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おもしろサイエンス
磁力の科学

定価(税込)  1,728円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07238-3
コード C3034
発行月 2014年03月
ジャンル ビジネス

内容

磁力とは、磁石や電気が発生させる磁場によって発生する力(nとs)で、同種の磁極の間では退け合い、異種の磁極では引き合う力が働き、この力はいろいろな産業分野で応用されている。本書は、そんな磁力の驚異の力に焦点をあて、応用例から未来までを解き明かす。

目次

はじめに

第1章 磁力っていったいなんだろう?
1  地球は巨大な磁性体で、北極にS極がある
2  磁気(磁性)、磁界(磁場)、磁力、磁化、磁石とは?
3  磁気とはどんなものなのか―電気の測定は磁気で、磁気の測定は電気で
4  磁力とはいったいどんなもの?
5  棒磁石を二つに割ってみると、思わぬ結果に……
6  水が割れるモーゼ効果と、無重力となるアルキメデス効果
   ―磁場が水を押しのけ、磁場が重力に逆らい浮揚する
7  古代地層が教えてくれる古地磁気の謎

第2章 磁気、磁力はこんなところに使われている
8  携帯電話と電磁気、電磁波
   ―飛びかう電磁波の中から、どうして自分のケータイだけに届く?
9  マイク(マイクロフォン)とスピーカーの原理は同一
10  磁気、磁場を利用した水質保全
11  磁気浮上式リニアモータカー
12  電磁気を利用した私たちの生活に必要不可欠なモータとは?
13  フレミングの左手の法則が教えてくれる磁力と電流の関係
14  直流モータが回転する原理
15  交流モータを回転させる三相交流

第3章 磁力の秘密とその不思議な力
16  電磁誘導 電磁気と電磁波 ①
   ―磁石の中から、電流を取り出したファラデー
17  電磁波の発見 電磁気と電磁波 ②
   ―電流の中から、磁気を取り出したマクスウェルとヘルツ
18  電磁波のいろいろ 電磁気と電磁波 ③
   ―電磁波には、電波をはじめ赤外線、可視光線、紫外線、X線、ガンマ線がある
19  電波と波長 電磁気と電磁波 ④
   ―電波で伝えられる情報量と距離は、波長による
20  磁気単極子は存在するのだろうか?
21  強磁性体の自発磁化
22  電流戦争による、ヘルツ(Hz)とヘルツ(Hz)

第4章 未来の磁力の利用とは?
23  磁気による超低消費電力化と大容量メモリ
24  室温磁気冷凍システム
25  ケータイが遠隔充電できるわけ―ワイヤレス送電技術
26  有機廃棄物を磁粉体に?

第5章 人間の身体と磁気、磁力
27  大脳から発せられる超微弱な磁界―脳磁図とは
28  巨大な電磁石で実現した世界で初めての心電図測定
29  ピップエレキバンで、なぜ肩こりがほぐせるのか
30  超高感度の磁気センサは、特異な能力の持ち主
31  磁気枕は、睡眠薬の代わりがつとまるか
32  体の中の水素原子を磁気で操るウルトラ技術とは

第6章 地球と宇宙の磁力
33  医師であったギルバートが地球の磁気の発見者
34  電磁力による引力、斥力と重力
   ―電磁力は電子間、電子と陽子間で発生するが、それは斥力と重力となる
35  磁気と量子力学―自然界の4つの力のひとつ、電磁力
36  4つの力の統一理論、超ひも理論とは?―科学革命を引き起こす?
37  ビッグバンと電磁力
   ―宇宙が始まった時、電磁力も、電弱力から弱い力とともに分離した?
38  宇宙天気予報と地磁気―宇宙天気予報は、IT化社会の発展に必要不可欠?
39  オーロラは、太陽風と地磁気による発光現象。日本では北海道でも観られる

column
超電導電磁石(超伝導電磁石)って、どんな磁石?
電気の基本中の基本と磁力

付録
磁石、磁気、電気の歴史
参考文献

はじめに

 本書は科学を取り扱う本ですが、とっかかりとしてはいささか科学ばなれした話題からスタートしてみます。
 「磁石」は、古い中国語では「慈石」という漢字で表現されていました。この「慈」とは、文字どおり「慈しむ」という意味であり、ここに昔の中国人が見た磁石に対する感じ方、考え方が封じ込まれています。というのは、「慈しむ」とは、赤子を抱えた母親が自分の母乳を与えるときのような情感であり、愛しい子に向き合う慈母の心情そのものを表しているのです。本来、磁石のもつ二極、N磁極とS磁極は母親の二つの乳房に対応するといわれています。
 おそらく、中国人が磁石に出会ったのはかなり古い時代のことであり、鉄をスッと引きつける魔力のような神秘さに驚きを隠せなかったと推定されます。その魔力は母親の乳房が無心の赤ちゃんを引きつける不思議な力と同等とみなされ、それを「慈しみの力」と感じたのでしょう。そうです、鉄にとっての磁石の持つ驚異の力は「慈母が愛児を誘引する力」として見立てられたのです。
 科学的なメスが入る前の「磁石」についての概念は、この二つの漢字が如実に表現してくれています。現代科学は、磁石のもつ性質を、いろいろな面から解決してみせてくれました。とはいえ、磁力に関しては現在においてさえ、いまだに未知の部分が多々残されています。本書のねらいを端的に表現するなら、こうした魔力、神秘性、驚異を秘める磁力がどう分析されて現代に至ったかをわかりやすく表現しようと試みたことです。
 確かに、よくよく考えてみれば、離れた空間を通して釘を吸引する磁石や、いつも変わらず北を向き続ける磁針の不思議さに、何人も「なぜなのか」という思いを馳せた経験をお持ちでしょう。
 本書で示したかった第一点は、この不思議な力、奇異なる事象がどう立証されてきたかを説明することにあります。そのうえで、人類はこの磁力をどう利用してきたか、さらにはどう利用しようとしているかについても言及したいと考えました。磁力を利用する近未来技術の象徴は、何といってもリニアーモータでしょう。
 現時点でという制限付きということになりますが、本書はこうした点に重点をおいて執筆することを主眼としました。読んでいただけばおわかりになると思いますが、知れば知るほど新たな疑問が生じ、「知りたいことの目的地はさらに先行すること」になるかも知れません。「知」はさらなる興味への起爆剤になります。少なくとも、今知っておいたほうがいいこと、現在の科学技術で利用できている応用製品などを、読み取っていただくことができるように願っています。
 普段はただ何となく見ている「磁石の持つ能力」が、知れば知るほど興味深いと思っていただけるようになれば幸いです。
 本書の企画・執筆に当たっては、日刊工業新聞社・出版局、藤井浩氏から的確な方向性の示唆と多大なご支援をいただきました。ここに、深く感謝の意を表したいと思います。
 最後になりましたが、共著者・五日市哲雄氏とは綿密なる連携を行って完成したものであることを報告しておきます。

2014年3月
筆者の一人として 久保田博南 

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