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日本人が理解できない混沌の国 インド①
玉ねぎの価格で政権安定度がわかる!

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ 四六判
ページ数 240頁
ISBNコード 978-4-526-07250-5
コード C3034
発行月 2014年04月
ジャンル ビジネス

内容

約12億の人口を抱え、成長著しいインドは、今、マーケットとしても、進出すべき国としても理解しておかなければならない国。本書は、生粋のインド人著者が、混沌として外からはわかりづらいと言われるインドの消費者、風俗、経済などの疑問にわかりやすく答えるインド必携書。

帝羽 ニルマラ 純子  著者プロフィール

(ていわ にるまら じゅんこ)
 インド共和国・バンガロール生まれ。法政大学大学院修了(イノベーションマネジメント専攻)。日印コンサルタント会社起業を経て、現在インドビジネスアドバイザーとして活躍。来日以来14年間で、ITと日本企業の海外展開、外国企業の日本市場参入を中心に活動。主なプロジェクト実績は、サプライチェーンマネジメント、市場参入、マーケティング・販売促進、流通、特許申請、合弁・提携に関連するボーダー取引条件など。
 2013年にインドの諺について日本語で解説した書籍『勇気をくれる、インドのことわざ』を発刊。インド・タミル語の諺を日本語で紹介する本の発行は、長い日印の歴史でもこれが初。インド文化の理解に役立つ書籍となっている。デイリー・ダイヤモンドでコラム「ニルマラが誘う数の不思議」を連載中。インドの日刊紙「Financial Express」への寄稿、その他著書も多数。

目次

はじめに 

第1章 まずはこれだけは知っておこう! ?インクレディブルインディア?
Q01 「ゼロ」の発見以外でインドは世界にどんな貢献をしているか? 
Q02 度重なる侵略と植民地支配は、インドにどのような影響を及ぼしたのか? 
Q03 今なおインドにとってジレンマとなっている「印パ分離独立」とはなにか? 
Q04 なぜインドではこんなに多くの言語が話されているのか? 
Q05 インドのカースト制はなくならないのか? 
Q06 インドではなぜ黒が敬遠されるのか? 
Q07 インドはどうしてアートや工芸品で溢れているのか? 
Q08 インドで礼儀作法が厳格なのはなぜなのか? 
Q09 インド人にとって「名前」はどんな意味をもつのか? 
Q10 どうしてインドはカオス、格差、矛盾に満ちているのか? 

第2章 時間にはルーズ、でもマルチタスキングは得意!  ~インド人の思考法と行動様式を知る~
Q01 インド人が頻繁に値切るのは、価格が何も決まっていないからなのか? 
Q02 インド人はなぜ簡単な規則にも従わないのか? 
Q03 インドには、なぜパブやダンスバーがないのか? 
Q04 インド人学生はなぜ、頭脳流出の原因となる留学をしたがるのか? 
Q05 なぜインド人は話し好きで、頻繁に議論をするのか? 
Q06 なぜインド人は現代でも合同家族で暮らすのを好むのか? 
Q07 インド人はなぜネコをきらうのか? 
Q08 インド人の結婚式はなぜお金をかけて豪華できらびやかなのか? 
Q09 変容しつつあるインド人のマインドセットの柱とは? 
Q10 カルマの思想が生きるインドで「こだわり」を失い、上昇志向を強めたインド人とのつきあい方とは? 

第3章 「チャルタ・ハイ」の馴れ合いと美白への熱狂! ~インド人のやめられない習慣を知る~
Q01 インド人の「チャルタ・ハイ」という態度とは? 
Q02 インド人はよく手っ取り早い解決方法を思いつくが、なぜルールやベストプラクティスには従わないのか? 
Q03 インド人が時間を守らずいつもすべてが遅れる理由は何なのか? 
Q04 どうしてインド人は金が大好きなのか? 
Q05 インドのスポーツはクリケットしかないのか? 
Q06 インド人は踊りが好きで、皆がダンスに取りつかれているのか? 
Q07 ボリウット映画とクリケットが百年も続いているのはなぜか? 
Q08 なぜ、インドにはなぜファッション誌、セレブ誌、ボリウッド・ゴシップ誌が多いのか? 
Q09 インドでは誰もが美白製品に取りつかれるのはなぜか? 
Q10 新しいソーシャルメディアは、インドの若者達にどのような影響を与えているのか? 

第4章 なんでもあるのに企業がグローバル化できない理由 ~コミュニティと家族経営の仕組みを知る~
Q01 どうしてインドの企業は多国籍化できないのか? 
Q02 資源の豊かな国にも関わらず、なぜインドは21世紀に工業化の機会を失ったのか? 
Q03 インドの「コミュニティ主導のビジネス」とはどのようなものなのか? 
Q04 インドのマイクロファイナンスは、敵なのか味方なのか? 
Q05 バザールとキラナはインド小売の屋台骨か? 
Q06 トイレ以上に携帯電話を持つインド人。この極端さが与える影響とは? 
Q07 世界最大の民主主義国でマスメディアはどのように活動しているのか? 
Q08 なぜインドサービス部門は、製造業の成長に寄与しなかったか? 
Q09 最も古い文化的遺産を持つ国のひとつとして、インドは魅力のある観光地だろうか? 
Q10 なぜインドではゲームやアニメやマンガがあまり人気がないのか? 

第5章 日本とインドはきっとうまくつき合える ~日本人には見えないインドの裏を知る~
Q01 インド人はユーモアセンスがあって、ユーモアが好きか? 
Q02 玉ねぎ価格はどうして変動が激しいのか? 
Q03 インド人はどうしてスイスが好きで、ぜひ訪れたいと思うのはなぜか? 
Q04 「パンチャーンガ?タントラ」、インドに休日が多い理由とは? 
Q05 伝統的配達業、アンガディアとは? 
Q06 インドは禁酒主義国か、それともアルコール消費は増加している? 
Q07 なぜインドでは安全性への配慮が欠落しているのだろうか? 
Q08 インドにおけるBOP市場の潜在力とは? 
Q09 今でもインドの女性の地位は低いのか? 
Q10 なぜインドでは未だに大都市にスラムがあるのだろうか? 

おわりに

はじめに

 インドは世界最大の民主主義国家であり、台頭する経済大国でもある。インドはまた、先史時代にまでさかのぼる切れ目ない連続性を持って現存する最古の文明でもある。数千年の間、他の偉大な文明同様、インドは芸術及び文化の輝ける黄金期を一つのみならずいくつか築いてきた。インドの偉大な思想家や宗教的指導者たちは、世界のあり方を不可逆的に変えてきた。
 インドでは多様な文化が調和し、人々には素晴らしい心がある。インドはまた、豊富な天然資源を有し、ITでは世界でも有数の実力があり、優れた人材を国内外に送り出し、世界で最も高い成長率を誇る。しかし、インドは依然として開発途上国である。その理由は、宗教的な考え方から金儲けを良しとしない伝統があったということも影響しているだろうが、政治の腐敗、失業、貧困および人口過剰などの根深い問題が未だに多くあるということが大きい。そして、これら社会経済的な諸問題が、インドの発展と成長を妨げてきたのだ。

 インド経済の歴史は、大きく3つの段階に分けられる。植民地時代以前、植民地時代、そして独立後である。独立後はさらに、最初の45年間と1991年の経済自由化後の23年間とに分けることができる。後半の20年間で、インドは経済的、政治的、社会的および文化的に大きく変容した。そうした変容のいくつかは、経済自由化によるものであり、そのかなりの部分はグローバル資本への開放を意味する。
 1991年の経済改革以降のインド経済の成長と繁栄の背後には3つの大きな原動力があった。すなわち、外国からの直接投資の増加、情報技術(IT)の専門技能、そして、中間層人口の成長に伴う国内消費の増加の3つである。外国からの直接投資の増加とITとが組み合わさることで、多くの雇用を生み、中間層の成長につながった。そして、それが国内消費の増加につながり、その国内需要を満たすためにさらに外国からの投資が流れ込むという好循環を生んだ。成長する中間層はインド経済の主力であり、2050年までにはインドの人口のおよそ半分が相当額の可処分所得を持つ中間層になると予測されている。

 しかしながら、インド経済には重大な二重構造が残る。いわゆる、公式経済と非公式経済である。人口の大部分は非公式経済で働いており、GDPへの寄与率は50%以上だ。さらにインドの経済成長には、国内に蔓延する貧困を大幅に減らすという課題があり、また、インドにははるか昔から続くカースト制で分裂した社会が依然として残っている。今はまだ成長を発展に転換するための未完の旅の途中なのである。
 そんなインドを真に理解するために必要なのがインドの2つの顔を知ることだ。すなわち、「インディア」としての顔と「バーラト」としての顔である。
 「バーラト」とはインドの古来の呼称であり、文化や精神的な価値や遺産を受け継ぎ、労働の尊さを知って愚直な生き方をする多くの人々を代表する。彼らは貧困、飢餓、病気に喘ぎ、識字とは無縁であっても、そうした美徳を失っていない。自国の土、川、森を愛しており、他国の繁栄を羨むこともしない。
 もう一つの顔である「インディア」は資本主義より民主主義を優先してきた政治・経済を、大きく方向転換して、さらなる経済的発展を目指そうとするインドである。その一環としてあるのが、外資系企業にとって大きなチャンスを提供するインドのグローバル化である。
 この「インディア」と「バーラト」は互いに極めて対象的であり、インドを矛盾と混沌に満ちた世界に見せている。そのため外国企業は本当のインドの消費者を掴みきれずにいるようだ。また、「インド流」をいくインド社会に翻弄されているように見える。
 しかし、インドは人口動態的に高い潜在性があり、経済成長に向けて加速するのはまさにこれからである。私は日本企業が現代インドと今も息づく古代のインドとを理解した上で、インド進出のための戦略を適切に策定し、インドでのビジネスを推進できるようにしたいと思っている。
 そのため、本書は対照的な「インディア」と「バーラト」を理解することで、読者が現代インドの真の姿を像に結べるように、「インディア」と「バーラト」のそれぞれの面を質問と回答という形で掘り下げ、インドの古代から現代と将来、潜在的なインド市場とカオスのインド、日印関係を総合的に理解できる構成とした。これらの質問は、インドに関わる各方面の日本人から集め、回答では、現地の考え方をできるだけ豊富に紹介したつもりだ。そのため、本書は日印のビジネスに関わる読者に洞察力やヒントを与えることができるものとなっている。特に各項目の最初に入っている引用文は、その項目のテーマに沿っているので、本文を読み終わった後にここに戻ってもらえれば、その項目のテーマがより明確になると思う。さらに、本文末の「ズームイン」は、日系企業に向けたピンポイントな著者の意見である。参考にしていただければ、まさに何かのときに頼れる一冊になるだろう。
 なお、この企画はもともと全10章100テーマで構成されており、本書は、そのうち、比較的肩の凝らない内容で5章50テーマを紹介した。2冊目の5章50テーマでは、日印関係に一章を割き、さらにインド理解の核心に触れたい。この本も近々刊行予定だ。

 現在、インドに関する書籍は多く出版されており、そのテーマも多岐にわたる。しかし、インドでビジネスをしたい、あるいは歴史から消費者にいたるまでまるごとインドを理解した上で、「インド流」にインドを開拓しようという日本人ビジネスパーソンから提起された疑問に正面から取り組んだインド人著者によるインドビジネス書籍はこれが初となる。お役にたてればこれにまさる喜びはない。
 また、インドでは、2014年4月、5月に第16回目の総選挙が行われる。この選挙はインドを再発展させてくれると見られており世界から注目されている。「インディア」と「バーラト」が一緒になってインドの潜在能力が発揮されることを期待する。

Happy Reading!

2014年4月
帝羽 ニルマラ 純子 

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