買い物かごへ

おもしろサイエンス
安眠の科学

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 144頁
ISBNコード 978-4-526-07177-5
コード C3034
発行月 2013年12月
ジャンル ビジネス

内容

安眠が得られないことはとてもつらい。しかし、この問題の多くは医学的に解決できる。本書は、まず睡眠の基本的な知識を解説し、人々の安眠事情から安眠を妨げるさまざまな要因、安眠を得るための効果的な方策までをわかりやすく紹介する。医師であり、早稲田大学の体育系クラブのメンタルサポートを担当する著者が「安眠」を科学する。

内田 直  著者プロフィール

(うちだ すなお)


1956年東京生まれ

1983年 滋賀医科大学卒業・東京医科歯科大学神経精神医学教室入局

1990年〜1992年 カリフォルニア大学ディビス校精神科に留学

1992年〜2003年 東京都精神医学研究所睡眠障害研究部門部門長

2003年 早稲田大学スポーツ科学学術院教授 

現在

早稲田大学スポーツ科学学術院教授

東京医科歯科大学医学部臨床教授

日本精神神経学会 精神科専門医

日本睡眠学会睡眠医療認定医

日本体育協会認定スポーツドクター

日本医師会認定産業医


博士(医学)東京医科歯科大学



●主な著書

「好きになる睡眠医学(第2版)」講談社

「スポーツカウンセリング入門」講談社

目次

はじめに


第1章 安眠に必要な睡眠の基本知識


1 安眠とはどのようなもの?

2 睡眠の基本的なしくみ

3 ノンレム睡眠とレム睡眠─どちらが進化した睡眠? ─

4 安眠の役割① ─脳の疲労回復─
5 安眠の役割② ─身体の疲労回復とホルモン─

6 安眠の役割③ ─心の安定─

7 安眠の役割④ ─記憶の促進─

第2章 人々の安眠事情


8 成長─発達─老化と安眠① ─子供の睡眠─

9 成長─発達─老化と安眠② ─睡眠の老化─
10 安眠をつかさどる脳の機能

11 光とリズムと安眠

12 朝型人間と夜型人間

13 ポストランチディップとフォビドンゾーン

14 夢と安眠
15 アスリートの安眠

16 日本と外国の安眠事情

17 動物の安眠 ─生物はすべて眠る? ─



第3章 安眠を妨げる要因


18 睡眠障害の診断と国際分類

19 安眠の大敵「不眠症」
20 不眠とうつ病
21 過眠症
22 睡眠時無呼吸症候群

23 概日リズム睡眠障害
24 海外旅行と安眠
25 眠っている間に動き出す

26 その他の睡眠時随伴症

27 ムズムズ脚症候群と周期性四肢運動障害



第4章 安眠を得るために


28 安眠のための認知行動療法

29 安眠のための運動療法
30 生活習慣と安眠

31 安眠と睡眠薬
32 安眠のためのヒント集



Column

安眠の条件

日本人は、なぜ寝ない?

睡眠障害は連鎖する
自分にあった寝具の探し方



参考文献

はじめに

 眠らない人はいません。特別の仕事をしている人を除いてほとんどの人は、毎日眠ります。毎日訪れる眠りが、心地良いものであれば毎日の生活はとても豊かで楽しいものになるでしょう。よく眠れた日は、翌日の生活も活力に満ちたものになりますし、集中力も生まれます。ちょっとしたことにイライラせずに、過ごすことができます。当然、身体の動きも軽くなりますし、食事もおいしくなります。

 このような安らかな眠り、「安眠」が得られるということはとても幸せなことです。しかし、このような安眠が十分に得られない人たちもいます。まず眠りたくてフトンに入っても十分に眠れないという「不眠症」です。不眠症の人たちは、身体は疲れているのに眠れないと訴え、日中頭がぼんやりして集中できない、身体が思うように動かない、夜が近づくとまた眠れないのではないかと神経質になり、よりいっそう眠気が無くなってしまうなど、負のスパイラルに陥ります。

 不眠症とは逆に、日中の眠気が非常に強くなる疾患もあります。これらは「日中の過度の眠気(EDS: Excessive Daytime Sleepiness)」という名前で呼ばれることもあります。このような疾患の中に、最近比較的よく知られるようになった「睡眠時無呼吸症候群」があります。これは、眠っている間に呼吸が止まるために安眠が得られないという症状です。このほかにも、睡眠発作が起きるような「ナルコレプシー」などの中核的な過眠症があります。また、きちんと眠れるのですが、他の人たちが眠っている時間に眠くならず、他の人とずれて眠くなってしまうものに「概日リズム睡眠障害」があります。

 睡眠時間がずれるという意味では、海外旅行が盛んになった昨今では、時差ボケでせっかく楽しく過ごそうと思ったのにどうも体調が悪い、頭がボーとしているということを経験された方々も多いのではないでしょうか。さらには、眠っている間に安眠を妨げるいろいろなことも起きてきます。たとえば、寝ている間にボーとして起き出し、自分でも覚えていない行動をしてしまう。また、眠っている間に足が動いたり、眠り際に脚がムズムズしたりする疾患も知られています。このように、安眠が得られないということはとてもつらいことです。しかし、これらの多くの問題は医学的に解決ができます。きちんとした知識をもち、専門の医療機関にかかれば、ゆっくりとした安らかな眠りが得られるのです。

 本書では、この安眠をテーマに取り上げて、まず安眠に必要な睡眠の基本的な知識を解説します。睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があること、睡眠の質は成長と発達、老化という流れの中でさまざまに変化すること、さらには豆知識として動物の睡眠などについても解説します。睡眠は、さまざまな社会的な事情の影響も受けます。時代の流れによって睡眠のとり方も変わってきています。また、日本以外の外国の人たちの睡眠もそれぞれ特徴があります。このような、安眠に影響を及ぼすさまざまな社会的因子についても解説します。

 また、さまざまな安眠に関連した疾患についても解説します。これらの疾患は、安眠の基本的な知識があればしっかりと理解できるものです。理解ができれば、こういった問題も解決できることがわかります。そして、具体的な解決策として、自分でできる安眠のためのヒントなどを取り上げます。

 安らかな眠りを得るためには、睡眠のことだけを考えていてもダメです。日中の過ごし方、活動、食事なども睡眠に影響を及ぼします。眠りのことが心配になるのであれば、昼間の生活から改善してみると良いと思います。そして、より快適な安眠を得るためのさまざまな工夫もあります。ぜひ、本書を通読して、安らかな眠りを手に入れてください。

 

2013年12月                                       
内田 直

買い物かごへ