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バリ取り・エッジ仕上げ大全

定価(税込)  3,888円

著者
サイズ A5判
ページ数 336頁
ISBNコード 978-4-526-07197-3
コード C3053
発行月 2014年02月
ジャンル 機械

内容

部品表面やエッジに付与する機能を考慮しつつ設計段階からいかにバリを抑えるか、また2次加工でのバリ取り・エッジ仕上げ方法をどう選択するかなど、製品の表面性状向上に向けた対策を体系立ててまとめる。費用対効果を踏まえたシステム化の視点も紹介する。

北嶋弘一  著者プロフィール

(きたじま こういち)
 関西大学名誉教授 評議員 工学博士 (公社)砥粒加工学会バリ取り加工・研磨布紙加工技術専門委員会委員長 BEST JAPAN研究会会長
 1969年 関西大学大学院工学研究科機械工学専攻修士課程修了
 1994年 関西大学工学部教授
 1999年 (社)精密工学会高城賞受賞
 2001年 (社)砥粒加工学会技術賞受賞
 2005年 (社)砥粒加工学会会長
 2006年 (社)砥粒加工学会技術賞受賞 関西大学キャリアセンター所長
 2008年 (社)日本工学会フェロー授与
 2009年 (社)精密工学会フェロー授与
 2012年 (公社)精密工学会理事 副会長
 2013年 (公社)砥粒加工学会技術賞受賞
 2014年 (公社)精密工学会 名誉会員
 切削加工から研削・研磨加工に至る幅広い精密加工技術の高精度・高能率化に対する研究・開発に取り組む。わが国のモノづくり技術先進国として、今日の製品の軽薄短小化および高機能化などさらなる高付加価値化に対して、また航空機用機材に使用されるCFRP材やチタン材をはじめとする難削材料の加工に対して、加工後に生成するバリの除去ならびにシャープ・エッジの形成が大きな課題であり、永遠の課題と言われるこれらのテーマの解決に向けて注力してきた。

目次

まえがき

第1章 エッジに求める機能と精度設計
1.1 表面機能に及ぼす加工表面の品位
1.2 製品の性能に及ぼす表面機能
1.3 加工表面と精度設計

第2章 バリの生成メカニズム
2.1 各種加工法によって生成されるバリの種類
2.1.1 エネルギー加工と加工性原理 
2.1.2 各種加工法によるバリの種類 
2.1.3 バリの基本的形状とその寸法 
2.2 切削加工によるバリの生成メカニズム
2.2.1 旋削加工によるバリの生成形態 
2.2.2 切削加工におけるバリの生成メカニズム 
2.2.3 工作物端部のエッジ角とバリの生成形態 
2.3 フライス削りによるバリの生成メカニズム
2.3.1 フライス削りによるバリの生成 
2.3.2 正面フライス削りによるバリの生成形態 
2.3.3 正面フライス削りにおける諸条件とバリの生成 
2.3.4 正面フライス削りにおける2次バリの生成 
2.4 ドリル加工によるバリの生成メカニズム
2.4.1 ドリル加工によるバリの生成 
2.4.2 ドリル加工条件とバリの生成 
2.4.3 ドリル加工における切削温度とバリの生成 
2.5 研削加工によるバリの生成メカニズム
2.5.1 研削加工によるバリの生成 
2.5.2 バリの生成メカニズム 
2.5.3 研削加工条件とバリの生成 
2.6 プレス加工によるバリの生成メカニズム
2.6.1 プレス(せん断)加工によるバリの生成 
2.6.2 プレス(せん断)バリの生成形態 
2.7 造形加工(鋳造・型鍛造)およびプラスチック成形加工によるバリの生成メカニズム
2.7.1 鋳造によるバリの生成メカニズム 
2.7.2 型鍛造によるバリの生成メカニズム 
2.7.3 プラスチック成形加工によるバリの生成メカニズム 

第3章 生産工程におけるバリの抑制対策
3.1 生産設計段階におけるバリの抑制対策
3.1.1 製品の生産の流れとバリ対策 
3.1.2 生産設計におけるバリ対策 
3.1.3 部品の材質によるバリ対策 
3.1.4 部品のエッジ形状によるバリ対策 
3.1.5 工程設計によるバリ対策 
3.2 機械加工におけるバリ生成の抑制技術
3.2.1 工程設計におけるバリ生成の抑制要因 
3.2.2 製造現場におけるバリ生成の抑制法 
3.3 プレス加工におけるバリ生成の抑制技術
3.3.1 せん断加工技術によるバリ抑制対策 
3.3.2 金型構造の検討によるバリ抑制対策 
3.3.3 金型材質の選択によるバリ抑制対策 
3.3.4 金型の複合表面処理によるバリ抑制対策 
3.3.5 PCD製工具によるバリ抑制対策 
3.3.6 切断加工におけるバリ抑制対策 
3.3.7 レーザ照射・熱処理によるバリ抑制対策

第4章 バリ・エッジの寸法・形状の計測
4.1 バリ・エッジの評価法
4.2 バリ・エッジの測定法
4.2.1 マイクロメータ・ダイヤルゲージによる測定
4.2.2 工具顕微鏡による測定 120
4.2.3 表面粗さ測定機による測定 121
4.2.4 CCDカメラによる測定 122
4.2.5 レーザ変位計による測定法 123
4.2.6 レプリカ法を用いた測定 124
4.2.7 現場的簡易法によるバリの認識法 125

第5章 JIS(B 0051)に基づく部品エッジの図面表示
5.1 部品のエッジ形状の定義
5.2 これまでの部品エッジの指示方法
5.3 新しい部品エッジの指示方法

第6章 JIS(B 0721)に基づく部品のエッジ品質の図面表示
6.1 これまでのエッジに関わる規格
6.2 JIS B 0721におけるエッジ品質の等級化
6.2.1「エッジ品質」の要素 
6.2.2「エッジ品質」の等級区分 
6.2.3「エッジ品質」の基準 
6.2.4「エッジ品質」の指示方法 

第7章 バリ取り・エッジ仕上げ技術の選定
7.1 バリ取り・エッジ仕上げ技術の選択要因
7.2 バリ取り・エッジ仕上げ技術の種類
7.3 バリ取り・エッジ仕上げ技術の特性

第8章 回転工具・専用工具、研磨布紙工具、ブラシ工具によるバリ取り・エッジ仕上げ技術
8.1 回転工具、専用工具および専用手工具による方法
8.1.1 回転工具による方法 
8.1.2 専用工具による方法 
8.1.3 専用手工具による方法 
8.1.4 ふれまわり放電加工による方法 
8.2 研磨布紙工具による方法
8.2.1 研磨布紙工具の構造および種類 
8.2.2 研磨ベルトによるバリ取り・エッジ仕上げ 
8.2.3 研磨ディスクによるバリ取り・エッジ仕上げ 
8.2.4 研磨ホイールによるバリ取り・エッジ仕上げ 
8.3 ブラシ工具による方法
8.3.1 ブラシ・ブリッスルの種類 
8.3.2 ブラシ工具の形体 
8.3.3 ブラシ工具の特性と加工条件
8.3.4 ブラシ工具によるバリ取り・エッジ仕上げの自動化 
8.3.5 特殊形状ブリッスル・ブラシ工具 

第9章 バレル加工、磁気バレル加工および磁気研磨加工によるバリ取り・エッジ仕上げ技術
9.1 バレル加工による方法
9.1.1 バレル加工方式とその性能 
9.1.2 バレル加工における支配因子とその選択 
9.1.3 バレル加工におけるトラブル対策 
9.1.4 バレル加工におけるエッジ仕上げプロセス 
9.1.5 バレル加工における新加工方式 
9.2 磁気バレル加工による方法
9.2.1 磁気バレル加工のメカニズム 
9.2.2 磁気バレル加工の適用条件 
9.2.3 磁気バレル加工機の方式 
9.2.4 磁気バレル加工の作業プロセスとバリ取り・エッジ仕上げ例 
9.3 磁気研磨加工による方法
9.3.1 磁性研磨メディア 
9.3.2 磁気研磨加工技術の原理 
9.3.3 磁気研磨加工の加工方式 
9.3.4 磁気研磨加工によるバリ取り・エッジ仕上げ 

第10章 噴射加工、液体ホーニング加工、ウォータージェット加工によるバリ取り・エッジ仕上げ技術
10.1 噴射加工による方法
10.1.1 噴射加工法の用途とその方式 
10.1.2 ブラスト研磨法によるバリ取り・エッジ仕上げ
10.1.3 ドライアイス・ブラスト法 
10.2 液体ホーニング加工による方法
10.2.1 液体ホーニング加工法の原理 
10.2.2 液体ホーニング加工装置 
10.2.3 液体ホーニング加工の特徴  
10.2.4 液体ホーニング加工の適用事例 
10.3 ウォータージェット加工による方法
10.3.1 ウォータージェット加工の特徴 
10.3.2 ウォータージェットによる噴流圧力 
10.3.3 ウォータージェット加工の噴射システム 
10.3.4 ウォータージェット加工機 
10.3.5 バリ取り・エッジ仕上げ例 

第11章 砥粒流動加工、サーマルデバリング加工によるバリ取り・エッジ仕上げ技術
11.1 砥粒流動加工による方法
11.1.1 砥粒流動加工法の原理とその特徴 
11.1.2 砥粒流動加工機およびその適用分野 
11.1.3 マイクロ砥粒流動加工 
11.1.4 砥粒流動加工によるバリ取り・エッジ仕上げ例 
11.2 サーマルデバリング加工による方法
11.2.1 サーマルデバリング加工の原理と特徴 
11.2.2 サーマルデバリング加工機 
11.2.3 バリ取り・エッジ仕上げ例 
11.2.4 サーマルデバリング加工の熱影響への対策 
11.3 大気圧プラズマ放電加工による方法

第12章 電解加工、化学的除去加工によるバリ取り・エッジ仕上げ技術
12.1 電解加工による方法
12.1.1 電解加工法の基本原理と特徴 
12.1.2 電解バリ取り加工機 
12.1.3 電解バリ取り・エッジ仕上げ例 
12.2 化学的除去加工による方法
12.2.1 化学的除去加工の加工原理 
12.2.2 化学的除去加工法の特徴 
12.2.3 化学的除去加工法によって除去できるバリの寸法 
12.2.4 化学的除去加工法によるバリ取り・エッジ仕上げ例 

第13章 ロボットの利用によるバリ取り・エッジ仕上げの自動化
13.1 ロボットシステムに要求される要素と機能
13.2 自動化のためのフローチャート
13.2.1 バリ情報の収集 
13.2.2 人手によるバリ取り工具とその利用方法 
13.3 バリ取り・エッジ仕上げ法の選択
13.3.1 バリ取り工具(ツール)の選択 
13.3.2 ロボットの利用法 
13.4 テスト加工
13.5 自動化システムの設計・製作
13.5.1 ロボットの選定 
13.5.2 ツール駆動装置に必要な機能と機構
13.5.3 適応制御 
13.6 バリ取り・エッジ仕上げの自動化における考慮点
13.6.1 前工程および後工程での考慮 
13.6.2 ロボットの操作 
13.6.3 実工数以外の効果 
13.6.4 自動化の課題 

技術資料編
電友研磨機工/㈱ユーコー・コーポレーション/㈱バーテック/㈱プライオリティ/㈱横浜ネプロス/㈱スギノマシン/㈱ジーベックテクノロジー

参考文献
索 引

はじめに

製品の高機能化、高品位化、高信頼性化の要求に伴って、近年バリテクノロジーが脚光を浴びている。これまでバリ取り・エッジ仕上げ技術は生産現場任せであり、他の機械加工技術に比べてレベルの低い加工技術と見られ、その作業はほとんどパートや外国人従業員による手作業に任せておけばよいという風潮が充満している現状である。
 これは、設計技術担当者が部品の稜線に「バリなきこと」と記述する無責任さに起因するものであり、バリを出すのは生産現場における加工技術が悪い結果であり、依頼企業からバリ取り・エッジ仕上げコストを払ってもらえない場合が大半であることにも原因があると思われる。製造技術担当者も工程設計上で十分なバリ対策を考慮することもなく、また設計技術担当者が部品のエッジに対して機能上どのような「エッジ品質」が必要であるかについて、製造技術担当者と意思疎通を図ることもなく、疎かにしてきたことに要因がある。
 このような現状を打破するため、ISO 13715「製図-エッジ用語及び指示方法」が1995年に規格化され、これをJIS化する機会にこの規格の不十分な点を補足するため、2004年JIS B 0721「機械加工部品のエッジ品質及びその等級」を制定した。この規格を適用して、設計技術担当者は部品の「エッジ品質」を図面上に指示することにより、それを達成するために製造技術担当者がバリ取り・エッジ仕上げコストを堂々と依頼企業に請求できるようにしたのである。しかし、このJIS化の情宣が十分にできていないため、企業の技術者にいまだに周知されていないという現状にある。これには、製図関係学会に周知を図って「機械製図」や「工業製図」などの指導書に、「エッジ品質」に関する言及・記述をしてもらうよう働きかけることが必要と考えている。
 設計技術担当者は、部品の設計に当たってサーフェス・テクスチャ(表面性状)ばかりにこだわり、サーフェス・インテグリティ(表面層の性状)に対する意識が不足しているように思われる。エッジは2つの表面の交差によって構成され、当然この2面の表面層の性状が重要になって製品の寿命や信頼性に大きく関わることになる。したがって、JIS B 0721にはこの観点から品質基準を定めたものである。
 わが国のモノづくりは、世界をリードしているとの幻想を抱いている技術者が少なくない。このような「エッジの工学的機能」の原点を理解する技術者は、企業の中でも最もベテランでなければならないが、このような人はそれほど多くいないのが現状である。前述のISO 13715の基本になっているのはドイツのDIN規格であり、ドイツの自動車メーカにおいて社内基準として定めている「エッジ品質」に対する標準化に目を見張るものがある。それに比べて、日本にはまだまだ本物のエンジニアが育っていないと思うのは筆者だけではないと思う。
 バリ取り・エッジ仕上げ技術にはトータル的思考が重要であり、システム・アプローチが必要になる。同じような部品であっても、その生産形態によってバリ取り・エッジ仕上げ方法も異なり、それぞれに最適な方法を選択しなければならない。その際に、「エッジ品質」と「バリ取り・エッジ仕上げコスト」のバランスを取らなければならないし、自動化に対する方策も検討しなければならない。
 まず部品の設計に際して、自動化しやすいように工夫をするとともに、製品間での部品の共通化を図ることによってバリ取り・エッジ仕上げ作業の共通化を実現することができる。さらに、NC工作機械による機械加工の自動化の中で、バリ取り専用の回転工具やブラシ工具などを利用したバリ取り・エッジ仕上げ工程を加工プログラム内に取り入れることを考慮すべきである。また、インラインで部品個々にバリ取り・エッジ仕上げを実施すべきか、オフラインでバッチ処理によって行うべきかを検討し、自動化にばかり固執し過ぎることはむしろ好ましくない。
 いずれにしても、バリ取り・エッジ仕上げに際してはバリ生成の原点に立ち返り、部品の設計段階から対策を講じることが重要であり、さらに部品の運動機構上およびトライボロジーの観点からもバリの存在がどのようなトラブルをもたらすかを十分把握し、バリ生成メカニズムからその抑制対策を十分に講じ、適切なバリ取り・エッジ仕上げ方法を選択することによって、部品の機能上において設計技術担当者が求める「エッジ品質」を具現化できるものと考える。
 本書はこのような観点に立って、㈱日刊工業出版プロダクションより刊行の月刊「機械技術」に平成23年7月より連載してきた「バリ取り・エッジ仕上げ技術を学ぼう!-基礎から応用まで-」をまとめたものであり、本書をモノづくりの基盤技術書として役立てて頂ければ幸甚である。
 本書をまとめるに際して、連載のきっかけを与えていただいた元㈱日刊工業出版プロダクション機械技術編集長の柳忠雄氏、その後任の㈱日刊工業出版プロダクション取締役の松田哲夫氏ならびに同社機械技術編集部の遠藤正志氏、さらに本書刊行に際して一方ならぬお世話になりました㈱日刊工業新聞社出版局書籍編集部の矢島俊克氏に心より感謝申し上げます。
 最後に、永い教育研究生活の中でバリ取り・エッジ仕上げに関する研究に携わる機会を与えていただき、数々のご指導を仰いだ2人の恩師、故田中行雄先生(関西大学名誉教授)と高沢孝哉先生(神奈川工科大学名誉教授)に本書を捧げ、深甚の謝意を表します。
 
2013年12月
北嶋弘一 

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