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図解よくわかる
貴金属材料

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 176頁
ISBNコード 978-4-526-07184-3
コード C3057
発行月 2014年01月
ジャンル 金属

内容

貴金属とは、金、銀、白金、パラジウムなど8つの元素を指すが、それぞれ独特・特有の特徴をもち、高価な装飾品として使われるだけでなく、工業分野でも使われている。本書では、貴金属の基礎的知識として、その性質・特徴をわかりやすく解説していく。

岡田勝蔵  著者プロフィール

(おかだ かつぞう)

昭和19年1月16日生。長野県出身。信州大学特任教授。1968年3月山梨大学修士課程修了、同年4月山梨大学助手、講師、助教授を経て、1990年4月山梨大学教授。2009年3月山梨大学定年退職、同年4月山梨大学名誉教授、2009年10月から現職。

目次

第1章 貴金属の基礎知識

1.1 周期表の中心を占める貴金属の元素  
1.2 金属をエッチングするいくつかの方法  

1.3 合金の種類 ─固溶体と規則格子と金属間化合物─  

1.4 金属の機械的性質は原子の並び方で変わる  
1.5 温度と組成から貴金属の状態がわかる  

1.6 貴金属は弾性変形から塑性変形を経て破壊する  

1.7 再結晶温度で焼きなませば加工硬化は解消する  

1.8 曲げ・圧延・叩き・せん断加工のメカニズム  

1.9 ビッカース硬さとは何か  

1.10 三元合金の濃度表示法 ─金-銀-銅合金の濃度表示─  

1.11 貴金属の熱伝導率 ─銀はプラチナよりヒンヤリ!  

1.12 金箔は最も薄い加工膜  
1.13 金・プラチナは王水に溶けるが銀は王水に溶けない  

1.14 太陽は金箔に透かせば緑色  

1.15 K18とAu750は同品位  

1.16 貴金属と金属アレルギーの関係  


第2章 金の基本性質とその特長

2.1 金の基本的な特長 ─クラッドで一石二鳥─  

2.2 金は滑りながら通電ができる宇宙の固体潤滑材  

2.3 黄色系金合金の組成  

2.4 軟らかいグリーンゴールドと硬いレッドゴールド  

2.5 イエローゴールドの色調  

2.6 イエローゴールドの硬さと耐食性  

2.7 パープルゴールドとブルーゴールドとブラックゴールド  

2.8 白色系金合金の組成 ─金・銅が白色に変身─  

2.9 ホワイトゴールドとピンクゴールドとグレーゴールド  

2.10 天然の冷暖房を完備する金閣寺 ─金箔の魅力─
2.11 金品位の分析 ─試金石法と灰吹法─  


第3章 銀の基本性質とその特長

3.1 銀の基本的な特長─銀は人に安全な金属である─  

3.2 銀めっき ─銀鏡反応で実用品の鏡をつくる─  

3.3 Ag999の純銀は自然に軟くなる  

3.4 Ag970の銀カップとAg950の銀フルート  

3.5 Ag925のスターリングシルバーは時効硬化型合金  
3.6 Ag900のコインシルバー ─銀コインと圧印─  
3.7 Ag720の共晶合金は純銀や純銅より低融点 

3.8 銀は硫化により黒くなる ─銀の箸は毒味に使われた─  

3.9 銀合金とロジウムめっき  

3.10 衣服の生乾き臭は銀イオンで消滅  

3.11 銀粘土でマイ・ジュエリーができる原理  

3.12 四分一は着色美術合金  


第4章 プラチナの基本性質とその特長

4.1 プラチナの基本的な特長
─白金カイロはプラチナ触媒の原点─ 

4.2 プラチナのがん治療薬 ─シスプラチン─ 

4.3 プラチナはプラチナ族の長男  

4.4 卑金属を添加するプラチナ合金  

4.5 貴金属を添加するプラチナ合金  

4.6 実用プラチナ合金  
4.7 カラープラチナ族合金 ─ピンクのプラチナ合金─  


第5章 その他の貴金属の基本性質とその特長

5.1 パラジウム、ロジウム、イリジウム、オスニウム、ルテニウムの特長
─排ガス浄化用三元触媒─  

5.2 パラジウム膜は水素のみを選び分ける原子のふるい
─高純度水素精製─  

5.3 イリジウムは自動車用スパークプラグの
中心電極をほぼ独占  

5.4 ルテニウムはハードディスクの記録容量を
増大させるキー素材  

5.5 ロジウムはプラチナを助ける硝酸の触媒  

5.6 オスニウムは万年筆の書き味を豊かにする  

5.7 欧米で注目のパラジウムジュエリー  


第6章 貴金属の色の科学

6.1 色を数値化する  

6.2 色差を測る  

6.3 純銀のつや出しを科学する
─神秘的な銀白色を作る技法─  

6.4 イエローゴールドが輝く光源 ─色温度と演色─  

6.5 油膜、玉虫、CD、モルフォ蝶の構造色  
6.6 ブループラチナ ─プラチナの構造色を探る─  


第7章 貴金属を接合するロウの科学

7.1 ロウ付けの原理  

7.2 ロウ付けメカニズムの三要素
─ぬれと毛管現象と拡散─  

7.3 ロウ付け作業の三要素 ─温度とぬれと隙間─  

7.4 銀合金のロウ付けが最も難しい  

7.5 金合金ロウの選び方  
7.6 「日本の銀ロウ」の選び方  

7.7 プラチナを含まないプラチナ用ロウ  

7.8 フラックスの役割  

7.9 超音波洗浄で貴金属表面の汚れを除去  

参考文献  

はじめに

 貴金属と人類の関わりはかなり古くからになります。紀元前4000年頃、金の装飾品がヨーロッパ東部で発見され、また、紀元前3000年頃には銀の宝飾品がメソポタミアの埋葬遺跡で見つかっています。プラチナはパリのルーブル博物館に展示の「テーベの小箱」に使われていることから、紀元前700年頃と推定されます。

 貴金属材料が具備すべき条件は①美しい色②適度な強度③変色しない④稀少性の四つです。金銀プラチナなどはこの条件をすべて備えた貴重な金属材料です。このため、宝飾美術工芸品やコインの素材として、金銀プラチナは古来より現在もなお使われています。加えて、20世紀以後では電気・電子、化学、機械などの工学分野や健康医薬の分野において、貴金属材料の利用が急激に増大しています。

 本書は、先ず、貴金属材料に関する基礎知識に必要な物理的、機械的、化学的、光学的性質を事例と共にわかりやすく解説します。次に、貴金属材料を金、銀、プラチナ、その他の貴金属の4つに分類し、それぞれの基本性質とその特長について具体的事例を交え、科学的立場から、わかり易く概説します。更に、色科学の観点から貴金属材料を解説し、また、科学的立場から貴金属を接合するロウにも触れます。本書を通じて、貴金属材料に興味を持っていただけたら幸いです。

 本書を執筆するにあたり、基礎データを収集いただいた山梨大学の石田和義先生、(旧)岡田研究室の学生の皆様にお礼申し上げますとともに、本書に引用させていただきました諸先輩の名著や論文に深く敬意を表します。

 最後に、本書の刊行にあたり、編集をご担当くださいました日刊工業新聞社出版局書籍編集部藤井浩様には大変お世話になりました。厚くお礼申し上げます。


平成26年1月 
岡田勝蔵

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