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ついてきなぁ!悪い「設計変更」と良い「設計変更」

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 232頁
ISBNコード 978-4-526-07218-5
コード C3053
発行月 2014年03月
ジャンル 機械

内容

「ついてきなぁ!」シリーズ第12弾。今回のテーマは「設計変更」。設計変更は、時流に合った商品を設計し、品質を上げるためには不可欠だが、「悪い設計変更」を行うと、連鎖的に設計トラブルを引き起こし、製品の品質を根本から崩し、ユーザーの信頼を損なうもの。本書を読めば、設計のバランスを崩さない設計変更をするにはどうしたらよいのか、「悪い」設計変更と「良い」設計変更が、図解ではっきりとわかる。

國井良昌  著者プロフィール

(くにい よしまさ)
技術士(機械部門:機械設計/設計工学)
日本技術士会 機械部会
横浜国立大学 大学院工学研究院 非常勤講師
首都大学東京 大学院理工学研究科 非常勤講師

1978年、横浜国立大学 工学部 機械工学科卒業。日立および、富士ゼロックスの高速レーザプリンタの設計に従事した。1999年、國井技術士設計事務所を設立。設計コンサルタント、セミナー講師、大学非常勤講師として活躍中。
以下の著書が日刊工業新聞社から発行されている。
・ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』
・ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!
・ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!
・ついてきなぁ!失われた『匠のワザ』で設計トラブルを撲滅する!
・ついてきなぁ!設計トラブル潰しに『匠の道具』を使え!
・ついてきなぁ!材料選択の「目利き力」で設計力アップ
・ついてきなぁ!加工部品設計の『儲かる見積り力』大作戦
・ついてきなぁ!設計のポカミスなくして楽チン検図
・ついてきなぁ!昇進したあなたに贈る「勝つための設計力」
・ついてきなぁ!設計心得の見える化「養成ギブス」
・ついてきなぁ!品質とコストを両立させる『超低コスト化設計法』

URL:國井技術士設計事務所   http://a-design-office.com/

目次

はじめに:技術者の四科目は掛け算のQCDPa

第1章 本書を理解するための基礎固め
1-1 本書の対象者と対象企業
1-2 間違いだらけのトラブル未然抽出法
 1-2-1 3Hはマーケティング用語
 1-2-2 従来の失敗事例集はお昼のワイドショー
 1-2-3 トラブル未然防止を体系化したトラブル三兄弟
 1-2-4 トラブル三兄弟のノウハウブックで知的財産の構築
 1-2-5 最も重要なトラブル要因は「××変更」
 1-2-6 インタラクションギャップは上級ワザ
1-3 従来の失敗事例集で設計力は向上しない
 1-3-1 トラブル完全対策法を理解する
 1-3-2 最もシンプルなフールプルーフ設計思想
 1-3-3 安全率で成立させるセーフライフ設計思想
 1-3-4 最も重要なフェールセーフ設計思想
 1-3-5 最新のダメージトレランス設計思想
 1-3-6 トラブルが再発するレベルダウン法も最適な対策
 1-3-7 事例:コネクタの色で判別はレベルダウン法
 1-3-8 設計変更は二種類しかない
1-4 間違いだらけの設計フロー
 1-4-1 事例:従来の設計書(冊子タイプ)では難がある
 1-4-2 事例:高速設計に必須のDQD(簡易設計書)
1-5 悪い設変とは/良い設変とは
1-6 悪い設変の要因とその解消法を4Mで切る
 1-6-1 要因-1:モチベーションの低下
 1-6-2 要因-2:3次元CADの誤用と弊害
 1-6-3 要因-3:手抜きの設計フロー
 1-6-4 要因-4:技術説明会の場と化した設計審査
 1-6-5 事例:四つの要因解消は即できる!
1-7 良い設変の賢い進め方
 1-7-1 QCDPaで分析できる良い設変
 1-7-2 間違いだらけのモジュール化
     〈設計変更力・チェックポイント〉

第2章 Q(品質)に関する悪い設計変更/良い設計変更
2-1 なぜQ(品質)が設変の筆頭なのか?
 2-1-1 データで理解するQ(品質)の重要性
 2-1-2 Q(品質)に関する設計変更の内訳
2-2 信頼性に関する設変事例:スチーム式加湿器の火災事故
 2-2-1 事例:従来の失敗事例集で技術力は向上しない
 2-2-2 6W2Hから分析するスチーム式加湿器の過酷な仕様
 2-2-3 トラブル三兄弟を駆使する
 2-2-4 インタラクションギャップを駆使する
 2-2-5 人類初! 急激にトラブル発生のステンレス
 2-2-6 トラブル完全対策法を駆使する
 2-2-7 スチーム式加湿器の信頼性に関する設変のまとめ
2-3 性能に関する設変事例:ゴム材料の最適な選択
 2-3-1 工業先進国とゴム工業
 2-3-2 ゴム成形品と樹脂成形品のトラブルは同じ?
 2-3-3 性能を満たすゴム材料の最適な選択方法
 2-3-4 ゴム材料のランキング別材料特性
 2-3-5 トラブル完全対策法を駆使する
 2-3-6 ゴム製シールの性能に関する設変のまとめ
2-4 操作性に関する設変事例:浴室用水栓金具の高温不具合
 2-4-1 事例:格安ホテルにおけるワンレバー方式の水栓金具
 2-4-2 事例:温泉ホテルにおけるロックボタン方式の水栓金具
 2-4-3 6W2Hから分析する浴室用水栓金具の操作仕様
 2-4-4 トラブル完全対策法を駆使する
 2-4-5 水栓金具の操作性に関する設変のまとめ
2-5 環境対応に関する設変事例:各種機械材料で不具合発生
 2-5-1 事例:板金の導通不良でモータ暴走
 2-5-2 事例:従来の失敗事例集で技術力は向上しない
 2-5-3 トラブル三兄弟を駆使する
 2-5-4 インタラクションギャップを駆使する
 2-5-5 6W2Hから分析する接地の仕様
 2-5-6 板金の導通不良の原因
 2-5-7 トラブル三兄弟を駆使する
 2-5-8 板金の環境対応に関する設変のまとめ
     〈設計変更力・チェックポイント〉

第3章 C(コスト)に関する悪い設計変更/良い設計変更
3-1 Q(品質)の次に押さえるべき設変はC(コスト)
 3-1-1 データで理解するC(コスト)の重要性
 3-1-2 C(コスト)に関する設計変更の内訳
 3-1-3 Cp(コストパフォーマンス)の追求には道具が必要
3-2 材料に関する設変事例:エレベータの材料事件
 3-2-1 事例:従来の失敗事例集で技術力は向上しない
 3-2-2 6W2Hから分析するエレベータの材料仕様
 3-2-3 トラブル三兄弟を駆使する
 3-2-4 エレベータ材料事件の発生原因
3-3 工数に関する設変事例:一部品一機能と一部品多機能
 3-3-1 事例:一部品多機能でダブルトラブル発生
 3-3-2 事例:従来の失敗事例集で技術力は向上しない
 3-3-3 事例:一部品二機能で低コスト化設計
 3-3-4 事例:共締めに一部品二機能を駆使する
 3-3-5 一部品一機能、二機能、多機能と共締めのまとめ
3-4 生産地に関する設変事例:中国への生産移管
 3-4-1 事例:中国生産における累積公差の変更
 3-4-2 事例:中国生産における組立方式の変更(おもちゃの電車)
 3-4-3 事例:中国生産における組立方式の変更(VTR用ベース)
3-5 標準化に関する設変事例:推進と禁止がある危険な設変
 3-5-1 事例:標準化で材料費低減の隣国EV(電気自動車)
 3-5-2 事例:ユニット化/モジュール化/プラットホーム化を回避
     〈設計変更力・チェックポイント〉

おわりに:設計審査員の見分け方と真の設計職人
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はじめに

技術者の四科目は掛け算のQCDPa

 「ついてきなぁ!」シリーズに何度か登場するキーセンテンスが、「技術者の四科目、QCDPa」です。
 QCDPaとは、Q(Quality、品質)、C(Cost、コスト)、D(Delivery、期日)、Pa(Patent、特許)の四科目です。

 ところで、「お受験」という言葉があります。
 公立の小学校から、有名中学へ入学するための受験です。その受験科目は、国語、算数、理科、社会、そして、英語の五科目です。国語と英語が語学、算数と理科が理数系、政治や経済、歴史や環境問題に関する社会という具合に他分野にまたがっています。大変ですね。
 そして、この五科目は足し算です。合格点を採るためには足し算で評価され、それを「総合点評価」と呼びます。

 一方、QCDPaはたったの四科目。しかも、語学もなく、政治や経済もありません。四科目すべてが技術系。しかしこのQCDPa、実は掛け算なんです。

Q×C×D×Pa =?
ゼロがひとつでもあれば、イコール・ゼロ

 例えば、……
① Q=0:つまり、設計ミスや製造ミスによる欠陥商品であり、社告・リコールとなる。顧客の財産や命までも容易に奪い去った。その企業は、顧客第一主義を唱えていた日本の大企業であり、何度も反面教師となる事例を示した。現在も社告・リコールは収束せず、商品価格には、社告・リコール費も含まれているという。反省や改善どころか、したたかだ。

② C=0:つまり、高コストの場合、物は売れない。隣国の工業界が急進したため、低コスト化戦略で日本企業が大きく衰退した。例えば、日本の造船、液晶テレビ、家電品、デジタル複写機などがその事例である。

③ D=0:つまり、期日や納期遅延の場合、あっと言う間に競合が市場を席巻し、出遅れた企業はビジネスチャンスを失う。日本のスマートフォンやソーラーパネルがその事例である。今や「D」は、「開発スピード」と訳す時代であり、訳せない前記の日本企業が衰退した。


④ Pa=0:つまり、特許紛争である。近年では、韓国と米国のスマートフォン企業の壮絶な特許紛争が、特許調査や特許出願の重要性を物語っている。筆者が最初に就職した企業では、「特許出さぬは設計者にあらず!」と、指導された。今の日本企業では、忘れ去られている場合が多い。


 もう一度、お受験に戻りますが、五科目のすべてが均等に評価される訳ではありません。重要科目は、「英・国・算」です。


一方、QCDPaの四科目の中でもっとも重要な科目は、「Q」です。
 5S……整理(seiri)、整頓(seiton)、清掃(seisou)、清潔(seiketsu)、躾(sitsuke)。5Sを誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)してはいけません。業務の基本形であり、幼稚園児の基本姿勢です。しかし、グローバルで戦うには無理があります。アスリートにたとえるならば、大会に参加できてもメダルは取れません。
 QC手法や5Sで、「Q」を追求した日本企業はさらなる二つの「Q」を追い求めます。一つが過剰品質、もう一つは過剰機能。つまり、客が望まない多機能化でした。その代表例が、日本の携帯電話、1台4役の複合プリンタやエアコン付き洗濯機です。これらに携わった日本を代表する企業は衰退しました。

 今や、厳さんが指摘するように「Q」だけでは戦えない時代となったのです。
ところが、無理やり戦おうとすると、前述のQCDPaをむやみに「設計変更」します。
 そうすると、QとCのバランスを崩して、社告・リコールの原因となり、「負のスパイラル」へと嵌ります。これが今、隣国企業に追いつかれ、追い越された日本企業のあせりとなっています。

 そこで本書は、QとCに特化して、あせりでゆがんだ設計姿勢を矯正します。

【コンセプト】
 技術者の四科目は、掛け算で評価されるQCDPa。QCDPaを上手に設計変更してグローバルで戦える設計力を養う。

【手段】
 ① 悪い設計変更とは何か、社告・リコールの原因となることを知る。
 ② 良い設計変更とは何か、QCDPaで評価できることを知る。
 ③ 悪い設計変更を良い設計変更に変える手段を理解する。

【目標】
 すべての悪い設計変更注を、良い設計変更注の実践へと導く。

注:以降、設計変更を「設変」と称する場合がある。この単語は、設計現場の用語である。

 以上をもって、あなたの背骨のゆがみは取れませんが、設計のゆがみを一気に矯正します。本書は、あなたをグローバルで戦える設計職人へと導きます。

2013年11月
筆者:國井良昌

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