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絵で見てわかる
熱処理技術

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 186頁
ISBNコード 978-4-526-07170-6
コード C3057
発行月 2013年12月
ジャンル 金属

内容

本書は、鉄鋼材料を中心に熱処理についてわかりやすく解説した実務者向けの入門書。製造現場で必要な熱処理の知識をイラストなどを用いて紹介しているほか、トラブルなどについても事例を元に発生原因と対策などを具体的に解説した実務者必読の書である。

藤木 榮  著者プロフィール

(ふじき さかえ)
1960年 東京都立工業奨励館入庁 以来
    東京都立工業技術センター 主任研究員
    東京都立産業技術研究所 主任研究員
2005年 (独)産業技術総合研究所 客員研究員
    (地独)東京都立産業技術研究センター 城南支所 技術相談員
    東京都エンジニアリングアドバイザー
現在に至る
工学博士
〈主な研究〉
鉄鋼材料の疲労に関する研究(表面硬化も含む)
鉄鋼材料の遅れ破壊に関する研究
〈主な著書〉
100事例でわかる機械部品の疲労破壊・破断面の見方(日刊工業新聞社)、2002年
金属材料の金属組織と疲労強度の見方(日刊工業新聞社)、2004年
50事例でわかる表面硬化処理鋼の疲労強度と破壊・破断面の見方(日刊工業新聞社)、2008年
金属材料・部品の損傷および破損原因と対策Q&A(日刊工業新聞社)、2011年

目次

はじめに 

第1章 熱処理は鋼の特性を変える 
1.1 温めて冷やすのが熱処理 
1.2 硬さ、強さ、粘りなどが変わる冷やし方 
1.3 表面だけの特性を変える熱処理 
1.4 鋼ができるまでの過程 
1.5 鉄と鋼の分け方とミクロ的な顔 
1.6 加える元素によって鋼の特性が変わる 

第2章 鉄鋼材料と熱処理 
2.1 部品を長持ちさせる熱処理 
2.2 粘りを出す鋼の種類と熱処理 
2.3 焼きの入る深さを保証した鋼 
2.4 高い硬さを利用する鋼の種類 
2.5 工具鋼は球状化の良し悪しが命の分かれ道 
2.6 高級な刃物・金型などに使う鋼と熱処理 
2.7 錆び難い鋼の種類と熱処理 
2.8 特殊な使い方をする鋼とその熱処理 

第3章 熱処理を原子レベルで考える 
3.1 鉄鋼材料が固まる過程 
3.2 原子の並び方と膨張・収縮(その1) 
3.3 原子の並び方と膨張・収縮(その2) 
3.4 ゆっくりと加熱・冷やした時の組織の変化(同素変態、磁気変態) 
3.5 加熱・冷却によって変わる金属組織 
3.6 冷却速度の違いによる長さの変化 
3.7 Fe-C系二元系合金平衡状態図の読み方(その1) 
3.8 Fe-C系二元系合金平衡状態図の読み方(その2) 

第4章 一般的な熱処理プロセス 
4.1 強くする熱処理の種類と方法 
4.2 軟らかくする熱処理の種類と方法 
4.3 硬くする熱処理技術とその方法 
4.4 割れず硬くするポイント 
4.5 等温変態曲線 
4.6 冷やし方と冷え方の違い 
4.7 焼入れした鋼は0℃以下に冷やすと硬くなる 
4.8 18Cr-8Ni系ステンレス鋼は水で冷やすと錆び難くなる 
4.9 鋼を粘り強くする熱処理(焼戻し) 
4.10 硬さと粘りが出るのが焼戻し 
4.11 焼戻しをすると脆くなることがある 

第5章 表面硬化熱処理 
5.1 表面硬化の種類と目的 
5.2 高周波焼入れの原理と処理方法 
5.3 炎焼入れの火口と処理方法 
5.4 表面から炭素が入ると減らない鋼となる 
5.5 炭素を入れる方法とその種類(その1) 
5.6 炭素を入れる方法とその種類(その2) 
5.7 炭素を入れる方法とその種類(その3) 
5.8 浸炭焼入条件と硬化層 
5.9 炭素と窒素が入ると高級品となる 
5.10 窒素を入れる処理の種類(その1) 
5.11 窒素を入れる処理の種類(その2) 
5.12 窒素を入れる処理の種類(その3) 
5.13 鋼は窒素が入るとタフネスになる 
5.14 窒化に役立つ元素 
5.15 焼付きを防ぐ処理の方法 
5.16 ボロン、クロムが入るとさらに硬くなる 

第6章 熱処理欠陥の原因と対策 
6.1 加熱雰囲気による欠陥の種類 
6.2 酸化・脱炭の原因と対策 
6.3 過熱組織と燃焼組織の違い 
6.4 焼ならし、焼なましによる欠陥と対策 
6.5 焼入れによる欠陥の種類 
6.6 焼割れの原因と対策 
6.7 焼曲がりはどうして起こるのか 
6.8 焼戻しによる欠陥と対策 
6.9 高周波焼入れによる溶損 
6.10 過剰浸炭となる原因と対策 
6.11 粒界酸化、結晶粒の粗大化の原因と対策 
6.12 硬化層のはく離、硬化層、心部硬さ不足の原因 
6.13 窒化および軟窒化による欠陥の種類(その1) 
6.14 窒化および軟窒化による欠陥の種類(その2) 

第7章 熱処理品の前処理と後処理 
7.1 熱処理品の前洗浄と後洗浄の仕方 
7.2 熱処理品の後処理方法 

第8章 試験と検査 
8.1 不純物の種類とその計り方 
8.2 結晶粒の大きさを計ろう 
8.3 金属組織の調べ方 
8.4 焼入れ深さを求める試験 
8.5 鋼種を知るための火花試験とは 
8.6 脱炭層深さの計り方 
8.7 窒化層深さの計り方 
8.8 高周波焼入れ、炎焼入硬化層深さの測定方法 
8.9 比較的大型材料の硬さ試験には 
8.10 薄物、小物の硬さ試験には 
8.11 比較的誤差の少ない硬さ試験には 
8.12 材料試験 
8.13 ショックに対する抵抗を求める試験方法 

コラム
生まれたての鉄は不純物が多い 
焼ならし、焼なましで使う鋼の種類 
焼きの入る深さを丸棒の直径から求める 
応力除去焼なましでひずみが取れる 
鋼中に炭素を入れる方法 
結晶粒の粗大化 
鋼の質量効果(U 曲線) 
繰返しの力で寿命を求める試験方法 

参考文献 

はじめに

使用している部品が壊れて使えなくなる原因には、いろいろなことが考えられる。例えば使用している材料の問題から形状や寸法、機械加工や熱処理、めっき、使用している環境の問題、また、使い方などがある。これらはすべて使用部品を長持ちさせるためには重要なことである。なかでも鋼を加熱したり、冷やしたりする熱処理は、引張ったり、曲げたりした時の力、衝撃的な粘り、もろさ、錆びたり、錆びなかったりする性質を大きく左右する。このような特性を変える熱処理技術について、数多く専門書が出版されているが、これらの書物は、初めて熱処理を学ぼうとする若い技術者にとっては難解なものが多い。本書はこのような観点にたって、絵を見て分かるようにやさしく解説したものである。
 内容的には、
 第1章「熱処理は鋼の特性を変える」
 第2章「鉄鋼材料と熱処理」
 第3章「熱処理を原子レベルで考える」
 第4章「一般的な熱処理プロセス」
 第5章「表面硬化熱処理」
 第6章「熱処理欠陥の原因と対策」
 第7章「熱処理品の前処理と後処理」
 第8章「試験と検査」
 とし、いずれの章においても図を多く取り入れ、文章も専門用語には注釈を入れて、一目で理解ができるようにレイアウトした。また、本書は高校、高等専門学校、大学を卒業し、初めて熱処理を学ぶかあるいは従事する若手技術者を読者対象とした、熱処理技術に関し、興味が持てるようにした手引き書である。なお、本章では熱処理炉、温度計と制御に関しては、記述しなかったが、興味のある諸兄は他の専門書を参考にしていただきたい。また、本書の出版に当たっては、数多くの文献を参考にした。感謝申し上げると共に、多大なご尽力をいただいた日刊工業新聞社出版局書籍編集部の方々に重ねて感謝申し上げる次第である。

2013年(平成25年)11月  著 者

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