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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい非在来型化石燃料の本

定価(税込)  1,512円

編著
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07176-8
コード C3034
発行月 2013年12月
ジャンル 環境 ビジネス

内容

埋蔵されていることはわかってはいても、経済性や技術的問題で使えなかった“非在来型”と呼ばれる化石燃料の実用化が始まった。代表的なシェールガス、オイルサンド、コールベッドメタンなど注目の非在来型化石燃料の基礎から応用までをわかりやすく解説する。

藤田和男  著者プロフィール

(ふじた かずお)(第1章、2章、6章、7章)
東京大学名誉教授、芝浦工業大学客員教授、ボランティア団体Geo3 REScue Forum代表、1965年東京大学工学部資源開発工学科(石油専修コース)を卒業して、アラビア石油(株)に入社後30年勤務。その間1969年から 4年間本場のテキサス大学大学院石油工学科へ社費留学、1972年12月石油工学博士号 (PhD)を取得して石油危機が始まる直前に帰国する。その後アラビア湾のカフジ油田に 8年余り、日中石油開発(株)の渤海湾プロジェクトに2年、そしてマレーシアの駐在代表として 1年などの海外勤務計15年を経験する。1994年12月アラビア石油(株)を退社して東京大学工学部教授に就任。1997年より大学院主任、1999年より同専攻の専攻長(学科長)を務める。2003年3月東京大学を退官して芝浦工業大学にわが国初めて新設されたMOT(技術経営〕大学院の育成のため招かれ7年間、2010年3学に退職し現在に至る。専門は油層工学を軸に石油資源論、石油開発プロジェクト評価、地球環境・エネルギー戦略論、エネルギージオポリティックスなど。

高橋明久  著者プロフィール

(たかはし あきひさ)(第3章)
石油資源開発株式会社参与 アジア・オセアニア事業本部カンゲアンプロジェクト部長。1982年東北大学大学院理学研究科(地球物理学専攻)修士課程を修了、同年石油資源開発株式会社物理探鉱本部に入社。1999年よりカナダオイルサンドプロジェクトに携わり、2005年より2006年までカナダオイルサンド株式会社地質部長を務める。2007年にはオイルサンド貯留層の評価技術に関する研究で京都大学博士(工学)を取得。2007年度・2012年度に物理探査学会論文賞を受賞。技術士(応用理学・資源工学・総合技術監理)。

藤岡昌司  著者プロフィール

(ふじおか まさじ)(第4章)
1980年に北海道大学工学部資源開発工学修士課程修了。住友石炭鉱業(当時)と石炭エネルギーセンター(JCOAL)での勤務を経て、現在JFE商事株式会社鉱石・石炭部資源担当副部長。1983年から海外、特に豪州とインドネシアでの炭鉱開発に従事。1989年から2000年まで邦人企業が100%権益を所有する豪州炭鉱における計画立案、予算管理業務に専従。2003年から2007年にかけて夕張でのCO2炭層固定化技術開発の現場試験を担当。2012年にインドネシアCBM調査を実施。

出口剛太  著者プロフィール

(でぐち ごうた)(第4章)
NPO法人地下資源イノベーションネットワーク理事長、技術士(資源工学)事務所Gプラニング代表、室蘭工業大学客員教授、工学博士。京都府生まれ。1976年北海道大学工学部資源開発工学科卒業、1981年同大学院資源開発工学専攻博士課程修了後、(財)石炭技術研究所に採用。1997年からは (財)石炭エネルギーセンターに勤務。2002年に退職。この間、CBMの生産、管理を含め炭鉱保安技術に関する研究開発、諸外国との共同研究に従事。現在、未利用石炭資源の有効活用に向けて、夕張でのCBM開発の事業化推進、石炭地下ガス化技術の基礎研究などに従事。

木村 健  著者プロフィール

(きむら けん)(第5章)
関東天然瓦斯開発㈱茂原鉱業所取締役鉱業部・工務部・技術部管掌開発部長。埼玉県生まれ。1982年早稲田大学理工学研究科資源及び金属工学修了。同年、関東天然瓦斯開発㈱に入社後、千葉県水溶性天然ガスの貯留層評価・井戸の新規開発・操業、経営企画に従事。企画部副部長、鉱業部長、工務部長を経て現職。企画部在籍中に、米国陸上の石油開発水攻法プロジェクトの権益取得・操業に係わる。技術士(資源工学部門)。

目次

第1章 非在来型化石燃料ってなんだろう?
1 在来型と非在来型化石燃料の違いっていったいなんだろう? 「存在するけれど使うのが困難な資源」
2 今なぜ時代は非在来型化石燃料に注目するのか? 「在来型化石燃料の価格高騰が原因!?」
3 非在来型化石燃料にはどんなもんがあるのだろう? 「石油資源編①」
4 シェール(油母頁岩)に残された石油を追え! 「石油資源編②」
5 非在来型のガス資源にはどんなものがあるのだろう? 「ガス資源編」
6 石油系炭化水素資源の成因は?そしていつ頃できたの? 「とにかく長い年月をかけてできたのだ」
7 石油、天然ガスは炭化水素化合物の家族のようなもの 「炭素の数で用途が変わる」
8 非在来型化石燃料の埋蔵量とは?そして、国際公刊統計の謎 「化石燃料の埋蔵量を表す言葉」
9 非在来型化石燃料は地球のどこにあるのだろう? 「日本にはないのだろうか?」
10 非在来型化石燃料をとるには革新的技術が必須とはホント? 「必要不可欠な採掘技術の開発」

第2章 最近話題のシェールガス、タイトオイルとはなんだろう?
11 産業構造の変化をも引き起こすシェールガス 「米国におけるシェールガス増産の経緯」
12 世界と米国のシェールガス資源量分布と技術的回収可能量 「どのくらいとれるのか?」
13 シェールガスの増産を実現した新技術とは 「水平掘りとフラクチャリング」
14 シェールガス生産井の生産量減退が急激ってホント? 「最盛期は2~3年!?」
15 シェールオイルやタイトオイルの発見が経済効果を高めた 「採算が取れなければ閉鎖」
16 シェールガス井の掘削現場はどんな所 「環境破壊なのか?」
17 シェールガス開発にまつわる環境問題 「環境問題との闘い」
18 州政府、地域住民に密着した環境対策CSRや企業同盟(Alliance) 「10 個の環境への悪影響」
19 世界と米国の天然ガス価格の乖離 「パイプラインとLNG」
20 シェールガス革命ってなに? 「米国では天然ガス輸入が激減、価格低迷」
21 カナダ、中国、豪州でのシェールガス開発の動き 「米国以外ではなかなか難しい?」

第3章 重質油、オイルサンド、タールサンド、オイルシェールとは?
22 簡単には汲み上げられないから非在来型なのだ 「非在来型原油の分類と概略」
23 埋蔵量の数字は見方で変わってくるから要注意 「世界の非在来型原油の原始埋蔵量」
24 技術の進歩で採取可能になってきた埋蔵量 「非在来型原油の残存可採埋蔵量と生産量」
25 カナダのオイルサンドはこうしてできた 「オイルサンドの性状と成因」
26 カナダオイルサンドの従来型生産方式 「露天掘りとCSS」
27 革新的な地層内回収法「SAGD法」 「地層内回収法はSAGD法が本流だ」
28 ベネズエラとカナダでのこれからの生産技術 「さらに進む地層内回収方法の高等技術」
29 そのままでは運べない!超重質油/ビチューメンの軽質化技術 「希釈・分解して粘性や比重を下げる」
30 残された化石燃料資源オイルシェール 「オイルシェールとシェールオイルは違う」

第4章 コールベッドメタン(CBM)ってなに?
31 石炭開発の厄介者がエネルギー資源に! 「炭層に含まれるメタン」
32 CBMの起源と石炭層内でのガス貯留の姿 「ガスと石炭」
33 CBM資源量の評価法は2つある 「直接法と間接法」
34 CBM開発にはクリアしなければならない問題がある 「CBM 開発の重要因子」
35 世界のCBM資源量と生産量実績は石炭のそれと一致? 「まだ十分な資源量調査が進んでいないが!」
36 米国では各種の補助政策がとられ伸びてきた 「CBM 開発の現況①」
37 日本では夕張で、ECBM現場実験が行われた 「CBM開発の現状②」
38 積極的な開発を進める中国とインドネシア 「CBM開発の現況③」
39 カナダ・オーストラリアでのCBM生産は毎年着実に伸びている 「CBMの開発の現況④」
40 CBM 増進回収法(ECBM)は地球環境に優しい 「二酸化炭素と窒素を使いCBMを排出」
41 石炭層から夢のエネルギー源、石炭地下ガス化 「これまで使えなかった資源をトコトン使う」

第5章 水溶性天然ガスの意外な素顔
42 水溶性天然ガスはいったいどこにあるのだろう? 「千葉・新潟・宮崎県で商業生産」
43 水溶性天然ガスはどのくらいあるのか? 「埋蔵量、年間生産量の実績と可採年数」
44 生産を始めると、その推移には2つのパターンがある 「茂原型と通常型」
45 茂原型のメタンを回収するメカニズムとは 「ガス水比上昇のメカニズム」
46 水溶性天然ガスの井戸掘削と生産は 「ガスとかん水の生産方式は至ってシンプル」
47 人体に必須な元素ヨウ素と水溶性天然ガス 「生産ガスとヨウ素の物性」
48 ヨウ素の製造方式・用途と世界における生産シェア 「追い出し法とイオン交換樹脂法」

第6章 燃える氷:メタンハイドレート
49 燃える氷:メタンハイドレートってなに? 「世界の深海に潜むメタンの塊」
50 メタンハイドレートのめずらしい物性 「分解すると水とメタンに」
51 世界におけるメタンハイドレート研究の歴史 「進む研究と実証試験」
52 日本のメタンハイドレートの調査・探査研究の歩み 「3つのフェーズからなる計画」
53 世界におけるメタンハイドレートの分布と資源量 「日本の近海域にもたくさんある?」
54 地震探査でメタンハイドレートは見つけやすいのだ 「MHを探すならBSRを追え!」
55 世界で初めて挑むメタンハイドレートの海洋産出試験 「東部南海トラフ海域のMH濃集帯を目指す」
56 すでに準備が進んでいる海洋環境影響調査 「備えあれば憂いなし!」
57 メタンハイドレート商業生産システムは不可能に挑戦か 「もし成功すれば日本も資源大国に!」
58 日本のMH21資源化研究の波及効果 「次世代を拓く汲及効果」

第7章 化石燃料資源をトコトン使うための総合エネルギー転換
59 地球温暖化防止のため低炭素社会を拓く 「危機状態にある地球」
60 地球環境に優しい化石燃料の賢い使い方 「「グリーンイノベーション」の時流」
61 アジア・オセアニア地域は在来型天然ガスの埋蔵量の宝庫(1) 「パイプラインを敷設しよう」
62 アジア・オセアニア地域は在来型天然ガスの埋蔵量の宝庫(2) 「LNGに頼る日本」
63 エネルギー外交にはジオポリティクスのすすめ 「天然ガスを巡る地政」
64 石炭・石油・天然ガスの一貫操業コンビナート 「新型ガスを作ろう」

●石油利用の歴史は150年、あと何年使えるだろうか?
●シェールガス革命の父は二人いる!ジョージ・ミッチェルとテリー・エンゲルダー
●カナダオイルサンド事業の先端を走る日本企業
●インドネシアでのCBM開発プロジェクトと生産物分与契約(PSC)
●水溶性天然ガスは地産地消の優等生!、ヨウ素は海外への輸出資源
●日本が誇る地球深部探査船「ちきゅう」
●低炭素社会をめざすエネルギーの利活用の鍵は化学工学だ

索引
参考文献

はじめに

2011年3月11日に発生した東日本大震災と大津波により「原発神話」が崩れ、これまで原発でまかなってきた消費電力の29%分を何で代替するかが喫緊の命題となっています。石油、天然ガス、石炭などの化石燃料の中で、CO2排出量が比較的少ない天然ガスが、これからの低炭素社会における電力源の切り札となるであろうことは間違いないのに、わが国の前政権は、太陽光と風力発電の利用促進を謳い、余剰電力を高値で買い取る制度を導入、結局は高い電気料金を国民に押し付けようとしています。国際エネルギー機関(IEA)は 「21世紀は天然ガスの黄金時代」と唱えているのに!
 折しも、米国内で非在来型ガス資源と言われる「シェールガス」の生産が2005年頃から年率4%のペースで急増しはじめ、2011年には2220億立方メートル(2011年度の日本の天然ガス消費量の2倍の量)に達し、全米ガス生産量の3分の1を占める程に増えています。そこで、国内ガス需要を満たして余りある分を将来にはLNGとして海外輸出する計画をオバマ政権が経済回復の目玉としようとしています。実は、過剰な天然ガスの供給が米国内の天然ガス価格を、英国熱量単位百万Btu当たり3ドルを割るほどに下げ、発電、電力多消費産業界も石炭を止めて天然ガス火力発電にシフトする様相となっています。この産業構造が変革するかもしれない動きを「シェールガス革命」と呼んでいます。そして、それほどにこのシェールガスを代表とする非在来型化石燃料は他に何があるのか注目されるようになっています。
 本書の第1章では、先ず「非在来型化石燃料」とはなんだろうという質問に対して初歩的にわかり易く説明しています。第2章は最近話題の米国のシェールガスや随伴して生産された天然ガス液(NGL)やタイトオイルにについて近年の開発状況や生産量増産の推移を示しました。世界と米国のシェールガス資源量の分布や技術的回収量もまとめました。さらに、私が実際にペンシルバニア州のマーセラスシェールガス(Marcellus Shale Gas)の生産現場で見てきたシェールガスの大量生産の魔術は何か、その新技術を概説します。また、直面している諸問題にも触れます。それは、シェールガス井戸はガス層に沿って1キロメートル以上も水平掘削しセメント仕上げを行い、ハイドロフラクチャリング(水圧破砕)を10数段の区間に実施する際に莫大な清水量と砂を圧入しますが、近年余りにも多くのシェールガス井戸が各地で次々に掘られるために圧入水と砂が供給限界に直面しています。また毒性の高い化学薬剤の環境汚染問題など現場が抱える地域環境対策の実情を紹介します。
 第3章では非在来型原油の代表としてカナダのオイルサンドとベネズエラのオリノコタールの開発技術や資源量や埋蔵量の見方を説明しています。革新的な地層内回収法「SAGD法」やビチューメンの軽質化精製技術が鍵だと指摘しています。執筆はカナダのオイルサンドの開発に携わった実務経験の豊富な高橋明久氏にお願いしました。
 第4章ではこの他に新型ガスとし期待されている石炭層に挟まって存在するコールベッドメタン(CBM)について概説しました。過去にアメリカで商業生産され、現在中国、豪州やインドネシアで開発を計画中の現況や経済性に言及します。石炭鉱業の専門家、藤岡昌司氏と出口剛太氏に特にこの執筆をお願いしました。
 第5章では国産エネルギーの地場産業として長い実績がある関東天然瓦斯開発(株)の技術系取締役木村健氏にお願いして、水溶性ガスの意外な素顔を詳しく紹介していただきました。
 さらには未来の国産ガスエネルギーとして期待される“燃える氷”メタンハイドレートについても第6章で取り上げ、本年3月に世界で初めて実施した東部南海トラフのメタンハイドレートの海洋産出テストについて概説しました。
 終章では石炭、重質油、天然ガスの化石燃料資源を一基地に集め高度なクリーンエネルギー転換技術を使う横断的な一貫操業でガス化して利活用する「総合エネルギー転換ハブ基地構想」を提案しました。化石燃料資源に乏しいわが国は高いエネルギー変換効率に基づく省エネ技術や環境対策技術を売りにすべきでしょう。21世紀は低炭素社会を実現するためのエネルギー需給のベストミックスが求められているのです。
 本書は、今まで一般に知られていなかった「非在来型化石燃料資源」にスポットライトを当て、大学受験の高校3年生レベルの学生が理解できるようにわかり易い啓発書を心掛けました。当然、一般のビジネスマンにも必携の参考書であることを狙っていますし、願わくは、文化教養派のワーキングウーマンが本屋で手に取って見て頂けたらこれに越した喜びはありません。
 尚、本書の執筆に際して、ご多忙にもかかわらず心良くご協力を頂いた諸兄に心から御礼すると共に、常に私のそばで元気付け編集校正など助けていただいた日刊工業新聞社出版局の藤井浩氏に謝意を表します。

平成25年12月(西歴2013年12月)   
東京大学名誉教授、芝浦工業大学(元)教授 藤田 和男

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