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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしいイオン交換の本

定価(税込)  1,512円

編著
編著
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07090-7
コード C3034
発行月 2013年06月
ジャンル ビジネス 化学

内容

固体中のイオンと溶液中のイオンが置き換わるイオン交換は環境にやさしい反応であり、水処理、食品・医薬品製造、廃棄物処理など幅広い分野で活用され、この技術で日本は世界をリードしている。本書は、イオン交換のメカニズム、応用技術をわかりやすく紹介する。

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岡田哲男  著者プロフィール

(おかだ てつお)
東京工業大学 大学院理工学研究科 教授

早下隆士  著者プロフィール

(はやした たかし)
上智大学 理工学部長
     理工学部物質生命理工学科 教授

目次

第1章 イオン交換はどんな技術だろう
1 イオン交換って何だろう?「環境にやさしい技術のお手本」
2 イオン交換の歴史「イオン交換はどのように使われてきたか」
3 イオン交換体「有害・有用金属イオン分離材」
4 イオン交換体はどんなところに「環境保全に活躍するイオン交換」
5 イオン交換樹脂の構造「イオンを交換できる高分子の鎖」
6 イオン交換繊維「わざわざ繊維にする価値がある」
7 特定のイオンを通すイオン交換膜「固定荷電基が重要な役割」
8 意外に身近なイオン交換膜「脱塩・淡水化から発電まで」
9 ゼオライト「環境浄化のための優れた吸着剤」
10 粘土鉱物「土の中のイオン交換体」
11 無機層状化合物のイオン交換特性「リン酸ジルコニムとLDH」
12 マンガン酸化物のイオンふるい「イオンをふるい分ける分離材」

第2章 イオン交換体で「水」を作る
13 超純水を作るイオン交換体「イオン交換は最先端半導体を支える」
14 超純水は何に使う?「不純物を含まないのがメリット」
15 超純水を分析してみよう「超純水を汚染する要因」
16 軟水化技術「高純度軟水の利用は様々」
17 電気透析法「イオン交換膜で脱塩と濃縮」
18 海水淡水化に使われる逆浸透法「膜を用いて水に溶けた塩類を除く」
19 モザイク荷電膜「脱塩を行う機能性分離膜」
20 海洋深層水透析「ミネラル分離は1価イオン選択透過性」

第3章 イオン交換と生活
21 イオン交換膜で塩を作る「日本人の食生活をイオン交換が支える」
22 焼酎とイオン交換「イオン交換樹脂で雑味除去」
23 ワインの澱(おり)を取り除く「イオン交換膜を用いて酒石安定化」
24 アミノ酸の精製「アミノ酸の個性を利用して分ける」
25 抗菌デオドラント「銀の抗菌効果で体臭を防ぐ」
26 医薬品とイオン交換「電荷の相互作用でタンパク質を精製する」
27 薬物の経皮投与「イオントフォレシス」
28 層状化合物の医薬品への利用「DDSの開発をめざして」

第4章 産業の最先端を支えるイオン交換
29 食塩電解「水銀法からイオン交換膜法へ」
30 ソーダ工業「イオン交換膜とキレート樹脂」
31 塩から酸とアルカリを作る「酸とアルカリを作るバイポーラ膜電気透析法」
32 無機イオン交換体触媒「粘土鉱物から触媒をつくる」
33 ポリスルホン化触媒「ポリスルホン化で耐熱性向上」
34 電子材料と無機イオン交換体「イオン交換で信頼性向上」
35 ガラスの化学強化「安心して使える強いガラスパネル」
36 防眩ミラーで快適運転「光を制御する次世代ガラス」
37 層状物質でナノシートを作る「分子レベルの薄膜からなる二次元ナノ物質」
38 ポリマークレイナノコンポジット「ポリマーと粘土のナノ複合材料」
39 レアメタルとイオン交換「イオン交換で資源循環社会を目指す」

第5章 イオン交換と先端分離・計測
40 クロマトグラフィー「イオン交換で有用物質を分離と分析」
41 光学異性体の分離「鏡面対称体の分離方法」
42 イオン交換と超分子「超分子形成に基づくイオン認識」
43 カリックスアレーン「金属イオンをサイズで認識分離」
44 イオン液体「室温で液体として存在する塩」
45 鋳型樹脂「分子内の「手」を正確にキャッチ」
46 pHを測る「ガラス膜がpHに応答」
47 臨床検査にも活用されるイオン選択性電極「医療に役立つイオン認識技術」
48 ガスセンサー「固体電解質を用いて酸素濃度を電圧で計る」

第6章 イオン交換とエネルギー
49 燃料電池とイオン交換「イオン交換膜は燃料電池のキーパーツ」
50 メタノール型燃料電池「包接で燃えないメタノール」
51 固体高分子膜「燃料電池の心臓部は固体高分子膜」
52 水素ステーション「水素を水から作る」
53 リチウムイオン電池「リチウムイオンの往復で電気を貯める」
54 バイオディーゼル燃料「植物油脂からディーゼル燃料へ」
55 核燃料を再処理「放射性廃棄物から有用元素を取り出す」
56 海水からウランを回収「接ぎ木の技術で高性能捕集材を開発」
57 海水からリチウムを回収「リチウムイオンを大きさで見分けるイオン交換体」
 
第7章 環境を守るイオン交換
58 セシウム137の分離「放射性セシウム汚染の拡大防止策」
59 エコマテリアル「環境調和型材料」
60 イオン交換による土壌浄化「天然鉱物のイオン交換能を利用」
61 酸性雨と酸性霧「大気から地表への酸の沈着による環境影響」
62 めっき液の処理技術「キレート化合物のリサイクル」
63 硝酸イオンの除去「硝酸イオンに対する選択性がカギ」
64 リン酸イオンの除去「層状複水酸化物を用いて水環境を守れ」
65 有害陰イオンの回収「特定の有害陰イオンを選択的に吸着」
66 夢の新素材キチン・キトサン「エビやカニが人類を救う」

【コラム】
●水がイオン交換選択性の決め手
●スーパーカミオカンデと超純水
●日本の食卓塩
●都市鉱山とレアメタル
●海水中の微量元素を測る
●固体の中のイオンの動き
●南極での汚染防止

索引
執筆者一覧

はじめに

 自然界にある物質は、基本的に電荷が中和された状態で存在しています。もし正の電荷をもつ物質があれば、その正の電荷に見合う負の電荷をもった物質が対となって存在します。このことを電気的中性条件と言います。たとえば、物質が正の電荷をもった物質を取り込もうとすると、電気的中性条件を保つために自分が持っていた正の電荷の物質を放出しなければなりません。このような反応をイオン交換と言います。このイオン交換は、自然界のあらゆる所で起きている現象です。本書は、このイオン交換の様々な事例を、“とことん”わかりやすく解説することを目的にしました。
 2011年3月11日に起こった東日本大震災は、皆さんの記憶に新しいことと思います。とりわけ福島第一原発事故は、セシウム137やストロンチウム90などの放射性物質を自然界に放出するという大変な問題を起こしてしまいました。実は、福島原発事故で課題になっている放射能汚染水の処理にも、この本で取り扱うイオン交換の技術が使われています。むしろイオン交換の技術なしには放射性物質の処理は成り立たないと言っても過言ではありません。自然界に放出された放射性物質をいかに回収するかは、私たちに与えられた大きな課題ですが、子供たちが安心して暮らせる安全な環境を確保するためにも、イオン交換の技術が欠かせないのです。
 本書は、イオン交換に関する基礎的な話から、最先端の応用技術まで、この1冊を読めば、イオン交換の全てが理解できるように全体の章を構成しています。編著者の2人は、日本イオン交換学会に所属し、大学、官公庁および企業の関係者とともにイオン交換に関する研究に関わってきました。この学会には、イオン交換に関係するあらゆる分野の専門家が会員となっています。この会員の皆さんを中心に、イオン交換をわかりやすく解説していただきました。ぜひ本書を通して皆さんの身近なところでも様々なイオン交換の技術が使われていることを理解していただければ、編著者として大変嬉しく思います。
 各執筆者、とりわけ本書をまとめるきっかけを頂いた神崎愷氏(日本イオン交換学会・前会長)に、心から感謝申し上げます。最後に、本書の完成に向けて有益なご助言を頂いた日刊工業新聞社の森山郁也様、ならびに関係者の皆様にも大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。

平成25年6月吉日
東京工業大学  岡田 哲男
上智大学    早下 隆士

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