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おもしろサイエンス
地下資源の科学

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07281-9
コード C3034
発行月 2014年07月
ジャンル ビジネス

内容

地球の地面の下にはいろいろな資源が眠っていて、あらゆるモノの原料、そしてエネルギー源として使われている。本書では、地下資源とはいったい何なのか?から、どんなものが、どんなところに、どんな状態であり、どう利用されているのかまでを図解でわかりやすく解説。

西川有司  著者プロフィール

(にしかわ ゆうじ)

1975年早稲田大学大学院資源工学修士課程修了。三井金属鉱業(株)に入社。資源探査・開発・評価などに従事。1996年三井金属資源開発(株)より海外資源コンサルタントとして世界銀行、欧州復興開発銀行、国連工業開発機関、JICAなど、世界中の資源プロジェクトに携わる。2008~2012年から日本メタル経済研究所主任研究員として、世界の資源動向研究に従事。
現在JP RESOURCES(株)社長および米国USRareEarths Inc.顧問やEBRD(欧州復興開発銀行)EGP顧問、国際資源大学校講師、英国マイニングジャーナル特派員。資源探査、開発が専門。技術士(資源工学)。
主な著書に『トコトンやさしいレアアースの本』(2012)日刊工業新聞社、『トリウム溶融塩炉で野菜工場をつくる』(2012)雅粒社、『資源循環革命』(2013)ビーケイシー、『資源が誰のものか』(2014)朝陽会ほか、地下資源関係論文・記事多数国内、海外で出版

目次

はじめに

第1章 地下資源とはいったいなんなのか?
1  〝資源〟といったいなにを指すのか?
    -なんとなくわかっているけど、整理してみよう
2  地下資源の種類にはどんなものがあるのか -長い歴史のなかでつくられてきた
3  人類は地下資源を利用して生活を発展拡大させてきた
4  身のまわりの多くのものは地下資源を原料として利用している
5  地下資源の中でもエネルギー資源にはどんなものがあるのだろう?
6  金属資源はたくさんあるの?-様々な金属の利用を拡大
7  非金属資源やその他の地下資源にはどんなものがある??地下空間も地下資源
8  海底資源と陸上資源は違うのか?-資源は陸も海も関係している

第2章 地下資源はいったいどこにあるのだろう?
9 地殻の中の地表や浅いところにある
10  プレートテクトニクスと地下資源は密接な関係にある
11  資源の在り場所には特徴があるのだ-どこにでもあるわけではない
12  世界におけるエネルギー資源と金属資源および非金属資源の分布
13  どのように資源を探すのか?
14  資源の量や形はどのようにわかるの?
15  資源は掘ったらなくなるの?

第3章 地下にあるエネルギー資源の特徴とは?
16  地下にあるエネルギー資源の種類と特徴とそれぞれの関係
17  探査から開発までのそれぞれの道のり-10年はかかる
18  石油・天然ガス資源は似たところにある
19  石炭資源は石油や天然ガスに比べて豊富にある
20  進まない地熱、地中熱資源の利用
21  期待されるメタンハイドレートの現状と将来
22  脚光を浴びているシェールガスの本当の役割

第4章 地下に眠る金属資源ってどんなもの?
23  金属資源の種類-ベースメタル、レアメタル、貴金属、ウラン
24  鉱物資源にはそれぞれどんな関係があるのか-主産物、副産物とは?
25  露天掘りと坑内掘り、採掘方法のいろいろ
26  鉱石から金属鉱物を取り出す方法-資源の特徴で最適方法を選択
27  大量採掘で大型資源がなくなってきた-金属資源はもうなくなるの?
28  金は世界中にある-金は溶けず、重く、不変
29  ウラン資源はどうなるのか、トリウムは利用されるのか。福島原発事故の影響は?
30  陸上資源と海底資源の関係とは?

第5章 目立たないけれどしっかり役立つ非金属資源
31  非金属資源の役割-目立たないけれど重要
32  都会は.石灰岩と花崗岩からなる
33  リンや塩も地中からとれる!-生命を支える地下資源
34  宝石も地中からとれる!-魅了する輝きを秘めて地下に眠っていた
35  なんと空洞も地下資源なのだ-すでに各種利用されている
36  地下資源の採掘と技術の進歩-自動化が始まる

第6章 地下資源の利用にはいつも環境問題がついてくる
37  地下資源と環境問題と対策-お金がかかるが怠ると大きな負債に
38  期待されるリサイクルの拡大-環境にいいし資源確保ができて一石二鳥
39  地下資源は経済、社会、生活に不可欠-人類社会の隅々まで使われている
40  金属資源の利用-身近な製品は地下資源の塊
41  エネルギー資源の利用-石油製品は身近にたくさんある
42  非金属資源の利用-たくさん利用されていても見えないものが多い
43  さらに広がる地下空洞の利用の可能性-用途は拡大している
44  エコカーも地下資源から-水素とリチウムの利用がこれからの自動車
45  未来の地下資源にはどんなものがあるのか
46  北極海の資源フロンティアと環境-氷が解けだして資源開発が始まった

第7章 地下資源からみる日本の現状と世界情勢
47  日本の現状と地下資源確保への戦略
48  地下資源争奪戦の情勢-中国の台頭、ロシアの復活で構造的変化
49  メジャーとは?その資源世界制覇への活動
50  戦争の原因のほとんどは資源の分捕りあい
51  世界情勢の中の日本の位置-脆弱な資源確保
52  切っても切れない地下資源と人間生活の関係
53  海底資源の将来-本当に開発できるのだろうか?
54  将来の地下資源開発技術

コラム  日本は地下資源王国だった
     アンゴラとブラジルの石油は関係している
     拝火教とマルコポーロと石油資源
     鉄の歴史と鉄から非金属へ
     国産エネルギー?失われた技術の復活

参考文献

はじめに

 りんごの薄い皮に相当するような地球のごく表面に存在する地下資源を利用して、人類は文明を築き、生活を維持し、経済活動を拡大してきました。まさに地下資源は、70億人を超えた人類の衣食住を支えてきたのです。
 私たちの生活は、地下資源を掘り出して、利用しやすいものに変え、あるいは加工して部品にしたり、完成品にしたりしています。見わたせば身の回りは地下資源を原料としたものばかりで「地下資源に囲まれている」ともいえます。ハイテク製品ばかりか農作物をつくるにも地下資源は不可欠です。
 しかし製品になり、食品や薬品になり、化粧品になると毎日使っていても「原料が何であるのか」「どこから来たのか」「どんな姿であったのか」、気にもとめません。また知ろうともしません。さらに、いろいろな地下資源がそれぞれ関係して繋がっているとは全く思わないでしょう。「石油は石油」「金属は金属」というように個別に考えています。しかし、石油と金属も地下資源として相互に関係しているのです。プレートテクトニクスに関係した地球の営みによって資源は形成、分断、拡散、そして再び形成されているのです。こんな地下資源のことがわかっていれば、毎日の身の回りの景色が少し変わるかもしれません。「へぇー、これも地下から掘られたものでつくられたのか」と興味が湧き、新鮮に見えるはずです。
 日本の産業は、多くの地下資源を輸入に依存しています。石油も天然ガスも石炭も銅やレアメタルも国内にはほとんどありません。掘って使ってなくなってしまいました。日本は明治維新以降近代化に邁進し、経済大国となりましたが、資源の大量生産、消費で、「資源貧国」になってしまったのです。石炭産業も70年という短命で終焉させてしまいました。今、日本の地下に存在し利用できるのは石灰岩や花崗岩(かこうがん)などの非金属資源です。
 鉄をつくったり、自動車、コンピュータをつくったり、これらを動かすにしても地下資源が必要です。地下資源からの原料を確保しないと車もスマホもつくれません。衣服も十分な供給ができなくなり生活に支障が生じます。しかし、あまりにあるのが当たり前で、地下資源の重要性にはなかなか気がつかないものです。
 地下資源に関する本は、石油、金属鉱床という特定の分野で見れば少なくありません。しかし、地下資源全般を扱う本は、ごくわずかです。しかもそれらはかなり専門的な内容です。本書は地下資源全体を網羅し、地下資源の特徴や利用、資源開発、資源の世界情勢や日本の資源確保について書きました。そして専門的にならないように、地下資源をわかりやすく説明するように心がけました。
 46億年という気の遠くなるような地球の歴史の中で存在する様々な地下資源が、バラバラではなくそれぞれ地球の動きとともに繋がりながら有機的に存在しています。本書を通して身近にある地下資源の特徴とありがたさをわかっていただければ、さらに大量に利用するとなくなってしまうので、大切に使い、リサイクルできるようにしなければならないことを理解していただければ、筆者の望外の喜びです。
 日刊工業新聞社藤井浩氏には執筆の機会を与えてくださり、執筆編集のご指導をいただき、深く感謝を申し上げます。

2014年7月
西川有司 

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