を目指す企業・プレス関係者にとって必読の書。

吉田弘美  著者プロフィール

(よしだ ひろみ)
1939年 東京都生まれ
1966年 工学院大学機械工学科卒業
1959年 松原工業株式会社入社。品質管理、金型設計、生産管理、生産技術などの職務を歴任
1975年 同社を退社。同年、株式会社アマダ入社
1979年 同社を退職し、吉田技術士研究所を設立。現在に至る
●著 書
「プレス金型の標準化」「金型加工技術」「金型のCAD/CAM」「よくわかる金型のできるまで」「プレス加工のトラブル対策」「金型設計基準マニュアル」「プレス金型設計・製作のトラブル対策」「プレス作業の基礎知識Q&A」「プレス加工のツボとコツQ&A」「トコトンやさしい金型の本」「絵とき『プレス加工』基礎のきそ」「絵とき『みがき加工』基礎のきそ」「板金作業の基礎知識Q&A」など多数

目次

はじめに

第1章 プレス加工品の品質向上とその特徴
 1―1 プレス加工法の特徴と品質特性
 1―2 プレス加工独特の品質管理の方法
 1―3 プレス加工品の検査方法
 1―4 現場での品質保証
 1―5 品質と納期およびコストとの関係
 1―6 製品のロット管理と確認方法

第2章 抜き加工の品質向上と品質管理
 2―1 抜き加工の原理と品質への影響
 2―2 バリの発生原因とその対策
 2―3 形状および寸法精度の向上
 2―4 生産上のトラブルの原因と対策
 2―5 抜き加工品の測定と検査上の注意

第3章 曲げ加工の品質向上と品質管理
 3―1 曲げ加工の原理と品質への影響
 3―2 曲げ角度の不良の原因とその対策
 3―3 形状不良および外観不良の原因とその対策
 3―4 生産上のトラブルの原因と対策
 3―5 曲げ加工品の測定と検査上の注意

第4章 絞り加工の品質向上と品質管理
 4―1 絞り加工の原理と品質への影響
 4―2 製品の用途と品質特性
 4―3 しわおよび割れの発生とその対策
 4―4 寸法不良の発生とその対策
 4―5 生産上のトラブルの原因と対策
 4―6 絞り加工品の測定と検査上の注意

第5章 品質向上のためのプレス作業
 5―1 基礎知識と基本作業の修得
 5―2 安全第一の作業とその実施
 5―3 作業標準その他の確認
 5―4 段取りの方法と品質確認
 5―5 治工具と作業の安全化

第6章 金型の機能向上と維持
 6―1 プレス加工での金型の役割と品質への影響
 6―2 金型の種類、構造および製作法
 6―3 金型の点検と異常の発見方法
 6―4 保守整備と品質保証の方法
 6―5 金型の改善と品質向上

第7章 プレス機械および装置の選定と保守点検
 7―1 プレス機械の種類、特徴と選定方法
 7―2 プレス機械の能力および仕様と品質への影響
 7―3 自動化機器の種類と品質への影響
 7―4 プレス機械および機器の精度検査と保守

第8章 材料の品質確認と管理
 8―1 プレス加工に使われる材料の種類と特徴
 8―2 被加工材の品質特性と管理の方法
 8―3 被加工材の変化への対応
 8―4 被加工材の種類と工作油の選定

第9章 異常の発見方法とその後の対策
 9―1 五感で感じる異常の発見
 9―2 センサーなどの機器による異常の発見
 9―3 測定データなどから感じる異常の前兆
 9―4 処置から対策へ
 9―5 よりよい品質を目指して

はじめに

 日本人は品質に対して厳しく、日本で作る製品の品質は世界のトップレベルにあるといわれています。しかしこれは第2次世界大戦後の朝鮮戦争のとき、米軍が日本から軍需物資を調達しようとして、あまりの品質の悪さに困り果てたことから、米軍の指示でデミング博士を始めとする品質管理の専門家を派遣して指導をした結果です。それまでの日本製品は“安かろう、悪かろう”の代名詞にさえなっていたのです。品質管理に関する規格の大部分は統計的品質管理であり、その後長い間、米軍の軍用規格(MIL STD)をそのまま使っていました。
 これと同じ現象がアジアその他の発展途上国でも起きており、価格だけでなく、品質でも日本を上回る例が増えています。わが国のモノづくり現場で、従来の品質管理方法でいかに努力をしても、新興国に追い越されることは、欧米の先進国を日本が追い越したことで証明済みです。
 逆にいえば、これまでの日本の品質レベルまでは、基本的な内容の指導を受ければ、短期間で容易に追いつけるということです。実際、著者のコンサルティングの経験を照らしてもそういえます。韓国および台湾の企業を指導したとき、最先端の高精度電子部品のプレス加工で、日本以上の高精度と段取りの無調整化などを短期間で実現しました。
 ただプレス加工は従来の品質管理の手法では対応できない点が多くあります。このことは新しい品質向上に取り組めば、飛躍する大きなチャンスになります。品質管理部門がいかにデータを取り、集計、分析および評価などをしても、実際に作る製品の品質は何も変わりません。
 品質向上は新人を含むすべての部門と各担当者が、そのための活動をすることで始めて実現します。
 本書では、プレス加工の主役であるプレス加工を担当する人には、これから何をすべきか、何ができるかについて述べました。またそれを支援する金型製作をはじめとする各部門の人達は、何をし、どう貢献するべきかについても述べています。この意味で実際にプレス加工をしていない人も、プレス加工に関係のあるすべての人の役に立つことを願っています。
 本書は初心者の方でも分かりやすいように記述に心掛けましたが、目指す品質の到達点はこれまでの各企業の限界を超える世界のトップレベルです。この点については妥協していません。内容については理解しやすいようできるだけ図や実例を挙げて述べてありますが、分かりにくい部分もあると思います。内容のすべてを理解しようと思わず、日常業務の中ですぐにできることから始め、徐々にその先を目指していただければよいと思います。また1人で全部を理解しようとせず、分かりにくいところは飛ばしたり、専門分野の先輩に聞いたりして下さい。
 品質向上を目指す企業は、全社員を対象とした指導書として、また先輩の人が後輩の基礎教育または各グループでの集合教育を行う場合の参考書として、利用していただければ幸いです。
 この度の執筆に当たり、資料を提供していただいた企業の方々および私の専門分野であり、最も得意とするプレス加工の品質向上と品質管理について執筆の機会を与えていただき、その上適切なアドバイスをしていただいた日刊工業新聞社出版局の野伸一氏に深く感謝致します。

2014年8月 吉田弘美

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