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ポンプの選定とトラブル対策
現場で起きた故障事例と対処法

定価(税込)  2,592円

著者
サイズ A5判
ページ数 224頁
ISBNコード 978-4-526-07199-7
コード C3043
発行月 2014年02月
ジャンル 化学

内容

ポンプのトラブル原因は単純ではない。技術的原因、人的原因および経済的原因が入り交じって起こるのが一般的で、その対策は現場ノウハウがものをいう世界となっている。本書は、ポンプの選定からトラブルを起こさないための現場対策、起こってしまったトラブルへの適切な対処法までを紹介する。

外山幸雄  著者プロフィール

(そとやま ゆきお)


1954年 北海道生まれ

1975年3月 函館工業高等専門学校機械工学科卒業

1975年4月 ㈱荏原製作所入社

ポンプ関係の設計、開発、研究、トラブル対策、標準化、見積業務などに従事。JIS規格改正委員およびISO国際規格審議会委員を経験。

2007年3月 技術士事務所開設のために退社

2007年4月 外山技術士事務所開設

ポンプ関係のコンサルティング、海外製造メーカの日本代理人、製品開発支援、トラブル対策支援、輸出用回転機械の立会検査員、技術者教育、API 610改正委員。技術士事務所開設と同時にホームページを立ち上げポンプの技術相談に応対。

現在、外山技術士事務所所長、技術士(機械部門、総合技術監理部門、第56804号)、エネルギー管理士(第3346号)

目次

はじめに 1

第1章 ポンプの種類と選定のポイント

1-1 ポンプにはどんな種類があるのか

1-2 ポンプの用途

1-3 選定のポイント


第2章 知っておきたいポンプの技術

2-1 設計規格
2-2 選定および設計のための仕様

2-3 シールは漏れる

2-4 メカニカルシールの選定

2-5 グランドパッキンの選定
2-6 シールレスポンプ

2-7 NPSHAとNPSH3

2-8 吸込ストレーナ

2-9 吸込口と吸込タンク

2-10 吸込配管

2-11 横軸ポンプ始動前の空気抜き

2-12 締切運転

2-13 並列運転

2-14 全揚程と吐出し圧力の関係
2-15 性能曲線と運転点の関係

2-16 グランドパッキンの締め方

2-17 保護装置
2-18 管理標準

2-19 ポンプの標準化

2-20 公開特許


第3章 ポンプの市場動向と技術動向

3-1 国内のポンプ生産

3-2 世界のポンプ生産
3-3 ライフサイクルコスト

3-4 省エネルギー

3-5 将来展望
3-6 技術の動向

3-7 特許出願
3-8 技術の伝承と技術者教育


第4章  トラブルはなぜ起こるのか

4-1 原因分析
4-2 技術的要因

4-3 人的原因
4-4 経済的要因

4-6 トラブルの分類


第5章  トラブルを減らすためのアプローチ

5-1 吸込トラブル

5-2 システムトラブル
5-3 機械的トラブル

5-4 トラブルを減らすためのアプローチ


第6章 トラブル事例、その原因と対処法

1 腐食および浸食のトラブル

①ボイラ給水ポンプの吸込圧力低下

②炭酸カリウム液を扱うポンプの羽根車割れ

③海水ポンプの表面硬化材がはく離

④ガス吸収液を扱うポンプの液漏れ

⑤羽根車の浸食

⑥羽根車の浸食と腐食

2 振動のトラブル

①配管の共振

②ポンプおよび配管の過大振動

③大口径ポンプの過大振動
④チタン製ポンプの過大振動

⑤インバータ制御運転で過大振動

3 軸受のトラブル

①軸受の油漏れ

②両持ポンプのラジアル軸受破損

③1枚翼ポンプの軸受過熱

④円筒ころ軸受の過熱
⑤オイルシールからの油漏れ

⑥軸受ハウジング内にある主軸表面に錆発生

4 軸封のトラブル

①現地でモータ電流値が高すぎた

②出荷前試験で大幅な効率不足

③メカニカルシールにブリスタリング発生

④超硬材のメカニカルシール漏れ
⑤メカニカルシールの「だきつき」で心出し不良

⑥立形ポンプにメカニカルシール漏れ発生

⑦メカニカルシール用ドレン配管ができない

⑧テフロン系グランドパッキンの過熱

⑨油セルフフラッシングで過熱

5 その他のトラブル

①高温用ポンプで心出し不良

②立形ポンプで心出し不良
③主軸の折損
④低速で運転してNPSH3不足

⑤現地の法律適用でカップリングガード作り直し


第7章  トラブルを未然に防ぐ39のヒント

HINT1 ポンプ部品の金属が腐食でなくなる前に取り替える

HINT2 溶融硫黄は腐食性が高い

HINT3 インデューサの特性をあらかじめ知っておく

HINT4 エンジン駆動ポンプの振動値を規定以内に収めるのは容易ではない
HINT5 ポンプ全体の固有振動数を高くすることが効果的

HINT6 配管の過大振動は配管のサイズを考えよう

HINT7 屋内で使う場合でも「屋外設置が可能な設計」に

HINT8 水中軸受は材料が炭素の場合、不純物があると異状に摩耗する

HINT9 汚水を移送するポンプの軸封には外部から洗浄液を注入する

HINT10 極と2極のポンピングリングの構造を考えよう

HINT11 水冷が必要かどうか事前に判断しよう
HINT12 メカニカルシールの許容PV値が異なっている時の対応

HINT13 出荷時の機能試験と納入後の現地運転の条件には差異がある
HINT14 ガスケットではなく、Oリングにすると安心

HINT15 「PLAN13」の配管を忘れるべからず

HINT16 定格回転速度は明確に

HINT17 キャビテーション回避のためNPSH3を小さくする

HINT18 工場に試験用モータがなくては試験できない

HINT19 羽根車のウエアリング部からの環流量を減らす

HINT20 原始的だが、まずポンプ内部を掃除
HINT21 最高効率点の吐出し量のズレに注意

HINT22 現在の性能に合わせて代表曲線を変更しない

HINT23 ドライ運転の対策は万全に

HINT24 エコーライジング配管を有効に使う
HINT25 常時逃し配管を使い、間欠運転を回避する

HINT26 購入品の承認図は速やかに返却する

HINT27 海外メーカの計装品の納期遅れに注意しよう

HINT28 外国メーカ製モータの寸法違いへの対応

HINT29 ポンプの据付けレベルは必要

HINT30 カップリングガードの剛性が低いことを見こす

HINT31 カップリングの引抜きボルト穴の加工を忘れないように

HINT32 ケーシングカバーの押しボルト穴を付けよう

HINT33 ケーシングカバーの吊り穴は大切

HINT34 ケーシングカバーに面取りがないと組立時に苦労する

HINT35 規格の変更に注意しておく

HINT36 材料試験成績書を要求しよう
HINT37 追加工などの設計変更の控えは必ず保管しておく

HINT38 顧客の仕様書は関係部署に回そう

HINT39 ねずみ鋳鉄製ケーシングでは割れ発生に注意

はじめに

 トラブルはなぜ起こるのでしょうか、また、なくすことはできるのでしょうか。ポンプにトラブルが起こると、使用者においては生産ラインを止めざるを得なくなり、生産工程に支障をきたすし、製造者においてはトラブルを解決するために早急に対策を講ずる必要があります。海外でトラブルを起こすと、状況がなかなか把握できないにもかかわらず対策を急がされます。

 トラブルの原因は単純ではありません。技術的原因、人的原因および経済的原因が入りまじって起こるのが一般的です。しかし、同じトラブルは二度と起こしたくない、起こってしまったトラブルは適切に対処したいというのがポンプ関係者の願いです。

 ポンプは従来の技術で設計できることが少なくありません。一方で、社会の動向によって新たな用途のポンプが要求されます。たとえば、製造プラントの大形化に伴う大形ポンプ、燃料電池用の超小形で長寿命のポンプ、二酸化炭素の分離・回収・貯留用高圧ポンプ、シェールガス用スラリーポンプなどです。これらに対応するために、ポンプメーカは過去に設計したことがない大形ポンプ、小形ポンプ、高揚程ポンプなど、現在もっていないポンプを新規に設計する必要があります。そこにどんな未知の現象があるのか、設計段階では想定して対応するしかありません。

 このような動向に対応する場合、本書では何に注意して設計する必要があるかについて触れています。未知の分野においても、トラブルは起こさない方がいいのは当然ですが、残念ながらなくすことは困難です。しかし、減らすことは可能です。従来技術の設計においては同じトラブルは二度と起こさない、未知の分野でもトラブルは起こさないという願いを込めて本書をまとめています。

 本書はポンプにかかわる方で、特に設計者、開発者、発注者、使用者および保守点検者、そして機械の設計や保守点検に携わっている方に読んでいただきたいと思っています。

 さて、本書は第1章「ポンプの種類と選定のポイント」にはじまり、トラブルを少なくするために第2章では「知っておきたいポンプの技術」を解説しています。そして第3章で「ポンプの市場動向と技術動向」を踏まえ将来を展望し、また、技術の伝承と技術者教育について触れています。

 続いて第4章の「トラブルはなぜ起こるのか」で原因を追求し、第5章では「トラブルを減らすためのアプローチ」として、トラブルの現象ごとに推定原因をあげて解説しています。

 第6章の「トラブル事例、その原因と対処法」は、31例それぞれについて「どんなトラブルか」、「その原因は」および「その対処法」を述べ、さらに理解を深めることができるように「心得」として事例の関連情報を追加しています。続く第7章は「トラブルを未然に防ぐ39のヒント」を紹介しています。本書が広く普及し、現場でのポンプトラブル解消のきっかけになれば、著者としてそれ以上の喜びはありません。

 最後になりましたが、発刊するにあたり多くの方々からご協力をいただきました。本書執筆の機会を与えてくださった日刊工業新聞社の奥村功出版局長、企画の段階から多くの助言をいただいたエム編集事務所の飯嶋光雄氏、くじけそうになったときに応援してくれた技術士仲間の皆様などに心から感謝いたします。



2014年2月                     
外山幸雄

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