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プラスチック成形加工学の教科書

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 168頁
ISBNコード 978-4-526-07295-6
コード C3043
発行月 2014年09月
ジャンル 化学

内容

「プラスチック成形学」について、やさしく丁寧に解説したもの。プラスチック成形学についてこれまで発行された書籍は、いずれも先端加工技術を中心としたアカデミックな書籍で、入門者には難解な内容になっている。本書は、これらの学術書と実務技術書の間を埋め、それでいて「プラスチック成形学」をきちんと理解することができるやさしい入門書。

井沢省吾  著者プロフィール

(いざわ しょうご)


1958年、愛知県東海市に生まれる。1984年、名古屋大学工学部大学院化学工学科修士課程修了。同年、自動車部品メーカーに入社。以降、プラスチックの成形加工技術の研究・開発に従事する。
〔著書〕「トコトンやさしい化学の本」(日刊工業新聞社刊)

目次

はじめに



第1章
プラスチックの成形加工とは

Section 1 「流す・形にする・固める」
~プラスチック成形加工の基本
Section 2 流す
~高温化し材料を流しやすくする工程

Section 3 形にする
~自分の想い通りの形をつくる工程

Section 4 固める
~自分の想い通りの形に固める工程

第2章
プラスチックを「流す」

Section 5 プラスチックは熱を伝えにくい
~「熱」と「温度」の基本を学ぶ
Section 6 温度変化の遅い樹脂材料
~温度伝導率αとは何か

Section 7 流動化のメカニズム(1)
~外部加熱だけでは、ぜんぜん足りない

Section 8 流動化のメカニズム(2)
~摩擦熱と塑性変形による発熱が必須

Section 9 非晶性樹脂材料とは
~ばらばらな分子配置が好きなわんぱく坊主

Section 10 結晶性樹脂材料とは
~規則正しい分子配置が好きな優等性タイプ

Section 11 非晶性樹脂の流動化
~ミクロブラウン運動をするために流動する
Section 12 結晶性樹脂の流動化(1)
~結晶(固体)が融解して液体になる

Section 13 結晶性樹脂の流動化(2)
~実際の融点はラメラ晶の厚さで決まる

Section 14 樹脂材料の流動特性(1)
~成形加工で最も重要な概念=緩和時間

Section 15 樹脂材料の流動特性(2)
~緩和時間と粘度は簡単に測定できる
Section 16 樹脂材料の流動特性(3)
~高分子は回転しながら、流動する
Section 17 樹脂材料の流動特性(4)
~粘度は、流す速さで変わってしまう

Section 18 樹脂材料の流動特性(5)
~粘度は低温でねばねばに、高温でしゃびしゃびに


第3章 
プラスチックを「形にする」

Section 19 レオロジーとは
~粘弾性材料の流動や変形を論ずる学問

Section 20 ばね模型とダッシュポット模型
~弾性体と流体の素性を簡潔に表現
Section 21 マックスウェル模型とフォークト模型
~粘弾性をわかりやすく説明するモデル

Section 22 変形量が時間とリニアに増加する
~マックスウェル模型での説明 

Section 23 変形量が時間とともに指数関数的に変化
~フォークト模型での説明

Section 24 組み合せ模型
~樹脂材料は物質時間が分布している

Section 25 想い通りの形にならない
~やっかいな記憶現象
Section 26 想い通りの「形にする」ために
~記憶現象抑制のテクニック

Section 27 「形にする」プロセスの材料挙動
~変形の優先順位と形状スケール

Section 28 現実の「形にする」プロセスの分類方法
~形にするツールと力の加え方で分類

第4章
プラスチックを「固める」

Section 29 熱可塑性樹脂を固める
~「固める」とは固体的性質を強めること

Section 30 非晶性樹脂の形状固定化(1)
~ガラス転移点で固体化(ガラス化)

Section 31 非晶性樹脂の形状固定化(2)
~ガラス転移点で比容積が変化する

Section 32 非晶性樹脂の形状固定化(3)
~ガラス転移点は、分子構造で決まる

Section 33 非晶性樹脂の形状固定化(4)
~なぜガラス転移点で固体になるのか?

Section 34 非晶性樹脂の形状固定化(5)
~流動領域、ゴム状平坦領域そしてガラス状領域へ

Section 35 結晶性樹脂の形状固定化(1)
~そもそも高分子は結晶化しにくい

Section 36 結晶性樹脂の形状固定化(2)
~高分子の階層的な構造と結晶の階層的な構造

Section 37 結晶性樹脂の形状固定化(3)
~球晶構造と繊維構造

Section 38 結晶性樹脂の形状固定化(4)
~ラメラ晶はどのように成長するか?

Section 39 結晶性樹脂の形状固定化(5)
~結晶化温度はどのように決まるのか?
Section 40 結晶性樹脂の形状固定化(6)
~結晶化温度をグラフから求めてみよう

Section 41 結晶性樹脂の形状固定化(7)
~体積収縮の大きい結晶性樹脂
Section 42 結晶性樹脂の形状固定化(8)
~急冷し過ぎると、結晶化せずにガラス化する

Section 43 結晶性樹脂の形状固定化(9)
~なぜTg~Tmの範囲でしか結晶化しないのか?

Section 44 結晶性樹脂の形状固定化(10)
~結晶化と配向は深い縁で結ばれている

第5章 
動的粘弾性とは

Section 45 動的粘弾性がなぜ必要なのか?
~技術者は短時間で粘弾性特性を把握したい
Section 46 正弦波のひずみを与えたときの応力変化
~位相がずれるのは粘性がある証拠

Section 47 マスターカーブ
~広範囲で緩和時間がわかる便利な曲線

Section 48 WLFの法則
~すべての非晶性樹脂に適応できる法則
Section 49 非晶性樹脂の緩和時間の分布
~高分子鎖1本の挙動がわかる

Section 50 動的粘弾性測定で何がわかるのか?
~高分子鎖のミクロな動きが読み取れる


第6章
成形加工における移動現象

Section 51 固体輸送部(供給部)
~粟おこしのような塊、ソリッドベッド

Section 52 溶融部(圧縮部)
~溶融フィルムから溶融プールに成長

Section 53 溶融体輸送部(計量部)
~スクリュー溝に平行な流れ、垂直な流れ

Section 54 可塑化バレル壁近傍の熱移動
~熱移動の収支がわかる鳥瞰図が大切


付録章
プラスチック成形加工の歴史と
最近のトピックス

Section 55 プラスチック材料の歴史(1)
~象牙の替わり、セルロイド樹脂

Section 56 プラスチック材料の歴史(2)
~ベークランドが興したベークライト産業

Section 57 プラスチック材料の歴史(3)
~高圧ゆえに難産だったポリエチレン

Section 58 プラスチック材料の最近のトピックス
~自動車をより高性能にするエンプラ

Section 59 押出し成形の歴史と最近のトピックス
~マカロニは押出し成形でつくられる

Section 60 射出成形の歴史と最近のトピックス
~現在は第3世代の射出成形機

Section 61 ブロー成形の歴史と最近のトピックス
~古代からあるブロー成形

Section 62 熱硬化性樹脂の成形技術の歴史と最近のトピックス(1)
~圧縮成形、射出成形及びトランスファー成形

Section 63 熱硬化性樹脂の成形技術の歴史と最近のトピックス(2)
~RTM(レジントランスファーモールディング)

Section 64 熱硬化性樹脂の成形技術の歴史と最近のトピックス(3)
~FW(フィラメント・ワインディング)成形

Section 65 熱硬化性樹脂の成形技術の歴史と最近のトピックス(4)
~プリプレグ・オートクレーブ成形

おわりに
参考文献

はじめに

本書は、プラスチックに関係した研究開発、技術開発などの業務に従事されている社会人の方や、高分子化学などを専門に勉強されている化学系の大学生の方はもちろんのこと、プラスチックに少しでも関心をもっている一般の皆様を対象にしています。筆者は1984年に民間企業に就職して以来、約30年間もプラスチックの成形加工に関係する研究開発業務に携わって参りました。その間、工法の分野としては射出成形、押出し成形、ブロー成形及びSMC圧縮成形などを、また材料としてはPPやPVCのような汎用プラスチックから液晶ポリマーのようなスーパーエンプラと呼ばれるものまでを、幅広く経験してきました。

 プラスチック成形加工技術は、以前は経験則に依存するところの多い分野でした。しかし平成元年にプラスチック成形加工学会が創立されたのをきっかけとして、プラスチックの成形技術は1つの学問分野として取り扱われるようになりました。プラスチック成形加工学会からも「テキストシリーズ プラスチック成形加工学」という教科書が、現時点で4冊発刊されています。この教科書を筆者は今までに何度となく読み返しており、筆者の座右の書となっている良書です。しかしながら、そもそも難解なレオロジーを対象にせざるを得ず、また大学の先生方がご執筆されていらっしゃることもあり、格調高く仕上がっており、一般の皆様が読みこなすのには少し無理があります。

 そこで筆者は、成形加工学としてのアカデミズムの本質を忘れることはなく、筆者のプラスチック成形の実務経験などを交えて、一般の方でも重要な点を理解して頂くことを目的に本書を執筆しました。専門用語と数式は必要最小限にとどめています。高分子が引き起こす難解な現象の本質を、理論とともに感性にも訴えて、わかりやすく説明するのが本書のねらいです。ガラス転移点とかクリープ現象など、今までの本を何度読んでもすっきりとわからなかったことが、本書を読めばすんなりと理解できるはずです。肩の力を抜いて、本書を楽しんで頂ければ望外の喜びです。

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