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IEパワーアップ選書
現場力を鍛える

定価(税込)  2,160円

編者
編著
編著
編著
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07234-5
コード C3034
発行月 2014年03月
ジャンル 生産管理

内容

日本IE協会がこれまで体系立ててきたモノづくり(生産)ノウハウの中から、開発力・技術力・組織力のベーススキルに当たる「現場力」を鍛える方法を指南する。「成功への提言」「実践シーン別勘どころ紹介」「ステップアップのための視点」の3部構成で平易に示す。

河野宏和  著者プロフィール

(こうの ひろかず)

慶應義塾大学大学院経営管理研究科 委員長・教授

慶應義塾大学ビジネス・スクール 校長

「IEレビュー」誌 編集委員長

篠田心治  著者プロフィール

(しのだ しんじ)

成蹊大学理工学部システムデザイン学科 教授

「IEレビュー」誌 副編集委員長

斎藤 文  著者プロフィール

(さいとう あや)

産業能率大学情報マネジメント学部 教授

「IEレビュー」誌 副編集委員長

目次



はじめに  



第1部 今、必要な現場力とは

1 モノづくりを取り巻く環境の変化

現場はすべての環境変化の受け皿

2 今、求められる「現場力」とは?

現場とは「顧客に近い場」「問題が顕在化する場」

3 今こそ、IEの力が必要

「標準」なくして「改善」「改革」は生まれない



第2部 事例から読み解く現場力

第1章 課題が見える現場づくり  
「ムダの見える化」で現場を動かす!  

課題を顕在化し共有化するとこんなに変わる  


第2章 改善力を伸ばす現場づくり  

標準を作る・守る・改善する  

活力を生む現場改善の仕掛けと仕組み  

第3章 ありたい姿へ進化し続ける現場づくり  

ゼロ化・レス化・ストライクでステップアップ  
変化し続ける工場をめざす継続的改善活動  

第4章 感動と笑顔の現場づくり  

叱る5Sから褒めて伸ばす5Sへ  

みんなの笑顔で感動の職場創り  


第5章 顧客重視の現場づくり  

「必要なモノを、必要なときに、必要なだけ」仕上げる  

クリーニング業における平準化の取り組み  



第3部 現場力はこうして鍛えよ

1 各社の「現場」はこう変わった  

2 IEの基本を現場力に活かそう  

3 IE活動を推進するための4つの視点  





参考文献  

はじめに

 日本の企業は、急速に進むグローバル化の中で、生き残りをかけて改善・改革活動を展開している。近年は国内の人件費、インフラコスト、さらには為替レートの変動など厳しい条件の下でコスト競争力を確保するため、海外への生産拠点シフトが加速し、日本国内での企業のあり方も問われている。そうした内外の多くの問題を乗り越えようと、喧伝されている様々な経営革新手法を活用したり、自社で独自の仕組みを構築したりする企業も多数ある。

 そうした中、IEの普及団体として1959年に設立された日本IE協会では、もっとIEを活用して産業界に貢献できないかと考えてきた。つまり、先に掲げた様々な問題を、IEの力で解決できる可能性があることをより広く知ってもらい、IEを活用していただきたいと考えたのである。

 IEは、長期的視点に立って経営の基本要素であるヒト・モノ・カネ・情報を有効に活用・育成し、企業体質の強化に貢献するための「考え方」と「方法」の体系である。変化の時代である今こそ、その重要性は高まっていると、私たちは考えている。

 日本IE協会は、IEの普及のため研修会・見学会などを企画し、産学の知見を集めて機関誌『IEレビュー』を発行している。しかし、『IEレビュー』誌の配布はほぼ会員向けに限定され、その情報が広く社会に発信されているとは言い難いのが現状である。今日の生産企業を取り巻く環境を鑑みるとき、日本IE協会が有する情報やノウハウを広く社会に提供していくことは、本来、日本IE協会に期待されている使命ではないか――そう考え、本書を企画し発行するに至った。

 これからの時代を考えるとき、企業経営・競争力強化のために企画力・設計開発力・販売力などを高めていくことは必須だが、そうした力を強化するためには、モノづくりの根幹となる原点を強化しなければならない。その原点とは、製品を生み出す現場であり、顧客に約束したQCD(品質、コスト、納期)を遵守する力と、製品を生み出すプロセスのムダを省き、継続的に改善していく力だと私たちは考えている。日本IE協会がこれまで関わってきたモノづくり(生産)のノウハウ、取り組みを広く知ってもらい、知見を提供していくことで、そうした原点を強化できるはずである。

 また、例えば「付加価値とムダ」「標準時間と標準作業」「見える化」「ITの活用」「あるべき姿と改善」など、IEに関するモノの見方・考え方は、モノづくりの現場だけでなく、間接部門やサービス業界、中小企業、一般生活にも広く適用できる。すなわちモノづくりに関わる方々だけでなく、他の産業や一般の生活者にも貢献できることは間違いない。

 本書は、会員誌として配布している『IEレビュー』に掲載された企業事例の中から、特に「現場力」を鍛えることに成功している事例を取り上げ、そこから読み取れること――何をめざしていたのか、実際に行った活動は何か、どんな成果を得られたかといったことを整理し、さらに「なぜ現場力を鍛えることに成功したか」「IEのどのような考え方を使っているか」などを分析し、『IEレビュー』誌の編集委員3人と編集部が議論しながらまとめたものである。

 第1部「今、必要な現場力とは」は、モノづくりを取り巻く環境変化や、求められる現場力とは何か、そしてIEとはどのようなもので、なぜ必要かという一般的な解説を中心とした内容になっている。

 第2部「事例から読み解く『現場力』」は、『IEレビュー』に掲載された企業事例を参考にしたもので、掲載当時の内容となっていることをご了承いただきたい。事例そのものは、じっくり読み込まないと内容を把握しづらい部分もあり、ポイントや着目すべき点を事例の前に簡単にまとめてある。また、その企業が行ったことや成果など流れが分かるように図解もつけた。

 第3部「『現場力』はこうして鍛えよ」では、第2部の事例を受けて、なぜ各社は現場力を鍛えることができたか、IEをどう活用したか、という視点で各社の取り組みを分析した。ここには、IEを活かすポイントやコツが散りばめられている。そして第3部の最後に、IEを活用して現場力を強化するために基本になると考えられることを要約した。

 ただ、一言付言するとしたら、こうしたポイントやコツは「自分たちも同じようにやればできる」というものではなく、紹介した事例はあくまで参考として、「では、自分たちはどうやるか」を考えていただくことが大切になる。これからの時代に有効な万能の処方箋を求めるのではなく、基本となる考え方を読み取っていただき、自社でのIE活用のヒントとして活かしていただくことを願っている。

 なお、本書の第1部と第3部は、編著者が議論を重ねながら文章化し、それを加筆しながらまとめたものである。また、第2部は、近年の日本IE文献賞を受賞した事例から本書のテーマに合うものを選定し、それを書籍用に部分的に修正し、導入用の解説を加筆して作成したものである。これら一連の作業において、編集執筆協力の江頭紀子氏には、議論の過程で適切なコメントをもらいながら、全面的な協力をいただいた。また、日本IE協会の菅野孝洋氏、添田英敬氏には、本書の企画段階から多大なサポートをいただいた。こうした協力なくして、本書をまとめることは不可能であった。ここに記して感謝したい。

 本書により、IEの価値と役割をより深くご理解いただき、これからの日本を元気にするきっかけとして活用いただければ幸いである。



編著者一同

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