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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい無線通信の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07122-5
コード C3034
発行月 2013年08月
ジャンル ビジネス 電気・電子

内容

無線通信は、携帯電話や車などの移動体通信に大変有効である。最近は送受信する情報容量の増大化が進んでいるため、伝送速度の高速化などが求められている。本書では通信方式、アンテナ、電波の種類や伝わり方についてトコトンやさしく解説する。

若井一顕  著者プロフィール

(わかい かずあき)
第一工業大学工学部情報電子システム工学科教授
1969年 NHK〈日本放送協会〉入局
技術本部鳩ヶ谷放送所、川口放送所、技術管理部、名古屋放送局技術部、技術局技術管理部、技術開発センター、送信技術センター、菖蒲久喜ラジオ放送所所長 などを歴任
JICAエキスパートでタイ国駐在
米国ニュージャージー、ロサンゼルスに放送衛星開発で駐在
2007年 株式会社NHKアイテック 入社
2008年 第一工業大学工学部情報電子システム工学科教授 現在に至る
(取得資格)
工学博士(静岡大学)、経営学修士(MBA)(日本大学)、技術士(電気電子部門)
第1級無線技術士、第1種電気主任技術者
(学会活動、他)
電子情報通信学会・信頼性研究会専門委員・映像情報メディア学会・放送技術研究会専門員、日本技術士会・桜門技術士会・鹿児島県技術士会会員、IEEE Senior Member、電子情報通信学会シニア会員
(専門分野)
・放送技術(地上デジタル放送、衛星放送、電波伝搬、中波技術)
・コミュニティFMの伝送路解析、システム設計
・無線設備の設計論、信頼性工学
・電波法・電波防護指針、EMC,EMI技術、ベクトル整合論応用
・高周波計測、電波工学、マイクロ波工学、測定器の設計開発
・国際ビジネス論、技術と経営、マーケティング論、経営リーダーシップ論、情報リテラシー

目次

第1章 無線通信に欠かせない電波
1 無線通信に欠かせない電波 「電波は媒体なしでも伝わる」
2 電波はどこまで届くのか 「電波の伝搬距離」
3 どうやって電波は伝わるの? 「電波の構成要素」
4 無線通信のメリット 「多様な通信技術と回線」
5 アナログ放送からデータ放送まで 「地上放送90年の歩み」
6 衛星放送って何? 「衛星放送の仕組み」
7 電波の伝わり方 「いろいろな伝搬方法」
8 低い周波数の電波は遠くまで届きやすい 「低い周波数の伝搬」
9 反射を繰り返して遠くまで伝わる 「高い周波数の伝搬」
10 衛星通信に使われるマイクロ波 「マイクロ波の広帯域伝送」

第2章 さまざまな変調方式
11 ラジオで使われる振幅変調(AM) 「AMは変調の基本方式」
12 周波数変調(FM)は高音質の代名詞 「FMの特徴」
13 SSBは経済的? 「SSBの仕組み」
14 デジタル変調とは切り捨ての技術 「デジタル信号とは」
15 周波数に値を割り当てるFSK 「デジタル値をアナログ信号に変換する」
16 位相角度に情報を乗せるPSK 「デジタル変調方式」
17 アナログ信号からデジタル信号をつくる 「PCMの仕組み」
18 2ビットの情報を搬送波の2位相化で送る 「BPSKのはたらき」
19 4つの値をとる変調方式 「QPSKの仕組み」
20 高画質の伝送に利用されるQAM 「64QAM, 256QAMの仕組み」
21 ソフトで生成するOFDM波 「OFDM波とは」
22 多数キャリアの伝送 「OFDMAとは」
23 SS方式は信号と雑音が混在した通信 「SS方式のはたらき」
24 多相化による伝送速度とマルチパス耐性 「シングルキャリアの変調」

第3章 電波の種類と伝わり方
25 電波は周波数によって使われ方が異なる 「電波の違い」
26 電波の強度とは何だろう 「電界強度と磁界強度」
27 フェージングは電波の強弱 「時間、場所による電波の変動」
28 ダクト伝搬は効率的な伝送路? 「閉ざされた空間での伝搬」
29 電離層による電波の吸収と反射波 「電離層の通信への影響」
30 大地反射波は偏波で変わる? 「垂直偏波と水平偏波」
31 マルチパスのお化けはいるの? 「多重波伝搬の仕組み」
32 太陽とかかわりの深い電波 「電離層の活動」
33 電波の広がり 「フレネルゾーンとは」
34 周波数の基準って何? 「基準周波数とは」
35 電波時計の標準電波 「長波を使った標準電波」

第4章 アンテナとは?
36 アンテナって何? 「アンテナと送信機」
37 エネルギーのやりとりをするアンテナ「 アンテナの役割」
38 アンテナの利得って何? 「指向性と無指向性」
39 送信機の整合とは 「送信機の整合の必要性」
40 受信機の整合とは 「受信機の整合」
41 アンテナのインピーダンスとは 「アンテナのインピーダンスとQ」
42 電波インピーダンス 「自由空間の伝送路の特性インピーダンス」
43 八木アンテナ 「テレビ受信アンテナとして馴染みが深い」
44 降雪地域でも活躍するパラボラアンテナ 「オフセットパラボラアンテナ」
45 地面に対して垂直なアンテナ 「中波放送用の垂直アンテナ」
46 どうやって偏波を利用するのか 「垂直偏波の利用法」
47 日本は右旋回で韓国では左旋回 「円偏波の応用」
48 周波数を高くしてアンテナを小さくする 「アンテナの小型化」
49 緊急災害時の通信確保 「簡便な代替アンテナの設置」
50 閉ざされた空間での放送電波の受信 「ギャップフィラーとは」

第5章 無線通信におけるさまざまな技術
51 閉塞地域で利用する漏えいケーブル 「閉塞地域での送受信」
52 車のナビから時間標準まで 「ますます広がるGPSの応用分野」
53 世界各国の自動料金収受システム 「高速道路の渋滞緩和に役立つETC」
54 バーコードの代替システム 「非接触で商品が認識できるRFID」
55 高速通信の要 「LTE」
56 スマートフォンは電波の玉手箱 「ますます高機能化するスマートフォン」
57 距離無線通信 「超近距離にデータ信号を送るブルートゥース」
58 空きスペースの利用 「ホワイトスペース」
59 安全な電波利用のために 「電波防護指針1999年10月施行」
60 アイソレータとは何か 「アイソレータの機能と応用」
61 緊急時のソーシャルメディアの活用例 「電波によるデータ通信」
62 隙間でのサービス 「ホワイトスペースとは」
63 SNSと放送の連動 「放送サービスの変化」
64 高速データ伝送システム 「無線LAN、WiMAX」
65 インターネットを使った新しいラジオ 「radikoとらじるらじる」
66 無線通信におけるソーシャルメディアの未来 「電波技術の将来を考える」

【コラム】
●導波管のピンホールと周波数
●放送中アンテナのインピーダンスを測る

●アンテナの一夜城
●整合方法の開眼
●漂游金属って何?

参考文献
索引

はじめに

 無線通信の本を書くことになったのは、私が放送設備の技術者であったということと、大学で教鞭を執るようになったことが理由かもしれません。
 放送のデジタル化も2011年7月には本格的に始まり、従来のアナログテレビ放送はなくなりました。アナログテレビとともに仕事をしてきた身としては一抹の寂しさもありますが、放送のインタラクティブ化、高品質、多チャンネル化やデータ伝送の付加など、従来にはなかった新しいサービスが山ほど提供されるようになりました。それらに加えて、携帯電話からスマートフォンへ、そしてタブレット端末を持ち運んでユビキタス通信環境を享受しているのが現代の人々ではないかと思います。
 私の生まれた時代はアナログテレビが始まった頃でした。画面の大きさが1インチ1万円の時代です。テレビは、お父さん達の1年分の給料で14インチのテレビがやっと買えるか買えないかの高額製品でした。現在の薄型LCDのテレビの出始めの頃もやはり、1インチ1万円とするかどうかの議論があったように思います。しかし今の1万円と1950〜60年代の1万円では全然のスケールが異なります。また最近は、4Kや8Kの超高画質放送の技術展開が見られるようになっています。
 先日、昨年のロンドン五輪の映像を8Kで観ました。臨場感には驚くばかりでした。3D放送も実際のBS放送では提供されています。またハイブリット放送というものもあります。電波によるメインの放送サービスにインターネット通信によるコンテンツ配信を融合したものです。
 従来のアナログテレビ放送の跡地利用は、移動体通信に道を譲ったかたちとなりました。VHFやUHF帯のテレビ放送の周波数は電波伝搬の良い帯域です。これがプラチナバンドといわれる所以でもあります。移動体端末で放送サービスも受信することができますし、高速度・大容量化に技術に拍車がかかります。第4世代から第5世代の通信のスキームも進展しています。情報発信を個人が行える時代でもあります。その中で情報の持つ信頼性にも注視していくことが求められます。ツイッターやフェイスブックなど、みんなが活用できる時代です。最近のテレビ番組ではツイッター情報をテレビ画面の下部にスクロールしているものもあります。またツイッター情報を集めて、市民の要望を捉えて社会の動向を把握する処理ソフトも開発されています。
 このようにソーシャルメディアなどの情報を分析することで、ビジネスに応用されるようになりました。WiFiやブルートゥースなども比較的狭いエリアでの無線通信に活用されています。無線技術は紐がないので、移動や操作性に優れています。放送や通信の無線応用はますます広範囲に、ますます高速・大容量化に向っていくので興味は尽きません。

2013年7月
若井 一顕

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