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絵とき「超音波探傷」基礎のきそ

定価(税込)  2,700円

著者
サイズ A5判
ページ数 232頁
ISBNコード 978-4-526-07155-3
コード C3053
発行月 2013年11月
ジャンル 機械

内容

近年、トンネルや橋梁、建築物などの社会インフラの老朽化が問題となっており、その品質管理の有効手段として超音波探傷技術が注目されている。本書は、超音波探傷技術の基礎知識をわかりやすく解説する。超音波の性質や部材中の伝搬、装置の仕組みを知らずに使うことによって、誤った判断や操作が生まれる懸念についても言及する。

谷村康行  著者プロフィール

(たにむら やすゆき)
1951年4月 山口県生まれ
1976年3月 北海道教育大学釧路校卒業
1982年2月 (株)ホクハイ入社
1992年4月 (学)日本航空専門学校に勤務
1994年〜  (社)日本非破壊検査協会主催の技術講習会講師指導員
2006年5月 (社)日本非破壊検査協会 石井賞受賞
2012年9月 NDI JAPAN.com代表
2012年9月 (株)ニチゾウテック技術コンサルティング事業本部(非常勤)
2013年3月 岡山航空(株)NDI技術顧問(非常勤)

主な著作物
「超音波探傷入門(パソコンで実技演習)」共著,日本非破壊検査協会
「非破壊検査入門(DVD)」編集委員,日本非破壊検査協会
「超音波探傷試験実技参考書『デジタル超音波探傷器』」共著,日本非破壊検査協会
「絵とき『超音波技術』基礎のきそ」日刊工業新聞社
「絵とき『破壊工学』基礎のきそ」日刊工業新聞社
「トコトンやさしい航空工学の本」共著,日刊工業新聞社
「絵とき『非破壊検査』基礎のきそ」日刊工業新聞社
「おもしろサイエンス『破壊の科学』」日刊工業新聞社
「おもしろサイエンス『波の科学』」日刊工業新聞社
「おもしろサイエンス『五重塔の科学』」日刊工業新聞社

目次

目次


はじめに

第1章 超音波探傷の物理
1-1 超音波できずを見つける
1-2 超音波とは
1-3 超音波の種類Ⅰ(縦波と横波)
1-4 超音波の種類Ⅱ(レイリー波・SH波・板波)
1-5 音速と反射源までの距離
1-6 音速を知る
1-7 波の形
1-8 振動と位相
1-9 周波数と波長
1-10 波長を計算する
1-11 音の反射
1-12 超音波の屈折
1-13 反射角と屈折角を計算する
1-14 重ね合わせの原理とホイヘンスの原理
1-15 近距離音場と遠距離音場
1-16 超音波の指向性
1-17 超音波ビームの形を見る
1-18 伝わる過程で弱まる超音波の音圧
1-19 連続波とパルス波
1-20 パルス波と周波数帯域

第2章 超音波探傷装置と探触子と試験片
2-1 超音波探傷に必要なもの
2-2 超音波探傷器
2-3 超音波を発生させるしくみ「圧電効果」
2-4 探触子
2-5 斜角探触子から横波を伝えるしくみ
2-6 探触子の呼び名
2-7 基本画面(Aスコープ)
2-8 ゲートの機能
2-9 探傷器設定音速の調整
2-10 ゼロ点の調整
2-11 音速が測定できるわけ
2-12 測定範囲の選択
2-13 アナログ式超音波探傷器での時間軸の調整
2-14 探傷感度の調整(Aスコープの縦軸)
2-15 パーセントとデシベル
2-16 デシベルとカラオケのマイク音量(ボリューム)
2-17 標準試験片Ⅰ(STB-A1とSTB-N1)
2-18 標準試験片Ⅱ(STB-G型)
2-19 標準試験片Ⅲ(STB-A2型とSTB-A3型)
2-20 対比試験片
2-21 接触媒質

第3章 垂直法
3-1 垂直法でわかるきずの位置
3-2 きずとエコー高さ
3-3 探触子の選定
3-4 送信パルスと不感帯
3-5 探傷器の調整
3-6 底面エコー方式と試験片方式
3-7 きずを探す
3-8 きずの位置を確定する探触子走査
3-9 最大エコー高さの意味
3-10 遅れエコー
3-11 残留エコー
3-12 板材の探傷Ⅰ(探触子の選定と探傷感度)
3-13 板材の探傷Ⅱ(検出レベルときずの分類)
3-14 複合材の探傷Ⅰ(層間剥離と透過法)
3-15 複合材の探傷Ⅱ(保守検査)
3-16 腐食部の板厚測定

第4章 斜角法
4-1 斜角法のしくみ
4-2 斜角探触子の走査(前後走査・左右走査・首振走査)
4-3 入射点
4-4 時間軸の調整と屈折角の測定
4-5 斜角法の幾何
4-6 距離振幅特性曲線によるエコー高さ区分線の作成(その1)
4-7 距離振幅特性曲線によるエコー高さ区分線の作成(その2)
4-8 エコー高さ区分線の使い方
4-9 溶接部の探傷Ⅰ(探傷面と探傷方法)
4-10 溶接部の探傷Ⅱ(きずを見つける)
4-11 溶接部の探傷Ⅲ(きず指示長さの測定ときずの分類)
4-12 モード変換の影響

第5章 きずの評価
5-1 きずの評価の前に
5-2 きずエコーなのか形状エコーなのか
5-3 超音波ビーム幅よりも大きいきずの寸法
5-4 DGS線図
5-5 DGS線図と距離振幅特性曲線
5-6 DGS線図によるきず寸法の推定Ⅰ(底面エコー方式)
5-7 DGS線図によるきず寸法の推定Ⅱ(試験片方式)
5-8 形状反射能率
5-9 形状反射能率によるきず寸法の推定(垂直法)
5-10 図解法による形状反射能率を使ったきず寸法の推定
5-11 形状反射能率のソフトウエア
5-12 斜角法における形状反射能率
5-13 コーナーでの2回反射と形状反射能率
5-14 形状反射能率によるきず寸法の推定Ⅰ(斜角法その1)
5-15 形状反射能率によるきず寸法の推定Ⅱ(斜角法その2)
5-16 L・M検出レベルによって検出できるきずの寸法
5-17 面状きずの傾き
5-18 形状反射能率を使った計算についての留意点
5-19 きず高さの測定(端部エコー法)

第6章 探傷結果の画像化
6-1 輝度変換とBスコープ
6-2 平面画像Cスコープ
6-3 フェーズド・アレイ
6-4 フェーズド・アレイ探触子
6-5 リニア・スキャン
6-6 ステアリングとセクタ・スキャン
6-7 きずの形ときずの像
6-8 超音波ビームの集束
6-9 集束は近距離音場でのみ有効?
6-10 コーナーの2回反射をフェーズド・アレイで見る
6-11 2次クリーピング波で割れを見分ける方法
6-12 モード変換波で大きなき裂を見逃さない方法
6-13 3次元フェーズド・アレイ
6-14 グレーティング・ローブ
6-15 フェーズド・アレイの超音波ビームを見るソフトウエア

第7章 超音波探傷学習ガイド
7-1 超音波探傷の資格制度
7-2 超音波探傷の独習のために
7-3 超音波探傷器の基本操作をパソコンで学ぶ

コラム
・42kHzは超音波か?
・ハチミツと水飴
・キュリー夫人とランジュバン
・DR.クラウトクレーマーの探触子
・ウルトラとスーパー
・人体の超音波検査と金属の超音波探傷
・エキスポランドの車軸

参考文献
索引

はじめに

 近年、品質管理の手段としての非破壊検査のうち、超音波探傷が適用されるケースが増えてきています。内部を見る手法としてX線やγ線を使う放射線透過試験に比べて安全性が高いという理由とともに、コンピュータの処理速度の急速な発達に伴って探傷器がディジタル化され、従来の超音波探傷技術ではやや不得意であった断面画像や、平面画像の出力が容易になってきていることが理由の1つです。
 筆者が30数年前にこの業界に入ったころ、先輩たちが超音波探傷を行っているところを見学する機会がありました。約1時間見ていましたが、正直なところ何が何だかさっぱりわかりませんでした。ほかの探傷方法ではありえなかったことです。先輩技術者は何やらケーブルに接続されたセンサらしきものをこすりながら、ブラウン管に表示される信号を注視していました。「ずいぶん難しそうな探傷方法だな」と思ったものです。
 時代が進み、探傷器にコンピュータが内蔵され、ディジタル化されることによって、従来やや煩雑であった機器の調整が簡単になりました。また、出力結果が素人目にわかりやすい断面や平面の画像を出力する技術も開発されてきています。こうして超音波探傷が親しみやすくなっている半面、超音波の性質や部材の中での伝搬、あるいは探傷器や探触子のしくみを知らずに使うことによって、誤った判断や操作が生まれる懸念があります。
 本書では、第1章の「超音波探傷の物理」から始まって、使用する道具、垂直・斜角の基本的な探傷技法、きずの評価方法に進んでいきます。第1章のタイトルに物理と入れましたが、数式は最小限にとどめて、超音波が部材の中でどのように動くのか、その原理としくみを説明しています。ディジタル化の時代には、改めて重要性が増していると筆者は考えています。
 第6章では、探傷結果の断面と平面画像表示、フェーズド・アレイ探傷のしくみを、特に試験体中での超音波の挙動と画像の作られ方の視点を中心に解説しています。第7章は、超音波探傷を独習しようとしている方へ筆者からのアドバイスです。少しでもご参考になれば幸いです。
 本書は、すべての項目を見開き2頁に収めています。項目タイトルの先頭に、「易」「中」「難」の3段階に分けたアンテナマークを表示しています。超音波探傷についてはじめて学ぼうとする方は「中」「難」を飛ばして「易」だけを読んでも一通りの理解はできるようになっています。ご自分に合った読み方をしていただければと思います。
 本書執筆に当たり、たくさんの方から励ましと支援をいただきました。特にGEセンシング&インスペクション・テクノロジーズ(株)の中川真一さん、(株)ニチゾウテックの原田浩幸さんには機材の貸出と画像・資料の提供をいただきました。(株)日立製作所日立研究所の河野尚幸さんには、フェーズド・アレイ探傷について実験実演も交えて貴重なアドバイスをいただきました。元大阪大学工学部廣瀬貞雄先生には、形状反射能率を中心に多方面にわたってご指導をいただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

2013年11月
谷村 康行 

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