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身近なモノから理解する
高分子の科学

定価(税込)  2,376円

著者
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サイズ A5判
ページ数 186頁
ISBNコード 978-4-526-07220-8
コード C3043
発行月 2014年05月
ジャンル 化学

内容

高分子は、プラスチック、ゴム、繊維、接着剤、塗料など幅広い分野の工業製品の材料として用いられる。本書はそうした身近に使われている製品や現象を例にとり、その背後にある高分子のさまざまな物性を解説して高分子に対する理解を深めるための手助けとする。

扇澤敏明  著者プロフィール

(おうぎざわ としあき)
1983年東京工業大学卒業(工学部有機材料工学科)、1987年東京工業大学大学院博士課程修了(有機材料工学専攻)、1987年DuPont社Experimental Station客員研究員、1989年通産省工業技術院繊維高分子材料研究所研究員、1993年通産省工業技術院物質工学工業技術研究所主任研究官、1994年東京工業大学助教授(工学部有機材料工学科)、2011年東京工業大学大学院教授(理工学研究科物質科学専攻)、工学博士
専門:ポリマーアロイ・ブレンド・コンポジット、高分子構造(非晶・結晶・薄膜)
著書:「高性能ポリマーアロイ」(共著)、「新高分子実験学1 高分子実験の基礎」(共著)、「ポリマー ABCハンドブック」(共著)、「光学用透明樹脂における材料設計と応用技術」(共著)、「高分子先端材料one point 高分子分析技術最前線」(共著)、「実践 高分子の構造・物性分析・測定」(共著)、「実用プラスチック分析」(共著)、「ここだけは押さえておきたい 高分子の基礎知識」(共著)

柿本雅明  著者プロフィール

(かきもと まさあき)
1975年山口大学卒業(工学部工業化学科)、1980年東京工業大学大学院博士課程修了(総合理工学研究科電子化学専攻)、1980年相模中央化学研究所研究員、1982年東京工業大学助手(工学部有機材料工学科)、1987年東京工業大学助教授(同上)、1997年東京工業大学教授(同上)、1998年東京工業大学教授(大学院理工学研究科有機・高分子物質専攻)、理学博士
専門:高分子合成化学(縮合系高分子)、機能性高分子
著書:「最新ポリミド材料と応用技術」(監修)、「デンドリティック高分子 多分岐構造が拡げる高機能化の世界」(監修)、「エレクトロニクス実装用高機能性基板材料」(監修)、「ナノマテルアルハンドブック」(共著)、「機能性超分子」(共著)、「ここだけは押さえておきたい 高分子の基礎知識」(共著)

鞠谷雄士  著者プロフィール

(きくたに たけし)
1977年東京工業大学卒業(工学部有機材料工学科)、1982年東京工業大学大学院博士後期課程修了(理工学研究科繊維工学専攻)、1982年東京工業大学助手(工学部有機材料工学科)、1986年4月~1987年6月Visiting Scientist, The University of Akron, USA、1991年東京工業大学助教授(工学部有機材料工学科)、2001年東京工業大学大学院教授(理工学研究科有機・高分子物質専攻)、工学博士
専門:繊維・高分子材料の成形加工と構造・物性
著書:“High―Speed Fiber Spinning”(共著)、「材料科学への招待」(共著)、「高分子の構造(2)散乱実験と形態観察」(共著)、「成形加工におけるプラスチック材料」(共著)、「繊維の百科事典」(編著)、「やさしい繊維の基礎知識」(共著)、「プラスチック成形品の高次構造解析入門」(共著)、“Handbook of Textile Fibre Structure Vol. ・&・”(編著)、「ここだけは押さえておきたい 高分子の基礎知識」(共著)

塩谷正俊  著者プロフィール

(しおや まさとし)
1982年東京工業大学卒業(工学部有機材料工学科)、1987年東京工業大学大学院博士課程修了(理工学研究科有機材料工学専攻)、1987年鶴岡工業高等専門学校助手(電気工学科)、1989年東京工業大学助手(工学部有機材料工学科)、1992年7月~1993年6月Guest scientist, National Instituteof Standards and Technology, U.S.A.、1997年東京工業大学助教授(工学部)、2007年東京工業大学准教授(大学院理工学研究科)、工学博士
専門:材料工学(複合材料、炭素材料、繊維材料)
著書:「第3版 繊維便覧」(共著)、「繊維の百科事典」(共著)、「材料科学への招待」(共著)、「炭素素原料科学の進歩・」(共著)、「ここだけは押さえておきたい 高分子の基礎知識」(共著)

目次

はじめに

第1章 高分子の形を理解する
1.1 原子・分子・高分子
1.2 高分子の構造
1.3 高分子の異方性

第2章 高分子らしさを理解する
2.1 温度・熱に関わる性質
 熱で融ける高分子、固まる高分子
 熱に強いプラスチック、弱いプラスチック
 透明なプラスチック、不透明なプラスチック
 熱を伝えにくいプラスチック、伝えやすいプラスチック
2.2 力学に関わる性質
 水に浮くプラスチック、浮かないプラスチック
 割れやすいプラスチック、割れにくいプラスチック
 強い繊維
 床材にもビーチボールにもなる高分子
 ゴムはなぜ伸びる?
 ゼリーは固体それとも液体?
 お菓子の袋の開けやすさ
2.3 光に関わる性質
 光を操る液晶ディスプレイ
2.4 電気に関わる性質
 電気を通さない高分子、通す高分子

第3章 高分子の利用形態を理解する
 いろいろあるペットボトル
 発泡プラスチック
 繊維が集まってできた素材?不織布
 紙も繊維の集まり
 人工毛髪
 軽くて強い繊維強化複合材料

第4章 高分子の機能を理解する
4.1 表面・界面
 フッ素加工のフライパン
 水をはじく
 接着剤と粘着剤
4.2 化学変化の利用
 暖かくなる服、涼しくなる服
 プラスチックのメッキ
 乾くと耐水性になる水性塗料
4.3 透過・吸水
 酸素をバリアするプラスチック
 酸素透過で目を守るコンタクトレンズ
 水蒸気は通すが水は通さない膜
 中空糸膜-浄水器から塩水淡水化まで
 高吸水性ポリマー

第5章 高分子の環境問題を理解する
 プラスチックのリサイクル
 環境にやさしいプラスチック

索 引

はじめに

私たちは様々な道具を使って生活しています。例えば台所に立ってみると、鍋、皿、コップ、食材を貯蔵する密閉容器、ラップ等々、いろいろな道具がありますが、これらがどのような材料でできているか考えてみましょう。
 専門的には、「材料」は金属、無機材料、有機材料の3種に大別されます。皆さんが使っているコップを見てみると、アルミ製、ガラス製、そしてプラスチック製のものがありますね。これらはそれぞれ金属、無機材料、有機材料に分類されます。金属はキラキラ光る光沢があり、熱伝導性が高いので、金属製のコップに熱いお湯を入れるとコップの外側がすぐに熱くなります。ガラス製のコップは透明で、厚いものはどっしりと重く感じます。落とすと割れるので気を付けてください。プラスチック製のコップは透明のものや不透明のもの、さまざまな色が付けられたものがあります。そして、なんと言っても軽いのが特徴です。
 この本が解説する有機材料は身の回りにあふれています。まず、米、肉、野菜、油などの食べ物は、炭水化物、タンパク質、脂質が主成分ですが、これらは有機材料です。服やカーテンなどは繊維でできていますが、繊維はいろいろな高分子で構成される有機材料です。家を作るときに使う木材もセルロースと呼ばれる高分子からなる有機材料です。そして、皆さんがいわゆるプラスチックやゴムとよんでいるものも高分子の範疇に入る有機材料です。
 さて、ここで「高分子」とは何でしょうか。それを説明しようとこの本を書いたのですが、とにかく身の回りにあふれているこの材料は真に多種多様でとらえどころがないと言っても過言ではありません。たとえば、カーボンコンポジットのテニスラケットはとても強く、そして硬い高分子で作られています。一方、コンニャクも高分子でできているのですが、これはふにゃふにゃの軟らかい材料です。清涼飲料水の透明な容器も高分子です。このように高分子の守備範囲はものすごく広いのです。
 本書は、このような「高分子」がどのように使われているか、また高分子がもつ独特の性質とそれが現れるメカニズムについて解説してあります。身近なものとして使われている高分子を理解することで、高分子とは何か、高分子と付き合うときにはどうすればよいか、などを知っていただくことを目的にしています。
 本書は細かい項目別に書かれていますので、最初から読む必要はなく、興味のあるところや疑問に思ったところから読んでいただけるように編集してあります。しかしながら、最初から読んでいただくと、高分子の分子レベルでの説明から始まって、いろいろな分野での活躍の様子が理解できるように作られています。皆さんの身の回りにあふれていながら、よくわからなかった高分子を理解していただく良い機会に本書がなることを祈っております。
 最後に、本書を読んで高分子の本質をもっと知りたくなったら、あるいは仕事で高分子に関わることになったら、私たちが以前に執筆した「ここだけは押さえておきたい高分子の基礎知識」(日刊工業新聞社)を読むことにより、より深く理解を進めることができます。この本も手に取っていただけると幸いです。

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