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今日からモノ知りシリーズ
トコトンやさしい配管の本

定価(税込)  1,512円

著者
サイズ A5判
ページ数 160頁
ISBNコード 978-4-526-07080-8
コード C3034
発行月 2013年05月
ジャンル ビジネス 機械

内容

配管技術が活躍する分野は、石油、化学、鉄鋼、食品、医薬品、上・下水道、ガス、建築の空調・給水など、非常に広範囲にわたる。本書は、配管の歴史、身近にある配管、配管が機能を発揮するための諸要素などをわかりやすく紹介する。

西野悠司  著者プロフィール

(にしの ゆうじ)
1963年 早稲田大学第1理工学部機械工学科卒業
1963年より2002年まで、現在の株式会社 東芝 京浜事業所、続いて株式会社 東芝プラントシステムにおいて発電プラントの配管設計に従事。その後、3年間、化学プラントの配管設計にも従事。
一般社団法人 配管技術研究協会主催の研修セミナー講師。
同協会誌元編集委員長ならびに雑誌「配管技術」に執筆多数。
現在、 一般社団法人 配管技術研究協会参与。
日本機械学会 火力発電用設備規格構造分科会副主査。
西野配管装置技術研究所代表。

●主な著書
「絵とき『配管技術』基礎のきそ」日刊工業新聞社

目次

第1章  配管の長い歴史
1 人と切っても切れない水「人類は配管と共に歩んできた」
2 古代ローマ帝国の水道「ポンプのない時代の水道」
3 江戸の上水道「町中の管路網」
4 鋳鉄管から鍛接管へ「ベルサイユの現役鋳鉄管」
5 パリの下水道「匂い付きの下水道博物館」
6 画期的な継目無鋼管の製法「それは問題意識から生まれた」
7 管接続方式の変遷「溶接はねじの漏れ止めに使われた」

第2章  いろいろな場所で活躍する配管
8 上水道の配管「水源から蛇口までの長い道のり」
9 下水道の配管「さらさら流して川へ出す」
10 配水管から蛇口まで「水を止めずに分岐管を設ける」
11 トイレから下水管まで「詰まりと臭気をなくす工夫」
12 都市ガスの配管「現在、低圧管にポリエチレン管を使用」
13 消火設備の配管「配管サイズが法で定められている」
14 オイルタンカーの配管「上甲板には貨物油管と水消火配管が走る」
15 ロケットエンジンの配管「ロケットも配管なしには宇宙へ行けない」
16 粉を運ぶ配管「錠剤や米をパイプで運ぶ」
17 石油化学プラントの配管「パイプラックはメインストリート」
18 火力発電プラントの配管「赤熱している主蒸気配管」
19 パイプライン「大陸的据付工法のスプレッド工法」
20 人体の管「地球上、最初のパイプ」

第3章  配管を形づくる要素
21 配管という装置「配管が具備すべき条件」
22 管の材質「プラスチック管の目ざましい普及」
23 鋼管のサイズ「スケジュール番号は一種の圧力クラス」
24 管と管をつなぐ管継手「配管を引き回す立役者」
25 バルブのはたらき「流体を止める、流す、絞る」
26 いろいろなバルブ「バルブの形式は適材適所で選ぶ」
27 流れを調節するバルブ「目標値とのずれをなくすよう開度を変える」
28 配管の安全設備「壊れやすいところを造っておく」
29 配管を支える装置「上から吊り、下から支える」
30 配管の振動を抑える装置「微振動を止めるのは難しい」
31 伸縮管継手に生じる推力「推力発生は伸縮管継手の宿命」
32 いろいろな伸縮管継手「推力のいろんな受け方がある」
33 蒸気をつかまえる装置(1)「浮力の有無により蒸気とドレンを識別」
34 蒸気をつかまえる装置(2)「温度により蒸気とドレンを識別」
35 配管の保温と保冷「熱を逃がさない、入れない」
36 配管をつなぐフランジ継手「フランジは面圧が命」
37 配管をつなぐ溶接継手「最も信頼できる溶接継手」

第4章  プラント配管のできあがるまで
38 配管完成までのステップ「プラント完成の喜びに浸るためのステップ」
39 配管の設計手順「他部門と折り合いをつけつつ設計が進む」
40 設計のやり方「設計レビュー方法の変遷」
41 ベンドの製造「昔は配管職人の腕の見せどころ」
42 配管に使われる溶接技術「配管は外側からしか溶接できない」
43 溶接部の熱処理「溶接したところは引きつっている」
44 配管の非破壊検査「検査するものを壊しては元も子もない」
45 配管の組立「現場合わせからブロック工法へ」
46 ラインチェック「配管工事完成の条件」
47 耐圧・気密試験「気密試験に先立ち耐圧試験」

第5章  配管を取り巻く技術
48 配管技術をはぐくむ「4力学が大事」
49 管の耐圧強度「A ×p=B×S の考え方をマスターする」
50 管の強度計算式「管の必要厚さの式と許容応力」
51 球形が内圧に強い理由「球の応力は円筒の半分」
52 管に穴があると強度が下がる「補強板をつければ強度が上がる」
53 流体のエネルギーは保存される「ベルヌーイの法則」
54 水力勾配線とその応用「水力勾配線が流線の下へくれば負圧」
55 層流と乱流「層流は粘性の影響力が大きい」
56 損失水頭はなぜ生じるか「流れがあれば損失水頭を生じる」
57 管の損失水頭の計算式「損失水頭は流速の2乗に比例する」
58 管継手・弁の損失「曲りの数と角度が大きいほど損失が大きい」
59 配管口径の決め方(サイジング)「細い管の標準流速は太い管より遅い」
60 損失水頭とポンプキャビテーション「ポンプ吸込み管の流速は遅めに」
61 配管を横から見る「横から見ないとわからないことがある」
62 配管熱膨張をいかに逃がすか「フレキシビリティがあり過ぎてもよくない」
63 配管振動の原因「振動には必ず振動源がある」
64 配管の共振「避けねばならぬ共振」
65 ウォータハンマ「大きな破壊力」
66 配管の電気化学的腐食「水と関係ある腐食は電気化学的」
67 配管のガルバニック腐食と対策「ガルバニック腐食は著しく腐食が速い」

【コラム】
●ビッグバンと粒子加速管
●地上最小のチューブ
●配管で起きるトラブルの特徴
●配管にやさしいポンプ
●配管に関する資格

参考文献
索引

はじめに

 ものを輸送する手段として、航空機、船、貨車、トラック、などの交通機関、クレーン、コンベア、エレベータ、などの輸送機器、そして配管があります。配管は他の輸送手段と違い、連続して大量輸送ができるという大きなメリットがあり、また気体、液体に限らず、ある種の固体も空気を使って、輸送することができます。管で運ばれるものは、固体であっても「流体」と呼ばれます。
 みなさんは「配管」という単語から、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか。今までに実物ではないにしろ、どんな配管を見たことがあるでしょうか。炎熱の砂漠を延々と走るパイプライン、化学プラントに林立する塔槽類とその周りの錯綜する配管群、あるいは、道路工事中の深いピットの中に横たわっている配管など…でしょうか。
 私たちが日常生活を送る中では、あまり配管を見る機会はないかもしれません。それは、配管のほとんどが道路の下に埋まっていたり、住いの床下や壁の中を通っているからです。都会では配管は「縁の下の力持ち」として、私たちの生活を支えています
 配管は実際には産業とインフラに広範囲かつ密度濃く使われています。配管の世界は実にバラエティに富んだ世界です。
 原油や天然ガスを運ぶ配管。石油化学、電力、製鉄などのプラント配管。各種製品の製造工場の配管。船、航空機、車など交通機関の配管。化学工場、製薬工場、電子機器工場などの配管。水道、ガス、下水を長距離輸送する配管。給水・排水・空調など建築設備の配管などなどです。
 本書は、配管はどのように発達してきたか(第1章)、配管はどのようなところに使われているか(第2章)、配管はどんな構成要素からできているか(第3章)、配管はどのような順序で設計、製作、組立が進められていくか(第4章)、流体が配管をスムースに流れるため、どのような事に注意がはらわれているか(第5章)、について説明します。
 この本を、配管に少しでも興味を持たれた方に読んでいただき、配管とはどんなものかおぼろげながらわかっていただければ、ほぼ50年の間、配管の一隅で働いてきたものにとって望外の喜びとするところです。
 「はじめに」の最後に、管と配管、パイプとチューブの違いについて、触れておきます。
 管と配管の違いは、配管(パイピング)は、配管装置という言葉があるように、装置として組み上がったものをいいます。管(パイプとチューブ)は丸い円筒状の物体だけを指します。そして、パイプとチューブの区別は実はかなり曖昧ですが、大雑把にいえば、パイプは流体輸送を目的とする管、チューブは熱交換を目的とする管といえるかと思います。

2013年5月
西野 悠司

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