買い物かごへ

今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいプラスチック成形の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07270-3
コード C3034
発行月 2014年06月
ジャンル ビジネス

内容

われわれの日常生活に欠かせないプラスチック製品。プラスチックにはいろいろな種類があり、また多岐にわたる用途に合わせるように成形法も数多くなる。本書はそんなプラスチック成形を、ペットボトルやレジ袋など身近なものを例にしてわかりやすく紐解いたプラスチック成形の入門書。これを読めばプラスチックは一層身近になる!?

横田 明  著者プロフィール

(よこた あきら)


技術士(化学部門、高分子製品)、特級プラスチック成形技能士

1977年 慶應義塾大学工学部機械工学科卒業

1991年 プラスチック成形加工学会技術賞受賞

1992年 日本合成樹脂技術協会賞受賞

1993年 特級プラスチック成形技能士合格

1993年 特級プラスチック成形技能士神奈川県最優秀賞受賞

1994年 技術士(化学部門、高分子製品)合格

日本製鋼所およびコマツにて射出成形機の設計開発、成形技術開発および人工知能(成形技術)の研究に携わる。
上級主任研究員。射出成形工場統括責任者として子会社へ出向、成形工場の管理、合理化、品質向上、コストダウンなどを実施。射出成形技能士の育成および社内外の成形不良対策、成形効率化など多数。

現在、外資系大手メーカーにて中国、タイ、インドなどアジア地区を中心に、アジアで唯一のシニア・テクニカルフェローとして活動中。


【主な書籍】

射出成形加工の不良対策、絵とき「射出成形」基礎のきそ、射出成形加工のツボとコツQ&A、現場で役立つ射出成形の勘どころなど、以上、日刊工業新聞社

目次

第1章 プラスチックとプラスチック成形


1 セルロイドの成形方法 「最初の熱可塑性プラスチック」

2 プラスチックとその成形方法のいろいろ 「成形方法は身の周りの方法」

3 いろいろなプラスチック(その1) 「簡単な構造のポリエチレン」

4 いろいろなプラスチック(その2) 「ポリプロピレン、ポリスチレン」
5 ホモポリマーとコポリマー 「高分子に枝分かれ」

6 結晶性と非晶性 「紐の並び方と結晶性」
7 蛇と高分子 「熱可塑性と熱硬化性」

8 低分子から高分子へ 「熱硬化性プラスチックの成形方法」

9 プラスチックのいろいろな呼び方 「プラスチックとは?」

10 分子を延ばして伸ばして強く強く 「延伸と配向」




第2章 注射器とねじで加工する射出成形


11 射出成形とは 「プラスチック成形の王様」

12 射出装置 「注射器とねじ込み機」

13 射出成形用の金型 「非常に強い圧力に耐える金型」

14 射出成形で製品が作られるまで 「射出成形のサイクル」

15 製品が取り出しできる金型 「アンダーカットの処理方法」

16 金型内部のプラスチックの流れ道 「ランナーとゲート」
17 多材質射出成形 「二回射出する成形方法」

18 サンドイッチ成形と大理石調成形 「色模様のできる射出成形」

19 ガスアシスト射出成形と水射出成形 「高圧のガスや水を使う成形方法」

20 プラスチック ・ファスナーの成形 「フープ成形するシステム」

21 プラスチック磁石 「射出成形で作る磁石」

22 中空品の射出成形 「金型内で組み立てる成形方法」

23 成形品の不良品 「良品と不良品、合格品と不合格品」




第3章 トコロテンに似た押出し成形


24 金太郎飴式押出し成形 「トコロテンのように押し出す」

25 パイプの押出し成形 「ダイとサイジング」

26 押出し成形品のいろいろな形 「アンダーカットのある成形」

27 梱包用のプラスチック紐とみかんを入れるネット 「延伸した紐とダイに工夫が施されたネット」

28 ペレットを作る押出し成形 「米粒状ペレットの作り方」
29 電線の押出し成形 「押出しと引き抜きを合わせた成形」

30 シート、フィルムの作り方 「薄い板と極薄の板」

31 押出しで作る発泡スチロール 「発泡スチロールのいろいろ」




第4章 ふくらまして作るブロー成形


32 ブロー成形とは 「中空製品をふくらますブロー成形」
33 多層ブロー成形とは 「ガスを通さないための工夫」

34 複雑な形のブロー成形品 「コンピューター制御の複雑形状」

35 ペットボトルの成形 「二度に分けて加工する」

36 スーパーなどで使うポリ袋 「極薄フィルムをふくらませる」




第5章 つぶして作る圧縮成形と吸い込んで作る真空成形


37 つぶして作る圧縮成形「 主に熱硬化性プラスチックの成形」

38 SMC成形とトランスファー成形 「射出成形に近いトランスファー成形」
39 熱プレス成形 「圧縮成形とSMC成形に類似」
40 卵パックの真空成形 「吸い込んで成形する真空成形」

41 真空成形と圧空成形 「自動車にも多く利用されている成形法」




第6章 その他のプラスチック成形


42 レーザーなどで加工して作る成形方法 「三次元プリンター方式」

43 注型 「お湯を注ぐようにして作る成形方法」
44 ハンドレイアップ、スプレーアップ 「モーターボートなどを作る成形方法」

45 浸漬成形法 「漬けこんでまとわりつかせる成形」

46 パウダースラッシュ、回転成形 「粉末を使う成形方法」

47 反応成形法 「液体を混ぜ合わせて流し込む成形方法」

48 発泡スチロール成形 「押出し成形とは違う発泡スチロール成形」
49 引抜成形 「引っ張って抜き取る成形方法」

50 カレンダー成形ほか 「押出し成形とは別のシート成形方法」




第7章 接着と溶着


51 プラスチックの接着 「接着はプラスチック製品の手作業の原点」
52 接着剤 「くっつける相手との相性がとても大事」

53 機械的な溶着 「熱を加えたり、摩擦発熱を利用」

54 その他の溶着 「材料自体の発熱を利用する方法」




第8章 加飾


55 プラスチックの塗装と印刷 「加飾にも、さまざまな種類がある」

56 プラスチック製品への印刷 「立体形状のプラスチックへの印刷方法」

57 特別な加飾 「複雑な立体形状への印刷など」

58 文字加工、植毛、シボ 「プラスチック製品の表面に付加価値をつける方法」
59 プラスチックのめっき 「プラスチックを金属に見せる方法」


第9章 プラスチック成形品のリサイクル


60 腐らないプラスチック 「プラスチックは錆びない、腐らないが取り柄だった」

61 プラスチックの廃棄処理 「腐らないものを発明した代償」

62 三つのリサイクル 「どうやって自然を味方につけるか」

63 プラスチックの表示 「国によって違う材料表示」

64 ペットボトルと発泡スチロールのリサイクル 「ペットボトルと発泡トレイは日常生活の一部」

65 バイオプラスチック 「どうやって自然から作るか、どうやって自然に戻すか」



【コラム】

●日常生活とプラスチック
●射出成形はプラスチック成形の王様

●押出し成形は速度と混練が命

●いかに効率よく経済的に作るのか

●成形方法の呼び方

●経済性と成形方法
●接着は分子レベルで考える

●加飾する意味

●プラスチックの光と影



参考文献

はじめに

 我々の日常生活で、プラスチックはすでに当たり前の、空気のような存在になっているのではないでしょうか。皆さんの周りを見てください。コンビニで買うコーラやお茶のペットボトル、シャンプーの容器、お菓子の袋、部屋のなかにあるテレビ、洗濯機、冷蔵庫の筐体(ケース)もプラスチックですし、会社に行けばパソコンの筐体やキーボード、コピー機、自動車のインストルメントパネル(インパネ)やドア、携帯電話など、ありとあらゆるところにもプラスチックが使われていることに、あらためて驚きます。

 英語のプラスチックには本来の意味に、「可塑」があります。これについては、本文でも説明しますが、現在では、プラスチックの本来の言葉の意味の「可塑」からは離れた意味になっています。現在では、皆さんがプラスチックと聞いて、感じる意味に変化しているのです。可塑状態のものでなくても、プラスチックと感じている、そのプラスチックの意味です。言葉というのは、もともと、人間が、ものを表現する道具として発達してきたものです。ですので、時代によって、ものの概念が変化してくると、それに伴って言葉の意味も変化していきます。

 漢字も、もともとは、象形文字から発達してきましたが、現在では目にすることのないものからできた漢字もあります。

 本文を読み進んでいくとわかると思いますが、プラスチックを使って、ものを作るというプラスチック成形は、古くて新しいものなのです。古いという理由は、プラスチックが発明される前にも、同じような成形方法が存在していたからです。プラスチック成形も、その応用であり延長なのです。

 しかし、プラスチックは新しい材料なので、以前の材料とは違う性質を持っています。この性質を考えながら、進歩、淘汰されてきたのが、現在のプラスチック成形なのです。

 プラスチック成形にも、いろいろなものがありますが、もしかすると、将来、分子構造も自由に作ることができて、3Dプリンターも超高速で安くできるようになれば、すべてのプラスチック成形は、ひとつに統一されてしまうかも知れません。現在では、まだ夢のような話ですが……。

 筆者が小さいころは、「我々が生きている間には、色のついたテレビ(カラーテレビ)は出現不可能だろう」とさえいわれていました。今では、それどころか、壁にかけられるテレビや、スマートフォンやタブレットのように、持ち歩ける時代にまでなっています。

 このような最先端の製品から考えると、プラスチックの成形は、まだまだ原始的なものなので、今後大きく変化した新しい方法も出現してくるかも知れません。ただ、モノづくりは、工学的にも経済的にも効率的な方法が選択されるので、そのまま現状の成形方法も生き残っていくかも知れません。原始的であっても、経済的に効率的であれば生き残ります。皆さんにも、そのような観点でも、いろいろなプラスチック成形というものを知ってもらえれば幸いです。


 本書に関しましては、日刊工業新聞社の野﨑伸一氏に当初よりアドバイスをいただき、やっと出版にこぎつけることができましたことを感謝致します。



 2014年3月
 
技術士・プラスチック成形特級技能士 横田 明

買い物かごへ