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おもしろサイエンス
美肌の科学

定価(税込)  1,728円

著者
サイズ A5判
ページ数 144頁
ISBNコード 978-4-526-07092-1
コード C3034
発行月 2013年06月
ジャンル ビジネス 化学

内容

美しい肌への憧れはいつの時代も変わりません。本書では、素肌、スキンケア、メーキャップの3つの視点から、肌トラブルのしくみを中心に美しい肌になるための基礎を解説します。さらに、アンチエージングや美容皮膚などの話題や食べ物やストレスとの関係についても紹介します。

福井 寛  著者プロフィール

(ふくい ひろし)
1950年 鳥取県生まれ
1972年 広島大学工学部醗酵工学科卒業
1974年 広島大学大学院工学研究科修士課程修了
1974年 (株)資生堂入社
工場、製品化研究、基礎研究(粉体表面処理)などの研究に従事。香料開発室長、メーキャップ研究開発センター長、素材・薬剤研究開発センター長、特許部長、フロンティアサイエンス事業部長、資生堂医理化テクノロジー株式会社社長などを歴任。
2010年 福井技術士事務所 設立
現在 福井技術士事務所 代表
日本化学会フェロー
工学博士(名古屋大学)、技術士(化学)、APEC Engineer、International Professional Engineer
東北大学未来科学技術共同研究センター 客員教授
東京理科大学理工学部 客員教授
非常勤講師:早稲田大学、山梨大学、近畿大学、千葉工業大学、日本女子大学
学術振興会第151委員会 企画委員、日本技術士会 化学部会幹事
㈳技術知財経営支援センター 理事

1985年度色材協会論文賞、1991年度色材協会技術賞、1992年度日本化学会化学技術賞、1995年度日本化粧品技術者会優秀論文賞、2000年度日本化粧品技術者会優秀論文賞、2012 JSCM Most Accessed Review Award
主な著書
「トコトンやさしいにおいとかおりの本」共著、日刊工業新聞社、「トコトンやさしい界面活性剤の本」共著、日刊工業新聞社、「トコトンやさしい化粧品の本」日刊工業新聞社 など

目次

はじめに

第1章 心と内臓のディスプレイ…素肌!
1 肌だって悩んでいる ─もっと綺麗になりたい!─
2 常にリニューアルしている高機能な多層膜
3 最前線で八面六臂の働き
4 大切な水を逃がさない仕組み
5 酸素は体に良い?悪い?
6 見えない紫外線で肌トラブル
7 肌の色の秘密
8 赤ちゃん肌とシニア肌
9 あなたを悩ますシワとタルミ
10 肌をうるおす皮脂と汗
11 あなたの肌はドライ?オイリー?
12 ストレスに痛めつけられる肌
13 アレルギーとアトピー性皮膚炎

第2章 美しい素肌になるために
14 洗顔に始まり洗顔に終わる
15 うるおい肌の処方箋
16 肌荒れを防ぐ
17 紫外線から肌を守る
18 美白の立役者
19 アンチエージングは花盛り
20 ハタチ過ぎたら吹き出物?
21 いい湯だな…肌も綺麗♨
22 芳しいかおりが美肌を作る?

第3章 美しく魅せる肌
23 見た目の美しさ
24 魅せる肌の歴史
25 肌を彩る魔法の色
26 ファンデーションは第2の肌
27 不気味の谷
28 目と口元を美しく見せる

第4章 美しい肌を支えるテクノロジー
29 乳化と可溶化
30 化粧水の作り方
31 粉末と化粧くずれの科学
32 美肌を評価する
33 静けさや肌にしみいる効果薬—DDS、イオントフォレーシス—
34 美容皮膚の世界
35 肌にも栄養が要りますか?
36 これからの美肌

Column
横顔が老けて見える?アラフォー世代
ファンデーションは肌に詰まる?
時計遺伝子

参考文献

はじめに

 最近は、ディスプレイもタッチパネル方式が増えて、魅せるディスプレイとともに感じるディスプレイになって人間の肌に似てきたような気がします。
 さて、美肌になりたいというのは万人の望みです。それではなぜ、美肌になりたいのでしょうか?
 「タブラ・ラサの神話」というのがあります。タブラ・ラサとは、何も書かれていない白板のことです。人間の心は生まれた時は何も書き込まれていない状態で、文化によって人間になるというもので、20世紀に広がった考え方です。確かに美しいと感じるのは文化の影響が大きいと思いますが、「美肌になりたい」というのはもっと本能に近い部分もあると思います。
 ひとつは病気に強い配偶者を選ぶため美肌を求めるという考え方があります。病気は肌に出ます。昔は天然痘、梅毒、などがありました。不摂生も、ストレスも肌に出ます。肌の色の好みは民族によっても時代によっても異なりますが、引き締まって滑らかで汚れのない肌は誰にでも好かれるでしょう。ホラー映画で悪役を気持ち悪く見せるには肌を荒れさせてを抜くなどの工夫をしているそうです。
 動物では左右対称の個体が配偶者として選ばれますが、それは個体に寄生虫がいなくて健康である証拠の1つと判断されているからです。「裸のサルには寄生虫が少ない」という理由でヒトの体毛がなくなったという説があります。毛の量が減ればシラミやノミ、ダニの隠れ場所も少なくなるので、毛の少ない個体の方が寄生虫がいないことを異性にうまく伝えられるということです。毛がなくなったことで肌は露わになり、毛艶の良さは美肌に変わったのではないでしょうか。
 顔の各部分が左右対称であるのも美しさの条件ですが、コンピュータで合成した女性の写真を用いて、形は同じで肌の色やキメを変えて魅力度を評価したところ、すべすべして均質な肌の方が荒れた肌より魅力度が高かったそうです。同じく男性の肌に対する女性の評価も同様でしたが、もちろんヒトの場合はそれほど単純ではありません。ヒトの一番の特長はコミュニケーション能力だといわれています。このため、相手の顔色や表情を見て判断することが大切で、顔に関する情報は特別に発達しています。美肌もその重要な情報の1つだと思います。
 最近は皮膚に関する研究が進んで皮膚は多くの機能を持った多層膜であることや、さまざまな受容体があることも分かってきました。肌の生理をヒトの都合の良いように変える場合は、その影響を十分に考えなければなりません。例えば、紫外線を感知するとメラニンを作って防御する仕組みは巧妙です。人間が勝手にメラニンを減らしては紫外線の害を受けることになります。紫外線防御を同時に行わなければなりません。
 美しい素肌を目指すべきでメーキャップは邪道という人もいますが、欠点を自然にカバーする素肌感のあるメークなどはコミュニケーションを円滑に行う1つの方法です。
 このような観点から、素肌と美しい素肌だけではなく魅せたい肌についても纏めました。
 第1章は素肌の生理や機能について、第2章は美しい素肌になるための考え方や方法、第3章は美しく魅せるための方法、第4章は美肌を支える技術について説明しています。
 限られたページの中でできるだけ多くのトピックスを取り上げたつもりです。また、やさしい説明を心がけたために、あいまいな表現になっているかもしれません。そのような個所があれば是非お教え頂きたいと思います。
 本書の出版にあたり多くの文献や資料を参考にさせていただきました。資料を提供して頂いた方々に厚くお礼をさし上げます。また、日刊工業新聞社の木村文香さんにはいろいろなアドバイスをいただきました。ここに改めて感謝申し上げます。

2013年6月                                        
福井 寛

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