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デザイナー、エンジニアのための
UX・画面インターフェースデザイン入門

定価(税込)  2,592円

編著
著者
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サイズ A5判
ページ数 210頁
ISBNコード 978-4-526-07139-3
コード C3034
発行月 2013年09月
ジャンル コンピュータ・情報

内容

UX(ユーザエクスペリエンス:顧客経験)や情報を可視化できる汎用方法を提案し、UXに基づく人間中心デザインを幅広い分野で活用する手法を提案。システムデザインプロセスをベースに、論理的にデザインが進められるように解説し、実践的にまとめている。

山岡俊樹  著者プロフィール

(やまおか としき)
1971年:千葉大学工学部工業意匠学科卒、1971年:東京芝浦電気(株)入社
1991年:千葉大学自然科学研究科博士課程修了、1995年:(株)東芝、デザインセンター担当部長、(兼)情報・通信システム研究所、ヒューマンインタフェース技術研究センター研究主幹、1998年:和歌山大学システム工学部デザイン情報学科教授(学術博士)、現在に至る。デザイン、応用人間工学を中核として、サービス工学、観察工学、製品開発が専門。

前川正実  著者プロフィール

(まえかわ まさみ)
1989年:千葉大学工学部工業意匠学科卒、(株)島津製作所にて製品デザインとGUIデザイン他を担当、2008年同社を退社し、(株)操作デザイン設計、代表取締役、2012年:和歌山大学で、要求事項とデザイン課題の特定に関する研究で博士号取得(博士(工学))、現在に至る。要求工学、情報デザインが専門。

平田一郎  著者プロフィール

(ひらた いちろう)
1998年:神戸芸術工科大学卒、同年兵庫県立工業技術センター入所、主任研究員、2011年:和歌山大学でGUIの研究で博士号取得(博士(工学))、現在に至る。
情報デザイン、人間工学が専門。

安井鯨太  著者プロフィール

(やすい けいた)
2009年:和歌山大学システム工学部デザイン情報学科入学、2012年:和歌山大学システム工学研究科入学、現在にいたる。情報デザイン、人間工学が専門。

目次

まえがき
本書で使う用語の定義

1章 情報デザインのための予備知識
1.1 見えるための4原則とデザインに役立つゲシュタルト法則 
1.2 HMIの5側面 
1.3 情報デザインのポイント 
1.4 可視化の3原則 
1.5 画面インタフェースデザインの6原則 
1.6 メンタルモデル 
1.7 ウェブサイトデザインの注意点 
1.8 スマートフォンやタブレット端末向けのデザインの注意点 
1.9 デザインにおけるいくつかの考え方 
1.10 サービスにおけるやり取りの3側面 
1.11 UX生成の構造 
1.12 タスクに関する基本知識 
1.13 モードレスとモーダル 
1.14 ヒューマンエラー 

2章 汎用システムデザインプロセス
2.1 既存のデザインプロセス 
2.2 汎用システムデザイン 
2.3 汎用システムデザインの活用方法 
2.4 汎用システムデザインのプロセスと各章の関係 

3章 システムの概要
3.1 目的、目標について 
3.2 システム計画とは 

4章 システムの詳細
4.1(1) 市場におけるポジショニングとは 
(2) コレスポンデンス分析 
(3) コンテンツマトリックスについて 
4.2-A (1) 要求事項とは 
(2) 要求事項を抽出する方法 
4.2-B (1) 観 察 
(2) 観察の準備と実践 
(3) ユーザーの価値感の把握 
4.2-C (1) 要求事項抽出方法の選び方 
(2) 3ポイントタスク分析 
(3) 5ポイントタスク分析 
(4) プロセス状況テーブル(ProST)を用いたタスク分析① 
(5) プロセス状況テーブル(ProST)を用いたタスク分析② 
(6) 問題定義と分析 
(7) 評価グリッド法 
4.3(1) システムとユーザーの明確化 
(2) システムの明確化① 
(3) システムの明確化② 
(4) ユーザーの明確化 
4.4(1) 構造化デザインコンセプトとは 
(2) 構造化デザインコンセプトの作り方(トップダウン式) 
(3) 構造化デザインコンセプトの作り方(ボトムアップ式) 
(4) 上位項目、中位項目、下位項目の位置付け 

5章 可視化
5.1(1) 可視化について① 
(2) 可視化について② 
5.2(1) 画面構成(レイアウト)の検討① 
(2) 画面構成(レイアウト)の検討② 
5.3 操作機能 
5.4 情報提示・誘導の検討 
5.5 アイコン 
5.6(1) GUIパーツの作成① 
(2) GUIパーツの作成② 
5.7(1) 操作フロー(手順)の検討 
  (2) タスク構造 
  (3) 画面遷移図の作成 
5.8(1) プロトタイプの作成 
(2) ペーパープロトタイピング 
(3) シミュレーションについて(モーションプロトタイプ) 

6章 評 価
6.1 評価とは(V&V評価) 
6.2 GUIチェックリスト 
6.3 プロトコル解析とパフォーマンス評価 
6.4 SUM 
6.5 ユーザビリティタスク分析 

7章 事例紹介
7.1 ウェブサイトデザイン事例 
7.2 組み込み系情報デザイン事例 

付 録 
索 引 

はじめに

 以前からシステム設計方法が、様々なデザインや製品開発だけでなく、イベントの計画や更には身近の様々な計画、例えば、家族旅行、住居の選択などにも有効であると思っていた。以上の事柄は、表面上異なるが、その根本では「計画」→「実行」→「評価」の流れの下で行われるのが分かる。これは企業で行われているビジネス活動の流れ(Plan→Do→See)でもある。
 ところが様々なシステム設計の文献を読んでも採用できるプロセスはなかった。例えば、モノを作る際、一番重要なコンセプトについて、ほとんどが書かれておらず、要求事項がコンセプトの代わりをしているようであった。特定の顧客からシステム構築を依頼されれば、その要求事項がある意味ではコンセプトになる。しかし、不特定多数の顧客を相手にするシステムの場合、提供するシステムのコンセプトを明確にしなくてはいけない。例えば、家電や自動車メーカーは、様々な方法で顧客の要求事項を抽出するが、それが全てではなく、その要求事項の一部を選択し、メーカーの方針も加味して、コンセプトを作るのが普通である。顧客の要求事項が全てではない。そこで著者(山岡)が提唱した製品デザイン、製品開発用に開発したヒューマンデザインテクノロジー(Human Design Technology)をベースに、共著者(前川、平田)とともに議論を通じて、汎用のシステムデザインプロセスを構築した。本書のデザイン方法はこのプロセスがベースになっている。
 ここ10年、様々なデザイン手法や製品開発方法が紹介されているが、その都度それらを慌てて勉強する必要はなく、この汎用システムデザインをマスターしておけば様々なデザインにも対応できる。例えば、製品デザイン、情報デザインとサービスデザインを表面的に見ると全く相違しているが、本質は同じである。相違点はデザインするときのパラメータ、つまりデザイン構築項目が違うのである。
 製品デザインならば、材料、製造方法などを知らなければデザインできない。情報デザインならば、扱う情報の構造や人間の情報処理過程など知識が必要である。サービスデザインならば、顧客とサービス提供者のやり取り、全体のシステムを把握できないとデザインできない。
 これらの基本的知識は全てではないが、1章で紹介してある。このような相違はあるが、それらの造形のまとめ方、見方、可視化方法は基本的に同じである(この点については、拙著、論理的思考によるデザイン、BNN新社を参照頂きたい)。
 本書で提案する方法はフレームワークが決まっており、それに従ってデザインするので、デザインする人の属性に関係なく常にあるレベル以上のアウトプットが得られる方法だと考えている。また、デザイン検討条件を絞り込んでいくので、効率的である。最初から枠組みを決めないで、アイデアを発散させる方法は、意外性のあるアイデアを出せる可能性がある。そもそも意外性のあるアイデアを抽出するのが目的ならば、この方法では最初からそれに対応した枠組み(構造化コンセプト)を作りアイデアを出すので、効率的で、ロスワークにならない。
 様々なデザイン手法が提案されている中、幅広く誰でもある程度のデザインアウトプットを出せる情報・UXデザインの方法を取りまとめることとなった。
 共著者の前川さんと平田さんは、当研究室にて情報デザイン分野で博士号を取得したデザイナー、研究者である。安井君は当研究室修士2年生で、デザインと認知人間工学が専門分野で、学部4年生を飛ばして修士に入学した学生である。前川さんは主に要求事項抽出、平田さんは構造化コンセプト・可視化を中心に執筆いただいた。安井君はこの方法を使って2つのデザイン事例を作成してもらった。1事例のウェブ画面デザインは、実際和歌山大学のサイトで採用されたデザイン例である。学生の安井君に事例作成を頼んだのは、デザイン経験の浅い者でも、この論理的デザイン方法を使えばデザインが可能であることを示したかったためである。約2年前からいろいろ議論を重ねてきたが、折を見て様々な学会で発表を行い、コメントを頂いてきた。こうした流れの中で、今年6月に開催された人類働態学会全国大会と日本デザイン学会全国大会で、平田さんがそれぞれGUIパーツの活用、システムデザインプロセスを活用した事例発表で優秀発表賞を頂いた。本書で紹介するデザイン方法が認められたと認識している。
 最後に本書の出版に際して、快く引き受けていただき支援していただいた日刊工業新聞社の辻總一郎さんに厚くお礼を述べたい。

 2013年7月
山岡俊樹

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