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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい原価管理の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07160-7
コード C3034
発行月 2013年11月
ジャンル ビジネス 生産管理

内容

原価管理の原価とは、モノづくりの場合、1個当たりにかかった費用(コスト)のこと。ライバルとの競争に勝ち、利益を上げるためには原価を下げる活動をしなければならない。そのために必要なのが原価管理。本書は初めて原価管理に取り組む人でも分かる超入門書。

大塚泰雄  著者プロフィール

(おおつか やすお)
大手工作機械メーカーに11年勤務。開発・設計、製造、営業技術などを経験し㈱MEマネジメントサービス常務取締役。マネジメントコンサルタント。中央大学アカウンティングスクール兼任講師。
主に企業では、設計・生産技術・購買・製造部門の原価管理システムの立案・構築・実施やVE、IE、購買査定テーブルを活用した、総合的コストダウンを展開し、企業の業績を改革するコンサルティング業務が活動の中心である。その他、公開セミナー、社内教育などの活動も行う。
●主な著書
『技術者のための原価企画』(共著)
『理想原価への挑戦』(共著)
以上、日本能率協会マネジメントセンター
『実践原価企画』(共著)税務経理協会
『よくわかる金型の原価管理とコストダウン』
『見える化でわかる売り値と買い値』(共著)
『見える化でわかるムダつぶしコストダウン』(共著)
以上、日刊工業新聞社

連絡先
〒143-0024 東京都大田区中央6-29-2
TEL (03)3755-5437 FAX (03)3755-8366
E-mail:ohtsuka@mejapan.com
http://www.mejapan.com

目次

第1章 まずは原価のしくみを覚えよう
1 原価管理の要の原価とは 「商品には材料・人・設備・エネルギーのお金がかかる」
2 会社のお金の動き 「経営には基本的な三つの活動がある」
3 会社の目的は利益向上 「会社のインプットはお金でアウトプットは利益」
4 製造原価とは 「形で分けた材料費、労務費、製造経費の分類」
5 製造原価の計算方法 「棚卸は製造原価を出すためになくてはならなもの」
6 売上高─総原価=利益 「総原価とは売上原価と販管費を足したもの」
7 製造業の原価の内訳 「材料費が60%、労務費が16%、製造経費が24%」
8 原価と費用の違い 「自然災害などで発生した費用は原価にならない」
9 原価の本質 「価値あるものにお金をかけること」

第2章 原価の中身を見てみよう
10 原価の分類とは 「財務会計上と管理会計上の二つがある」
11 直接費と間接費に分ける目的 「製品との関連を見るための分類」
12 原価は何かに比例する 「原価を出すには原価に比例するものを見つける」
13 変動費と固定費に分ける目的 「操業度との関連を見るための分類」
14 固定費の特長 「固定費は生産量によって変わらない」
15 原価計算の種類 「未来と過去の二つの計算方法がある」
16 材料費の見積もり方 「材料単価と消費量の掛け算で求める」
17 重量のロスとは 「重量のロスには歩留ロスと不良ロスがある」
18 加工費の見積もり方 「加工費レートと時間の掛け算で求める」
19 設備費・開発費の見積もり方 「期間や生産量により費用を配分する」
20 工程設計のやり方 「部品構成表から加工する工程を設計する」
21 作業時間の見積もり方 「作業手順を決めると時間値が算定できる」

第3章 原価管理で誰がコストを下げるのか
22 原価情報の出し方 「“誰に、何を、いつ、どれくらい”の明確化」
23 組織は役割分担を規定 「原価の管理責任単位はコストセンター」
24 コストダウンの役割分担 「改善活動は技術部門、管理活動は製造・管理部門の役割」
25 二つある原価管理 「技術は原価企画、製造は標準原価管理」
26 標準は責任を分ける 「実際原価と標準原価の差の要因は単価と消費量で考える」
27 二つある人別のコストダウン評価 「技術は製品別、製造は部門別に評価する」
28 原価責任の見える化 「人別に管理努力が発揮できる管理可能な費目を集計する」
29 人別に管理可能費を集計する 「誰が原価をコントロールできるか」

第4章 どうすればコストが下がるのか
30 ロスを見つける 「まずは目で見て見えるロスからつぶしていく」
31 見えないロスに目をつける 「大きいコストダウン効果は見えないロスにある」
32 効果の大きいテーマの見つけ方 「量的判断から質的判断へ」
33 コストダウン効果を推定する 「実態と思いは一致しない」
34 アウトプットレベルの設定 「アウトプットを規定してからインプットを攻める」
35 生産要素の最適組み合わせ 「最小コストを追求する」
36 技術部門での生産要素の組み合わせ 「生産要素のバランスを考えた設計をする」
37 製造・管理部門での生産要素の組み合わせ「 負荷=能力のアクションを考える」
38 誰が何をするか 「原価ロス項目を管理責任者別に割り当てる」

第5章 どれくらいコストが下がるのか
39 あるべき姿の重要性 「あるべき姿を描くとやるべきことが見えてくる」
40 問題解決のアプローチ 「分析型アプローチと設計型アプローチの違い」
41 二つのあるべき姿の考え方 「理想目標原価と理想標準原価」
42 材料費の基本機能とは 「製品の設計上不可欠な機能を有する材料」
43 理想材料費を追求する 「改善余地は補助機能とロスにある」
44 加工費の基本機能とは 「製品の加工・変形・変質などを伴う作業」
45 理想加工費を追求する 「改善余地は補助機能とロスにある」
46 理想標準原価とは 「達成可能な最大操業度のもとで、最高能率を表わす最低の原価」
47 絶対比較によるコストダウン余地の求め方 「実際原価と理想標準原価の差で求める」

第6章 日々の原価管理でコストを下げる【改善編】
48 材料費のロスは四つある 「購買効率ロス・不良ロス・製造歩留ロス・技術歩留ロス」
49 材料のロスの見える化 「工程別の分析でロスの多い工程を把握する」
50 技術歩留ロスを改善する 「材料取りの工夫で歩留率を上げる」
51 労務費のロスは四つある 「賃率ロス、作業ロス、稼働ロス、バランス・干渉ロス」
52 生産方式によるロスの見える化 「連合作業とライン作業のロスを把握する」
53 人と設備のつなぎ方の工夫 「人と設備の特長を活かし生産性向上を考える」
54 工程のつなぎ方の工夫 「1工程完結・量的分業優先の原則で取り置きをなくす」
55 設備と設備のつなぎ方の工夫 「補助機能をなくし間髪を入れない動きを追求する」
56 加工物に合った最適設備の選択 「余裕をもった設備導入はしない」

第7章 日々の原価管理でコストを下げる【管理編】
57 製造歩留ロスを見つける 「実際消費量の測定で歩留ロスを発見する」
58 製造歩留ロスを低減する 「ばらつき是正と公差の限界をねらう」
59 不良の管理 「レポートで不良を見えるようにする」
60 設備の能力を目一杯使う 「設備の使い方で生産性は4倍上がる」
61 標準作業方法を守る 「常に最適な標準作業方法を追求する」
62 人により作業ペースは違う 「個人の作業時間もばらつき、人の違いでもばらつく」
63 作業ペースの構成要素とは何か 「三つの要素を支える共通要素は本人の意欲である」
64 生産性向上は仕事のけじめから 「作業能率向上は三つのステップで進める」
65 標準の遵守を徹底する 「グラフで仕事の状態を見えるようにする」
66 作業指導監督業務を見直す 「管理者として一日の時間の使い方を考える」

【コラム】
●変身していく利益
●100円ショップはどうやって儲けているのか
●グラフ・帳票の「誰が」やるかの表示の一工夫
●管理指標に対する管理者の二つのタイプ
●管理は測定から始まる
●改善はやめることから始める
●作業指導監督のあり方とは

参考文献
索引

はじめに

 「原価管理」という言葉を聞いただけで、むずかしいと感じる方もいると思います。本書は、そんな誤解を少しでも解くことができればという願いから、製造業で原価管理、コストダウン、利益アップなどに日々努力されている方を対象に執筆しました
 工場の現場で、
・「現場でコストダウン活動をやっているがなかなか成果に結びつかない」
・「改善の成果を決算書に結びつけるにはどうしたらいいか」
・「いつも場当たりのテーマばかりで、コストダウンテーマに困っている」
・「もっともっとコストダウンについて学んでみたい」
・「費用対効果を考えて効率的コストダウンはどう進めればよいか」
・「改善活動は大事なのはわかっているけど、形だけで終わっている感じがする」
・…………
 などをよく耳にします。
 「原価管理」とはまさしく原価を管理するということです。管理とは辞書には「ある規準などから外れないよう、全体を統制すること」となっています。この中で大切なのは規準という解釈です。
 たとえば、ある組立工場を想像してみてください。この工場では多品種少量生産で、50名の作業者でさまざまな製品の組立をしています。図1のグラフは縦軸に組立時間、横軸に組み立てる部品点数をとっています。製品は部品点数の少ないものから多いものまで、人も新人から30年のベテランまで、器用な人から不器用な人までさまざまです。グラフはすべての製品、すべての作業者の部品点数と組立時間をイメージしてプロットしたものです。ここで、「この工場の組立時間と部品点数の関係を表わす規準の線を引いてみてください」と言われたら、みなさんはどのような線を引かれるでしょうか?
 多くの方がA線を引かれるのではないでしょうか。この線は工場の平均値であり実力値になります。A線で規準の意味どおり“規準からはずれないよう、全体を統制する”を実施していくことはけっして悪いことではありません。しかし、A線を規準にして統制(管理)を続けていては、工場は今より悪くなることはないでしょうが、よくなることもありません。
 それでは、規準をどこへおいて統制(管理)をすることが必要でしょうか。「原価管理」の目的は、工場運営においてムダなお金をかけず、着実に日々の業務をこなし会社が潤っていくことです。そのためには、まずは組立作業がどうあるべきかの規準を考えることが先決です。B線は最短時間で組み立てた実績値のプロットを結んだものです。この線は、工場の持っている最高の実力値、つまりエースの作業者が行った組立時間になります。まずはこれを規準として統制(管理)することが必要です。あるべき姿という言葉をよく聞きますが、これが現状の実力値を反映した具体的なあるべき姿の一つになります。
 さまざまなレベルの実績値の中で、少し不器用な田中さんの実力がZ点だったとしましょう。みなさんがこの職場の管理者であれば、この田中さんを指導してB線上へいくように管理をしなければなりません。とは言え、田中さんには失礼かもしれませんが、指導をしてもすぐにはB線上に一致することは難しいでしょう。しかし大切なことは、田中さんに限らず、エース以外の作業者のコストダウンの可能性がこれだけ(図2ハッチング部分)あることを、管理者が知っているか、知らずにいるかということです。知っていれば、B線に向かって一人ひとりに合った管理・指導をするアクションが生まれますが、知らなければそのままで現場は何も変わりません。原価管理の第一歩はそのロスやムダを明確にすることから始めます。
 いずれにしても、原価管理を進めるには、原価とは何かをしっかり理解しなければなりません。第1章では会社の中で原価がどのように生まれて使われていき、最後に儲け(利益)に結び付いていくしくみと原価の本質について説明しています。まずは、第1章で原価の全体像をつかんでください。一口に原価と言ってもいくつかの分類があり、それにはそれぞれの目的があります。第2章では原価の中身について掘り下げて詳しく説明をしています。また、製品の原価について、材料費と加工費の計算方法を詳細に述べていますので、原価計算のしくみを理解してください。以上が原価管理を行う上で、知っておいていただきたい原価の基礎知識です。
 第3章以降はこれらの原価の知識をベースに、原価管理の実践へと移っていきます。実際の現場での作業も段取りが大切なように、原価管理も段取りが大切で事前準備が欠かせません。それは、原価管理(コストダウン)のアクションについて、「誰が」「何を」「どれくらい」やるかを明確にすることです。組立作業の例で言えば、「誰が」は田中さんを指導する管理者が、「何を」は田中さんの組立手順が間違っていれば手順、作業ペースであればペース、作業の見直しであれば作業改善、「どれくらい」はあるべき姿のB線とどれくらい離れているので何分のロスをなくさなければならないか……という内容です。これらを事前にしっかり分析しておくことが大切です。第3章では「誰が」で、ロスの内容に対しどの管理者がアクションをするか、責任の明確化と役割分担について書いてあります。原価管理はものがやるのではなく人がやるものだからです。
 工場のロスには“目に見えるロス”と“目に見えないロス”があります。第4章では「何を」(どうすれば)で、この両者のロスを明確にする重要性について説明しています。“目に見えるロス”は誰もが気づくロスのためすでにつぶされていて、コストダウンの可能性は金額的にあまり多くありません。一方、“目に見えないロス”は手がつけられていないため、コストダウンの可能性は大きく、これをつぶしてくことが大きな成果に結びついていきます。したがって、目に見えないロスを中心に成果の大きいと予想される項目から管理者別に割り当てることが重要になります。
 第5章では「どれくらい」で、ロスを定量的に見える化することを説明しています。ロスがどれくらいあるかを求めるには、現状とあるべき姿のギャップを知る必要があります。そこで技術部門と製造・管理部門のそれぞれの「技術の理想原価」と「製造・管理の標準原価」の二つのあるべき姿を求めます。これらと現状を測定した結果とのギャップをロスと考えます。ロスを見える化するには、測定をすることが第一歩です。
 第6章、第7章には、工場での具体的な材料費や加工費の原価管理・コストダウン事例が載せてあります。第6章は改善、第7章は管理の事例です。これらをみなさんの工場の現場にあてはめ、さらに理解を深めてください。本書を通してみなさんが「原価管理」のポイントと攻めどころについて理解され、ご自分の職場で原価管理・コストダウンの実践をされ、さらに職場がよくなることを願っています。
 最後に出版にあたり、ご協力をいただいた日刊工業新聞社の野﨑伸一氏、およびMEマネジメントサービスのコンサルティングスタッフである橋本賢一氏、小川正樹氏、田村孝文氏に心より感謝いたします。

二〇一三年十一月                             
大塚泰雄

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