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おもしろサイエンス
元素と金属の科学

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 144頁
ISBNコード 978-4-526-07207-9
コード C3034
発行月 2014年02月
ジャンル ビジネス 機械

内容

広い産業を支える金属について、元素から紐解いてみると、その背景の一端を知ることができる。それは単に知識の蓄積に留まらず、材料の選択や適正な使用にも有効となるはずだ。本書では元素の特性、構造、歴史から金属の特徴、応用例までを紹介する。

坂本 卓  著者プロフィール

(さかもと たかし)

1968年 熊本大学大学院修了、同年三井三池製作所入社、鍛造熱処理、機械加工、組立、鋳造の現業部門の課長を経て、東京工機小名浜工場長として出向。復帰後本店営業技術部長。
現在、熊本高等専門学校(旧八代工業高等専門学校)名誉教授、(有)服部エスエスティ取締役、三洋電子㈱技術顧問、(株)タカキフーズ顧問。講演、セミナー講師、経営コンサルティング、木造建築分析、発酵食品開発のコーディネータなどで活動中。
工学博士、技術士(金属部門)、中小企業診断士

主な著書
 『おもしろ話で理解する 機械要素入門』2013、『おもしろサイエンス 発酵食品の科学』2012、『ココからはじまる熱処理』2011、『おもしろ話で理解する 金属材料入門』2011、『絵とき 熱処理基礎のきそ』2009、『トコトンやさしい 熱処理の本』2005(以上、日刊工業新聞社)、『熱処理の現場事例』1988(新日本鋳鍛造協会)、『やっぱり木の家』2001(葦書房)など多数。

目次

はじめに 

第1章 物質を構成する元素とは
1  元素とは何か 
2  宇宙で最初に誕生した元素 
3  物質の根底を占める基本の重要元素―炭素、窒素、酸素、ボロン― 
4  自然界には存在しない22個の元素 
5  元素の周期律 
6  元素の分類 

第2章 金属元素の性質
7  金、銀、銅の発見 
8  古代と中世ヨーロッパの錬金術 
9  錬金術の過程で発見された元素─ヒ素、リン、アンチモン─ 
10  古くから発見されていた金属元素─亜鉛、ニッケル、コバルト、マンガン─ 
11  その他の金属と非金属の歴史─鉛、スズ、水銀、硫黄、ケイ素─ 
12  工業的に重要な金属の歴史─タングステン、モリブデン、ウラン、クロム─ 

第3章 ベースメタルと元素
13  鉄(Fe)―鉄は国家なりと言わしめた金属─ 
14  銅(Cu)―最も古くから人類が利用してきた金属─ 
15  亜鉛(Zn)―錆から鉄を守り、人体にも有用な金属─ 
16  アルミニウム(Al)―軽さを活かした金属の王者─ 

第4章 貴金属と元素
17  金(Au)―装飾品の雄として古来より君臨― 
18  銀(Ag)―加工性も金につぐ2位― 
19  白金(Pt)―金より高価な金属― 
20  パラジウム(Pd)―ホワイトゴールドの材料として多くを利用― 

第5章 希少金属と元素
21  リチウム(Li)―電位が最も低い特性を電池に活用― 
22  チタン(Ti)―軽量・高強度金属として活躍― 
23  ジルコニウム(Zr)―融点が高く耐熱性に優れる― 
24  ニオブ(Nb)―MRIや超電導リニアに活用― 
25  モリブデン(Mo)―タングステンの代替として利用範囲を拡大― 
26  アンチモン(Sb)―毒性があるため、用途は減少傾向― 
27  タンタル(Ta)―非常に硬く融点も高い炭化タンタル― 

第6章 金属に欠かせない合金元素
28  ニッケル(Ni)―鋼への添加で強度や耐熱性を向上― 
29  クロム(Cr)―優れた耐食性を利用― 
30  マンガン(Mn)―鋼に添加し低位で焼入性を向上― 
31  タングステン(W)―融点が最も高く、最も重い元素― 
32  バナジウム(V)―製鋼時の添加や触媒としてほとんどを利用― 
33  コバルト(Co)―青色を添加する元素として有名― 

第7章 金属に応用される非金属元素
34  炭素(C)―鋼の強さを決めるキーマン― 
35  ボロン(B)―優れた焼入性と耐熱性を付与― 
36  ケイ素(Si)―鋼の添加剤から太陽電池にも利用が拡大― 
37  リン(P)―鋼質を改善する添加物― 
   ‌‌
column   
   ヤスリでナイフを造る
   馬と蹄鉄 
   ビールのカップ 
   柿渋と耐食 
   分銅 
   スリーピング鋼材始末 

参考文献 

はじめに

 金属は人類の興亡と同調しています。最初に石器文明を活用した部族が興隆したあとに青銅文化を彩った民族が勃興しますが、その後は鉄器を自在に製造し活用した人類が他を制覇します。すなわち覇権を取るためには最も強力な金属の製造が必須であり、金属を武器として最大に活用してきた歴史があります。
 その場合、金属の製造の可否は高温をいかに得るかであり、製造はその温度に左右されました。青銅は数百℃で溶融しますが、鉄の中で鋳鉄は1200℃、鋼になると1600℃が必要になります。すなわち鉄は製造するときに最も高温が必要であり、同時に燃料が最初は木材の燃焼からスタートしたあと、高温を得るに不可欠な石炭、さらにはコークスの発明が必要で不可欠だったことがわかります。
 金属は人類の興隆に対して軍事上必携でしたが、改めていうまでもなく多くの広範な産業を支える礎として人間社会に活躍しています。現状は金属を基礎にして多種多様な新しい材料が生まれ、さまざまな場面に活用されている現況には疑いがありません。
 金属材料は構成する組成に多くの種類があります。それは単独の元素でもあり、溶け合った合金でもあり、化合物でもあります。金属材料を理解するためには金属元素を知ることが必須になります。また金属材料の背景の一端を知ることは知識の蓄積に留まらず、選択、適正な使用にも有効です。
 地球上のあらゆる物質は約100種類の元素から成り立っています。たとえば人体は重量比で表すと多い順に、酸素(O)65%(以下%略)、炭素(C)18・5、水素(H)9・5、窒素(N)3・0、カルシウム(Ca)1・5の計97・5%で大部分を占め、残りは生存するために多くの微量の元素を有すると、ピッツバーグ大名誉化学教授のロバート・ウォルク博士が述べています。
 本書で紹介する元素は、主に金属材料に密接に関わっている種類です。本書は金属(非金属も含む)を元素から掘り起こしてそれらの特性を知り、金属材料の現状を見たあと、社会に応用している合金や化合物の利用、さらに金属材料を使った手造りの数々を紹介して読者の皆様の興味を満たすように配慮しました。
 本書は金属材料を理解するために、観点を変えて質的な特性を紹介しており、工業系の実用教本にも利用できます。読者の皆様には一般の知識に留まらず有意義になることを希望します。

2014年2月
坂本 卓 

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