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モノと人の流れを改善し生産性を向上させる!
食品工場の工程管理

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 192頁
ISBNコード 978-4-526-07100-3
コード C3034
発行月 2013年07月
ジャンル 生産管理

内容

食品製造業の生産性は組立産業に比べ明らかに低い。そこで、本書では、現場での作業分析からはじめ、工程管理のノウハウとそれにより、生産性を向上させるフローショップラインをどうやって作るかを、実際の食品工場の事例を豊富に交え具体的に解説していく。

弘中泰雅  著者プロフィール

(ひろなか やすまさ)
テクノバ株式会社 代表取締役
http://www.technova.ne.jp   hironaka@technova.ne.jp

経歴
農学博士(九州大学):パンの品質特性に及ぼす製造条件に関する研究
鹿児島大学大学院水産研究科修了
中堅食品企業にて研究室長、製造課長等歴任
船井電機にて食品研究課長、電化事業部技術責任者
世界初の家庭用製パン器の開発に携わる 功績により社長表彰
現在 テクノバ株式会社 代表取締役
生産管理ソフト「アドリブ」開発
全国の食品工場等の生産性向上指導多数
ISO22000審査業務
受賞
ベストITサポーター賞(近畿経済産業局長)(2006)
日本生産管理学会賞(実務書)(日本生産学会)(2013)
所属学会
日本生産管理学会 代議員、日本食品科学工学会 正会員、
標準化研究学会、 日本穀物科学研究会 幹事、
食品産業研究会 主査、
主な著作
生産性向上と顧客満足を実現する食品工場の品質管理(日刊工業新聞社2012)
ムダをなくして利益を生み出す 食品工場の生産管理(日刊工業新聞社2011)
よくわかる「異常管理」の本(日刊工業新聞社2011)
月刊食品工場長(日本食糧新聞社)連載:「目指せ!生産性向上」
食品工業(光琳)「生産性の視点から見た食品製造業」、「システムの視点から見た食品製造業」、「食品製造業は何故低利益率か」シリーズ等
ISOマネジメント、工場管理(日刊工業新聞社)、月刊自動認識(日本工業出版)、生産性新聞(社会生産性本部)、食糧新聞(日本食糧新聞社)、日本食品工業学会誌、日本生産管理学会誌
技術誌、業界誌に執筆多数

目次

はしがき   

Ⅰ 生産性向上のための工程管理
1 食品工場は改善すべき問題が沢山残る宝の山   
2 生産管理   
3 工程管理とは   
⑴生産形態   
⑵生産方式   
⑶生産方式による工程管理のポイント   
⑷工程における品質信頼性確保   
4 工程管理者の役割   
5 工程計画   
⑴工程設計   
⑵作業設計   
⑶作業の流れと工程間物流設計   
⑷工程レイアウト設計   

Ⅱ 生産計画
1 生産計画とは   
⑴生産計画の基本   
⑵工程(生産)管理方式   
⑶生産計画の立案   
2 日程計画   
⑴日程計画の区分   
⑵小日程計画   
⑶継続生産計画   
⑷繰り返し生産計画   
⑸総合日程計画   
3 日程計画に付随する計画   
⑴工程計画   
⑵手順計画   
⑶工数計画   
⑷材料計画   
⑸外注計画   
4 競争力と生産計画   

Ⅲ 生産統制
1 生産統制とは   
⑴食品工場における生産統制の状況   
⑵生産統制を行う前提   
⑶生産統制の実行   
⑷生産統制の手続き   
2 生産統制における進行管理の役割   

Ⅳ 生産統制の手法
1 作業研究   
⑴生産性向上の基本条件   
⑵作業研究の歴史   
⑶作業研究の内容   
2 方法研究   
⑴工場診断項目   
⑵稼働率   
⑶改善に対する抵抗   
3 工程分析   
⑴工程分析の手順例   
⑵主体分析   
⑶付随分析   
⑷工程図の作成   
4 作業分析   
⑴作業分析   
⑵標準作業と作業標準   
⑶作業分析のポイント   
⑷複合作業分析   
5 動作研究   
⑴動作経済の原則   
⑵動作の特性と発達   
⑶動作分析手法   

Ⅴ 流れ作業・ライン生産方式
1 流れ作業・ライン生産方式の必要性   
2 流れ作業の長所・短所   
3 流れ作業の形態   
⑴完全流れ作業   
⑵不完全流れ作業   
4 流れ作業の工程管理上の特徴   
⑴工程管理を行う上での流れ作業の工程管理上の長所としては   
⑵流れ作業の工程管理上の短所としては   
5 流れ作業方式の種類と特徴   
⑴コンベア方式   
6 流れ作業の構成要素   
⑴流動加工   
⑵U字流れ作業   
7 流れ作業の融通性   
⑴流れ作業の採否   
⑵不完全流れ作業の手法   
8 工場自動化   

Ⅵ マテリアルマネジメント
1 運搬と運搬管理   
⑴マテリアルマネジメント   
⑵マテリアルハンドリング(マテハン)   
2 運搬分析   
⑴流れ線図   
⑵運搬工程分析   
⑶カラ運搬分析   
⑷運搬稼働分析   
⑸運搬機能分析   
⑹物的制御と計画制御   
3 運搬プロセス設計と自動化   
⑴運搬プロセスの設計   
⑵運搬プロセスの設備構成   
⑶上下方向の移動   
⑷運搬自動化の推進   

Ⅶ 事例研究
事例研究 座り作業からライン作業
個人完結作業から流れ作業への変革   
事例研究 作業分析による作業改善
治具による充填包装作業効率化   

参考文献   

はじめに

 食品製造業の中でも素材型設備型の食品製造業の生産性は製造業平均の2倍以上あるにも関わらず、食品製造業の大半を占める加工型労働集約型の食品製造業の生産性は、製造業平均のほぼ半分しかありません。そのため日本の食品製造業の生産性は、残念ながら製造業全体の60%しかないのが実情です。
 この様な現実を何とか改善し、食品工場の生産性を向上させたいとの思いで、「食品工場の生産性は何故低いか、どうすれば食品工場の生産性は向上できるか」をテーマに、『ムダをなくして利益を生み出す食品工場の生産管理』を著したところ、予想を上回る評価を頂き、短期間に増刷に至った上に、日本生産管理学会賞受賞と言う望外の栄誉を授かりました。  
 しかし、食品工場の生産性向上という大きな目標からすれば、まだまだ前著は十分ではなく、その考え方や知識やノウハウをお伝えする必要がもっともっとあると考えています。「どうすれば生産性は向上できるか」の具体的方法論について書いた本書は、その意味で前著「食品工場の生産管理」の続編のようなものです。
 食品工場の生産性は何故低いのでしょうか。著者は、最大の原因は「どの様に生産性を向上させたらいいのか?」、その知識が食品工場には足りない事に尽きるのではないかと考えています。
 何故なら残念な事に、食品製造業は第2次大戦後の、製造業の生産性改善運動の大きなうねりから取り残された上に、企業系列化が産業構造的に形成されなかったため、大企業から中小企業への生産効率に関する技術的ノウハウの供与がほとんどなく、閉鎖的な国内市場のみを対象としてきたので、生産性向上に対する知識や意識形成が出来ないままになったのです。食品製造業はこのような原因から、低生産性の状態が現在でも続いているのではないでしょうか。
 また食品工場の皆さんと接する際に、皆さんの保守的で変化を拒む言動や行動に遭遇します。食品工場の皆さんには、自ら先頭にたって改革改善を行なおうという意識が、他産業に比べて低いように感じます。残念ながら経営者から管理職・一般社員に至るまで、その傾向が強いようです。誰も昨日と同じ明日が来ることは心地良いのですが、食品製造業を取り囲む昨今の経済環境はそれを許しません。自己改革を怠った者は、市場から消えていくしかないのです。
 生産性を向上するためには、生産管理の根幹であり最も重要な食品工場に於ける生産工程・ジョブの流れを管理する工程管理について、一層学習する必要を感じています。工程とは物を作る作業の段階順序の事ですから、生産を行う上で生産の流れを円滑に管理する工程管理こそ、生産性向上の為に最も重要な管理だと考えるからです。
 生産の流れを管理するには、部分的に単に作業改善するだけでは、円滑な流れを実現することは出来ません。生産効率を上げるには流れ全体の適切な管理が必要です。何故なら生産の流れは川の流れに似て、流れの局所だけを改善しても、全体の円滑な流れにならないからです。
 奇しくも生産することを、○○(例えば品名)を流すという表現をするように、円滑な生産活動は流路(生産工程)全体の、モノと人の円滑な流れによって実現されます。このような考えから、食品工場に於ける生産の流れであり、生産性向上の中核である工程管理とその関連の事柄について、「食品工場の工程管理」と題して著したのが本書です。
 これまで食品工場の工程管理に関する書は少なく、類書は初歩的なものか、MRP開発のためのプログラマー・SE向けのリソースの所要量計算など理論的なものが多く、自動車などの組立産業用の生産管理書を流用せざるを得なかったことは残念ながら現実です。
 プロセス型の食品工場の工程管理のやり方は、自動車や電機などの組立型工場とかなり異なるため、食品工場の生産現場に於いて実践的に生産性向上に取り組まれている読者には、プロセス型生産*向けではない、これまでの書物に違和感をお持ちの方も少なくないはずです。
 生産性の向上には、流れである工程の仕組みの改革が必要であり、職場内の局所改善はもちろん必要ですが、局所改善だけに留まっていては、生産性向上という大きな目的を達し得ないことになります。上述のように、生産性向上には原材料から製品への円滑な流れが必要だからです。そのため工程全体の流れ(処理速度)の調和を目指さねばなりません。即ち効率的な生産は円滑な生産活動の流れであり、それを支える仕組みによって成し遂げられるからです。
 このような生産における流れを確立する仕組みとして、本書では食品工場における、生産向上の手法としての工程管理を中心に、ライン生産、経営工学(IE)や、生産に付随するマテハン(運搬管理)等について述べていきます。皆さんがこの本を積極的に活用され、この本が食品工場の生産性向上に些かでも貢献し、日本の食品製造業の生産性が向上することは著者の真の喜びです。

2013年7月 弘中 泰雅
奈良の寓居にて

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