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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいアナログ回路の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07107-2
コード C3034
発行月 2013年07月
ジャンル ビジネス 電気・電子

内容

デジタル回路の登場によって次第に追いやられているアナログ回路だが、あらゆる電子機器、電子回路において、その重要性は変わらない。本書では、デジタル機器でも使用されているアナログ回路の基本技術について楽しく、わかりやすく解説する。

相良岩男  著者プロフィール

(さがら いわお)
昭和7年 東京都に生まれる
昭和31年 東京理科大学卒業 物理学専攻
昭和31年 沖電気工業(株)へ入社し
ED事業部総合技術部技師長を経て、
平成3年 KOA(株)常務取締役
平成10年 KOA(株)顧問 平成23年退職

主な著書として、「わかりやすいOPアンプ入門」「トコトンやさしい情報通信の本」「A/D・D/A変換回路入門 第3版」「わかりやすいフィルタ回路入門 第2版」「わかりやすいアナログとデジタル基本・応用回路入門」「よくわかる デジタル信号処理入門」「よくわかるデジタルテレビの基本動作と仕組み」(以上、日刊工業新聞社刊)など多数。

目次

はじめに

第1章 人間の五感はアナログ
1 アナログ電子機器からデジタル電子機器へ「人間と電子機器との接点はアナログ」
2 人間と電子機器との情報交換はアナログで「人間は五感によって自然界の現象を感じ取る」
3 アナログとデジタルの長所と短所「デジタルとアナログの比較」
4 デジタルでも必要なアナログ「デジタル電子機器でもアナログが必要」
5 人間が感じることのできる音とは「人間の聴覚と周波数範囲」
6 人間が感じることのできる光とは「人間の視覚と可視光範囲」
7 アナログは波の変化で表す「音の変化差は周波数で、光の変化差は波長で表す」
8 電子機器で使用するアナログの波「信号は変調波で変調し電波として放射」
9 電子機器での信号は電流の変化「信号の伝達速度は光速に近い、電子の移動速度は遅い」
10 電子機器の動作で必要な電圧「電子機器を駆動する電圧は水の水圧に相当する」
11 電子機器にエネルギーを供給する電源「電源には商用電源と電池電源がある」

第2章 デジタル電子機器で活躍するアナログ
12 電子機器を牽引したラジオの登場「AMラジオとFMラジオはアナログで」
13 AMラジオの問題点と対策「ラジオの性能は選択性とS/N比で決まる」
14 AMラジオとスーパーヘテロダイン方式「選択性が優れたスーパーへテロダイン方式」
15 アナログオーディオからデジタルオーディオへ
「人間の聴覚はアナログでしか音を認識することができない」
16 アナログオーディオの問題点「デジタルオーディオの基本動作」
17 デジタルオーディオとPCM方式「A/D変換とD/A変換」
18 アナログテレビからデジタルテレビへ「デジタル・テレビの登場」
19 デジタルテレビの基本動作「デジタルテレビはスーパーへテロダイン方式とPCM方式」
20 デジタルビデオで活躍するアナログ「デジタルビデオの基本動作」
21 デジタル携帯電話で活躍するアナログ「デジタル携帯電話の基本動作」
22 デジタルの中で活躍するアナログ「デジタルの中でのアナログ」
23 電子機器を支える受動部品と能動部品「電子機器は能動部品と受動部品で動作する」

第3章 電子機器で活躍する受動部品
24 抵抗器とは「電流の流れを制限する受動部品」
25 抵抗器の基本構造「抵抗値は長さに比例し断面積に反比例する」
26 抵抗器の基本動作「抵抗器の抵抗体における電子の動き」
27 抵抗器の電気特性「抵抗器の代表的な電気特性」
28 コンデンサとは「欧米では小容量はキャパシタ、大容量はコンデンサ」
29 コンデンサの基本構造「コンデンサの容量値」
30 コンデンサの基本動作「コンデンサは電荷によってエネルギーを蓄積」
31 コンデンサの電気特性「コンデンサの代表的な電気特性」
32 インダクタとは「インダクタはコイルともいう」
33 インダクタの基本構造「インダクタ値は巻き数と断面積と透磁率で決まる」
34 インダクタの基本動作「インダクタは磁気エネルギーを蓄積する」
35 インダクタの電気特性「インダクタの代表的な電気特性」

第4章 デジタル電子機器で活躍する能動部品
36 能動部品とは「増幅能力を持った電子部品」
37 能動部品のいろいろ「トランジスタやIC」
38 NPNトランジスタの構造「NPNトランジスタのしくみとはたらき」
39 NPNトランジスタの回路動作「NPNトランジスタの3つの動作方法」
40 N-MOSの構造「N-MOSが主として使われる」
41 N-MOSの回路動作「N-MOSの3つの動作」
42 C-MOSの構造「P-MOSとN-MOSを直列につなぐ」
43 C-MOSトランジスタの回路動作「C-MOSはカレントミラー回路に用いられる」
44 アナログICの構造「ICはシリコン基板上に電子回路を作る技術」
45 アナログICの種類「アナログICはリニアICともいう」

第5章 アナログの基本となる波形の性質と特性
46 アナログ波の基本となる正弦波「異なった周波数を持つ正弦波」
47 正弦波の振幅と位相「正弦波と余弦波は位相が90度ずれている」
48 三角関数と複素指数関数の関係「三角関数と複素指数関数」
49 音声信号波や映像信号波の解析「複雑な波形でも正弦波と余弦波に分解できる」
50 時間軸表示から周波数軸表示へ「含んでいる周波数を知る」
51 音声信号の周波数範囲「人間の可聴周波数範囲は5Hz~25kHz」
52 PWMとPDM「PWMまたはPDMはパルスでアナログ波を表す」
53 映像信号の周波数範囲「映像信号の周波数範囲はDCから4.2MHzである」
54 電波と電磁波「30 Hzから3THzまでの電磁波を指している」
55 電子機器の周辺で使用する電波「電波の利用は60 GHz以上に広がろうとしている」

第6章 デジタル電子機器で活躍する増幅回路とOPアンプ
56 電子機器に必要な増幅回路「微弱なアナログ電圧を扱いやすい電圧に」
57 デシベルと接頭語「増幅利得はデシベルや接頭語で表す」
58 増幅回路の応用「使用目的ごとに増幅器はある」
59 OPアンプとは「理想的な増幅器のOPアンプ」
60 OPアンプの内部回路「OPアンプの回路構成」
61 OPアンプの基本特性「OPアンプの入力特性と出力特性」
62 OPアンプによる反転増幅回路「入力に対し出力の位相が180度変化」
63 OPアンプによる非反転増幅回路「入力に対し出力の位相が変わらない」
64 OPアンプ 加算・減算への応用「OPアンプ 加算・減算とは」
65 OPアンプ 乗算・割算への応用「OPアンプ 乗算・割算とは」

第7章 デジタル電子機器で活躍するアナログフィルタ
66 デジタル電子機器で活躍するフィルタとは「特定の周波数成分のみを出力する機能」
67 フィルタのはたらきによる分類「フィルタの基本はローパスフィルタ」
68 フィルタの重要な減衰特性「フィルタの減衰傾度はdB/octかdB/decで表す」
69 アナログフィルタの種類「パッシブフィルタとアクティブフィルタ」

【コラム】
●蛙の足から誕生した「ボルタの電池」
●電気を貯めようとして登場したコンデンサ
●電気と磁気の実験から生まれたインダクタ
●失敗の実験から抵抗は発見された
●画期的な増幅器を持つ真空管の発明
●世紀の大発明となったトランジスタ

はじめに

 アナログでは電子回路が雑音や温度に影響されやすい、飛躍的な機能の向上への対応が困難であるといったことがありましたが、デジタルではこれらの欠点をほぼ克服することが可能で、20世紀後半から21世紀初頭にかけてデジタル電子機器の開発が進められてきました。だが開発の初期、デジタル化では電子部品の点数が多くなる、動作速度が遅いといった大きな壁がありましたが、LSIの急速な技術発展によってこれらも問題は次第に解決されるようになってきたのです。
 このような視点から見ると電子機器は全てデジタルで対応でき、もはやアナログはあまり必要ないのではないかと思われがちですが、デジタル電子機器の中でアナログの占める役割はますます重要さを増しています。
 人間の五感は視覚・聴覚・触覚・味覚・臭覚ですが、人間の五感すべてはアナログでしか認識できません。電子機器は五感の中で主として視覚・聴覚・触覚を利用しています。視覚はテレビなどの映像関連、聴覚はラジオやオーディオなどの音声、触覚はスマートフォンなどのタッチパネルなどで使用しています。このため、デジタル電子機器といえども人間との接点はすべてアナログです。
 電子機器内部では基本的のデジタルで対応できますが、入力である映像や音声のアナログは一度デジタルに変換してデジタルで処理を行ってから、出力は再びデジタルをアナログに変換する必要があります。このため、デジタル電子機器内ではアナログ・デジタル変換(A/D変換)やデジタル・アナログ変換(D/A変換)やアナログフィルタやOPアンプ(演算増幅器)などが重要な役割を担っているのです。アナログの対応なくしてデジタルの能力は発揮できません。
 多くの電子機器設計に携わる技術者は複雑な計算を必要とする、温度や雑音などで特性変動しやすいし、応用展開に適さないなどの理由でアナログを敬遠する傾向があります。これに対し動作はソフトで操れる、周辺環境への対応が容易である、新しい応用展開が可能である、などの理由から技術関係者はデジタルの技術のみに注力しがちです。
 だが、最近アナログを取り巻く技術は大きく発展してきました。一段と高性能化するOPアンプや、変調方式や、優れた特性を持つフィルタなど新しいアナログ部品が次々に登場してきました。この新しいアナログ部品に支えられて新しいデジタル電子機器の急速な発展が可能となってきたといえます。
 デジタル電子機器の中でアナログは重要さを増してきたにもかかわらず、なじみにくいアナログ技術を学ぼうという技術者が少なくなってきているように見えます。このような背景から、本書ではアナログについて、数式は使用しない、動作は文章と図面のみで解説する、など理解しやすいように心掛けて記述しました。これから電子機器開発を目指そうとしている若き技術者を対象に、本書はアナログの基本部品と基本動作と簡単な応用について解説しています。
 最後に発刊に際して、ご尽力をいただいた日刊工業新聞社の方々に感謝の意を申し上げます。

2013年6月
相良岩男

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