買い物かごへ

2030年のライフスタイルが教えてくれる「心豊かな」ビジネス
自然と未来に学ぶネイチャー・テクノロジー

定価(税込)  1,944円

監修
監修
編者
サイズ 四六判
ページ数 232頁
ISBNコード 978-4-526-07166-9
コード C3034
発行月 2013年11月
ジャンル ビジネス

内容

ネイチャー・テクノロジーとは、2030年の厳しい地球環境制約の中で心豊かに暮らせるライフスタイルを考え、そのライフスタイルから必要なテクノロジーを抽出し、その解を自然の中に見つけるテクノロジー創出システムのことである。環境問題にしっかりと目を向けてビジネスを考えてこそ、新規事業創出が達成される。本書では、ネイチャー・テクノロジーの考え方や具体例を紹介し、多くの企業が目指す新規事業創出にネイチャー・テクノロジーがいかに有効かを説く。

石田秀輝  著者プロフィール

(いしだ ひでき) 東北大学大学院環境科学研究科 教授

古川柳蔵  著者プロフィール

(ふるかわ りゅうぞう) 東北大学大学院環境科学研究科 准教授

モノづくり日本会議 ネイチャー・テクノロジー研究会  著者プロフィール

大企業から中堅・中小企業まで約1900社・団体が加入する企業ネットワーク「モノづくり日本会議」(事務局=日刊工業新聞社)の事業の1つ。
東北大学大学院の石田秀輝教授のコーディネートのもと、地球環境への負荷を低減するライフスタイルと自然に学ぶモノづくり(ネイチャー・テクノロジー)のかかわりを研究している。研究会での議論をベースに、環境制約下でも心豊かに暮らすための方策を問いかけるシンポジウムや、親子向けワークショップなどを開催。一般市民らを対象とする「2030年の『心豊かなライフスタイル』コンテスト」を主催している。
http://www.cho-monodzukuri.jp/index.html
[幹事会メンバー]
NEC、花王、サンデン、積水インテグレーテッドリサーチ、ディ・エフ・エフ、デンソー、豊田鉄工、
日本リファイン、乃村工藝社、YKK AP、東北大学、大日本印刷、日刊工業新聞社

目次

はじめに

第1章 企業の本来の役割とは
―環境負荷低減と経済的利益は両立できるのか
1・1 なぜ、イノベーションが起きないのか
1・2 企業の前にある3つの壁―イノベーションが起こせない企業の実態
1・3 変化するライフスタイルに向き合うこと

第2章 思考の転換 
―生活者が求めているものとは
2・1 企業と生活者の間にあるギャップ
2・2 生活者が潜在的に求めている暮らし方の価値
2・3 心豊かな暮らし方のかたちとは
2・4 心豊かな暮らし方のかたちを創るビジネスとは

第3章 自然のすごさを賢く活かす新しいものつくりと暮らし方のかたち 
―ネイチャー・テクノロジー
3・1 ネイチャー・テクノロジーとは?
3・2 自然から何を学ぶことができるのか

第4章 バックキャスト思考でライフスタイルをデザインする
4・1 変わりにくいライフスタイル
4・2 バックキャスト思考を用いたライフスタイル・デザイン手法
4・3 90歳ヒアリング手法

第5章 描き出したライフスタイルから新ビジネスを創出できるか
―ライフスタイルの検討
5・1 一度消費したものをより価値の高いものに変換する場 ―アップサイクルステーション
5・2 オーダーメードで保存食づくり ―フードループビジネス
5・3 心豊かにエネルギーを共有する ―パークレット

第6章 変革の萌芽
―企業は「足場を変える」ことができるか
6・1 インクルーシブデザイン・ソリューションズとライフスタイル・デザイン
6・2 積水化学工業と自然に学ぶニーズ・シーズマッチング
6・3 日本リファインのアップサイクルとバックキャスト思考
6・4 企業がネイチャー・テクノロジー創出システムを活用していくために

2030年の「心豊かなライフスタイル」
~未来のあたりまえを考える~コンテスト 授賞作品紹介

あとがき
ネイチャー・テクノロジー研究会に参加して 〜あとがきのあとがき
執筆者紹介

はじめに

 子どもの頃に読んだ「星の王子さま」を覚えているでしょうか?
 単純な物語に感じ、少しがっかりしませんでしたか?
 それが、大人になってからあらためて読み直すと、心が洗われる不思議な感覚に。
 「あたりまえ」の本当の大切さに気づかされるのです。

 「新事業の創出」―日本中、いや世界中の多くの企業が目指していることです。もちろん、執筆者である我々企業も。
長年磨いた自社技術をもとに高機能を付加した新製品で、あるいは技術を横展開した自社としての新規分野で、新事業を目指します。しかし、このような取り組みでは、値段の高すぎる高機能製品や既得権のある企業との競争を強いられるなどの難題に行き当たり、そう簡単に新事業は創出できません。
では、技術(シーズ)を出発点とした事業創出以外に、新しい手法はないのでしょうか?
私たちは、多くの企業が求めているその答えを、この本で紹介するライフスタイル・デザインの中に見つけました。

「ライフスタイルと事業創出?」──そう思われる方も多いかもしれません。初めは私もそうでした。しかし次第に、描いたライフスタイルが未来のありたい姿=ビジョンであり、技術(シーズ)起点から離れ、ニーズそのものの創造となることに気がつきました。

なぜライフスタイル・デザインが、事業創出につながるのか、少し具体的に説明します。
バックキャスト思考で「未来のあたりまえ」となるライフスタイルを描く、この作業が事業創出への第一歩です。2030年の環境制約をまず考えます。人口はどうなっているのだろう? 資源はまだ十分にあるのだろうか? 2013年の現在からでも、はっきりと予測できる2030年の環境制約もあるでしょう。少子高齢化、環境・エネルギー問題…。環境制約をしっかり頭に入れたら、あとは心豊かな楽しい、誰もがワクワクするような「未来のあたりまえ」を考え、300字~400字のライフスタイル・デザインを創ります。
最初に2030年の環境制約を把握することで、地球規模の問題にしっかりと目を向けます。今の利便性を失わなければならないこともあるでしょう。しかし、それを補ってあまりある楽しいライフスタイルを描くことができれば、地球環境問題にも配慮したライフスタイルへと、あっという間に変わっていくことでしょう。
ライフスタイルが変わることは、巨大なビジネスチャンスです。この時、大事なことは環境制約が含まれていることです。環境制約が考慮されていることで、ライフスタイル・デザインは永続的に「あたりまえ」になり得るのです。そして、このライフスタイルをビジネス化し、世の中に普及していくことで、企業が重要な役割を果たすことにもなるのです。

それでは、どうやって環境制約の中で、心豊かな ワクワクするライフスタイル・デザインを現実のものとすれば良いのでしょう?
 それを可能とするのが、「ネイチャー・テクノロジー創出システム」です。
 例えば、ライフスタイルは世界中の各地域で、その土地の気候風土や歴史に合わせたものになっています。日本国内でも、北海道と沖縄、太平洋側と日本海側で異なります。 「ネイチャー・テクノロジー創出システム」では、「90歳ヒアリング」によって、地域特性の違いを加味した、それぞれの地域の人々が受け入れやすいライフスタイル・デザインを創ります。また、ライフスタイルを実現するために必要なテクノロジーの抽出を「自然に学ぶ」ことで、環境制約を乗り越える知恵を得ることができます。

 現実味を帯びたライフスタイル・デザインは、製品・サービスに落とし込む前の指標となり、ライフスタイルとして人々に本当に受け入れられるものなのか、事前に確認することが可能です。確認を終え、いよいよ実現性の高まったライフスタイルは、ニーズの宝庫です。ニーズ・シーズマッチングから、「製品・サービス=新事業」が創出されます。

 どうぞこの本を読み進めて、地球上のさまざまな問題を解決し、多くの人が心豊かにワクワク楽しく過ごせる「あたりまえ」の未来に向けた事業創出の可能性を実感してください。

 2013年10月
 モノづくり日本会議
 ネイチャー・テクノロジー研究会
 古後 恭子

買い物かごへ