買い物かごへ

ここが知りたい 米国紛争鉱物規制
サプライヤー企業のための対策ガイド

定価(税込)  2,160円

著者
サイズ A5判
ページ数 184頁
ISBNコード 978-4-526-07094-5
コード C3034
発行月 2013年06月
ジャンル ビジネス

内容

コンゴなどの紛争地域で産出される紛争鉱物が国際問題となるなかで、それらを原料に用いた製品に情報開示を求める規制が米国で始まっている。米国上場企業と取引をする日本企業やそのサプライチェーンに連なる企業は、情報開示や外部監査などの対応を迫られる。知らなかったでは済まされない紛争鉱物規制の概要と企業対応をわかりやすくまとめた。

省エネ・エコテクフェア展開中!←こちらをクリック!

デロイトトーマツ紛争鉱物対応チーム  著者プロフィール

本書は、デロイトトーマツ紛争鉱物対応チームのうち、下記のメンバーが執筆・執筆協力しました。

執筆責任者
久保惠一(くぼ けいいち)
 デロイト サステナビリティ アジアパシフィック統括パートナー
 デロイトトーマツリスクサービス株式会社 代表取締役社長、トーマツ企業リスク研究所所長、中央大学会計専門職大学院客員教授(内部統制とコンプライアンス担当)、公認会計士、カナダ(ブリティッシュコロンビア州)勅許会計士、公認情報システム監査人
 紛争鉱物関連の主な著作は「紛争鉱物規則とCSR調達」(月刊監査役2013年3月号)、「紛争鉱物の使用に関するSEC規則案とわが国企業の対応」(旬刊経理情報・中央経済社、2011年10月10日号)、「紛争鉱物に関するSEC規則案とその影響」(NBL・商事法務、2011年6月号)

執 筆
達脇恵子(たつわき けいこ)
 有限責任監査法人トーマツ パートナー
 事業会社勤務の後、2000年にトーマツ入所。以来、国内外のCSR、リスクマネジメント、コンプライアンス、内部統制、内部監査、ガバナンス等のコンサルティングを実施
 主な著書は「CSRマネジメント導入のすべて」(共著:東洋経済新報社、2005年)、「リスク・インテリジェンス・カンパニー」(編集責任者:日本経済新聞出版社、2009年)

奥村剛史(おくむら たけし)
 有限責任監査法人トーマツ マネジャー
 大手製造業勤務の後、米国留学を経て2004年にトーマツグループへ入所。米国イェール大学大学院 森林・環境学部 産業環境管理学科 修士
 現在は、国内外のCSR、リスクマネジメント、内部統制等の分野でのコンサルティング業務に従事
 主な著書は、「リスク・インテリジェンス・カンパニー」(共著:日本経済新聞出版社、2009年)

取 材
間瀬美鶴子 有限責任監査法人トーマツ パートナー
西本匡利  有限責任監査法人トーマツ ディレクター
岡本光信  有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー
山田訓久  有限責任監査法人トーマツ マネジャー

資料・情報提供
Eric Hespenheide
 Partner, Deloitte & Touche LLP(2013年5月まで)
 デロイトのサステナビリティ・リーダー。WBCSD(持続可能な開発のための経済人会議)、GRI(グローバル・レポーティング・イニシアティブ)、IIRC(国際統合報告委員会)へのデロイトからの代表を歴任
Kristen Sullivan
 Partner, Deloitte & Touche LLP
 デロイトの紛争鉱物コンサルティング担当パートナー。AICPA(米国公認会計士協会)の紛争鉱物ワーキンググループのメンバー

目次

まえがき

第1章 コンゴ紛争と人権への取り組み
1.1 コンゴ紛争の発端となったルワンダ紛争
1.2 史上最悪のコンゴ戦争
1.3 紛争鉱物が武装グループの資金源
1.4 人権問題における企業の役割と米国の規制
1.5 企業の自主的な活動を後押しする国連のグローバルコンパクト
1.6 国家の役割えお取り上げたラギー・フレームワーク
1.7 単なる経済制裁ではない紛争鉱物規制
1.8 企業の自主的なCSR調達が基本
1.9 サプライヤー企業による紛争鉱物対応

第2章 米国の紛争鉱物規制
2.1 法律成立から規則の公表まで
2.2 紛争鉱物とは何か
2.3 ドッド・フランク法1502条の適用対象企業
2.4 ドッド・フランク法1502条の適用開始時期と報告対象期間
2.5 紛争鉱物報告書の提出の要否とその記載内容
2.6 SEC規則の3つのステップ
Column① 合理的な原産国調査の問題点

第3章 OECD紛争鉱物ガイダンスとデューディリジェンス
3.1 OECD紛争鉱物ガイダンスの位置づけ
3.2 OECD紛争鉱物ガイダンスの構成
3.3 紛争鉱物取引の流れ~上流から下流まで
3.4 デューディリジェンスとリスク
3.5 デューディリジェンスのための5つのステップ
3.6 モデル方針書
Column② ルワンダのタグシステム

第4章 サプライヤー企業のための紛争鉱物対応の手順
4.1 サプライヤー企業に合った対応手順とは
4.2 ステップ1:方針と計画の策定
4.3 ステップ2:社内体制の構築
4.4 ステップ3:紛争鉱物・3TGの使用状況調査
4.5 ステップ4:サプライヤー企業への調査以来
4.6 ステップ5:リスク評価とリスク対応策の実施
4.7 ステップ6:モニタリングと報告

第5章 紛争フリー製錬所プログラムと認定監査
5.1 紛争フリー製錬所認定の取り組み
5.2 なぜ製錬・精製業者の認定か
5.3 紛争フリー認定監査の流れ
5.4 紛争フリー製錬・精製業者認定の現状

第6章 EICC/GeSI調査票の使い方と記入方法
6.1 EICC/GeSIが提供するサプライチェーン調査用のツール
6.2 EICC/GeSI調査用の使い方
6.3 調査票を受け取ったらどうするか
6.4 調査票に記入する
6.5 Delcaration(申告)シートの記入方法
6.6 製錬・精製業者のリスト
Column③ グリーン調達とCSR調達

第7章 グローバル企業の紛争鉱物対応の実際
7.1 紛争鉱物に関わる方針
7.2 各社の紛争鉱物対応の実際
事例1 裾野の広いサプライヤー企業群を抱える「トヨタ」の取り組み
事例2 サプライヤー企業としての「日立製作所」の取り組み
事例3 金属精製・加工メーカーの「日本タングステン」の取り組み

第8章 紛争鉱物規制、今後の動向と対策
8.1 ドッド・フランク法1502条の今後の展開
8.2 紛争鉱物規制の広がり
8.3 人権問題に対する取り組みの展開

参考文献

はじめに

「紛争鉱物」と聞いて、「フンソウコウブツ?」と聞き返してもらえたら良い方で、ほとんどの場合、「何それ?」と聞かれるのが普通の反応です。筆者はこれまで何度もこのような経験をしています。
 注意して新聞や雑誌を読まれる方は、「紛争鉱物規制の衝撃」、「サプライチェーンの新たな試練」、「揺れる電子部品産業」、「コンゴ産を排除」などの見出しを記憶されているかも知れません。
 本書を手に取った方は、紛争鉱物について対応しなくてはならなくなった企業の方が多いと思います。そのような方は、得意先企業から対応を迫られ、なぜこんな法律を米国が作り、関係のない日本企業がその「とばっちり」を受けなくてはいけないのか、という疑問を持たれているかも知れません。
 紛争鉱物は、紛争地域から産出される鉱物で、その地域とはコンゴ民主共和国とその周辺国です。遠く離れたアフリカの国で一体何が起こっているのでしょうか。なぜ、米国はそのような紛争鉱物を規制する法律を作ったのでしょうか。そのような疑問にやさしく答えることから、本書の執筆を始めました。
 ところで、コンゴ産であったらなぜ悪いのでしょうか。それは、史上最悪の人権問題が起こっている地域だからです。
 映画「ホテル・ルワンダ」は、この地域の大虐殺を描いた映画です。アカデミー賞の主要部門でノミネートされたためご存じの方も多いかも知れません。ルワンダはコンゴ民主共和国の東隣りの国です。この事件のあと、コンゴ紛争が始まったのです。
 一方、「ブラッド・ダイヤモンド」は、レオナルド・ディカプリオ主演の映画です。舞台となった場所はこの地域ではありませんが、そこでは武装グループが採掘を取り仕切る紛争ダイヤモンドの密売が描かれています。このような映画から、紛争地域での様子が臨場感を持って実感できます。
 実は、コンゴ産を避けるのではなく、この地域の武装グループが関与している鉱物を避ける必要があるのです。コンゴ民主共和国やその周辺国は貧しい国ですから、その地域の鉱物が排除されてしまうと、それらの国の経済や採掘業者が大きな打撃を被ります。この地域の国々は、武装グループが関与しない鉱物を区別して管理する努力をしているのです。この点は、新聞や雑誌の記事を読んで、誤解をしている方も多いかも知れません。
 これは米国の規制であるにも関わらず、サプライチェーンを遡ることが必要になることから、米国以外の国の企業にも大きな影響を与えます。サプライチェーンの上流から下流まで、紛争鉱物を遡っていく作業は、これまでどの企業も経験したことのないことだと思います。
 この作業を実行するためには、サプライチェーンに関わる企業の協力を得る必要があるため、いろいろな困難が伴うでしょう。直接の取引先には依頼できるとしても、1つ飛ばしてしてその次の取引先には依頼することができません。このため、伝言ゲームのようにサプライヤー企業が順番に調査依頼をする必要があります。
 また、どの調達先から何を調達しているかについては、企業秘密であることも多いでしょう。このため、サプライヤー企業の協力を得るための工夫も必要となります。
 この規制は既に2013年1月から適用が始まっています。米国紛争鉱物規制は、紛争鉱物のサプライチェーンに関わる企業が、グローバルレベルで挑戦する新たな課題であるということが言えます。
 本書は、得意先である米国上場企業などから依頼を受けて、紛争鉱物に関する調査を迫られているサプライヤー企業の方を想定して執筆しました。なぜ、米国が紛争鉱物規制を行ったのか、それに対応するためにはサプライヤー企業は何をすればよいのか、調査票はどのように書けばよいのか、などについて分かりやすく解説しました。
 本書の執筆のために、紛争鉱物規制に対応する米国上場企業やサプライヤー企業に筆者が訪問し、実際にどのような対応をしているかについてインタビューをしました。その内容を第7章に収録してあります。ご多忙中インタビューを快くお引き受けいただいた企業の皆様にお礼申し上げます。
 最後に、本書の出版をはじめから終わりまで熱心に支えていただいた日刊工業新聞出版局書籍編集部の三沢薫氏には、心よりお礼を申し上げます。
 なお、本文中の意見に関する記述には、筆者の私見が含まれています。もし、誤りや誤解があれば、筆者の責に帰すものであることを申し添えます。
 
2013年5月
執筆者を代表して  久保惠一

買い物かごへ