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おもしろサイエンス
塩と砂糖と食品保存の科学

定価(税込)  1,728円

編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07237-6
コード C3034
発行月 2014年03月
ジャンル ビジネス 化学

内容

食品をできるだけ腐らせずに長期保存するという技術に、昔から一番使われてきたのが塩と砂糖だ。そこでこの本では、人間の生活に必要不可欠な塩と砂糖とはそもそもいったいどんなものなのかというところから、食品保存にどう使われ、どういう科学的な働きをするのかまでを解き明かす。

目次

はじめに

第1章 砂糖の本当の姿とは?
1 砂糖はなぜ白いのか?-それは何度も不純物を取り除いた純度の高い証し
2 砂糖の原料は?-主に甘しょからとる「甘しょ糖」とてん菜からとる「てん菜糖」
3 植物はどうやって砂糖をつくる?-砂糖は光合成からつくられる
4 砂糖の種類は?-「分蜜糖」と「含蜜糖」があり一般的な砂糖の多くは「分蜜糖」
5 砂糖の製造-サトウキビからつくる場合は2段階の手順を踏む
6 砂糖の生産、消費量は?-日本の砂糖消費量は欧米の2分の1?3分の1
7 砂糖の歴史は?-普及のきっかけはナポレオン、そして八代将軍・吉宗
8 砂糖以外の甘味料は?-「キシリトール」「ブドウ糖」「果糖」「サッカリン」等

第2章 砂糖の-食品をどうやって保存する?
9 砂糖は水を抱え込み微生物の増殖を抑えて保存性を高める-自由水を少なくする
10 砂糖には「賞味期限」というものがない-変色したり固まっても一切問題ナシ
11 食品中の砂糖濃度%以上で微生物の増殖が抑えられる-砂糖漬けの保存
12 西洋では「シロップ漬け」「マロングラッセ」「アンゼリカ」「コンフィ」など
13 日本では伝統的な砂糖漬けに「ザボン漬け」「蕗の砂糖漬け」などがある
14 「羊羹」の賞味期限は5年の長期も-災害時のカロリー補給としても
15 フランスではイチゴジャムを「小瓶に詰められた太陽の輝き」「天使の唇」という
16 砂糖の力-発酵促進やデンプンの老化防止、タンパク質の凝固作用を和らげたり

第3章 塩とはいったいどんなもの?
17 塩は「塩化ナトリウム」、サイコロ形の結晶で、白く見えるのは光の乱反射
18 塩は工業用としても多様に用いられている-医薬や火薬、石鹸、金属精錬など
19 塩には「天然塩」「再生塩」「精製塩」などがある-天然塩は体に有益
20 「食卓塩」「食塩」は精製塩-塩化ナトリウム%以上のもの
21 日本が生んだ合理的な製塩方法-「イオン交換膜濃縮製塩法」
22 日本は突出して「世界一の塩輸入大国」-日本の塩の生産量は世界位
23 「揚浜式塩田」「入浜式塩田」「流下式塩田」があったが1972年以降は事実上全廃
24 塩は歴史的に古代から「政治」「経済」「軍事」などと深く関わってきた
25 一般に濃度%以上になると細菌が繁殖しにくくなる-大きい塩の浸透圧
26 塩を好む菌もいる?食中毒の原因の「黄色ブドウ球菌」や「腸炎ビブリオ」も

第4章 塩の力-食品をどうやって保存する?
27 梅干しには塩分で種類がある- 22.1%を「梅干」、7.6%を「調味梅干」という
28 温泉で洗う「野沢菜漬け」、建礼門院が名付けたともされる「柴漬け」
29 「イカの塩辛」は塩を加えて熟成、「塩引鮭」は擦り込むように塩をぬる
30 沖縄の「スーチカー」は、まさに〝豚の塩漬け〟-豚肉の3分の1が塩
31 「コンビーフ」はその名の通り「塩漬け」- 時間塩に漬けておく
32 ハム、ソーセージ、ベーコンなどは「塩せき」が最も重要な工程
33 「キムチ」の唐辛子は日本から伝わった-「ザーサイ」の歴史は100年ほど

第5章 塩と砂糖と人間の体
34 砂糖の1グラム当たりのカロリーは蕎麦やパンと同じ-しかしとり過ぎは問題
35 体全体の%のエネルギーを消費する脳のエネルギー源は唯一「ブドウ糖」
36 「てん菜糖」は体を温め、ビフィズス菌を活性化させ、血糖値の上下が緩やか
37 黒砂糖はビタミン、ミネラルが豊富-中性脂肪やコレステロールを下げる
38 砂糖の摂取量と虫歯の発生率は比例せず、食べる間隔と口内の衛生管理がポイント
39 人体の水分量の塩分濃度は0.85%-大量の汗は塩分濃度を倍も下げる
40 塩分をとり過ぎたと思ったらトマトジュース、納豆、枝豆などを食べるとよい
41 塩には活性酸素が過剰にならない働きがある-減塩は必ずしもいいとはいえず
42 塩は体液の浸透圧維持や消化液の成分、神経の伝達や栄養素吸収等に係わっている
43 二日酔いにはお茶に少量の塩を入れるとよい-浴槽に入れると湯冷めがしにくい
  
column
サトウキビの伝説は、日本の「かぐや姫」の伝説と似ている
現在の氷砂糖の元となった氷砂糖製造法は日本人が確立した
塩は世界で人々を救った
人間も塩漬けにした



参考文献

はじめに

 「塩の反対は?」-と聞かれて、多くの人は「砂糖!」と答えるのではないでしょうか。つまり、私たちは「塩」と「砂糖」を両極端にあるたとえとして使ったりしています。また、この二つは、両極端に位置付けられながら、見た目がよく似ています。間違えたりするほど「そっくり」と言っても過言ではありません。そして、見た目がそっくりであると同時に、非常に似た形で大きな力を発揮しています。
 その代表例が「食べ物の保存」です。「塩漬け」「砂糖漬け」という言葉があるくらいです。そして昔から生活の中で必要不可欠なものとして利用されてきました。食べ物を保存するというのは、人間が生きるために編み出した〝最高の技術〟の一つとされているものですし、その歴史的な主役が「塩」と「砂糖」といえるでしょう。一方は「甘い」、一方が「しょっぱい」という大きな違いをもちながら、同じような大きな力を発揮する-これ、まさに〝不思議〟な力ではないでしょうか。
 また、この二つを上手に掛け合わせて、さらにその力の効果を大きくするのが料理です。「塩」と「砂糖」はその使い方次第で料理が美味しくなったり、台無しになったりします。
 そして、この両極端の二つは、私たちの体になくてはならないもの、というのは周知の事実です。この二つがなければ人間のみならず、生物は生きていけません。つまり、「塩」と「砂糖」は、生存の〝要〟に位置しているともいえるものです。
 しかし、私たちは、この「塩」と「砂糖」について、どれだけ知っているでしょうか。ほとんど知らないといっていいかもしれません。日常、何気なくこの二つを料理に使い、コーヒー、紅茶などに入れ、「塩」と「砂糖」で保存された食べ物を、無意識に口に入れながら、その偉大な力には気付いていないといってもいいでしょう。
 そこで本書では、砂糖と塩とは何かという、そもそもから説きほぐし、食べ物の「保存」ということを軸にその偉大な力に迫っていきたいと考えました。砂糖の性質、塩の性質、その二つの共通点、まったく違う点、そして、その使い方、歴史、さらに、私たちの体に対しての砂糖と塩の効力-等々をわかりやすく解説することに意を注ぎました。
 本書が日々の生活の中で、また知識として若干なりとも役立てるものであるなら、これに過ぎる喜びはありません。

2014年 3月
食品保存と生活研究会

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