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「設計力」を支えるデザインレビューの実際

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07283-3
コード C3053
発行月 2014年08月
ジャンル 機械

内容

意外にも品質不良の発生要因は製造よりも設計段階に多く見られるという。それだけに設計の技量を高める「設計力」が注目を集めている。本書は設計を進めるうえで最初のとっかかりとなるデザインレビューについてあるべき姿や用途における使い分け、効率的な運用の仕方などを解説した設計者必読の書。

寺倉 修  著者プロフィール

(てらくら おさむ)
1951年 大阪府生まれ
1975年 名古屋工業大学計測工学科卒
 同  寺倉電気株式会社入社
1978年 ㈱デンソー(当時、日本電装㈱)入社
1999年 機能品技術2部設計室室長
2003年 機能品技術3部開発室室長
27年間技術部で車載製品の開発・設計に従事
2005年 ㈱ワールドテック設立・代表取締役社長
開発・設計・品質・生産技術・生産などの製造業への技術支援
2006年 社団法人中部産業連盟講師
2010年 (財)企業活力研究所‘平成22年度ものづくり競争力研究会’委員
学会発表:1998年 日本自動車技術会
2001年 SAE(Society of Automotive Engineers)デトロイト
デンソー在職中の主な開発設計の実績:
●日本初(機能は世界初)となる2種類のセンサを開発、レクサスへの搭載も実現
・オートワイパ用レインセンサ[Toyota Lexus1998]
・AT 用Hall IC 方式回転センサ[Volvo1998]
●他、ボデー系、パワートレイン系の20種類以上のセンサ、アクチュエータを開発
著書:「設計力」こそが品質を決める―デンソー品質を支えるもう一つの力―(日刊工業新聞社)
執筆:中産連マネジメント月刊誌PROGRESS
車載センサの基礎2010(日経BP 社)
機械設計2013年7月号の特集執筆
「品質問題を未然防止するDRBFM による設計品質向上入門」
講演:「FMEA―FTA 故障解析」、「幾何公差設計」、「Value Engineering」
「設計段階の目標原価達成のための取り組み」他

目次

はじめに 

第1章 車載品質への設計の役割は大きい
1―1 あってはならない重致命故障 
1―2 市場環境は過酷で期間は長い 
1―3 加速試験条件から見た民生品との比較 
1―4 品質不具合は生産工程から市場までさまざまな段階で起こる 
1―5 品質不具合の大部分は設計の取り組みに起因する 
1―6 品質不具合の未然防止と設計力 

第2章 車載品質を支える設計力
2―1 設計段階の取り組み実際の例―お客様の思いを生産現場へ投入するまで 
2―2 設計の役割は、お客様の思いの具現化手段を定量的に見える化すること―設計段階で品質・コストの80%は決定される 
2―3 “7つの設計力”が設計段階の品質120%を決定する 
2―4 7つの設計力の前提条件 
2―5 7つの設計力を構成するもの 

第3章 ―過去も現在も何年たっても品質不具合がなくならない理由
3―1 設計にあいまいということはない 
3―2 設計の本質的かつ普遍的な課題 

第4章 設計力におけるデザインレビューの役割
4―1 設計力になくてはならないデザインレビュー 
4―2 デザインレビューは討論・議論、混同してはいけない審議・決裁 
4―3 総智・総力のDRで設計自工程を完結する 

第5章 デザインレビューの使い分け
5―1 設計プロセスの流れにおける使い分け 
5―2 既存設計と新規設計における使い分け―変化点のレベルによりデザインレビューは異なる 

第6章 全体節目デザインレビューの具体的な実施要領
6―1 新製品管理ランクとデザインレビュー 
6―2 節目デザインレビューの実施 

第7章 節目DRの中でも最も重要な1次デザインレビュー
7―1 表紙 
7―2 システム概要 
7―3 製品の動向 
7―4 開発大日程 
7―5 次期型コンセプト 
7―6 設計目標値 
7―7 構想設計 
7―8 開発課題と対応策 
7―9 詳細設計 
7―10 安全設計 
7―11 初期性能評価結果 
7―12 信頼性評価結果 
7―13 目標達成結果 
7―14 残された課題 

第8章 個別設計検討会
8―1 DRBFM(Design review based on Failure mode) 
8―2 過去トラ反映検討会 
8―3 DFM検討会 
8―4 設計検証検討会 

第9章 デザインレビューを支える設計リーダ
9―1 人材育成 
9―2 設計リーダのありよう 

第10章 DRBFMの実施要領―車載製品を例に手順を詳説
10―1 対象の決定 
10―2 実施メンバー 
10―3 実施時期 
10―4 使用する帳票 
10―5 DRBFMの実施手順 
10―6 DRBFMを実のあるものにするためのポイント 

まとめ―デザインレビュー実施方法の継続的な改善に終わりはない 

はじめに

日本のモノづくりは、これまで幾多の危機を乗り越えてきた。21世紀になった今も世界的な大不況や未曾有の災害に立ち向かい、切り抜けている。
 この日本のモノづくりを支えてきたものの一つが「現場力」である。そして「設計力」もまた現場力と同様に重要な役割を担ってきた。この「設計力」については、2009年に『「設計力」こそが品質を決める』(日刊工業新聞社)として上梓し、その重要性を世に問うた。
 今回、さらに多くの設計者、及び企業が設計力に取り組むことを狙い、第二弾『「設計力」を支えるデザインレビューの実際』を著した。デザインレビューは、本署で述べる“7つの設計力”の一つであるが、他の6つの設計力を高め、伸ばす役割を担っており、設計力全体を大きく左右する重要な活動に位置づけられる。
 それゆえ、本書は、設計力の中からデザインレビューを切り出して取り上げている。お客様のニーズを図面として後工程に流すまでの設計段階における活動、すなわち設計プロセスに組み込まれた体系的な活動としてデザインレビューを捉えている。従って、お客様のニーズ、それを踏まえた機能、性能、コストなどの設計目標値、その対応方法、詳細設計、安全設計、品質評価など、設計段階の全ての開発課題が対象となる。つまり、デザインレビューの取り組みが、図面のレベルに大きく影響し、設計段階でのアウトプットを左右するのである。設計力とデザインレビューは表裏一体の関係をもつ―ここにデザインレビューの重要性がある。
 先般、「2014年末には燃料電池車を発売する」という発表があった。この発表は、開発設計者の総智を終結し、多くの技術を積み重ね、膨大な課題を乗り越えてきた結果と言えるであろう。一方、このような高度な製品の開発と身近な製品の開発(設計)にはある共通点がある。それは、“開発とは、答えが分からないことに取り組み、自分たちで答えを見出すこと”である。つまり、開発課題へ取り組む姿勢が同じなのだ。
 今後、車はもちろん、モノづくりは一層高機能化、複雑化が進むであろう。当然、より多くの開発課題への取り組みが必要となり、ますますデザインレビューの重要性は増していく。
 本書は、デザインレビューは設計力を構成する重要な要素であると位置づけ、「設計力とデザインレビューはどのような関係にあるか」、「設計プロセス(手順)の中でデザインレビューはどのように行われるか」、「デザインレビューでは何を議論するのか」、「デザインレビューでは何を準備するのか」などを具体的に解説している。
 最終的に「デザインレビューをやって良かった!」となるためには、粘り強い取り組みが必要だ。山積する課題の中で、それでも諦めずに取り組み続けるならば、デザインレビューのレベル、ひいては設計力のレベルを向上させることができる。
 本書が、読者ならびに読者職場のデザインレビュー向上の一助となれば幸いである。

2014年8月 寺倉 修 

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