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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいSCMの本
第2版

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07286-4
コード C3034
発行月 2014年08月
ジャンル ビジネス

内容

商品の原材料が調達されてから、製造され、消費者にわたるまでの一連の流れを総合的に管理する「SCM(サプライチェーンマネジメント)」。いまや企業経営における必須の経営手法となっている。本書は、専門的な予備知識がなくても、SCMについて正しく理解できる。初版の内容を見直し、最新情報にアップデートした第2版。

鈴木邦成  著者プロフィール

(すずき・くにのり)
物流エコノミスト、日本大学教授(物流・在庫管理などを担当)。一般社団法人日本SCM協会理事。
一般社団法人日本ロジスティクスシステム学会理事。求荷求車ネットワーク「ノアのハコトラ」を運営する株式会社ジェイエルエヌの学術顧問も務める。
主な著書に『図解物流センターのしくみと実務』、『新・物流マン必携ポケットブック』、『アジア物流と貿易の実務』、『図解すぐ役に立つ物流の実務』、『国際物流のしくみと貿易の実務』、『図解 物流の最新常識』、『トコトンやさしいSCMの本』、『絵解きすぐできる物流コスト削減』、『絵解きすぐわかる産業廃棄物処理と静脈物流』、『物流マン必携ポケットブック』(いずれも日刊工業新聞社)、『物流100問100答』(明日香出版社)、『戦略ウエアハウスのキーワード』(ファラオ企画)、『グリーンサプライチェーンの設計と構築』(白桃書房)などがある。物流・ロジスティクス・SCM関連の学術論文、雑誌寄稿なども多数。

目次

第1章 SCMってなに?
1 SCMの基本的なしくみは?「調達から販売までの 一 連の情報管理」
2 SCMにおける情報の共有「物流のムダを省き効率を上げる」
3 モノの流れとお金の流れは反対「SCMではキャッシュフローが重視される」
4 スループットの考え方「いかに早くサプライチェーンを通り抜けるか」
5 ウィン・ウィンの関係ってなに?「サプライチェーン全体のメリットを追求」
6 重要な「全体のバランス」「部分最適の和が全体最適ではない」
7 制約条件の発見と改善への道筋「制約条件をクリアすることでSCMを推進」
8 バッファーってなに?「適正なバッファーが全体最適につながる!」
9 スケジューリング手法DBRってなに?「制約条件を円滑にクリアし、全体の効率化を図る」
10 バリューチェーンとサプライチェーン「多企業間における価値活動を推進」
11 需要予測の重要性「サプライチェーン全体での需要予測データの共有」
12 「在庫を持たない」という考え方「緻密な配送計画、需要予測で在庫を最少化」
13 SCMのアプリケーションとは?「生産・配送・販売の計画と管理が中心」
14 SCMと深い関係のあるERPってなに?「SCM支援アプリケーションとERPソフトが必須」
15 クラウド時代のSCMシステム構築「リアルタイムでの情報共有を実現」

第2章 SCMの効果ってなに?
16 戦略的な情報管理が実現できる「川上から川下までの可視化を推進」
17 在庫を最少化できる「必要なときに必要なモノをタイムリーに供給」
18 戦略的な品質管理が可能になる「消費者起点の商品開発を推進」
19 高度な商品戦略が推進できる「カテゴリーマネジメントの導入で売れ筋商品が充実」
20 商慣行の標準化を実現できる「ワールドワイドでのビジネスを推進」
21 ウィン・ウィンのパートナーシップを構築「情報共有でパートナー企業との緊密な関係を構築」
22 企業は専門分野を強化できる!「SCMの導入でコアコンピタンスを強化」
23 ビジネスの一連の流れがスムーズになる!「SCMの導入でムダな時間がなくなる」
24 効率的にコスト削減を実現できる!「スループットの重視がコスト削減につながる」
25 ビジネスチャンスが広がる!「社内常識としてSCMの徹底を図る」
26 国際標準化に対応する!「特注部品から標準化部品へ」

第3章 いろいろな業界のSCM
27 製造業を起点としたSCMの構築「自動車業界とSCM」
28 グローバルSCMを展開「半導体業界とSCM」
29 流通業を起点としたSCM「スーパーマーケットとSCM」
30 サプライチェーンの上流と下流を結ぶ物流センター「コンビニ業界とSCM」
31 サプライチェーン戦略の中核となるロジスティクス「物流業界とSCM」
32 サプライチェーンを束ねる卸売業「卸売業界とSCM」
33 急速な市場拡大でビジネスチャンスが拡大「ネット通販業界とSCM」
34 品質管理、温度管理、使用期限管理などを徹底「医薬品業界とSCM」
35 多頻度小ロットの商品管理に対応「日用品業界とSCM」
36 小売起点のサプライチェーンが進展「アパレル業界とSCM」
37 リバースチェーンの高度化を実現「廃棄物処理とSCM」

第4章 SCMの設計と構築
38 日本的な商慣行が導入の壁に!「従来のビジネス常識を見直す必要がある」
39 多段階流通システムへの対応「望まれる消費者起点の流通システムへの転換」
40 イコールパートナーシップの構築を!「難航する日本的系列の解消」
41 標準化をいかに進めていくかが課題!「特注品にこだわりを持つ日本人の美意識がネックに」
42 情報共有の徹底を理解!「情報管理と活用に慣れていない日本企業」
43 都合よく解釈されるSCMの実務「日本企業に横行する我流解釈」
44 長期的視点からSCMを構築!「高所からSCMを活かせる人材が不足」
45 中小企業はいかにSCMを構築するか?「クラウドコンピューティングを有効活用」

第5章 これまでのSCM
46 SCM以前の企業マネジメント「生産性を向上し、大量消費時代に対応」
47 アメリカで生まれた経営手法「「モノ余りの時代」に適した新しいしくみ」
48 日本式経営を研究したアメリカ産業界「トヨタ自動車の生産システムが大きなヒント」
49 SCMのヒントはトヨタ生産方式「「ムダを徹底して省く」が基本条件」
50 SCMの理論的バックグラウンド「制約理論」「小説で広まったSCMの基本コンセプト」
51 ロジスティクスとSCMの結びつき「拡大されたロジスティクスがルーツ」
52 SCM支援アプリケーションの発達「高度通信インフラの発達でSCMの標準化が加速」
53 現代経営におけるSCMの役割「企業戦略の方向性を左右」
54 サプライチェーン統轄本部の設置「SCM推進の中核組織として活躍」
55 在庫管理の司令塔としてのSCM「在庫削減の効率化」

第6章 これからのSCM
56 重要となるクラウドコンピューティングの活躍「低コストで企業間の情報共有化を推進」
57 ビッグデータの活用がさらに進む「小売業基軸のSCM構築の時代へ」
58 ネット通販の普及へ対応「巨大化する商圏の特徴を把握」
59 オムニチャネルでSCMも変わる!「日本式多段階流通の解消が進む!」
60 コールドチェーンマネジメントの充実がカギ!「次世代SCMへのトレンドとなる「温度管理」」
61 グリーンサプライチェーンの構築が進む「静脈部分を含めてビジネスプロセスを最適化」
62 リバースチェーンとのリンクが重要に「適正な処理を行い、資源再生化を実現」
63 3Rがリバースチェーンの基軸に「循環型社会の構築がグリーンSCMを推進」
64 アジアワイドのSCM構築が進む「伸びるサプライチェーンの距離に対応」
65 リスクマネジメントとSCMの関係が強化「グローバルサプライチェーンを円滑に管理」
66 災害サプライチェーンの構築「供給網の分断をいかに防ぐかが課題」
67 SCMの高度化に対応できる人材育成「専門性の高い研修プログラムを導入」

コラム
●KPIを活用しての効率化
●データウエアハウスの活用
●SCMと無人化
●SCMとメジャーリーグの日程
●トヨタの「かんばん方式」の誕生まで
●ECRスコアカードの活用

参考文献
索引

はじめに

 ビジネスの現場では「サプライチェーンマネジメント(SCM)」という言葉がすっかり定着しました。企業だけではなく、大学、大学院、高校、専門学校などでもしきりに使われています。「企業経営の行方はSCMを実現できるかどうかにかかっている」といわれるのを耳にされた方も多いでしょう。では、SCMとはいったいどのようなものなのでしょうか。
 SCMを直訳すれば「供給連鎖管理」ということになります。サプライチェーンとは、ある商品の原材料が調達されてから製造、さらには卸売業、小売業を経て、最終消費者にわたるという一連のプロセスを指しています。
 その一連の流れに関わる情報を関連する企業間、部署間で共有し、管理(マネジメント)していくのがSCMです。
 SCMの考え方が広まる以前は、調達や生産などの個々の部門が、それぞれの情報を別部門と共有することは、必ずしも一般的ではありませんでした。それぞれの部門がそれぞれのやり方で最適化を目指したのです。これを「部分最適」といいます。しかし、それぞれの部門で最適化を目指しても、「全体最適」が実現されるというわけではないのです。  
 これに対して、SCMでは全体最適が重視されます。調達から販売までのビジネスプロセス全体で、情報を共有し、在庫情報などを可視化し、全体として最適の改善策、効率化策を打ち出すことを可能にするのです。つまりSCMとは部分最適ではなく、全体最適の実現を目指す経営手法なのです。
 SCMの導入は「限られた大企業以外はむずかしいのではないか」ともいわれてきました。しかしながら、近年はビッグデータの活用やクラウドコンピューティングの導入などが大きな追い風となり、SCMの本格的な導入を検討する企業が増えています。
 また、経済活動のビジネススキームのなかにSCMの概念が取り入れられ始めているので、SCMの概念を理解していないと、「在庫は悪」、「サプライチェーンの寸断」などといった、背景にSCMの考え方が内包されているビジネス関連の文脈もピンとこなくなります。ビジネス常識としても「SCMとはなにか」を理解する必要があるのです。もはや、SCMなしで、ビジネスを語れない時代となったといえましょう。SCMを導入しなければ現代経営を進められないといっても過言ではないのです。
 なお、本書は2003年7月に発行された『トコトンやさしいSCMの本』の第2版です。初版の発売から10年以上が経ったことを受け、内容を大幅に入れ替え、SCMに関する最新の動きも網羅しました。ただし、初版同様に SCMについてトコトンやさしく説明することを心がけました。もちろん、基本の基本から話を始めています。専門的な予備知識がなくとも、SCMについて正しく理解できるように努め、「日本で一番わかりやすいSCMの本」であるように、わかりやすく解説することを心がけました。
 本書を読むことで、SCMの基本知識が読者のみなさんに自然な形でプラスされることと思います。

2014年8月
鈴木 邦成 

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