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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい土壌汚染の本

定価(税込)  1,512円

著者
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サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07114-0
コード C3034
発行月 2013年08月
ジャンル 環境 ビジネス

内容

放射能汚染で、その対策に対する関心が高まっている土壌汚染。本書はその歴史、健康被害、土地評価、調査・対策技術までをやさしく解説する。とくに土壌汚染対策法を詳解し、具体的な調査の流れも紹介する。人間や環境に重大な被害をもたらすだけでなく、土地の資産価値を下落させ、企業評価すらも低下させる土壌汚染対策をきちんと理解するための本。

保坂義男  著者プロフィール

(ほさか よしお)
1946年栃木県真岡市に生まれる
1970年明治大学工学部工業化学科卒
保坂義男技術士事務所 所長
NPO法人土壌汚染技術士ネットワーク理事長
●主な著書
『イラストでわかる土壌汚染』技報堂出版

大木久光  著者プロフィール

(おおき ひさみつ)
1944年福岡県福岡市に生まれる
1968年九州大学工学部採鉱学科卒業
大木環境研究所 代表
NPO法人土壌汚染技術士ネットワーク副理事長、
NPO法人除染技術研究開発 副理事長
●主な著書
『イラストでわかる原発と放射能』技報堂出版
『イラストでわかる土壌汚染』技報堂出版

高堂彰二  著者プロフィール

(こうどう しょうじ)
1957年岡山県倉敷市に生まれる
1981年日本大学理工学部土木工学科卒業
高堂技術士事務所 所長
NPO法人土壌汚染技術士ネットワーク副理事長、事務局長
NPO法人地域と行政を支える技術フォーラム 理事
●主な著書
『トコトンやさしい水道の本』日刊工業新聞社
『トコトンやさしい下水道の本』日刊工業新聞社
『イラストでわかる土壌汚染』技報堂出版
『技術には専門の監査が必要だ!』日刊工業新聞社
『技術士第二次試験上下水道部門対策&重要キーワード』日刊工業新聞社

大岩敏男  著者プロフィール

(おおいわ としお)
1951年山形県米沢市に生まれる
1974年山形大学理学部化学科卒業
2006年山形大学大学院理工学研究科博士後期課程修了
大岩環境技術士事務所 代表
NPO法人土壌汚染技術士ネットワーク 理事
●主な著書
『土壌汚染調査技術管理者試験過去問題集』日刊工業新聞社

目次

第1章 土壌汚染のいろは
1 土壌とは 「土壌の汚染と農作物の汚染」
2 土壌汚染はなぜ騒がれるのか 「土壌が汚染すると土地評価も下がる」
3 日本の土壌汚染の始まり 「足尾鉱毒事件と土壌汚染」
4 農用地と鉱山 「農用地の土壌汚染」
5 鉱山と土壌汚染 「休廃止鉱山対策」
6 産業と土壌汚染 「工場排水の地下浸透」
7 廃棄物が起こす土壌汚染 「廃棄物に含まれている有害物質」
8 土壌中の有害物質の存在 「自然由来の汚染土壌」
9 土壌中の有害物質と健康被害 「シアン化合物の健康影響」
10 日本の地下水汚染 「地下水の調査と環境基準」

第2章 土壌汚染対策法
11 土壌汚染対策法の制定 「旧法は2002年に公布」
12 どのような土地で土壌汚染調査が必要か 「土壌汚染状況調査の必要条件」
13 特定有害物質とはどんな物質 「土壌含有量試験と土壌溶出量試験」
14 土壌汚染状況調査はどのように行うのか 「土壌汚染の調査を行う管理者と方法」
15 土壌汚染の評価 「土壌汚染状況調査の結果対策」
16 有害物質に汚染された区域の指定 「要措置区域の指定と解除」
17 要措置区域とは 「要措置区域と形質変更時要届出区域の区別」

第3章 土壌汚染の調査
18 土壌汚染対策法の流れ 「対策法の全体の流れの復習」
19 土壌汚染状況調査の流れ 「調査実施者の実務の流れ」
20 法第3・4・5条調査 「調査の契機」
21 地歴調査(情報収集) 「調査実施者の地歴調査フロー」
22 地歴調査(土壌汚染おそれの区分) 「調査対象地の区分け」
23 試料採取の区画(その1) 「区画の設定方法」
24 試料採取の区画(その2) 「単位区画設定の実務」
25 第一種特定有害物質の試料採取(土壌ガス調査) 「揮発性有機化合物の調査とその考え方」
26 第一種特定有害物質の試料採取(ボーリング調査) 「ボーリング調査の手順」
27 第二、三種特定有害物質の試料採取 「重金属等および農薬等の試料採取方法」
28 法第5条第1項の調査命令による土壌汚染調査 「追加的な特例調査」
29 自然由来の土壌汚染調査 「人為的な原因ではない汚染調査の実務」
30 埋立地の土壌汚染調査(その1) 「第一種特定有害物質による水面埋立地特例の調査」
31 埋立地の土壌汚染調査(その2) 「第二、三種特定有害物質による水面埋立地特例の調査」
32 土壌汚染調査の結果の評価 「調査の過程と評価方法」
33 土壌汚染調査の追完 「調査過程の省略とその留意」
34 要措置区域の指定、指定の申請 「要措置区域と形質変更時要届出区域」

第4章 土壌汚染の対策技術
35 指示措置 「汚染除去等の措置の種類」
36 対策技術の概要 「土壌汚染の措置技術の分類」
37 封じ込め・不溶化「 有害物質が地下水中に溶け出すことを防止する」
38 汚染物質の原位置抽出 「高濃度の汚染を抽出して濃度を下げる」
39 汚染物質の原位置分解 「化学処理と生物処理による汚染物質の分解」
40 掘削除去 「土壌ごと汚染物質を除去する」
41 地下水のモニタリング 「地下水経由での健康被害に備える」
42 土壌の直接摂取を防止するための対策 「汚染土壌が人の体内に直接入ることを防止する」
43 油汚染の対策技術 「油臭や油膜による生活環境保全上の支障への対応」
44 農用地の土壌汚染対策技術 「土壌中カドミウムの農作物への吸収を減らす」

第5章 リスク管理とリスクコミュニケーション
45 土壌汚染による健康リスクの評価 「暴露量と人の健康への影響」
46 土壌汚染の基準値 「法律ごとの土壌基準値」
47 土壌汚染と資産価値 「土地の評価とブラウンフィールド」
48 土壌汚染と企業のリスク 「汚染原因者としての企業のリスク」
49 企業のリスク管理 「土壌汚染を引き起こさないための管理」
50 リスクコミュニケーションとは 「地域周辺住民との理解と意識疎通」
51 リスクコミュニケーションによる相互理解 「わかりやすく状況を説明する」

第6章 放射性物質による土壌汚染
52 放射能とは、放射線とは 「放射能の強さと被曝の値」
53 主な放射性物質の特徴 「放射線物質ごとの線種と被曝の影響」
54 放射線の人体への影響① 「外部被曝と内部被曝」
55 放射線の人体への影響② 「線種別の影響、土壌汚染による影響」
56 放射線の人体への影響の防止方法① 「外部被曝・内部被曝の防止」
57 放射線の人体への影響の防止方法② 「浄水場の除染・家庭用浄水器の除染能力」
58 放射性物質による土壌汚染 「土質が重要な要素となる」
59 福島第一原発事故による放射能汚染 「事故による放射性物質の飛散状況」
60 放射性物質による土壌汚染のメカニズム 「気流による地下水への浸透」
61 放射性物質の森林地帯への汚染と土壌への影響 「植生による多様な影響」
62 空間線量と土壌表面線量、 放射線の種類と線量計の選定 「放射線量の測定」
63 放射性物質による土壌汚染の測定方法 「土壌からの放射線の測定」
64 放射性物質による身の回りの土壌汚染の除染方法 「地道な除染作業」
65 放射性物質による広域土壌汚染の除染方法 「土地の活用方法を考慮した除染」
66 放射能土壌汚染関連法基準、ガイドライン等 「関連法のまとめ」
67 土壌汚染対策と安全と安心について 「技術的な「安全」と心理的な「安心」」

【コラム】
●六価クロムの不思議
●土壌の鉱物油汚染
●豊豊洲新市場予定地の土壌汚染調査
●「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」による地下水汚染
●MNA(科学的自然減衰)
●レア・アースと放射能

参考文献

はじめに

 この本は、身近にある土壌汚染について始めての方にも理解しやすいように、やさしい解説に心がけ、必要な項目をまとめたものです。これまでの土壌汚染の解説書では、放射能汚染を記述することは少なかったようですが、この本では東京電力福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染が多くの国民の関心事であることと、放射能による土壌汚染について理解を深めていただくため、章を設けて解説いたしました。
 日本の土壌汚染問題は、鉱山の鉱毒水から始まったといわれています。土壌汚染が話題となった最初は、富山県の神通川流域でのイタイイタイ病患者の発生でした。カドミウムに汚染された米や魚類を介して人の健康に被害を及ぼしたことは、今でも多くの人々が記憶し、公害事件として語られているところです。
 1968年5月に厚生省は、イタイイタイ病の原因物質がカドミウムであるとの見解を示し、鉱山排水が発生源であると発表しました。その対策として、1970年12月に「農用地の土壌の汚染防止等に関する法律」が公布され、土壌汚染対策の法的整備が始まりました。
 その後、工場跡地等の再開発などで土壌汚染が顕在化し、揮発性有機化合物による地下水汚染が全国各地で頻発するなどの状況から、国は2005年5月に土地所有者等に土壌汚染調査を義務づけた「土壌汚染防止法」を制定し施行しています。その後、ゼロリスクを目指す対策として、掘削除去が圧倒的に多い現状を是正するため、土壌汚染対策法は2010年4月に改正され施行されています。
 この本は、土壌汚染の現状、土壌汚染対策法の解説、土壌汚染状況調査の方法、汚染土壌の浄化対策、及び放射能土壌汚染について、まとめたものです。土壌汚染についての理解を深めていただき、土壌汚染の土地がブラウンフィールド化するようなことがないことを切望し、リスクマネジメントの入門書等としてご活用くだされば執筆者として望外の幸いです。
 この本の出版にあたり、ご配慮頂きました日刊工業新聞社出版局書籍編集部の鈴木徹様をはじめ関係者各位に対し、心から感謝申し上げます。

2013年8月 保坂義男

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