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現場で役立つ射出成形作業の勘どころ
ベテラン技術者が現場のノウハウを教えます

定価(税込)  2,376円

著者
サイズ A5判
ページ数 200頁
ISBNコード 978-4-526-07119-5
コード C3053
発行月 2013年08月
ジャンル 機械

内容

本書は、射出成形の作業現場で最も重視されている成形作業を中心に、現場で必要とされている知識をわかりやすく解説した現場作業者の必読書。長年、現場で指導してきたベテラン技術者のノウハウが盛り込まれ、中堅作業者をはじめ指導者にも読み応えのある内容となっている。

横田 明  著者プロフィール

(よこた あきら)
技術士(化学部門、高分子製品)、特級プラスチック成形技能士
1977年 慶応義塾大学工学部機械工学科卒業
1991年 プラスチック成形加工学会技術賞受賞
1992年 日本合成樹脂技術協会賞受賞
1993年 特級プラスチック成形技能士合格
1993年 特級プラスチック成形技能士神奈川県最優秀賞受賞
1994年 技術士(化学部門、高分子製品)合格
日本製鋼所およびコマツにて射出成形機の設計開発、成形技術開発および人工知能(成形技術)の研究に携わる。上級主任研究員。射出成形工場統括責任者として子会社へ出向、成形工場の管理、合理化、品質向上、コストダウンなどを実施。
射出成形技能士の育成および社内外の成形不良対策、成形効率化など多数。
現在、外資系大手メーカーにて中国、タイ、インドなどアジア地区を中心に、アジアで唯一のシニア・テクニカルフェローとして活動中。
【主な書籍】
射出成形加工の不良対策、絵とき「射出成形」基礎のきそ、射出成形加工のツボとコツQ&Aなど 以上、日刊工業新聞社

目次

はじめに   

第1章 作業する前に知っておきたいプラスチックの基礎知識
1―1 プラスチックのいろいろ
1―2 樹脂成形のいろいろ

第2章 成形作業をする前に
2―1 射出成形の工程
2―2 射出成形機の基礎
2―3 作業安全と作業効率の向上
2―4 特別な安全

第3章 金型取り付け、金型取り外しの基礎知識
3―1 金型取り付け
 3―1―1 作業開始前の確認事項
 3―1―2 金型取り付け開始時の機械との確認
 3―1―3 取り付け方法と工具
 3―1―4 金型取り付け開始
 3―1―5 金型冷却配管の作業
 3―1―6 ノズルタッチ位置の確認と調整
3―2 射出成形作業の終了
 3―2―1 金型温度低下と材料パージ
 3―2―2 金型冷却配管の処理
 3―2―3 金型の取り外し
 3―2―4 作業の終了と報告

第4章 成形開始
4―1 シリンダー内材料の変更
 4―1―1 低温から高温;一般材料編
 4―1―2 低温から高温;特別編
 4―1―3 高温から低温;一般編
 4―1―4 材料変更のテクニック
 4―1―5 クリーニング材の使用
4―2 射出の開始1
 4―2―1 射出量の設定
 4―2―2 射出・保圧速度と圧力、時間
 4―2―3 射出開始
4―3 射出保圧の微調整
 4―3―1 スクリューが保圧切換え位置まで移動しなかった場合
 4―3―2 スクリューが保圧切換え位置まで移動した場合

第5章 成形条件の調整
5―1 射出側成形条件の調整
 5―1―1 保圧設定
 5―1―2 射出速度の設定
 5―1―3 射出保圧時間の設定
5―2 可塑化計量の成形条件

第6章 成形不良の対策法
6―1 射出成形不良の種類とその原因・対策
 6―1―1 バリ
 6―1―2 ショートショット
 6―1―3 ヒケ
 6―1―4 ボイド
 6―1―5 反り・変形
 6―1―6 ウエルドライン
 6―1―7 フローマーク
 6―1―8 銀条
 6―1―9 寸法不良
 6―1―10 その他の射出成形不良

終わりに   

はじめに

 射出成形は、いろいろなプラスチック成形方法のなかのひとつです。ただ、それらのいろいろなプラスチック成形方法のなかでも、射出成形は最も多く利用されている成形方法なのです。
 射出成形作業の勘どころとして知っておくべきことには、いろいろなものがあります。まず、射出成形という方法を知ることが必要ですが、射出成形をより理解するためには、射出成形以外の成形方法も知っておくと違いがわかって理解しやすくなります。押出し成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形など各種成形法があります。また、これらの成形には、プラスチックを扱うので、プラスチック材料の知識も必要になります。ポリエチレン、ポリプロピレン、ABSなど、いろいろな材料があります。これら材料によって、成形するときの温度や圧力が違います。射出成形は、金型を使ってプラスチック製品の形を作るので、金型の知識も必要です。これを機械に取り付けて動かすときに、取り扱いを誤って傷つけたり壊したりすると大変です。金型を機械に取り付け、プラスチックを機械で溶かして金型に押し込むのですから、機械の操作も知らなければなりません。機械を操作するためには、機械自体も知ることが必要になってきます。
 射出成形作業の勘どころと題しての本書では、現場での成形作業にかかわる部分を中心にして説明を行います。射出成形全般に関する基礎的なところは、「絵とき『射出成形』基礎のきそ」(横田明著、日刊工業新聞社刊)に入門書として説明しているので、これを参考にしてください。ただし、作業の説明を行う場合にも、基礎的な部分の理解は必要ですので、重複するところもでてきますが、もうすでに理解済みの人は、この部分を飛ばして読んでもらっても構いません。射出成形作業で、もっとも難しいところは、成形不良の対策です。この対策は、簡単なものから非常に難しいものまでさまざまです。この成形不良がどの程度解決することができるかが、射出成形作業の腕のみせどころです。射出成形の理屈は、基礎的には簡単なので、2、3年経験すると自信もついてきて、自惚れも出始めてきます。そのころあたりが危ないのです。筆者は、幾度となくこのような人たちを見てきました。彼らの共通点は、機械を操作して、成形不良を対策するという、限定された範囲内でのテクニックでしかありません。本当の成形不良対策では、材料、金型、機械、その操作など、いくつもの方面からの視野でものごとが考えられるようにならなければならないのです。
 武道を始めると、早く黒帯になりたいものです。初段が最初の黒帯です。これを取得するまでの期間は武道の種類によって違いはありますが、通常最低3年程度はかかるでしょう。黒帯になると急に強くなった気になりますが、これも射出成形の一級を取得したときに似ていると思います。しかし上達して上段者になるにつれ、自分の過去の未熟さと自惚れに恥ずかしくなるものです。逆に上段者から見ると、まだまだ未熟なことがはっきりわかります。射出成形作業も、武道やその他のスポーツや芸術と同じで、熟練には経験と知識が必要なのです。
 本書は基礎知識の解説ですが、すでに何年もやってきている人たちにとっても、基礎について改めて作業を見直すためのいい機会になれば幸いです。本来ならば、SI単位で記述すべきですが、現場で使い慣れ、実際に現場で使われている単位を使っていますのでご了承ください。ただし、あまり単位などにとらわれることなく、概念・イメージを大切にしてください。物理的な単位は計算を実際に行うときに考えればいいだけのことなのです。
 本書の出版にあたり、ご尽力戴いた野崎氏に感謝致します。

2013年5月
技術士・プラスチック成形特級技能士
横田 明

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