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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい発電・送電の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07279-6
コード C3034
発行月 2014年07月
ジャンル ビジネス

内容

最近、福島の原子力発電所の事故以来、電気の即時性が一般の人にも知られるようになった。発電と送配の分離も議論されるようになっている。本書は、その電力システム全体を「発電」と「送電」に焦点を当てて、具体的にしくみを説明し、それらの構成要素が相互にどういった関係を持っているのかを項目ごとに楽しく、やさしく解説した本。

福田 遵  著者プロフィール

(ふくだ じゅん)


技術士(総合技術監理部門、電気電子部門)

1979年3月東京工業大学工学部電気・電子工学科卒業

同年4月千代田化工建設㈱入社

2002年10月アマノ㈱入社

2013年4月アマノメンテナンスエンジニアリング㈱副社長

(社)日本技術士会青年技術士懇談会代表幹事、企業内技術士委員会委員などを歴任

日本技術士会、電気学会、電気設備学会会員

資格:技術士(総合技術監理部門、電気電子部門)、エネルギー管理士、監理技術者(電気、電気通信)、宅地建物取引主任者、ファシリティマネジャーなど


著書:『トコトンやさしい実用技術を支える法則の本』、『技術士第一次試験「基礎科目」標準テキスト第2版』、『例題練習で身につく技術士第二次試験論文の書き方第3版』、『技術士第二次試験「電気電子部門」対策と問題予想第3版』、『技術士第二次試験「建設部門」対策と問題予想第3版』、『技術士第二次試験「機械部門」対策と問題予想第3版』、『技術士第二次試験「電気電子部門」択一式問題150選第2版』、『技術士第二次試験「建設部門」択一式問題150選第2版』、『技術士第二次試験「機械部門」択一式問題150選第2版』、『電設技術者になろう!』、『改正省エネルギー法とその対応策』、『アリサのグリーン市民への旅』(日刊工業新聞社)等

目次

第1章 電気の基礎知識(発送配電設備の基礎知識)
1 電気の基礎 「電圧と電流の関係」
2 直流と交流 「電流波形による違い」
3 電気エネルギー 「電力と電力量」
4 電気を作る 「発電機の原理」
5 変圧器の原理 「交流方式の利点」
6 電圧と周波数 「電力の安定供給」
7 電気事業者 「電力システムの運用者」

第2章 電気を生み出す(発電設備のしくみ)
8 火力発電 「現在の主力発電設備」
9 汽力発電 「蒸気の力で発電する」
10 ガスタービン発電 「内燃式の連続燃焼熱機関による発電」
11 コンバインドサイクル発電 「高効率な複合火力発電設備」
12 原子力発電 「核分裂反応を適切に制御する発電」
13 水力発電1 「実用化が進んでいる再生可能エネルギー」
14 水力発電2 「水力エネルギーのさらなる活用方法」
15 地熱発電 「有望な国産エネルギー」
16 風力発電 「地球大気の運動エネルギーで電気を作る」
17 太陽光発電 「光エネルギーを直接電気に変換する」
18 海洋エネルギー発電1 「海洋エネルギーは国産エネルギー」
19 海洋エネルギー発電2 「海洋資源の活用」
20 電源の運用 「電力のベストミックス」
21 発電機 「回転数と冷却方式」

第3章 電気を安全に送る(送電設備の工夫)
22 送電設備の状況 「発電場所と需要場所をつなぐ」
23 送電損失 「送電損失を小さくする方法」
24 交流送電 「送電の主流である交流送電」
25 直流送電 「長距離大容量送電の手法」
26 周波数変換 「異なる周波数の連系技術」
27 架空送電 「厳しい環境下に置かれる架空送電線」
28 ケーブル送電 「都市部で主流の地中送電」
29 雷害対策 「架空地線による雷害保護」
30 風害 ・雪害対策 「自然の脅威に対する対策」
31 塩害対策 「海岸部の送配電設備への対策」
32 誘導障がい 「近接する通信線に発生する障がい」
33 電波障がい 「コロナ雑音とコロナ騒音」

第4章 電気を確実に届ける(配電設備の方式)
34 変電所 「目的の電圧に変換する施設」
35 三相変圧器の結線と並列運転 「複数の三相変圧器の利用条件」
36 中性点接地方式 「電力系統を健全化する対策」
37 高圧配電系統 「需要家に信頼性の高い電力を供給する」
38 配電計画 「経済的で信頼性のある計画策定」
39 電圧調整と周波数制御 「電圧と周波数の安定化策」
40 調相設備 「無効電力の補償」
41 開閉装置 「電路のさまざまな開閉方法」
42 計器用変成器 「電路の状態を見える化する手法」
43 保護継電方式 「事故の影響を最小限にする手法」
44 低圧配電方式 「需要家に配電する低圧配電方式」
45 架空配電線路 「電柱上の機器たち」
46 架空配電線路の設置規定 「配電線による事故を防ぐ規定」
47 地中配電線路 「景観に配慮した配電方式」
48 地中電線路の保護 「地中埋設の方法と特徴」

第5章 電気の安定を図る(電力の安定化対策)
49 電力の安定供給 「安定供給の重要性」
50 電力系統運用 「中央給電指令所の役割」
51 電力用情報伝送システム 「安定供給を行うための情報交換」
52 電力保安通信線の施設基準 「信頼性のある通信を確保する基準」
53 高調波・フリッカ 「電圧変動の要因」
54 接地工事の種類 「大地と同電位にする目的」
55 水に対する対策 「水に対して弱い電力設備」
56 地震対策 「さまざまな視点での耐震対策」
57 鳥獣等対策 「生物の習慣との戦い」
58 発送配電設備の立ち入り制限 「取扱者以外の排除策」

第6章 電気の品質を守る(運転・維持管理の苦労)
59 省エネルギー対策 「発送配電における省エネルギー策」
60 電力平準化対策 「予備電力設備を少なくする」
61 蓄電技術 「電力を貯蔵する新しい技術」
62 発送配電設備の運転 「停止時間と起動パターン」
63 保全対策 「保全対策と巡視」
64 劣化診断 「適切な更新時期を見極める」
65 検査機器 「見えないものを検査する」
66 更新計画 「適切な更新を計画する」
67 リスクマネジメント手法 「電力供給の信頼性を高める手法」
68 アセットマネジメント 「社会資本を適切に維持する」
69 スマートグリッド 「新しい電力システムの概念」

【コラム】
●電力システム改革
●電力のベストミックスの方向性
●あらたな電気方式の模索
●事故波及防止と再閉路
●シミュレーションと訓練の重要性
●電気料金の展望

参考文献

はじめに

 福島の原子力発電所の事故が発生して以降、人々の省エネルギーに対する考え方が変わってきたように感じます。この事故が発生する前に省エネルギーというと、全体のエネルギー利用料金を下げるという点に注目が集まっていました。そのため、省エネルギー設備を導入するかどうかの検討に際しては、ランニングコストの低減によって、何年でその投資が回収できるかが唯一の判断材料とされていました。それが、事故の後に計画停電が実施されてからは、ピークカットという点での省エネルギーの観点が、それに加えられるようになりました。

 電気技術者にとって最大の技術テーマの一つとして、電気は発電した時点で消費しなければならない商品であるという根本的な性質、いわゆる同時同量という特性があります。言い換えると、電気は在庫ができない商品と言えます。かつては、生の魚などの生鮮食料品がそういった商品の一つでしたが、最近の冷凍・冷蔵技術によってそれは緩和されています。それに対して、電気は今でも需要量と供給量が常に一致しなければならない商品なのです。そういった点は、一般の利用者にはこれまであまり意識されていませんでした。その理由は、最近では日本の年間停電時間は非常に短くなっており、電気はいつも安定して供給されるものという認識になっていたからです。それを実現していたのが、電力システム技術の進歩であった点は言うまでもありません。

 10年程前にアメリカの工学アカデミーで「20世紀の最大の技術的成果」を尋ねた結果、電力システムになったという話がありますが、それほど、電力システムが社会に及ぼした影響は大きいと言えます。しかし、電力システムと一言で言っても、それは多くの技術や製品の集合体であり、とても簡単に理解できるものではありません。最近では、一般の人たちのなかでも電力システムのあり方を論じる場面が増えていますが、残念ながら、そこで用いられている技術や運用条件の詳細について知っている人は多くないのが実情です。そういった背景から、微力ではありますが、電力システムで用いられている発電設備や送配電設備について、できるだけ平易に解説してみようと試みたのが本著になります。

 なお、電力システムは発電設備や送配電設備の複合体ですが、個々の技術や設備に関して深く記述した専門書籍が数多く出版されています。本著は、そういった専門家のための書籍ではなく、どういった設備が構成要素となっているのか、また、それらを適切に運用し、維持管理するために何がなされているのかを知ってもらうための内容としました。そのため、本著の読者としては、これまで専門的に電気の知識を学んだ経験のない方を想定しており、第1章では電気分野の非常に基礎的な内容から説明を始めています。電気的な勉強をされた読者にはやさしすぎるかもしれませんが、復習と思って読んでいただければと思います。

 電力システムは社会インフラとして重要な位置づけにあり、今後もその重要性は変わらないと考えますので、本著をガイド役として、多少なりとも電力システムに興味を持ってもらえればと考えます。

 最後に、このような機会を与えてくださった、日刊工業新聞社出版局の鈴木徹氏に心から感謝申し上げます。

 

2014年7月

福田 遵

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